第7話

サリーが、帰っいた。


家には、バードとレス、そして、レスの腕の中にいるケイトだけだ。


「ギルが、村のみんなに話してくれたんだね。僕達の事を心配して、ケイトがこの村で暮らせる様にと」バードがケイトの頭を撫でながら言う。


目が覚めたと解ったら、ゆっくり二人は、話が出来ないだろうと思い、あたしは眼がさめても、そのまま目を閉じてる。


「そうね、無理のない範囲で世話を焼いてくれるって、私達が、無理をしていると、思うのでしょうね。ケイティの事が、有ったから、そう思うのでしょうね。私も、少しは、解っているの、頭の中ではね、ケイトの事を思えば、もう少し、人と会わないといけないと思っているの、でも・・・・」レスもケイトの手を撫でている。


「ギルの思いやりに甘えよう。僕達二人だけでなく、少しずつ、外に出る様にしよう。

まず、僕は、明日から、畑仕事に行くよ。」


「あら、それは、サリーの来る前に話していたじゃない。」


「そうだったね。でも、明日、暖かければ、レスとケイトも外に出て、僕の仕事を見て貰えるかな?」


「まずは、そこから始めるのね。ケイトを村の人に会い、顔を見せる事よね。」


「ケイティの事は、忘れない。でも、これからは、ケイトを育ててるのだから。」 バードはケイトの頭を撫でていた。


次の日の朝、早くからバードは仕事の準備をしていると、

「久しぶりに、畑にでるからな。しっかり次の作物の準備をしないと、ケイトにひもじいい思いをさせてしまうからな。」

バードはケイトに手を振って、「行ってくるね。」と言って出掛けて行った。


それから、ケイトは、レスの背中に背負われる。

「ケイト、ほら、お母さんの背中よ。家の事をしてから、お外に行きましょうね。見えるかな。」そう言うと、ケイトの背中に、毛布のようなものが、掛けられた。

「ケイトの背中が寒いといけないからね。ちょっとだけ、おうちの仕事済ませるわね。」と声を掛けながら、家の中の仕事を終わらせ、

「後は、洗濯・・・ ケイト、お外だけど大丈夫かな?」

ぶー ぶー大丈夫よ」と返事をする。

「そう、楽しいのかな?お外に出てみましょう」

と言って、洗濯物を持って、外に出ると、何処からともなく、声がすると、

「レス、おはよう。あら、ケイトも、お利口さんで大人しく、背負われてるのね」と昨日、家に来ていたサリーが声を掛けていたのだ。

(お隣さん・・・なのかな?)

サリーの声が聞こえてくると、次々に人が集まってくる。


「あら、ケイトちゃん・・ お母さんに背負われて」


「ほら、こっち向いて・・・」

そして、次々に声を掛けられる。


「おばちゃん・・・赤ちゃん見せて」と小さい女の子に言われると、レスが「おばちゃんなんだ・・・」とポツリと言うと、

サリーが「赤ちゃんが居れば、子供からすれば、れっきとしたおばちゃんよ。今更、知ったの」豪快に笑う。


「そうよね、ケイトよ。よろしくね。」とレスが、紹介を始める。


(レスがおばちゃんなら、あたしもしっかりおばちゃんなのよね。)

ブー ブーよろしくね」と手をしゃぶりながら言った。


「ケイトは人気者ね。もう少し大きくなったら、お姉ちゃん達に遊んでもらいましょうね。」とレスが小さな女の子を見て、話しかけた。


ブー アー遊ぼうね」と返事をしておく。


「おばちゃん、ケイトとお昼ご飯の後、遊べる?」と女の子が、言ってくると、


「ごめんね、ケイトは、お昼からは、畑に行く約束をお父さんとしてるのよ。また今度、遊んでね。」とレスが、女の子の目の位置まで、腰を下げて、返事をする。


「ケイト、またね今度ね」と女の子は、ケイトの頬を触った。


ブー ブーまた今度ね」と返事の代わりに手を振って笑って答える。


「もう、家に戻るわ。みなさん、ありがとう。これかも、ケイトをよろしくね。」


家に戻り、レスの背中まだ、解放されない。

「ケイト待っててね。今から、ミルクの準備をするわ。それと、お父さんのお昼の準備もなのよね。」と言いなが、お昼の準備やケイトのミルクを準備し始める。


全ての準備が終わり、やっと、レスの背中から解放された。

背中から開放され、次は、抱っこに変わり、口の前にミルクが見える。悲しいかな、赤んぼの身体は、お腹がすいているから、条件反射で、口を広げ、哺乳瓶を求め飲み始める。


「ケイト、お腹も空いたでしょ。ミルクよ、お外に出たから、疲れたでしょ。

ちょっと、長かったわね。ごめんね、もう少し、早く戻るつもりだったけど、みんな、ケイトに会えて喜んでたの。」と先程の事を話しながら、ミルクを飲ませてくれる。


「レス、今帰ったよ。ケイトは?」とバードが帰ってきた。

「今、ミルク飲んでるの。テーブルの上に食事は用意しれるわ、先に食べてて」

ケイトはミルクをまだ呑んでいた。

バードは、ケイトの顔を見にきて、すぐに食事をし始めた。

「ケイトと一緒に食事だよ。」と笑っている。

バードは食事を手早く済ませて、レスからケイトを抱きしめて、目を細めた。


「お昼から、畑に来るか? 今、畑の準備をしてるんだよ。」目尻が下がっている。


「バード、さっきまで、洗濯を干していた時に、みんなに挨拶をしてたのよ。

だから、ケイト、疲れたかもしれないわ。」

レスが、眉を下げて、言いた。


「そうか、疲れたのなら、明日だね。無理をしたら、いけないからな。」

と、言いつつ、首が項垂れ、しょんぼりとしている。


ミルクを飲み終わったケイトは、目が潰れてしまった。

体は、赤ん坊なのよね、睡魔には勝てはしない。


レスが、ケイトの頭を撫でている。

眼が覚めて、周りを見ると、「目が覚めたの。お父さんは、寂しそうに、仕事に出たのよ。お母さんは、ケイトといつも一緒だと、焼きもちをを焼いていたのよ」と微笑んで、髪の毛を撫でていた。


ブー アーそうなんだ」つい 手を口に当ててる。


「ケイト、洗濯物を取り込むのよ、起きたばかりだけど、背負うわね。」と言うと、朝よりも、手早く背負われる。


(少しの時間なら、このまま置いていいいんじゃない?

拾われてから、一度も、一人になった事はないのよね。これって、ケイティと関係があるのかな。)


外に出て、洗濯物を取り込んで、直ぐに家の中に入り、取り込んだ洗濯物を、畳んで片付け、ご飯の準備、お風呂の準備をしながら、背中にいるケイトに向かって、畳み方を教えたり、料理の話をしながら、作業を続ける。


(ずーと、話かけてくれる。赤ん坊に洗濯物や、料理の話なんて、思うけど、あたしは、返事をする。)

あー うーそうだね」って 手を舐めならだけどね。


「ただいま。ケイト、レス あれからは、何をしてたのかい?

?」バードが、上着を脱ぎ、テーブルに腰を掛けた。


「バード、お帰り 今日はね、ケイトはお昼寝を沢山したわ。

午前中に外に出てたでしょ、きっと疲れたのね。」テーブルに食事の用意を始めると、

「レス、ケイトを下ろして、俺が抱くから、レスも疲れたろ」

バードはレスを労りの言葉を掛ける。


レスの背中から、ケイトは下ろされ、バードの腕の中に納まった。


(一緒に寝ているか、レスの背中や二人の腕の中よね。少しは、ケイトから離れる事は、出来ないのかしら。)


「ケイト、お父さんだよ。ただいま。お利口さんにしていたようだね。明日は、お父さんの仕事を見においでね。」と向かい合わせに座らせて、話しかけてくる。


「レス、村の男性達が、ケイトの事を見たいんだと。

俺としては、男には見せたくないんだがな」とケイトを見ながら言う。


「バート、男たちって・・・ 」レスが言いかけると。

「男は男だ、ケイトに成人までは悪い虫が付かない様にしないといけないからな。なぁケイトお父さん以外の男の人と話したら駄目だぞ」とまじめな顔で言ってくる。


「|はー ぶー」お父さん大丈夫だから心配しないで、と言いたい。


それから、夕食を食べ、いつもの様に、お風呂に入れて貰う。

毎回の事なのに、裸にされて、身体の隅々までチェック、何か変化はないか?と心配すことは解るが・・・ 恥しいから、少しは手を抜いてほしいと、感じている。


寝る時は、一つベットに川の字で寝る。

あー お邪魔虫・・・ だよね。

まあ、今は、赤ん坊だ、その内に別に寝させて貰えるだろう。

いつの日か、いつだろう?

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