第6話
教会のマティー神父に会ってから、暫くは教会に行かず、3人で家だけで、過ごした。
「ケイト、もう少し待ってね。ミルクが出来るから。」
「
自分では、我慢をしているつもりだが、勝手に自然現象は起こしてしまうから、いつも、心の中で詫びるの。
何を言っても、赤ちゃん言葉しか、話さねいからね。
最初は、慣れなかったけど、数日経つと諦めもつくわ。
40才でミルクやおしめって、恥ずかしけど、背に腹は代えられないもの、何せ、赤ん坊の身体なのだから、トイレに行けるわけでもないし、一人で食事も出来ないから。バードとレスに頼るしかないのよね。
老人介護で、介護される老人の気持ちが、ほんの少しだけ、分かった気がする。
でも、慣れて恐いわね、我慢せずに教える事が出来る様になったもの、ただ、言葉が、赤ちゃん言葉しか話せないから、少し、意思疎通が出来ない事が欠点だわ。
まあ、そこが、老人と、赤ん坊の違いなんだろうけど。
あと・・・お風呂、裸にされて、身体を洗ってもらう。お風呂に入る度に身体異常がないかをチェックされる。
早く一人で、ゆっくりとお風呂に入りたいと思うの。
でも、この体では、無理な事は解ってるけど、つい、思ってしまうわ。
老人介護の風呂の援助と同じだと自分に言い聞かせてるが、ただ、身体の隅々まで、見られる事には、やっぱり、抵抗を持ってしまう。
そして、静かにしていると、必ず、バードかレスが、すぐに抱きあげるてくるのよね。
「ほら、ケイト」バードから抱っこをされて、黙っていると、「どうした?お父さんと、お話しよう。」と話しかけてくる。
「
「レスほら、ケイトが笑った。お父さんとお話をしたいって」
「バード、ケイトを抱いてばかりで、困ったわね。明日は、畑仕事お願いね。」と目尻を下げて、微笑んでいる。
「レス、分かったよ。ほら、ケイト、お母さんが焼きもち焼いたんだよ」と目がだらしなく、下がっている。
「
「ケイトが焼きもち焼かないで って言ってるよ」と
「バード、明日は私が、ケイトと一日一緒にいるのよ」とにっこり笑っている。
バードが
「ケイト、明日は、お父さん、仕事だよ。寂しいな。
ケイトは、お母さんと良い子にしてるんだよ。」とレスに
「バード ありがとう。」とバートに言った後、
「
「レス、君は何を言いうんだ、ケイトは、お嫁に出さない」と少し怒った感じだった。
「バード、ケイトが大きくなって、私達が、いなくなった時、ケイトが、一人寂しい思いをするわ。
今、私達は、ケイトが居るから、楽しいし、これからも楽しいと思うの、でも、私たちはいつ迄も、生きていないのよ。
その時の事を考えてあげないとね。」とバードを見て言った。
(そうだ、両親も一人っ子だった。私も一人っ子だった。
両親が死んで、一人だった。親戚すらも居なかった。誰にも頼れず、寂しく、途方にくれた。
この世界で、生きていくなら、今度こそ寂しい思いはしない人生を歩もう。)
「そうだね。僕の我儘だったね。でも、成人するまでは、彼氏を作らせない。レス、それは良いよね」とレスに相槌を求めている。
「そうね。成人してから、結婚すれば良いわ。それまでにバードの目に叶う人が現れるといいのだけどね。ケイト」レスは私に微笑みながら、言ってきた。
「
「ケイト、お腹がすいたの?また、手をしゃぶってる。
まだ、少しだけ、ミルクの時間には早いわよ。」と言ってレスは、
「
「あら~ 手を外して怒ってるの?でもね、手をしゃぶってると、美人さんが台無しょ。」と目尻を下げている。
(怒ってるんじゃないのだけどな、まだ、まだ、
お昼前になって、レスが、ミルクを作って持って来くると
「バード、ミルク上げて頂戴。私は食事の準備をするわ」と言って哺乳瓶をバードに差し出す。
必ず、どちらかが居る。一人になる事が、出来ない。
(赤ちゃんを育てる時は、普通なの?
外からの誰か来たのだろう。ドアが叩かれた。
レスが、ドアを開けると、恰幅のよい、40代位のおばさんが立っている。
(
「レス、久しぶりね。」と恰幅の良いおばさんが言ってきた。
「サリー 久しぶり。」恰幅の良いおばさんを見るなり、少し困った表情になった。
「レス、ギルから聞いたわ。みんなも知っているのよ。それから」と言いかけた時に、部屋の中からギルが声を掛けてきた。
「レス、寒いから、サリーを部屋の中に入れないか。」と少し大きな声をだした。
「サリー、部屋に入って」とサリーを部屋の中に招きいれる。
恰幅の良い女性はサリーというらしい。
「わー 可愛いわね。ミルク飲んでるの。お父さんが大きな声を出しても、驚かないのね。良い子ね。」と
「サリー・・・」とレスが言うと
「レスもバードも何も言わなくていいわよ。この子はケイトでしょ。ギルが、
「サリー・・・ありがとう」とレスの目に涙が溜まると
「レス、ケイトが心配するわよ。ほら、笑って」とサリーはレスの背中をさすっている。
「バード、ミルクを飲ませ終わったら、私にも抱かせてもらえるかしら?」と聞いてくると
「まだ、誰にも抱かせたくないな。マティー神父に抱かせたら、ケイト泣いたんだ。だから、暫くは抱かせたくない。」とサリーを見た。
「やれやれ、ギルが言っていた通りだわ。ほら、ミルク終わったわよ。」サリーは
「バードもレスも聞いて、ケイトは神様からの贈り物でしょ。
だから、貴方達二人だけでなく、村長としてのギルが、話したのよ。ケイトは、この村全体の赤ん坊として、みんなが、世話を焼こうってね。」とにっこり微笑んで
「無理のない範囲でって・・」レスが言うと、バードと一緒になって困った表情になっていた。
「そうね~、まずは、ケイトを見たいって人がおれば、見せてあげる。抱きたいと言えば、抱かせてあげる。そこから、始めてみない?」と笑って答えると
「バード、 ケイトをレスに抱かせてあげて」と眉を顰めて言った。
バードは渋々
サリーの抱き方は凄く心地よかった。
抱かれていて、安定感があった。
「ほら、泣かないでしょ、神父は独身男性よ。赤ん坊を抱く事は上手じゃないのよ。練習すれば、少しは上手になるでしょうけどね。ケイト、神父の練習台になってあげてね」
「無理のない範囲で世話を焼いてもらえるのは嬉しいし、ありがたいけど、神父の練習台にさせるのは・・・」眉を顰めてバードが言うと。
「独身男性に抱かせたくないだけでしょ」とレスが突っ込みを入れた。
「二人とも、村のみんな、ケイトに会いたがっているよ。
暖かい日に散歩につれて、出ておいで、ケイトを返さないとバードが睨みつけてるから、レスに返すね」と言って、レスに渡した。
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