第36話
6歳の時に、マティーから貰った、魔法の基礎を学んでいる。
「ケイト、魔法の基礎は大変だろう。」口角を上げ、ニヤリとしている。
「マーぷ、意地悪だね、魔法の基礎だけど、文章が難しいもの。」
魔法の基礎の本は、文章が読めなかった。
マティーの執務室で読んでいた本は、誰でも読める様に訳してあった本だった。
6歳の誕生日に貰った、魔法の基礎の本は、訳していなかったから、翻訳をしてからだった。
「ケイト、この本はね、魔法学園で最初に習う本だよ。
貴族はこの文章を読めてから、入学してくるんだ。
だから、平民で、入学すると大変なんだよ。普通の文字の読み書きは出来てもね。魔法の本は違うから、苦労するんだよね。」
「良かった、
「そうだね。王都にある、魔法学園に行かないんだよね。」
少し、いつもとは違う、声が寂しそうだ。
「マーぷどうしたの?何かあったの?いつもと違う感じがするの?」
「ケイト、僕は、王都に帰る事になったよ。」
「王都に帰るの?どうして?まだ、居られないの?」
「ジャンとアビーがしっかりと子供達に、文字を教えられるようになったから、王宮から戻ってくるようにと、王命が来たんだよ。」
「王命って?領主様の命でなかったの?」
「バルフォアボール辺境伯、アイクはね、僕の魔法学園の友達だよ。この村の識字率が低くて困っていたんだ、それを王宮の武官で、教会本部に派遣されていた僕に相談してきた、だから、僕は王命でここに来たんだよ。今は識字率も上がり、後継者のジャンとアビーがいる。
そして、教会には、ドミニク神父も赴任してきた。
僕はね、その筋道を立てる為に、この村に来たのだから、仕事が終わったから、戻って来いと命令が来たんだよ。」
「そうよね、去年そんな話をしていたもの、解っていたんだけど、マーぷが、居なくなるのは寂しい。だって、お父さんと同じくらい好きなんだもの。」
「お父さんと同じくらいに好きかぁ〜、出来ればお父さん以上にして欲しいな。」
「お父さんが怒るよ、男の人で好きなのは、一番はお父さん、二番目はマーぷだよ。」
(
ケイトは、7歳よね、どう見ても親子だしね。それに、マティーは、
「二番目の男から、誕生日プレゼントだよ。」と魔法の本を渡された。
「今度の魔法の本は、中級者向けだよ。二番目の男は、魔法の先生だからね。ちょっと意地悪をしたから、一番目になれないね。」とにっこり笑った。
「マーぷは、本当は一番なの。」と言って、人差し指を口に当てる。
「そっか、一番か。嬉しいな。」と言って、人差し指を口に当てた。
マティーと私の二人の秘密の合図。『魔法の事は内緒だよ』という合図だった、次第に二人だけの内緒の合図になっている。
「ケイト、マーぷはね、魔法を教えるお父さんだからね。
もし、ケイトが、王都に来たら、マーぷを頼っていいんだからね。」
「うん。王都に行ったら、マーぷに、必ず会いに行くね。マーぷも、この村にたまには来てよね。」
「勿論だよ。」
マティーが王都に行く、前日に、バード、レスと
「マティー神父、俺達の無理の願いを叶えてくれていたんだと、エマさんに言われる迄、知らなかったとは言え、マティー神父には、苦労をかけてしまっていた。幾らお礼を言っても言い過ぎじゃない。ありがとう。」バードはマティー神父の両手を握りながら、涙を流してる。
「マティー神父、本当にありがとうございます。ケイトは私たちの宝なの、マティー神父が、いなかったら、今もこんなに楽しく過ごせていなかったと、思うわ。ありがとう。」
「二人にお礼を言われるほどじゃないよ。僕も、ケイトの成長が楽しかったんだしね。たまには、ケイトの成長を見に来るし、王都に来る時が、あれば来てもらいたいよ。」
「マーぷ・・・・」涙が出そうだった。
マティーは7歳になる
「大きくなった。今度、会う時はもう、抱けないな。」と言いながら、頭をゴシゴシと撫でてくれた。
そして、今日は、マティーが、王都に向かう日は、
村の全員が、教会に集まり、マティー神父にそれぞれに挨拶をしてる。
ジャンとアビーは結婚式をする時には、マティーに神父をして欲しいと願い出ていた。
最後に挨拶をしたのが、ギル村長だった。
「マティー神父、この村の教会を建て直してもらっただけでなく、文字の普及をしてもらって、他の村と同じようになった。
本当にありがとう。また、この村に時々、来て下さい。」
「また、来るよ。じゃあ」と言い馬車の中に入っ時に、
ドミニク神父が、慌てて出てきて、
「マティー神父、ご苦労様でした。」と大きな声を出し、腰を深く曲げながら、頭を下げた。
マティーを乗せた、馬車は出て行った。
村のみんなで、大きく手を振って、別れを惜しむように、ずっと馬車を見送った。
(とうとう、マティーは、王都に行ってしまったのね。
人には、出会いがあれば、別れもある。知っているし、解っている。別れは辛い、でも、生きているんだから、いつかは会える。また、村に来るって、言っていたもの。)
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