第2話

あたしは「おぎゃーおぎゃーどうしてここに」と叫んだ。


「えっ 赤ちゃんよ、バート」

「何?こんな所に赤ちゃんがいるはず・・・・ いた」

おぎゃー助けて

「寒かったわね。もう大丈夫よ。一緒に帰りましょう。」

ブルーの髪の色で、ペリドットの様な緑の瞳の若い女性が、あたしを抱き上げた。


「レス 早く帰って、温めてあげよう。話はそれからだ。」

慌てて、自分の上着脱いで、あたしに掛けてくれたのは、グリーの髪のルビーの様に見える赤色の瞳の青年だった。


(見るからに、美男、美女のカップル

こんな状況でなければ、見ていて飽きがこないわ)


おぎゃーおぎゃーたすかった ありがとう


抱っこをされて、彼たちの家路に急いだ。

歩きながら、二人が、

「レス、大丈夫かい、変わろうか?」

(ブルーの髪の若い女性はレスって名前なんだ。)


「大丈夫よ。ほら、抱っこされてるから、安心してるわ。」とほほ笑んでくれた。


家に着くなり、ベットに寝かされた。

そして、二人は、「バード、お風呂の準備お願い。私は、ミルクを飲ませるわ。着替えやおしめの準備を忘れないでね。」

(グリーンの髪の青年はバードね)

バードは、暖炉に火をいれ、言われたように、準備を始めた。

レスは、あたしを抱き上げた。

「レス、お風呂は準備できたよ。」

「バード、少しまって、この子にミルク先に飲ませてるの。お腹を空かしているみたいだから。」

レスは、あたしを抱いて、ミルクを飲ませていた。

「可愛いわね。まってて、ほら、ミルクよ。沢山飲んでね。」

哺乳瓶を口に入れられた。

お腹が減っていたから条件反射の様にあたしは口を開けて飲み始めた。


あたし、今、赤ちゃんなのね。言葉も喋れないし、食事は、ミルク・・・哺乳瓶で、残念な事に、身体は反射的に行動しているわ。


そんな事を考えていると、バードが、あたしの顔を覗き込んできた。

微笑みながら、ジーと見つめてくる。


「ケイティ・・・ 」バードがポツリと言った。


「バード、この子、髪の色はブルーで瞳は、赤色よ。バードの赤の瞳と私のブルーの髪。私たちの子供と言って育てましょう。」

とレスが言った。


あたし髪の色、ブルーで、瞳が赤色?

黒髪、黒目でないんだ・・・

夢の中? でもリアルだな、さっきまでの凍え死にそうな寒さや、今の家の暖かさ、ミルクの美味しさ。

もしかして、転生って事?

生まれ変わったのかな?

この世界で生きていくのかな?と考えていた。



「レス、髪の色や瞳の色は僕たちの間に出来たと言っても村以外の人は疑わないだろう。でも、村の連中は知っているよ。

僕たちの子供でない事を、それにこの子の親も・・・・」

と言いかけた時に、


「教会の帰り道なのよ。神様からの授け物よ。あの子の生まれ変わりじゃないの。ねえ、お願いよ。

それに、親だったら、森の入り口に赤ちゃんを置かない。

私達で育ててもいいでしょ。村長にお願いしましょう。」とレスが、せつなそうに言った。


「レス、少し落ち着いて、僕も同じ気持ちだよ。でもね、この子は、ケイティの代わりではないんだよ。ほら、髪の色も、瞳の色も、違うだろ。

ケイティを埋葬した帰りに、この子に出会うなんて、本当に神様からの贈り物の様に感じるよ。」


「勿論、ケイティの代わりではない事は解っているわ。神様が、私に、子供を育てるチャンスをくれたと思うの。

ケイティの様な事は、絶対にしない。だから・・・」

レスは、涙を流し始めた。


「レス・・・ ケイティの事は、事故なんだよ。

村のみんなも言っていたじゃないか。生まれたばかりの赤ん坊にはよくあることだって。」

バードは、レスの背中をさすった。


「バード・・・・ あの時、ケイティの傍に居れば、って思うの。村の人達は、仕方がないんだと言うけど、本当は、離れるべきでは無かったと思ってしまうの。あの時、ケイティが寝ていても、傍に居てあげてれば・・・違っていたはず」


(あー もしかして、突然死だったの?

赤ん坊の突然死、聞いたことがるな。だったら、誰の責任でもないじゃない。)


「わかった。そうだね。村長に相談に行こう。

僕達への神様からの贈り物かもしれないね。」


(神様の贈り物か・・・ 私で良かったのかな?)

ミルクを飲み終わると、お風呂に入れて貰った。


(それも、二人係で、今は赤ちゃんの身体だけど、中身は45才のおばちゃんよ。恥ずかしいわ。)


そのうえ、念入りに、怪我をしていないか?痣はないか?とチェックするし、お風呂から上がると、身体を隅々まで拭き、おしめをして、下着を着せて、寝間着まで着せてもらった。

身体は、赤ちゃんだから、お風呂に入った後は、眠気に勝てずに寝てしまった。


気が付くと、バードと、レスの間に、あたしは、寝ていた。

どう考えても、あたし邪魔だろ。

若い男女は向かい会っている、その間で寝る馬鹿はいないよ。

私が、眼を覚ました事に、気が付いたのだろう。

レスが、「あら、眼をさませちゃったの。ごめんね」とほほ笑んだ。

思わず、「いいえ」と言えないので、頭を振った。

同時に、バードが目を覚まし、「ほら、間にいれば、暖かいだろ。朝までゆっくりお休み。」と言って、おでこに唇をあてた。

「レスもお休み」レスには、軽く唇にキッスをした。


眼が覚めたあたしは、現状を考える事にした。

確か、お酒が足りず、買いに出て、車に跳ねられた。

ここまでの記憶はあるわ。

次に、眼が覚めたら、赤ん坊の泣き声、身体も赤ん坊だった。

体力も赤ん坊なのよね。

ただ、班目式部40才の意識はあるのよ。

夢なのか?世にいう転生なのか?

夢なら覚めるでだろうし、覚めた時に考えればいい事だわ。

でも、転生なら、この世界で生きて行かないといけないのよね。


あー あたし赤ちゃんじゃない。気付いた時には、捨てられていたし、どのようにして生きていくのよ。

この二人は、突然死した、ケイティの代わりとして?育てる気持ちがあると言っていたわ、でも、村長に相談するとも言っていたし、出来れば、このまま、暫く家に置いてもらえるとありがたいな。

と思っていると、眼が閉じてしまったのだろう。

身体は赤ん坊だ。


「おはよう」おでこにキッスをしたのは、レスだった。

「ミルクは僕が上げるから、レスは、朝食の準備を頼むね。」

バードが私を抱き上げて、「おはよう」とおでこにまたキッスをされた。

哺乳瓶を口の前に持ってこられると、条件反射なのか、口を開いて、哺乳瓶をもとめてしまう。


恥しい・・・口を開け、必死になっている自分が・・・

身体は赤ちゃんだし、本能がそうさせているのだから、仕方がないのだが。


「お腹がすいていたんだね。沢山飲んで、早く大きくなろうね」

等と声を掛けながら、ミルクを与えてくれる。

「バード、朝食の準備出来たわ。赤ちゃんがミルクが終わったら、食べて、次は私が抱っこするから」


ミルクを飲み終わったら、次はレスに抱かれた。

バードが朝食が終わり、レスが食事を片づけをしている時には、バードに抱かれていた。


一人でベットに横になりたい。などと思っていると、気付いてもらえたのだろうか、ベットに降ろされた。

はー ゆっくり出来る。と思っていると、着替えさせられた。

昨日来ていた服と、御包みになった。


着替えが終わると、レスの腕に抱き上げられていた。


「レス、これから村長の所へ行く。赤ちゃんも連れてね。

拾った時の状況や、現状を話そう。そして、僕たちの子供として認めて貰おう。

村長なら、解ってくれるよ。」


「そうね。村長も、村のみんなも解ってくれるでしょう。

教会の帰り、だもの。」


あたし拾ったのケイティの埋葬の帰りだったのよね。

でも、この夫婦に拾ってもらって、助かった。

そのままだったら、死んでいたし、悪い人達だったら、人生終わったも同然だったろうから。)


おぎゃーおぎゃーありがとう 拾ってくれて

笑顔で、お礼を言った。でも、やっぱり、赤ん坊だ。


「あら、笑った。嬉しいのよね。私達の所に来れて」

レスは、あたしの顔を見て、微笑んでいた。



アトウッドキャクストン国でバルフォアボール領の村だと言う事バーソロミュー 愛称バート25才グリーン髪の赤瞳

レスリー 愛称レス23才ブルー髪グリーン瞳

の夫婦に拾われた。




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