第1章 転生しました

第1話

あたしは40歳 独身 班目式部まだらめ しきぶ 会社の内ではと呼ばれていた。


どこにでもいる 一人の女性だと思う。

敢えて言うなら、両親は普通なのに、あたしは、容姿が残念だった。

少し、身体が丸かった。ドラム缶の様な体系だった事。

顔の個々のパーツはそこそこだけど、顔の大きさと配置が、良くなかった事だった。


理由は、両親ともに一人っ子、そして、あたしも一人っ子だった。

どちらの、祖父母にしても、孫は私一人なのだ。

甘やかされていたと自覚はしている。

幼い頃は、食べたい時に、好きなだけ食べさせてもらい。

行きたいと言えば、何処にでも行かせて貰っていた。


両親は、教育熱心では無かったが、学力が無ければ、嫁ぐ時に大変だろうからと、幼い時から、塾などに通い、学力をつけていた。


中学生になり、他の女生徒より、三回りほど、身体が大きく、周りの男子からは、豚、ブス、ドラムと心の無い言葉を浴びせられた。

運動をして、痩せる努力は全くしなった。

太っていると、動くのは、面倒なのだ、だから動かないそして、太るのループに陥っていたから。


容姿が駄目なら、学力で見返そうと、必死に勉強をした。

中学、高校と学力では、学年上位にいつも入っていた。

しかし、それに比例するように友達はいなくなっていった。


大学受験では、難関大学に挑戦して、入学も出来た。

高校の教師達は、難関大学の合格者が出た事を自分たちの指導だと自慢していた。

高校の先生よりも、塾の講師の方が、指導は上手だったけど敢えて口にはしない。

まあ、寝る間も惜しんで、勉強したのはあたしなのにだ。


難関大学に合格して、両方の祖父母と両親は、『努力したから、合格出来たんだよ』と 喜んでくれた。

しかし、高校の同級生は誰も、声は掛けてこなかった。

隣に座っていた同級生には、「おめでとう!! 努力したからだよ」「頑張ったじゃん」などと声が掛けられていた。

私は難関大を受かったのに下を向いていた。

友人と呼べる人はいない、実際に誰も声を掛けられないと、寂しさと虚しさを感じた。


大学に通い始め、ゼミ、講義など真面目に受けていた。

定期試験や論文などは、教授からは褒められる程だった。

ここでも、声を掛けてくれる人はいなかった。

そして、自分から声を掛ける勇気も無かった。


大学3年になり、就職活動を始めた。

中々自分がしたいと思うような会社の合格がもらえずにいた。

一次審査は合格するのだが、最終面接で落とされる、パターンになっていた。

面接で落とされるのは、やはり容姿の問題だろうか?

少しは、食事とお菓子を控えて、少しは痩せたと思っているが、

それでも、二回り位太っている。


両親からは、『仕事もだけど、早く結婚して、子供が沢山出来ると良いわね。』と言われる様になっていた。


この頃、両親の親、祖父母が無くなっていたからだ。

大学に入り、続けて、亡くなってしまた。


両親ともに一人っ子だったから、葬式も大変だった。

両親の祖父母は兄弟がいたので、両親の伯父や伯母はいるし、従兄弟も居た。

葬式後に母が「式部 貴方には、伯父や伯母も居ないし、従兄弟も居ないのね」と言った。


大学4年でやっと、就職先がきまった。

大手スーパーだった。

両親は、仕事は無理せず、早く結婚して、孫でも見せて欲しいと

言っていた。


やっと、入社したのだから、仕事実績を積もうと思った。

そこで、配属されたのは、本社勤務でなく小さなスーパー。


店長の指示で、最初の頃は、惣菜部門で、キャベツの千切りはまだ良い、天ぷら唐揚げなどの揚げ物担当になると、油で気分が悪くて、食事が出来なくなる。

油を使う、惣菜担当はパートは嫌がっていたから、 よく担当にまわされた。

次は、開店前に商品出し、賞味期限を確認しながら、先入先出を行う。

担当のパートさんが休みの時は、代わりに全ての商品出しを行った。

たまに、間違って、賞味期限が早いのを後に置いていると、次の日にパートさんから、「やっぱり、社員さんは良いわよね、商品出しも、出来なくても、高学歴で高い給料もらえるんだから、パートとは違うわ」などと嫌味を言われた。


「すみません。ちゃんと確認したのですけど」

「つもりで仕事されてもね」と渋い顔をされる。


商品出し、総菜の揚げ物作りにレジ打ちと、忙しい所に回されるのだから、一つの担当だけのと違うと叫びたかった。


パートの達の仕事の応援。

後方支援と言う名目の仕事だった。


パートのが強い。若い社員よりも、力を持っている。

いざとなれば、すぐに辞めてしまう。人員不足になると困るから、ご機嫌を取りながらの仕事をしなければならなかった。


セールが行われる日は、昼休み時間もない。

パートのは、時間通りに休憩をとる。

決められた仕事以上はしない。


スーパーと言うサービス業の為に、土、日、祭日は必ず出勤していた。

世間で言う、ゴールデンウィーク、シルバーウィークなど経験をした事がない。


パートのは、家庭があるから、休むけど

社員なのだから休めない。


両親が、仕事を辞めて、他で働けば、人並みの休みの取れる職場に、転職を勧められていた。

それでも、働いた。


突然の出来事だった。

両親が交通事故に巻込まれて、亡くなった。

両親ともに、一人っ子、伯父伯母も従兄弟も居ない。

私も一人っ子、悲しくても、一緒に悲しんでくれる人が居なかった。


とうとう一人になってしまった。

今まで住んでいた、家は広く感じた。

一人は寂しかった。

寂しさを紛らわす為に、あれ程、両親が転職を勧めたにも関わらず、仕事を続けた。


仕事を続けて、やっと本社勤務になった。


同期入社でも、三流大学卒でも、美人だと本社の総務、容姿で選別されていた。

それでも、腐らずに、まじめに仕事に取組み、本社勤務になった。

全スーパーの総菜担当だ。体よく言えば、欠員補充人員。

でも、やっと、だった。本社勤務。


パートの達の急な休みにも、その埋め合わせにシフトに入り仕事をした。


それでも、腐らずに、仕事をこなした。

そして、やっと、課長になれた。


仕事中心の生活をして、やっと慣れた職位だ。

でも、それは、課長補佐。ただの


男性社員よりも、多く働き、仕事の努力が認められたと思った。


同期の女性は、結婚し、子供の出産や小学校に上がる時に、辞めて行った。

同期の女性は私一人、同期の男性社員は、課長職以上。

男女平等と言いうけど、やはり、男女の違いは出てくる。

必死に働いていても、上役は男性、やはり派閥も男性有利に働く。


大げさに言えば、あたしは生活の全てを仕事に賭けていた。


パートの・・・あたしも今では、変わらない年齢だけど、結婚して、子供がいる人と、独身の私では、考え方も生活も違っている存在だったから、敢えておばちゃんと呼んでいた。

そう、仕事を中心に生活しているあたしと違うのだからだ。


でも、実際は、若手社員の彼女からすると、あたしの分類だった。上司としての、認識が無かったのだろう。

たまたま、給湯室で「、自分は若いと思ってるよ。パートさん達をだって、笑っちゃうよね。」と影口を叩かれていた。


敢えて、と呼んでいるのだから、言われることも、解っているし、知っている事だ。

彼女からすれば、親と同じくらいの年齢なのだから、仕方がない事だろう。

しかし、彼女には、言っていた「仕事中心の生活をして、やっと掴んだなのよ」と

彼女は去年入社して、私が課長補佐として教育指導を担当した子だった。

彼女は、スタイルも良く、顔の作りも良かった。

そして、男性社員から、良く声を掛けられ、仕草も可愛い。

だから、あたしが、いくら指導して叱責しても、反省もしなかった。

其れよりも、何か問題があると、すぐに男性社員にから、怒られると言いに行っていた。


彼女が、一人前の社会人として、仕事に責任を持ち、上司を敬う様な人材に育てたかった。

男性社員の教育の方が楽だったかもしれないと思った。


彼女が、同意を求めた相手は、あたしと同期入社の一番早く30歳になったばかりの時に課長になった、男性だった。

「仕方がないんじゃない。あの容姿だけど、自覚がないんだよね。まだ、自分は若くて、出来ると、勘違いしてるんだから、課長補佐になったのも、会社として、男女平等に扱ってると社会へのアピールだし、

入社自体も、理系の大卒の女子あの頃は入社させて、男女平等です。と社会へのアピールだったよ」

と笑っていた。


彼女が吹聴している事は、風の噂なら、ここまで胸に突き刺さる事は無かったろう。

同期から発せられた言葉、本当の事だろう。


入社して、小さなスーパーに配属。嫌がらせの様な仕事を振って、休みも平日 自分から辞める事を会社は、求めていたのだろう。

今回は、女性で辞めていなかったから、役職を与えた。


「そっか、社会へのアピールで、課長補佐になれたんだ。

必死に働いた結果じゃないんだ。」虚しさが増した。


その日、会社入って初めての、の願いを出した。

誰も居ない家に帰ってから、虚しさを紛らわす様に飲みたかった。やけ酒だった。

でも、どんなに飲んでも、酔えなかった。

一人、愚痴りながら、ワインを開け、酒を飲み、ここまでは、しっかり覚えている。


そうだ、酔えなくて、酒を買い足しに、家を出た時に、突然、車が出て来た。


もしかして、酒を買いに行くときに、車に跳ねられて死んだ?

まあいいか、もう、何もないのだから。


そう言えば、

テーブルの上に、さっき迄飲んでいた、空き瓶が・・・

女性の部屋じゃないよな。

掃除、洗濯はしているけど、食事はスーパーの総菜と酒だったし

冷蔵庫は酒と氷・・・  

独身男性の部屋と間違われるわ。

せめてもの救いは、整理整頓がされているって事だけか。


誰も、あたしが、出社をしなくても、気付かないだろう。

葬式って、誰が出してくれる?

葬式の心配はいらないか。


私の人生って・・・・

何だったのだろう?

何も残らなかったな。



でも、今。

あたしおぎゃーおぎゃーどうしてここに

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