第2話

翌日午後5時

日吉は会場に到着した。立食パーティーのようで、そこそこ良い値段がしそうな料理が並べられている。会場には50人ぐらいが集まっていた。久し振りに会う友人もいて、思い出話などで盛り上がっていたところ、早川という1人の男に注目が集まった。早川は今回が初参加のようだ。佐藤が早川を紹介する。

「早川は霊が見えるんだ。悪い霊でも良い霊でも。興味があるやつは見てもらいな」

「えー! 恐~い!」「俺、何か憑いてる?」「俺も見てくれ!」

早川は依頼があった人の霊を順番に見ていく。

「えーっと……あなたは、女性の生き霊が憑いています。浮気でもしましたか? ちゃんと謝らないと、この後大変ですよ」


「あなたは今、特に憑いていませんが、家に残るタイプの霊かも知れません」


「あなたの足にしがみついている霊がいますが、そんなに悪い霊じゃないような気がします」


早川が言うには、霊は見えるのだが、除霊の類いは出来ないとの事だ。霊が憑いていると言われた者は、ただ恐がって終わりという、何も解決しない結果が待っている。1通り霊を見た後、早川は更に能力がある事を告げた。

「多分、霊が見えるのと関係あると思うのですが、人の心の中がある程度見えるんです」

日吉は霊に全く無関心だった。なぜなら、霊が見えるとか見えないとか言われても、こっちには分かりようが無いからだ。ただ、人の心の中が見えるという話には興味を持った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る