第3話

早川は、ある女性を指名し話す。

「この紙に好きな食べ物を書いてください」

早川はペンとメモ帳がついたボードを女性に渡した。

「書き終われば呼んでください」

早川は部屋を出ていく。それを見て、女性は食べ物を書く。日吉は女性の後ろへ回り覗き見ると、『オムライス』と結構ベタな食べ物を書いたようだ。

早川は戻って来て話す。

「オムライスですね」

「えー! 何でわかるの?」「おおー!」

会場は歓声と拍手に沸く。何かトリックがあるんだろうか?

早川は自慢気に話す。

「オムライスが見える訳ではなくて、ボヤーっとその色が見えてきます。黄色に赤だったのでオムライスかなと。だから、絶対当たる訳では無いのですが……。それでは、えーっと……あなたにお願いしようかな?」

早川は日吉を指名した。ペンとメモ帳がついたボードを日吉に渡し話す。

「お好きな食べ物を書いてください。色が分かりやすい方が当てられます」

早川は部屋を出る。日吉は後ろの人に見られないように書こうかとも思ったが、皆が必死に見てくるので諦めた。そして、『イチゴのショートケーキ』と書いた。分かりやすい色の食べ物を書いたつもりだ。


早川は戻って来て話す。

「イチゴのショートケーキですね」

「おおお」「当たった!」「凄~い!」

「一瞬、蝋燭ろうそくかとも思ったのですが、食べ物ですもんね」

確かに、色だけなら白い物の上に赤い物が乗っていれば蝋燭もありえる。

「では、次は……」

早川が次の人を指名しようとしたところ。

「はい! ちょっといいかな?」

1人の男が手を挙げ、割って話す。

「俺もやりたいんだけど……」

強引なやつがいるようだ。

「では、せっかくなのでお願いします。えーっと、好きな食べ物を……」

「いや、色だったら確実に当たるんだよな?」

「まあ、確実では無いですが、高確率で当てられます」

「じゃあ、好きな色を書くよ」

「分かりました。では……」

そう言って、早川はペンとメモ帳がついたボードを男に渡し、部屋を出ていく。群青色とか赤紫とか分かりにくい色を書くのだろうかと、日吉は男の後ろへ回り覗き見るが、意外にも、その男は何も書かない。

「入ってきていいぞー!」

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