S3.2 ヒノヒカリ 1月20日
――鴬が丘 登山口――
▶漸う白くなりゆく時間帯、いくつかの面々が登山口に集まっています
紅花「はっはー、バーベキューの用意はできてるよー。皆も準備できてるかな?」
ウール「ウールちゃんはできたよ!」
▶ウールは花火に浮き輪に虫取りカゴを手に持っていますね
清浦「おーいいねーー! ウールちゃん、今は夏じゃなくて冬だよ!」
ウール「だからどうしたと言うのだ!冬でもコタツに入ってアイスが食べたくなるでしょ?」
清浦「至言だ! だから冬でもバーベキューだよね!」
骸「ゆる キャン」
▶骸はラウラが用意してくれたBBQセットを手に持っています
曜灯「お風呂に入りながら氷を食べると、湯冷めしにくいみたいなのは聞いたことあります」
紅花「一応汁物の用意もしてあるし、道中我慢できないようなら魔法瓶に豚汁があるからね」
ウール「それじゃあウールちゃん探検隊出発するよー!」
清浦「わーい、いっくよー」
曜灯「はい、よろしくおねがいします。」
骸「ウール ヒカリ 山登り 平気?」
曜灯「わたしは、歩くのには慣れてますから」
ウール「ウールちゃんは足腰弱いから誰かシートになってくれる人がいると嬉しい!」
清浦 「私がシートになろうか?」
▶骸は清浦を訝しげに目を細めて見ます
紅花「……ん?以前見た時と何か違うような……気のせいかな……」
ウール「じゃあおねーさん頂上まで安全運転でよろしくー!」
清浦「おお、わかったよー安全運転できるかわからないけどしっかり捕まっててよね」
▶骸は清浦の背中に乗ったウールを訝しげに目を細めて見ます
清浦「あーあの店主、なんか私のことで言ってたりするのかな? 違うからね?信じてね?」
紅花「……まあ、いいか。じゃ、寒くなったり喉乾いたら言ってねー」
曜灯「はーい」
骸「ヒカリ 疲れる ムクロ 乗る いい」
ウール「おねーさんっていつもうちに来てるけどそっその……言いにくいけど家がない人なの?」
清浦「まさかー家はあるよー。でも居心地も料理もいいからねー行きたくなっちゃう」
骸「マホ 雰囲気 変わった?」
清浦「そう? そう見えるなら嬉しいかなーいいことがあったからねー」
ウール「ウールちゃんもね!昨日初夢でいい夢見たよ!今年はきっと良い一年になると思うな!」
紅花「料理を喜んでくれるのは嬉しいねえ。ボクも頑張り甲斐があるってものだよ」
骸「コーカ 料理 得意」
清浦「料理うまいのは羨ましいですよーほんといつもありがとうございます」
ウール「ウールちゃんもカップラーメン作れるよ!森羅くんも美味しいって言いながら食べてくれるし」
紅花「ボクは『美味しいご飯が無ければ何もかもが始まらない』って家だったからねえ。一家揃って料理は人並みにできるよ」
曜灯「わあ……、羨ましいです。わたしもお父様も、あんまり料理は上手じゃないので……」
清浦「これからだよー味見要員ならいくらでも」
骸「ヒカリ 大丈夫 バーベキュー 焼くだけ」
ウール「ひかりちゃんもカップラーメンぐらい作れるようになった方が将来困らないよ!」
紅花「はっはー、肉の味付けはしてあるから後は焼くだけだよ、足りなかったら作るしね」
曜灯「あ、でも一応最近お料理教わってますよ!まだまだですけど……」
清浦「おーそれは将来有望だね!……作った料理、いつかは食べてみたいなぁ」
▶骸は清浦を訝しげに目を細めて見ます
骸「……ウール 外 寒い 大丈夫?」
ウール「全然寒くないよ!へーきへーき」
――鴬が丘 山頂――
紅花「到着!さーて用意用意、っと」
▶骸はBBQキットを広げて、シートを解きます
清浦「私にも手伝えることある?」
骸「……マホ 端 持って」
清浦「はいはいー」
曜灯 「あ、私もお手伝いします」
骸「ヒカリ シート 乗ってて」
曜灯「えっと……、はい!」
骸「ウール 日の出 何時?」
ウール「7時だって!もう朝だね!」
骸「まだ 時間 ある ウール ヒカリ 眠い? 大丈夫?」
ウール「ひかりちゃん!雪山で寝たら死んじゃうよ!」
▶ウールは曜灯のほっぺをぺちぺちと叩いています
曜灯「わ、わ、大丈夫です、寝てないです~」
清浦「そういう時の、ですよね、紅花さん」
紅花「はいはーい、豚汁用意してあるから飲んで待っててー」
▶骸はBBQキットに火を点けて網を温めていますね
紅花「さー焼くぞ焼くぞー」
曜灯「そういえばこのメンバーで集まるって珍しいですね。いえ、皆さん普段紅葉におられるので、わたしがいるのが珍しいのかもしれませんが」
ウール「ひかりちゃんって夜も起きてるし、昼も起きてるしたいへんだね!」
曜灯「そうですね。でも、夜は毎日起きているわけではないので……」
曜灯「それにずっと起きているわけでも無いです。今日も実はさっきまで寝てからきたんですよ」
骸「珍しい? ヒカリ よく 来る」
▶骸は網にタンを乗せます。薄くスライスされた牛タンは香ばしい音を立てて脂を火に落とし、すぐに火が通り端から捲れていくタンにネギを載せて包み、小皿に移します
曜灯 「そうですか?でも、最近は確かにいつもより起きてるかもしれません。紅葉の皆さんといると、楽しいので」
骸「ヒカリ 来る ムクロ 嬉しい」
▶一口大にカットされた赤身の肉を載せます。濃いタレで味付けされた肉が肉汁を網から落とすたびにタレの香りが広がっていきますね
曜灯 「それなら良かったです」
骸「今日 ヒカリ 家 なんて?」
▶網に置いた厚みある肉の表面を押さえつけてすぐに裏返し、焦げ目を軽くつけて旨味を閉じ込めているようですね。紅花が後ろから焼きそばに肉をぶちこんでいます
紅花「やっぱバーベキューって言ったら焼きそばだよねえ」
曜灯 「今日、というか普段もそうですけど、こっそり出て来ました。怒られちゃいますし、どうせ気づかないので……」
清浦「大丈夫よ。そしたら私も一緒に怒られるから」
紅花「ホントは良くないんだけどねー、怒られるどころか誘拐とか言われちゃうと弱いし」
ウール 「あ、ひかりちゃん!お肉焼けたよ!」
曜灯「それは頼もs……むぐ……、あ、美味しい」
骸「ヒカリ?」
曜灯 「あの、食べさせてくれるのはありがたいですけど、自分で食べられます……」
清浦「時々は野菜も食べようねーあ、そこの玉ねぎもらうー」
ウール「野菜ばっかり食べてたらベジタリアンになっちゃうから気をつけないと!」
骸「ヒカリ 家 好き?」
▶不安げに曜灯の方を見ます
紅花 「はっはー、焼きそばでっきあがりー」
清浦「おーいい香りー」
曜灯「はい、大好きですよ。ちょっと寂しいですけど」
骸「ヒカリ 家 寂しい? どうして」
曜灯 「お父様はあんまり家にいないので……。あ、でもお手伝いの心湊さんも毎日来てくれてますし、平気ですよ!」
ウール「お手伝いさん居るんだ!ウールちゃんも定年退職したら、ひかりちゃんの所で働こうかな!」
曜灯「ふふっ、いいですよ。その時はお互いおばあちゃんですね」
紅花「いやあ、いいねえ。皆仲が良いのは良いことだよ、うん」
ウール 「森羅くんお肉好きなんだし、来れば良かったのにねー」
骸「シンラ 眠い 来ない」
ウール「『拙者、寒いのは苦手だからコタツでぬくぬくしてたいワン!』って言ってたよね!」
骸 「シンラ 寒い 苦手」
▶程よくタレの付いた骨付きカルビを小皿に移し、曜灯に差し出します
紅花「折角厚切りステーキ肉用意したんだけどねえ」
清浦 「えぇ! それは食べたいなぁ……」
紅花「はっはー、まあ悪くなると嫌だからさっさと焼くけどねー」
清浦「ほんと優しいですねぇ骸さん」
骸「優しい…… 違う……」
清浦「……? 骸さん?」
骸「……ムクロ ヒカリ達 笑うの 好き」
骸「ウール シンラ 楽しそう 好き」
清浦 「そうですよね。楽しそうに笑ってるのっていいですよねー」
ウール 「優しいって言われたら、謙遜するのが礼儀だから、おじちゃんは日本文化詳しいんだね!」
骸 「……それで いい。 ウール 時間」
ウール 「あとちょっと!」
▶日の出が近い……!
清浦 「もうすぐ7時だ」
▶清浦は懐中時計を取り出して時間を見ます
ウール「うおおー!初日の出だーー!」
曜灯「日の出は何度かしていますし、初ではないですけどね」
清浦「いやーいいねぇ」
紅花「さ、日の出を見たところで本日メインの厚切りステーキが焼けたから食べてねー」
清浦「太陽に神様の存在を見出す気持ち、ほんとわかるわ」
ウール「やっぱり来て大正解だったね!明日は森羅くんも誘ってまた来ようね!」
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