S3.1 解呪の儀式 1月18日

――白雨市 裏路地紅葉――


灯風「よっし……今季は見るものが多くていいな。そろそろ閉めるか……?」

ラウラ「ルパン見てないでお皿洗いしてください……」


清浦「たーのもー!」


灯風「来やがったかロリコン……。今日はお目当てはいねえぞ」


清浦「今日のお目当ては私の体ですよ!この間戻せるって聞きましたので!!」

清浦「あとかわいいのが好きなだけでロリコンではありません!」


灯風「だからその声と見た目でそのテンションはやめろ。純粋に吐き気がする」


清浦 「見ないふりしてきたんだけど、それも今日で終わりです。……ということで、詳しくお話をお伺いしたくて来ちゃいました」


ラウラ「お目当ては身体……?ご主人様が狙い……?ダ、ダメですよ!わ、私のものです!」

灯風「お前のものでもねーよ……。まあそれはともかくもとに戻したいんだな。秋枝のとこの神社に行け。りみちゃんなら戻してくれるだろ」


清浦「二人は本当に仲が良いですねぇ……。りみ……あーあの神社ですね!」


灯風「まあ取り敢えず神社に案内してやろう。俺がいないとあいつ受けてくれねえだろうしな」


清浦「ありがとうございます…………」


ラウラ「ああ……ご主人様と清浦様が肉欲めいた薔薇の宴へ行ってしまわれる……!」


清浦「……もしかしなくても私の監視も兼ねてますね?――後薔薇はなしですなしなし。そもそも薔薇じゃないです」


灯風「そらそうだ。りみちゃんになんかあったらおやっさんに示しがつかん。――最近大丈夫かあのポンコツ」


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社――


秋枝「あっ!灯風さん!お久しぶりです!今回はどうしてこちらへ?はっ……!もしかしてまた仕送りですか……?」


灯風「もっとほしいのか?後で追加発注しておくわ。今日はそうじゃなくてな、ほら挨拶」


清浦「あ、はいー。どうも、この前はありがとうございましたー、清浦真帆と申します」


秋枝「いえそうじゃなくって……。清浦さんですね!よろしくおねがいします」


灯風「この見た目バリトンボイス長身のロリコン野郎はもともと女でな。信じられんだろうが、元にしてやってくれ。このノリで会話すると気持ち悪くてたまらん」


清浦「いつの間にバリトンになったんですか! 私はまだまだアルトの気分です!――それはともかく、こちらからも本当によろしくおねがいします……」


秋枝「ええ……ロリコンって灯風さんのいう不倶戴天の敵ですよね?刺すんですか?」


▶秋枝は懐から小刀を出します


清浦「え?」

清浦「誤解されているようですがロリコンでもないので……」


灯風「まてまて……確かにロリコンで気持ち悪くてにへーってなる顔が男になるとただの不審者だが一応大事な戦力なんだ。女ならロリコンでもガチ百合一歩手前くらいになるから」

秋枝「ええ……」


清浦「ほぼ初対面の方にその紹介はいろいろまずいしやっぱり違うー」


灯風「まあ腐っても女だから俺はここで待っとくよ。何かされたらちゃんと防犯ブザー押すんだぞ……!!!!」


清浦「なんでそうなるんだー!!!」


秋枝「は、はい……。じゃあ清浦さん、こっちです」

清浦「は、はい……」


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社:本殿――


▶秋枝は本殿に案内してくれます


清浦(この前もそうだけど普通のなんでもない時に来たかったなぁ)


秋枝「ま、まず性別が変わるっていうのは呪いがかかってるんです。神様にはTSの神?っていうのがいて、時折ノリと勢いで性別ごと変えちゃうらしいんです。で、私みたいな巫女がこの人にTSしても萌えはないですよー萎えますよーってお願いして戻してもらうんです」


清浦「TS……。はあ……そうなんですね……」


秋枝「でも、たまーに男の娘の神とか、男装の麗人?が好きな神様がいるんですけど、TSの神に交渉をかけるみたいで。その場合は微妙に戻らない時もあります……。私じゃどうしようもないので、その時は諦めてくれると」


清浦「え」


秋枝「あくまで巫女はお願いするだけですから。灯風さんによると、大本営発表には逆らえないって」


清浦「なんなのなの……。わ、わかりました。その時はまあものすごく未練たっぷりに諦めます」


秋枝「じゃあ、御召し物を全て脱いで、こちらの祭壇に胡坐をしてください」

清浦「はい」

秋枝「更衣室はないので、その場で……」


▶秋枝は防犯ブザーを握りしめていますね


清浦「しないからね?」

清浦「はあ、はい。――それでこの祭壇に……」


秋枝「じゃ、じゃあ始めますね……」


清浦「お願いします」


▶清浦を祭壇に寝かせると九字を切って、何かをぼそぼそってつぶやいた後、祭壇が紫に光りだし始めます


秋枝「神様……因果を示す綻びを元にお戻しくださいませ……!」


▶喉以外が光り輝いた後、紫の光が段々と弱まっていきます


清浦「……おわった?」


秋枝「あ、あれ……?ちょっと高くなったけど……」


清浦(うーんあんまり変わってないような)


秋枝「と、取り敢えず灯風さんにお電話するので、急いで服着てくださいね」


清浦 「ありがとうございます、ですね。あ、はい」

清浦(まあアルトの気分が本当にアルトになったのはいいか)

清浦(ああ、元の体だあ……。体にあんまり合わねぇ)


灯風「おーおー。萌え袖とかしてぶりっ子してんな。りみに手出してないだろうな……?何もされなかったか?大丈夫だったか?」


清浦「だーかーらー」

清浦「でも、お陰様でほとんど元に戻れたのは本当に感謝しています……」


灯風「なんだその声wwww男のときが忘れられないのかwwwwwいやーいけめんぼいすっすねーすごいっすねwwwww」


清浦 「まあ、感謝、しているつもりです」


灯風「あっそれ素?イケメン方面でロリを手懐けるとかそういうやつじゃなくて?」


清浦「普段からしおらしいですわー」


灯風「あっ素なんだ……。ということはTS神のお気に召さなかったのか。――その見た目でついてたりしないよな……?」


清浦 「そう見えます……?声以外はほぼ戻りましたかね」

清浦「声もそこそこ高めになったとは……、思ってますけどアルトの気分です」


灯風「聞かないとわからんからなぁ……。お前ならセクハラって言われることもねえだろ」


清浦「まあもはや気になりませんよ。爆弾も投げれますし」


秋枝「え、えっと……、お煎餅食べます?お、おつかれみたいですし……」


清浦「あーまあ、気持ちだけで嬉しいですよー」


灯風「そういうことだ。夜遅いのに神社開けてもらってすまんなりみちゃん。今日は帰るわ。ロリコンも帰るぞーあっ仕送りは期待しててくれ」


清浦「はいー。――ありがとうございます、本当に」


秋枝「し、仕送りは……!行っちゃった……」


――白雨市 裏路地紅葉――


灯風「あーあールパン見逃したよ……。俺のレベッカ……」


清浦「録画してるんでしょう…?」


灯風「してねえんだよなぁ……ラウラが撮りすぎるんだ」


清浦「じゃあラウラさんが撮ってるかも……?」


ラウラ「ご主人様たちが帰ってきたのに声が戻ってない……!?こ、これは……やはりめくりめく薔薇の宴があったんだーうわー」


清浦 「ねーよ」


ラウラ「あれ?よく聞くとちょっと高い……?それに……」


▶ラウラは清浦にボディタッチしまくっていますね


ラウラ「こんな方でしたっけ……?」


清浦「うーくすぐったい……。この声でこれは良くない。うん。元々こういう方だよ」


灯風「まあイケメン女子程度だからなんとかなるだろ。一応女に戻ったなら送ってやるわ。車に乗れ」


清浦「助かります……。服も合わないので……お言葉に甘えます……」


ラウラ「ああ……!?今度は夜の繁華街に消えていくんだ……!私のご主人様がぁ……!!」


灯風「お前のじゃねえよ……。駅前でいいな?」


清浦「はい、駅前で……。後、もう少し教育に力入れたほうがいいのでは……?」


灯風「俺にはどうしようもできん……。オカルト機械とかどうしようも……」


清浦「オカルト機械かぁ……」

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