S2.1 月明かりの悪戯 12月23日
――白雨市 裏路地紅葉:個室――
▶灯風達が寝てしまった深夜、ウールの腕の修復に森羅が巻き込まれているようです
ウール「ほら森羅くん針持って!ここの付け根の所に思いっきりぶっ刺すんだ!」
上ノ瀬「言った手前やるけどよ、痛覚とかどうなってんの?」
ウール「痛いかどうかは私の気分次第!丁寧にやってねっ」
上ノ瀬「お、おう……。まあ見てろよ、多分器用な方だと思うぜ?皿割ったことねーし」
▶上ノ瀬 裁縫
失敗
▶糸は右にずれたり左にずれたり、浅く刺さって外れそうになったりしていますね
ウール「ああ違う違う!そこはもうちょっと強く刺さないと針が通らないの!」
上ノ瀬「なんだこれ難しいな。丁寧、丁寧ってなんだ……うぐぐ」
▶更に夜も深まり、月明かりが差し込んでくる時間帯、腕の補修も半分ほど進んだようですね
ウール「……」
上ノ瀬「ん、やけに静かだな。痛かったか……?」
ウール 「ん?いや、月の光が入ってきてたからね」
ウール 「あ、結構進んでるね。森羅君ほんとに初めて?」
▶ウールの雰囲気が変わり、朗らかでふんわりとした風になっています
上ノ瀬「こんな作業やったことあるわけないだろう山だぞ山」
ウール「そうだよねぇ。私も昔はもうちょっと上手だったんだけどなぁ……」
上ノ瀬「昔?まあそうだよな自分で治せなきゃ今頃バラバラだよな。下手になるなんてことあるのか?」
ウール 「んーなんて言えば良いのかなぁ、この体になってから上手く記憶が繋がらなくて」
ウール「森羅君や灯風さんや真帆さん達に会ってからの事はちゃんと覚えてるんだけどね」
上ノ瀬「昔の話ってそういうことか、いつか思い出せるといいな」
ウール「どうかな、あまりいい記憶じゃなかった気がする。――けどありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな」
上ノ瀬「そうか?記憶のないやつに思い出せるといいな、なんてじょうとうくだろ。……ウールの望むままになるといいな」
ウール「うん……」
ウール「――――思ってること当ててあげようか?」
上ノ瀬「うえぇ。なんだよ唐突に」
ウール「別人みたい、……って思ってるでしょ?」
上ノ瀬「あ、ああ……そうだよな」
ウール「一つ言えるのは、今の私もウールだよ。――んっ、腕だいぶなおったね。後はここに針を通して、糸を結んでくれたら大丈夫」
ウール「それじゃあね、また話す機会があったら付き合ってくれると嬉しいな」
上ノ瀬「機会ならいくらでもあるだろ。まああれだ、とりあえず裁縫はもっとうまくなっておく」
ウール「……おや?腕がなおってる!」
ウール「森羅くんにまさかこんな才能があったとはっ!ウールちゃんの助手として相応しいね」
上ノ瀬「おい……。感謝してくれよーなんか戦うより疲れるぞこれ……」
ウール「うん?うんうん、森羅くんありがとう!褒めてつかわそうっ」
ウール「では、今日はウール調査隊は解散としよう!また明日も頑張っていこうっ!」
上ノ瀬「おう、また明日な」
ウール「うむっ、ではおやすみっ!!」
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