S2 白雨事件ファイル:祈祷 12月22日

――白雨市 黄楊邸宅:曜灯の部屋――


曜灯は毎日夢を見ていた。小さい女の子と小さい男の子がなにかに襲われている。手を伸ばして届く距離はどちらか片方だけだった。

曜灯は毎日小さい女の子の手を取り、もう片方が黒い霧に覆われる。

そんな日々が2週間経過したある日、少年に白死蝶が無数に群がり、少年のかすかな悲鳴と共に少年の姿が掻き消える。

曜灯は少女しか選べなくなってしまった。


曜灯「えっ……。あれ、あの時の蝶……?」


――白雨市 裏路地紅葉――


「市姫明夏選手が剣道に続いて柔道でも優勝しました!彼女より強い人間はいるのでしょうか!?」

「私には勝てない人たちがいましたから……」

「そんな人間いるのでしょうか?以上、現地から中継でした~!」


▶灯風はテレビをぼんやり見ています


灯風「はー怖い怖い。ガキ共ー……っていないわ。仕事に出したんだわ。ラウラー紅茶くれ」

ラウラ「はいご主人様。しかし、いいのですか?笠岡様に連れて行く人は」

灯風「いいよいいよ。ツンデレなだけだからガキ共の方がマシだろ。さーって仕事しますかね」


鷹見「うっす、やってるかい?」


灯風「やってるやってる。とりあえず奥行ってくれ。サンドイッチくらいならうちの奴が出すだろ」


清浦「やっほ、今日こそはここでご飯だよ」

鷹見「あーそれじゃあ今日も目的の飯は食べれないやつか。――とりあえず待機しとくか」


ラウラ「真帆様も奥へどうぞ。サンドイッチも持っていきます」


清浦「はーい」

星名「お邪魔しまーす」


灯風「来たか。飯はあるから奥行ってくれ。食いながら説明する」


星名「当然のように何かしらの説明があるの、本当に人手が足りてないんだなって実感しますね」


――白雨市 裏路地紅葉:奥の部屋――


「続いてのニュースです。本日、白雨市の稲荷神社にて、秋枝珮未ちゃん(8)歳が行方不明になりました。現在警察では情報の聞き込みを~」


灯風「タイミングがいいな。今回の依頼は俺からだ。秋枝のところは前から紅葉は懇意にしててな。りみのやつも夜叉としての力を持っている。――宮司だから雇えないのが実情だが」

ラウラ「それが行方不明になりまして、この間の殺人事件もありましたことですし念の為にこちらで先に見つけておこうという算段です」


星名 「そんな、一大事じゃないですか!?この時期じゃ時間もかけてられない……。いなくなる前はどこに?」

鷹見「念の為、ねぇ。警察も動いてるんだし、大丈夫じゃないのか?」

清浦 「わー……探さないと?」


灯風「残念ながら今の白雨にまともな警察は笠岡しかいない。あいつ1人じゃかなり大変だしな……。神社で掃除をしていたまでは監視カメラに残っているんだが、ふと消えたんだよ。――これも紅葉案件って感じがするがな……」


星名「えっと……。あの悪鬼って言うのが無くても、こういうことが起こるってことですか……?」


灯風「そうだ。悪鬼は表裏一体だ。一般的に心霊現象や、神隠しなどは悪鬼のせいと見るのが妥当だな。……たまにマジモンの神様が誘拐したりもしてるから全部とはいえんが」

ラウラ「それに伴いまして、夜叉しか見えない証拠があるはずなのです。とりあえず……ここに行ってくれますか?」


▶ラウラは神社の地図を渡します


清浦「とにかくりみちゃんを探せばいいんですよね!」

鷹見「俺らにしか見えない、……ね。まあやるよ、依頼されてそれをこなしてお金をもらう。そこが変わらなければ何も問題ないさ」

星名「命に関わる事なら放ってはおけないですし、すぐにでも行きましょう」


灯風「死なないようにな。――やばいようなら戻ってきて俺かラウラに報告しろ。悪鬼が青じゃなければ要警戒だぞ」


――白雨市 警察署――


▶ウール達が来ると、笠岡が仏頂面をしながら警察署を案内してくれます


上ノ瀬「警察署の中ってこんなふうになってたんだな」

ウール「おじさんがいっぱいいるねーっ」


笠岡「鹿金さん。こちらの子達が目撃したそうで。僕が尋問します。馬面さんと一緒に外回りしてください」


鹿金「うぃーす」


▶歩きタバコをしながら鹿金は出ていきました


笠岡「ちっ……ろくなやつがいないな。灯風のところのガキ共だな?なんでガキ共なんだ……」


上ノ瀬「なんでって言われてもなぁ、灯風に聞いてくれよ」


笠岡「……まあいい。こっちだ。話を聞かれても困るからな」


――白雨市 警察署:独房――


笠岡「狭いがいいだろう。適当にくつろいでくれ」


▶笠岡は雑にあぐらをかいて、ちゃぶ台の上に肘をつけます


ウール「森羅くん、あれだけ悪いことしちゃ駄目って言ったのに!」

上ノ瀬「残念になぁ。二人で送られたってことはウールも同罪だろ?」

ウール「弁護士を呼ばせてもらう!」


笠岡「さて、灯風が送ってくるくらいだから実力はあるんだろうな?なければ犬死だが俺には関係ない。要件は一つだ。」

笠岡「お前らはイオンってのを知ってるか?」


上ノ瀬「入ったことない」

ウール「あそこの子達って、アームで掴まれて痛そうだよねー」


笠岡「はー……どっちでもいいわ。……過去、この街はイオンを誘致しようとしたことがある。担当者の不審死で計画は取りやめになったんだがな」

笠岡「その跡地が資料館の上の方にある。そこに不審者の目撃情報があるのだ。こいつと接触して面倒なら殺してこい」

笠岡「連れてこれそうなら連れてこい。事情を聞けるなら聞いてこい。抵抗して何も話さないなら容赦なく殺せ」


ウール「ならば、森羅くん!武器は持ってるね?山賊刈りに行くよ!」

上ノ瀬「おー、まあいいか。見つけてから考えりゃいいだろ」

ウール「モノホンの司法取引ってブラックだねー!ウール感激しちゃった……」


笠岡「俺はガキの捜索をしないといけないからな。全く……秋枝さんのとこじゃなけりゃバックレるんだが」 


▶笠岡は面倒くさそうに立ち上がると、先に独房から出ていきました


――白雨市 郷土資料館――


▶曜灯は灯風の依頼で、骸を引き連れて郷土資料館に来ていたよ。館長と思われる老人が事務室に通してくれたよ


梁本「よくきなすった。白雨資料館の館長をしておる梁本やなもとだ。ささ、こちらへ」


曜灯「よろしくおねがいします。」


梁本「さて、鷲羽くんのお願いで白死蝶について話してほしいのだったね。質問とかはあるかい?」


骸「ムクロ よく 知らない どんなの」

曜灯「わたしも、あんまり良くないものらしいってことしか知らなくて……」


梁本「白死蝶とは、雪のように大量に固まって、姿を覆い隠し、人を取り殺すものだ。白雨のあたりでしか目撃情報が出ていないみたいでね」

梁本「伝承の存在だと長年思われてきたが、最近になって実在するものだとわかった」

梁本「――が、過去の目撃情報も実はあまりない。4年くらい前に白死蝶を見たとかいうタレコミが何個か来たがね」


骸「病気 持ってる? ウイルス…… 観た人 死んだ?」


梁本「病気の可能性はないと言ってもいいだろう。なぜなら実際4年前に見た人を知っているからだ」

梁本「来なさい。彼らに証言してやってくれ」


▶梁本は奥から黒髪の女性と男性を呼び出します。女性の方は曜灯は見たことがありました


樋爪「樋爪恋ひづめ れん。白死蝶の研究をしているわ……。――あの時のお嬢ちゃんね。なら話は早いわ。私があの時見たのはイオンの工事現場だったところだったわ」

曜灯「あ、あの時のお姉さん。この間はありがとうございました」


▶骸は知り合いなのか?と聞きたげに曜灯の顔を覗き込みます


曜灯「えっと、この間あの蝶に囲まれた時に、助けてもらったんです」


樋爪「別にいいのよ。殺虫剤で死なないってのも立派な情報だわ」


骸「殺虫剤 効かない 虫 違う?」


樋爪「調査中ね……。情報が少ないから。誠吾くん、あなたも証言お願い」

越屋「アッハイ。越屋誠吾こしや せいごです。イオンのバイト申し込みをして、店舗の内装準備をしてました。開店前のイオンで俺は見たんです。綺麗に輝く蝶を……。調べてるうちに無職だった俺をここに雇ってもらったんです」

越屋「俺が見たのはその時一度きりです。まるで花吹雪のようで……。とても綺麗だったのを覚えてます」


曜灯「あの蝶は、見るだけなら悪いことはしないんですか?」


樋爪「どうかしら……誠吾くんが生きてたのもたまたまかもしれないし」


曜灯「そうですか……」

樋爪「もうひとりいるから呼んでくるわ」


曜灯「前に見たときは、人に触っても通り抜けてしまったんです。その人は大丈夫でしょうか……」


樋爪「通り抜け……!?そんなのは初めて聞いたわ……いやいや後後、蟻坂くん、自己紹介お願い」


▶奥の方で縮こまっている眼鏡の青年が恐る恐る前に出て会釈します


蟻坂「あ、ども……。蟻坂ありさかです。白死蝶を標本にしたくてここまで来ました。館長には良くしてもらってます。月7万程度の家賃で屋根があるだけで虫取りヤーとしては嬉しいことです」

蟻坂「俺が見たのはこの間です。少し大きい屋敷のあたりから白死蝶がぶわーっと飛んでるのを。絶対標本にしたいです」


骸 「その 屋敷 どこの」


蟻坂「えっと……ああ、ここです」 


▶蟻坂は曜灯ちゃんの家を指さします


曜灯 「えっ……。えっと……、そこ、わたしの家です……」


梁本「鷲羽くんには申し訳ないがこれくらいしか情報がなくての……うちの娘も見たとか言ってるが喋ってくれなくてな」


曜灯 「いえ、ありがとうございました」

骸「娘 仲 よくない?」


梁本「そんなことはない!娘はかわいくてかわいくての。おねだりされれば何でも買ってあげるくらいだ。嫌われてるかもはしれないが仲が悪いわけじゃあない」


樋爪「神社の行方不明事件。私は白死蝶によるものと睨んでるの。白死蝶ガールと一緒にいればもう一度見れるかもしれないわ!一緒に来てくれない?」


曜灯「はい、わかりました。あ、でも、あの蝶って直接悪いことをするんでしょうか……」

骸「娘 名前 何? 言いたくなったら 聞く」


梁本「ああ。舞織まおりだ。――まさかうちの娘を狙ってるわけではあるまいな?」


骸 「話 聞く だけ」


樋爪「情報収集なんだからそんなわけないでしょ。悪いことをするかは調べてみないとね。行くわよ白死蝶ガール」


曜灯「はい。行きましょうムーさん」


――白雨市 イオン跡地――


▶上ノ瀬達はイオン跡地に2人で来たよ。工事現場がそのまま残されており、建てかけの建物がそのまま残っているよ。立入禁止のテープも張られていますね


ウール「それで何だっけ?容赦なく殺して、連れてこれるなら連れてきて話を聞くんだったよね?」

上ノ瀬「死んだニンゲンが喋れるならそれでもいいんだけどな、まあまずは探してみようぜ」


▶ウール 思い出

 成功

▶片隅で、全身ボロボロで尚且つ少し異臭のする人間を見つけます。何か地面を掘っているようですね


ウール「うさくん!不審者ってあれかな?とりあえず気絶させた方がいいかな?」『だめだよウールちゃん!まずは現地の人と仲良くすることからしないと』


▶ウール 潜伏

 失敗

▶どうやら男のようです。何やらスコップで地面を掘ってますね。物音を立てたけど気にする様子もありません


上ノ瀬「話しかけなきゃだめか……?」

ウール「そういうのは森羅くん得意だったよね!私はいつでも迎撃する準備は出来てるから囮は任せた!」

上ノ瀬「得意だと言った記憶ねえんだけど……。まあいいや。おーいおじさん、こんなとこでなに掘ってんだ?」


???「ん……?」


▶振り返った顔はほとんど火傷のようなもので崩れており、夜に出会うと間違いなく悲鳴を上げるような容姿をしています


???「ここは立入禁止だし、老朽化もあって危ないよ。子供は違うところで遊んだほうがいいんじゃないか?」


上ノ瀬「んー、遊んでないから大丈夫だろ。おじさんこそなにしてんだ?」


???「おじさんはここで探しものをしてるんだ。何年かかるかわからないが必ず見つけ出すつもりだよ」


上ノ瀬「探し物ぉ?こんなところに何が埋まってるっていうんだよ」


???「それは秘密だ。子供とはいえ話してしまうとバレてしまうかもしれないからね」


ウール「森羅くんどう?やっぱり危ない薬の密売人だった?ここで始末しておく?」

上ノ瀬「さぁ……さっぱりわからん。いきなり攻撃すんのはさすがに早いんじゃねえか」

ウール「やるかやられるかだよ!頭脳担当は任せた!」

上ノ瀬「新入りが頭脳を担当できるわけがないだろ。えーとなんだっけな、このへんに不審者が出るから連れてこいって言われてんだよ、警察の奴から」


???「そうか……。取り敢えず身の潔白くらいは証明しないといけないね。子供なのに大変だね君たち」

???「案内してくれるかい?君たちと一緒なら門前払いもされるまい」


ウール「なんと!残念ながらうさくんの出番はまた次回になってしまわれた。ではウール調査隊は本部に帰還して晴れて免罪、自由の身になれるわけだ!」

上ノ瀬「案内もなにも警察署いくだけだけどな、助かるぜ抵抗するようなら何してもいいとか言われたし」


???「物騒だなぁ」


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社――


▶清浦達は地図を見て寂れて閑散とした神社に辿り着きました。古いけど小奇麗にされているようです


清浦「やっぱ神社って良いですねーこれくらいの雰囲気が大好き」

鷹見「俺らにしかわからない痕跡がどうのこうのっていったたけど、いきなりほっぽりだされてどうしろっていうんだよ」


▶星名 神道

 成功

▶木の幹にほうきが立てかけてありますね。先程まで掃除をしていたんだろうという感じです

▶鷹見 偽装

 失敗

▶木の幹のあたりには何もないようだ。ただ、ふと違和感を感じました


鷹見「あーわからん、なにかありそうだけどわからん」

星名「箒を片付けずに放置してる……ってことは、やっぱりさっきまでは普通にいたってこと、なんですね」

清浦「おそらくそうね?」


▶清浦 地図アプリ

▶星名 ローカル知識

 成功

▶この場所には小さい祠があったはず……。どこかに移動したのだろうか?


清浦「今はこの地図の右下だね。左上に池があるみたいだよ」

星名「あれ、この場所ってたしか小さめの祠があったはずなんですけど……。移したのか撤去したんですかね?」


▶清浦 民俗学

 失敗

▶鷹見 文化知識

 失敗

▶清浦 オカルト知識[ググる]

 失敗


清浦「祠、かー……。祠が動くって相当よね」


▶全員が見ていない間に、小さな女の子が姿を現しています


???「ご参拝の方ですか?本殿はあちらですよ」


清浦「えっ」

星名「えっ!?」

鷹見「……いや、人探しですよ。知り合いに頼まれてね」


???「そうですか。大変ですね」


▶星名 世間話

 失敗


???「私、最近修行をはじめまして。立派な宮司になるために頑張ってるんですよ~」


星名「…あ、えーと、ここの神社の方なんですね。それじゃ、今行方不明ってニュースになってる秋枝珮未あきえだ りみちゃん、のこととか分かりませんか?その子を探してて……」


秋枝「わ、私です……」


星名「――えっ?いや、でもそこに箒が……、えっ?」


秋枝「一般の方には見えないかもしれませんが……えいっ!」


▶白い悪鬼が木の幹のところに出現します


清浦「……えっ。えっと、え?」

星名「白い、悪鬼……?青色以外って……」


秋枝「あ、あれ~同業の方でしたか。エセ扱いされてお帰り願おうと思ってたんですが……」

秋枝「え、えっと、白いのは神様の領域に行くための悪鬼なんです。神様そのものに会いに行くなら紫になります」

秋枝「私、最近修行に夢中で……ご迷惑をおかけしたようで」


清浦「神域は白なんですね……。悪鬼ですけど害はないということでしょうか……」

星名 「か、神様の領域……。それじゃ、行方不明ってもしかしてその悪鬼の向こうに行ってた、と?」


秋枝「そうです。害はありません。御神木より大きくはなれないので。――せっかく来たんですから、お茶でも如何ですか?おもてなししますよ」


星名「飲んだら帰れなくなる、とかは……。その、新人というか新参というか……」


秋枝「あはは……黄泉戸喫じゃないんですし大丈夫ですよ。コンビニのお茶ですし」


鷹見「俺らは君を探してこいと言われたんだが……、とりあえずあいつに連絡だけでも入れておくか?」


秋枝「本殿はこちらです。灯風さんへは私が自分で連絡します……」


清浦「せっかく来たしお参りはしていこうかな」

鷹見「そっちのほうが誤解なく説明もできるか」

星名「それじゃあ、お邪魔します」


――白雨市 警察署――


▶上ノ瀬達はおじさんを引き連れて警察署に戻ってきたよ。笠岡もちょうど戻ってきたところのようですね


ウール「約束通りおじさんは連れてきたよ!これで森羅くんは返していただけるんですよねっ!?」


???「本当に連れてこられるとは思わなかったなぁ」


笠岡「はい……。ってなんだそいつは!そいつなのか?」


上ノ瀬「不審な人だったからとりあえず、な」

ウール「もしかして指名手配犯だったのっ?森羅くんお手柄だね!」

上ノ瀬「手柄の半分はウールのもんだろー見つけたのは俺じゃないし」

ウール「森羅君人違いだよ!全責任は森羅くんにあるからね!」


笠岡「こいつは……、イオン誘致の反対派の代表格だった。名前は……えっと……」


山倉「山倉です。みすぼらしい姿になってすいませんね」


笠岡「あーそうだそんな名前だった。だがそんなゾンビみたいな顔ではなかったはずだが」


上ノ瀬「責任も半分だからな!」

ウール「せめて3割!」

上ノ瀬「あ、じゃあ残りの7割は灯風に投げておこう」


山倉「ちょっと酸性のやつをかけられてね……。警察もこんな子供を使わないといけないくらい忙しいのかい?」


笠岡「あーあーてめえらうるせえぞ。――報酬は灯風が持ってる。神社で落ち合うんだとよ」


ウール「交渉成立だっ!次の現場が私達を待っている、また機会があったら会おう森羅くん!ふはははー!」

上ノ瀬「おわぁちょっ、また会おうっていうなら一回離せ~~」


▶ウールは森羅君の手を引っ張って走っていきました


笠岡「おう。――じゃあえーっと山岡さん。あそこは一応立入禁止なので許可を取ってもらいたい。まあ僕に言えばすぐ出しますよ」


山倉「山倉です……。それは、助かります……」


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社――


▶骸 オカルト知識

 失敗

▶曜灯 ローカル知識

 失敗

▶樋爪と3人で神社に来ると、後ろから大量に白死蝶が飛んできます


樋爪「やっぱり出ないわね……。蝶探しも大変ね、白死蝶ガールがいるなら見れると思ったんだけど」

骸「!」

曜灯「わ、わ、また蝶がたくさん」


樋爪「!?ど、どこ!?」


▶骸は咄嗟に曜灯を庇うように立ちます。樋爪はキョロキョロと見回しています。白死蝶は本殿に向かって飛んでいってます。樋爪には見えていないようです


曜灯「あ、あれ、見えてないですか……?神社の中に向かっていきましたけど……」

骸「ヒヅメ 見えて ない?」


▶骸は訝しむように樋爪を見ます


樋爪「見える人を選んでいる……?私は見えていなくて、白死蝶ガールが見える条件がある……?」

樋爪「白死蝶ガール!!名前はなんていうの?連絡先交換しない?」


▶骸は警戒するように手を差し入れます


曜灯「ありがとう、ムーさん。大丈夫だよ」

曜灯「そういえば自己紹介してませんでした。黄楊曜灯です。連絡先は……うーん……、この間助けてもらったのでお礼、になるかはわかりませんが」


樋爪「あらごめんなさい。テンション上がりすぎちゃったわね。私に見えてない以上、見えてる人のレポートを書いてそこから見える条件を探した方が良いと思うのよ」

樋爪「じゃあ後は代わりにお願い!もう夜も遅いし、早めに帰るのよー」


▶曜灯と連絡先を交換した樋爪は、手をブンブンと振ってダッシュで戻っていきました


曜灯「は、はい!樋爪さんも気をつけて」

骸「……どうする ヒカリ」

曜灯「どうしましょう……。でも見える人の話を聞いてって言ってたし、見てこいってことですよね、多分。――行きましょっか」


▶曜灯達が本殿に入った20分後、ウール達も神社に到着します


▶ウール オカルト知識

 成功

▶どうやら本殿に続々と白死蝶が集まってるのがわかります。四方八方から蝶が集まってきていますね


ウール「ビビビー!ウールちゃん蝶センサーに反応が沢山!来るよ森羅君!」

上ノ瀬「はあ?さっき仕事したばっかじゃんかよー。今度は……、またあの蝶か」

ウール「ああっ!捕獲網を忘れてしまった!ウールとしたことが…とんでもないミスを……」


▶ウール 全力疾走

 失敗

▶上ノ瀬 全力疾走

 成功


上ノ瀬「あんだけいりゃ網なくても一匹くらい捕まるんじゃね?」


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社:本殿――


秋枝「すいません。修行に夢中で連絡忘れてました……。灯風さんは心配症で……まったくもう……」

 

▶秋枝はいそいそとたけのこの里とお茶を出します


星名「誰だって急に消えたら心配するんじゃ……。あ、いただきます」

鷹見「神社の本殿って入る機会がないから落ち着かないな」

清浦「ありがとうございます。いやあ良い本殿ですねー逆に落ち着きます」


秋枝「そうですよね……悪鬼だと時間感覚がおかしくって。1ヶ月ほど入ってたんです」


鷹見「時間感覚がおかしく……?精神と時の部屋みたいなものなのか」


秋枝「精神……?えっと、1週間くらい入っても一日くらいしか経ってないんです」


鷹見「あぁ、そうか世代が違うか……まあ、想像通りだったよ」


▶全員 空間把握

 失敗

▶話に夢中になっていると、白死蝶がどこからか飛んできて、秋枝の全身を包んでいきます


秋枝「え?蛾、ですか……?」


▶秋枝はパタパタと払おうとしますが、少しずつ身体が白く見えなくなっていきます


清浦 「あ、あの蝶!」

星名「……なっ!?ここにもこの蝶が!?」

鷹見「ああくそ、どう考えてもまずいだろあれ!」

星名「考えなくてもまずいですよ!でもこれの対処法ってなにも聞いてないし……!」


曜灯「こ、こんばんは~……?あ、あれ皆さん……?」

骸「……! 蝶 取り巻く 死ぬ!」


▶骸は入って来たと同時に蝶の壁の前まで走って殴りかかるが、空を切ります


曜灯「あ、あの蝶……。えっと……、この間は殺虫剤で追い払ってもらえたんですけど、近くに見当たりませんか」

清浦「あそこに、あそこに女の子がいるんです!」


▶全身を取り込むように大量の白死蝶が包み込み、パッと離散します。その場所に青い悪鬼がその場所に出現していますね


骸 「青い 悪鬼……!」

鷹見「蝶が去った後にあの子がいなくて、その代わりに悪鬼が現れたなら。それはもうそこにいるってことだろ」

星名「なら、迷ってる暇なんてない!」

清浦 「――そうですね。助けられるとすればあの中しかないよね」


曜灯「わ、わたしもあの時こうなってたのかな……」


▶ウールと上ノ瀬が遅れて到着します。ウールの腕からちょっと綿が出ていますね


ウール「森羅くん!レディーを乱暴に扱っちゃだめって教わらなかったのっ?」

上ノ瀬「しょうがねえだろ蝶が逃げてくんだから。――いや、ごめんな?後で治せっかな……」

ウール「そういうのはずるいと思うよ!そして、諸悪の根源をまた見つけてしまった!ゆくぞ森羅くん!」

上ノ瀬「おう、まずはこれ潰してからな」

骸「悪鬼 放っておく よくない」

鷹見「よし、いくぞ……」


――黄昏の小部屋――


▶中に入ると夕陽が差し込んでいる小部屋のようですね。奥に秋枝が倒れています。どうやら気を失っているみたいですね。その手前に、幽霊のように見えるのが陣取っています。君たちに明確に敵意を向けてきていますね


曜灯「あの子が蝶の集まっていた子ですか?」

星名「そう、行方不明ってニュースになってて灯風さんから探すように言われてたんだ!」

鷹見「安否を確認するためにも、まずはあの幽霊みたいな何かをどけなきゃな」


▶戦闘前行動 星名 橙


▶鷹見 反射で判定 結界壁

 失敗


▶清浦 超科学で判定 小型ボム

 失敗[人間振り直し]10ダメージ


▶曜灯 ノーガード 曜灯


鷹見「さて、突破してもらうのは……元気の有り余ってそうなあの子らに任せるか」

清浦「これ便利だから使いたくなっちゃうな。えやー!」

曜灯「よいしょ、次への準備」


▶ゆうれいさん ネトゲ かげうち(一番後方の敵の1つ右のマスに出現する)

麻痺追加攻撃

▶星名鷹見清浦 回避判定

 失敗 成功 成功 14ダメージ

[バーストヒール]


▶上ノ瀬 通常攻撃

 成功 24ダメージ[追撃]25ダメージ


▶骸 超科学で判定 ライフガード 毒追加攻撃

 失敗 成功 1+2+1ダメージ

 成功 14ダメージ


▶星名 反射で判定

 失敗


上ノ瀬「何があって悪鬼ができてたのか知らないけど、やることは変わんねえよな!」

星名「ん……?あれ、やっぱりうまく動かない……。ダメージは無かったはずなのに……」

ウール「とりあえず目に入ったものを全部燃やして刻んで煮込めば大体の物事は解決する!」

ウール「うさくん!必殺コンビネーションだ!」


▶ナイフをうさくんから取り出すと自分の手首をナイフで切り落とし、そこから血のように溢れ出てくる綿をうさくんに詰め込みます


ウール「サイズは……ばっちり!」


▶ウール 諸刃の刃[15消費]

 成功 36ダメージ[追撃]24ダメージ

[自爆(自然反応。全体5d5)]

 19ダメージ


ウール「まずは……おまえー!幽霊なんて非科学的なものの存在をこのウールが見逃すと思ったら大間違いだ!正義のうさくんキーック!」


▶頭めがけてうさくんを殴りつけると、幽霊はふわふわと消滅していきました。幽霊が消えたところで空間が緩やかに崩れ落ちていきますが、秋枝は目を覚ます様子はありません


清浦「いたっ」

骸「……コホ」

星名「最近、これに頼りっぱなしですね……。そうだ、あの子は!」

鷹見「慧君らが楽できるなら好きなだけ頼ればいいさ、それより生きてる……、のか?」

曜灯「えっと、もしもし、起きられますか?」


▶秋枝の脈はありそうですね


上ノ瀬「結局何だったんだ?気がついたら全員集合してたけどよ」

鷹見「依頼だ、あの子を探してこいって。――これは連れて帰るしかないか」

鷹見「とりあえずさっさと脱出するぞ。誰か余裕のあるやつはいるか?」

曜灯「じゃあわたし、連れて帰ります。どうやら結構頑丈らしいので」

鷹見「そうか……。気が引けるがどうやら俺は脆いらしいんで、頼んだぞ」

星名「さっきの攻撃のせいか、体に上手く力が入らない……。ごめん、気休め程度だろうけど想いは残していくから」

清浦「……うー、よろしくね?」


▶星名 スターサファイア


曜灯 「ありがとうございます。がんばります」

骸「ヒカリ 待ってる」


ウール「死んじゃだめだよ!勇敢な少女にけいれい!」(`・ω・´)ゞビシッ

曜灯「無事二階級特進してきます!」(`・ω・´)ゞビシッ


上ノ瀬「生きて帰ってこいよ。――待ってるからな」


▶曜灯以外は光に包まれ、先に出ていきました


曜灯「はい、今日は多分運がいいので」

曜灯「ふぅ……。よいしょ……」


▶曜灯は珮未を背負うと、1人出口に向けて走り始めたよ


▶脱出判定

[曜灯]計24ダメージ


――白雨市 朱鷺森狐火宮神社:本殿――


▶灯風がいますね。ヘトヘトのようです


灯風「ぜぇ……ぜぇ……。珮未から連絡あったから来たけど誰もいねえじゃねえか……」


ウール「お!7割の灯風のおじさんだっ!ハロー!ちなみに私は3割だったよ!」

上ノ瀬「責任を投げるとは言ったけど手柄までは手放さないからな!」

鷹見 「ああ、ちょうどいいところに。なんやかんやは後で依頼の少女を見てやってくれ、直に来る」

骸 「…………」


▶骸はソワソワと悪鬼の方を見ています


灯風「笠岡からの話はどうだったんだ?」


上ノ瀬「なんか不審者を探してこいって。あのおじさんどうなったんだろうな」


灯風「後で連絡するか。……それで、ガキナンバースリーとフォーは?」


ウール「3号と4号は走ってきてるよ!たぶん!」


▶曜灯が秋枝を背負ってぐったりと倒れ伏します


曜灯「よいしょ、よいしょ、ふぅ……。た、只今戻りました……」

骸 「ヒカリ! よかった」

星名「あの子が白死蝶の群れに襲われて……。悪鬼が出てきたので退治はして……、連れてきてくれたみたいです」


灯風「事情が飲み込めん……。白死蝶に襲われた……?」


鷹見「襲われたとしか言いようがないんだ……。いきなり大量に現れて、近づくことすらできなかった」

星名「彼女はここで白い悪鬼の中に入って修行してたらしくて、話を聞いてる途中で蝶が群がってきたんです」


曜灯「あれ?でも、前見た時は蝶って人をすり抜けてたんです……」

ウール 「そういえば森羅くん!あんなに沢山いたんだから一匹ぐらい捕まえたよね?」

上ノ瀬「気がついたら全部いなくなってるんだもんな不思議だよなー」


灯風「まあ後でこいつとか笠岡に聞くわ。――取り敢えず報酬だけ振り込んでおくわ。日付変わる前には帰るようにな」


曜灯「前の蝶を見えた人が、今日のは見えなかったって言ってましたし、おんなじ蝶なんでしょうか?」


灯風「わからん……。こんなの仕事初めて初だからなぁ」


――白雨市 住宅街:鷹見アパート――


女性が逃げている。顔は見えない。追っている人間に見えているのは銀の刃

今にも凶刃が突き立てられるその瞬間、目を覚ます。こんなことが睡眠の度に起きるのだ。


――――今日は違った。


女性が逃げている。顔は見えない。追っている人間に見えているのは銀の刃

凶刃が突き立てられる瞬間、小さな男の子が間に入って貫かれる


▶鷹見 思い出

 成功

▶その少年に覚えがあった。在りし日の自分だった……。

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