S1.1 寝た振りで休み時間が終わるのを待ってたりしがち 12月15日

――白雨市 裏路地紅葉――


灯風「おい、ガキ共はどこ行ったんだ?俺の代わりに皿洗いさせようと思ったんだが」

ラウラ「巡回ですよ。巡回。最近物騒ですし夕方くらいなら外に出しても問題ないでしょう」

灯風「そっか……。あいつらも大変なんだな。じゃあむーくん皿頼んだ」


骸「ムクロ わかった でも ムクロ 不器用」

紅花「はっはー、巡回、大変そうですねえ。――今日の賄い何にします?」


灯風「いや今日は笠岡の尻拭も兼ねてる。そのうちくるからドリップしといて」

ラウラ「説明不足ですものね……ご主人様は大変です」


紅花「――新しい人が増える事自体はボクは歓迎しますが……、できれば無理強いはしたくないですねえ」


灯風「しゃーねーわ。去年は2人逝ったんだ。人手不足を憂うのもわからんでもないんだわ」


▶骸は順調に皿を洗っていっているが、洗い残しが若干見られます


ラウラ「ありがとうございます。むーさまは手順を覚えてもらいます。こちらを、こう。ですよ」

骸「これ こう おけまる」


清浦「おじゃましまーす……」


灯風「おうロリコン。昨日ぶりだな。ロリ共は今日はいねえぞ」


紅花「いらっしゃいませ」

清浦「えっどういう覚え方ですか! この前はありがとうございました、としっかりお礼言っていなかったなと思いまして」

紅花「ということは……灯風さん、この方が新しい……?」


灯風「そうだ。新しい野郎1号のロリコンだ。お前に興味はないだろうから安心しろ」


紅花「成程。では初めまして。ボクは冬川紅花。この裏路地紅葉の料理人で……『紅葉』としては裏方作業と皆さんの補助……と賄い料理とかを担当しているよ」

清浦「やっと折り合いがつけられそうなのに。あとロリコンじゃないです、可愛いのが好きなだけです!」


灯風「まあペドコンかもしれんが仲良くしてやってくれ」

骸 「トーカ 終わった 次 なに」

ラウラ「むー様も自己紹介してくださいね」


骸 「あなた 誰 ムクロ 名前 ムクロ」


▶厨房の奥から骸が身を屈めてゆっくりと出てきます


清浦「よろしくお願いします! 私は、清浦真帆です。名前と見た目が違っても気にしないでね!」


灯風「後は面倒そうなやつらだけか……時間はもうちょいあるから待つか……」


▶30分後


灯風「さて、そろそろ10分前か。来てくれると嬉しいんだがな」


紅花「ふふふ~ん♪今日の賄いは~♪煮込みハンバーグ~♪」


▶骸は初対面のぎこちないすぐに終わってしまう会話に空気を読んで部屋の隅で佇んでいます


清浦(注文した安いコーヒーを飲みながらのんびり)

鷹見 「うーん?ここ、でいいのか? 見た目割と普通な喫茶店だろ……」

星名「――こういうのって、やっぱり表では普通に働いてるって感じなんですかね……」

鷹見「はーほんとに秘密結社的なあれだな。――とりあえず入るぞ」

星名「失礼、します…タダでスパゲティが食べれるって聞いたんですけど…出来ればイタリア風の……」

紅花「いらっしゃいませ。……スパゲティね、ちょっと待ってて貰えるかな?」


灯風「いらっしゃい。――と、君たちは奥の部屋に行ってくれ。そのうち揃うだろう」


清浦「あれ、私もですか?」


灯風「そうだな。説明する手間は少ないほうがいい」


清浦「はいーごちそうさまですーお会計は~」

星名 「……え?あ、はい?ありがとうございます……?」

鷹見「とりあえずおとなしく指示に従いますか。こんなところじゃこの間みたいに荒事にはしないだろうし」


ラウラ「こちらです。どうぞ」


清浦「ごちそうさまですーこっちですね!」

曜灯「こんばんは~。……ここで合ってますよね?」


灯風「おっとガキんちょも来たか。クソガキ共は巡回でいないからすまんな」


曜灯「あっ……そうですか。わかりました」


灯風「取り敢えず揃ったか。あーぁ面倒なことで」


▶骸は全員が入った後からのっそりと入り扉を閉めます


――白雨市 裏路地紅葉:奥――


星名「……楠戸さんは、いないんですね。それにこの前は見なかった人が2人も」


ラウラ「あちらの方にはこちらから説明をしております。脅しをかけるくらいならさくっと殺してしまえばよろしいのに、……不器用な方でして。それと、こっちはうちに所属している夜叉、ですわ」


▶お互いに自己紹介をしたよ


灯風「取り敢えずお互い顔と名前は一致したな。じゃあまず1個ずつ説明してくぞーわからんなら聞いてくれ」


紅花「はい、じゃあ話ついでにこれを……。スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ、所謂”娼婦風スパゲティー”だね。――残念ながら虫歯は抜けてくれないよ」

星名「それは、残念ですね。食べるだけで悪い所を治せる人もいるのかって思っちゃいますから……いただきます」


灯風「まず、悪鬼っていうのは人間が持っている負の感情、悲しいとかキレるとかそういうのだな。そうだな、鷹見。お前はすげえ悲しいことがあった後、どうやって乗り越える?」


鷹見「……飯食って寝るくらいしかないよ」


灯風「そうだな。基本的に時間で治ると思われる。治らないやつもいるがな。こういう負の感情が悪鬼になる。お前らも行っただろ?ああいうのになってとどまり続けるんだ」

灯風「放って置くと心の傷も増えるし、周りにも影響される。見えてなくてもな」


星名「それが、周りへの被害になる。っていうことなんですね」


灯風「そうだ。それをボコって被害が出ないように食い止めるだけの緩衝材。それが夜叉、つまり変身できる俺たちの仕事だ」


清浦「悪鬼というのは突然発生するんですか?予兆みたいなものが見つかるとかは……?」


▶清浦は熱心にメモを取っていますね


灯風「予兆はある。正直言ってヤバさの度合い程度だがな。未練が大きい、悲しみが大きいほど厄介で、強くなる。あの川上ってのはそこまで未練もないみたいで助かったな」

灯風「まあこういう緩衝材でいつ死ぬかわからん事業だ。当然こっそりと国からの援助金もある。それがこないだもらった金だ」


鷹見「悲しみや未練はそんなにも悪いものなのかね……まあそれに巻き込まれる方は溜まったもんじゃないだろうが」


灯風「そうだ。一人で留めておくのは無理な代物だ。かといって悪鬼を晴らしたからといって悲しみがなくなるわけでもない」


曜灯「……未練が残ってると、必ず出てくるんですか?悪鬼って。」

灯風「ああ。未練どころか、今日消しゴムなくした……とかでも出てくる」

曜灯「わぁ……そんなのでも……」

骸「トーカ 誰 誰」 


▶骸は曜灯を指さしていますね


灯風「あれはヒカリだ。希望のヒカリ。覚えとこうなむーくん」


曜灯「あっ、えっと、こんばんは?よろしくお願いします。」

骸「ヒカリ 希望 ヒカリ ムクロ 名前 ムクロ」


灯風「ちゃんと自己紹介くらい聞いとけっての……」

灯風「戻して、だからいくら人手があっても足りないわけだな。笠岡は説明が足りないんだよな、バカじゃないから説明しなくて空回るというか……」

ラウラ「悪鬼が発生しました。場所は空き地です」


星名「いきなり、ですね……」

曜灯「本当に突然なんですね……」


灯風「ということで出番だ。一応お前たちでも勝てる相手か見る。勝てなさそうなら俺が行く」


鷹見「前回の説明よりもずっといいな。巻き込む前からそういう説明をしてほしいもんだ」


灯風「まあそう言ってやるな。むーさん、冬川。お前らも実戦のいい機会だ。サポートしてやれ」


骸「わかった ムクロ 戦う」

紅花「人手不足もあるけど、適性があった人がいなくなるということもあるからね……。一応、戦闘能力に関してはあまり期待しないで貰えるかな」

星名「誰かが死んだからできるわけじゃない、なら俺は……!あ、スパゲティ御馳走様でした。美味しかったです!」


灯風「ラウラ、留守は任せたぞ。なんかあったら連絡してくれ」

ラウラ「かしこまりましたご主人様」


骸「ラウラ 行ってきます」

紅花「――行こうか。また美味しい料理を食べたいからね」


――白雨市 空き地――


▶青い悪鬼が小さく輝いています


灯風「あったか……。この程度ならお前らでもやれそうだ。キノの旅、お前らは読んだことはあるか?」


鷹見「喋るスクーターの話だろ?」

星名「全部ではないですけど、一応?」

清浦「おぼろげな記憶でしかないですね」

紅花「名作だよ。ボクは全巻読んだ。青春と言ってもいいかもね」


灯風「まあ知ってるよな。この本を挿絵のあるページに開いて、旅に帰還すると祈って、地面に置く。そうするとこの場所に帰ってこれる」

灯風「その時に本はなくなるから、毎回買ってくれよ」


星名「そんな方法が、あったんですね……」

鷹見「つまり前回俺たちだけが置いていかれたのはこれがなかったからというわけだ」

清浦「ウールちゃんが使っていたのはこれでしたかー」

紅花「まあ、似たようなものとかで代用してもいいんだけど……ラノベは分かりやすいからね」

曜灯「常識に囚われちゃダメってことなんですね……」

清浦「まさに!」


灯風「実はラノベならなんでもいいんだけどな。知名度の問題だよ」


▶骸が本を置いて祈っています


灯風「ああしてくれ。見よう見まねでも割となんとかなる。そういうふうにできている」


清浦「今度は無事に何も変化せず帰れますように」

星名「今は囚われるな……無事に帰るためにも……っ」

鷹見「これだけであの苦労をしないで済むなら安いもんだな、まったく」

曜灯 「ええっと、『アリアドネとリスさんよろしくおねがいします」でしたっけ……?」


灯風「じゃあ行ってこい。敗走すると悪鬼の大きさは3倍以上に広がる。できれば勝ってこい!」


骸「トーカ 行ってきます」

清浦 「よし! 戦いに行くよ!」


――孤独の広場――


▶3人の影が遠くで遊んでおり、1人の子供のような影が輪に入れずにいるようです。何回か近付こうとするが、それもできず、どんどん影が肥大化していき、動かない大樹のように変わっていきます


紅花「さて、久々の悪鬼だけど……大丈夫かな?」


▶紅花

金属細工のついたグローブを付けると同時に紅花の髪が白く染まる。赤い目と美しい顔立ちもあってアニメや漫画の吸血鬼のようになります


紅花「剣の用意はしてないけど、癒しの術はちゃんと用意してきたから安心して欲しいな」

骸「コーカ 変身 かわいい ムクロ も」

骸「……特に ない」


▶骸

特に外見に変化はない。ただ一つ、両拳に嵌められたメリケンサックを除いて。


清浦「……良かった身体にあってる」

鷹見「相変わらず戦う手段は無しか……、まあやれることをやるだけさ」

曜灯「あ、あの子……。わたしもあんまりお友達とは遊べないから、気持ちはわかるな……」


▶大樹は水のような果物をこちらに投げてきて、爆発します。それはこちらに敵意があることの裏返しでもある。孤独な子供の心を救ってやろう!


▶戦闘前行動 星名 橙


▶鷹見 ゲームで判定 結界壁

 失敗


星名「俺が出来ることを!」

鷹見「やれることは……障壁を貼るくらいか。とりあえずここに、っていきなり体重く!?」


▶ハブられる悲しみ 

植物操作 林檎落とし(風。物理3d4)

▶骸曜灯 回避判定

 放棄 放棄 失敗 失敗 計19ダメージ 計12ダメージ

[林檎発芽(命中するとタイムカード設置)]

▶黒い林檎のようなものが上から落ちてきて、爆発します


曜灯「わ、わ。……えい!……いたい」

骸 「ひとり 寂しい 気持ち わかる 八つ当たり よくない」


▶清浦 ゲームで判定 小型ボム

 失敗[人間振り直し]21ダメージ


▶曜灯 通常攻撃

 成功 3ダメージ[追撃]7ダメージ


▶骸 ゲームで判定 毒追加攻撃

 失敗 ファンブル[何もなし]


▶星名 待機


▶紅花 ゲームで判定 ヒール 骸

 15回復


清浦「前回も使ったこれをぶんなげてみるよ!」

曜灯「この間みたいに……えいっ!」

紅花「はっはー、回復は任せて貰おうかな?――癒やしの術!『ヒール』!」

骸「ぅ…… コーカ ありがとう」


▶骸は飛びかかろうとした瞬間、踏み込む足を殺します。嫌な記憶が蘇ったようですね


▶タイムカード 林檎

 10ダメージ 10ダメージ 9ダメージ

[曜灯:薄い本]

▶落ちてた林檎が爆発して、黒い霧をばらまきます。曜灯の右手のリボンが広がって盾になるも、防ぎきれずに隙間からいくつか喰らってしまいます


星名「うわぁっ!?って何も、無いのか……?凄い……」

清浦「……す、すご」

鷹見 「この障壁結構頑丈だな……。気楽には使えないが」

紅花「お、これは便利便利……」

曜灯「いっ……、さ、さっきの……」


▶星名 観察力で判定 回復薬 曜灯

 失敗 5回復


▶鷹見 ゲームで判定

 成功


▶ハブられる悲しみ 林檎落とし

▶骸 回避判定

 全失敗 計30ダメージ

[林檎発芽]


▶清浦 小型ボム

 7ダメージ


星名「この前のお返しになればいいんだけどね。気を付けて」

鷹見「とりあえずもう少し殴らないとか勝てそうにないな。すまんが、よろしく頼むぞ」

清浦「効いてるみたいだしもいっちょ投げてみるかね」


▶真帆は懐から怪しげなボムを取り出すと、投げ出されたそれは薄桃色の煙を上げながら上空で炸裂し、その破片はなぜか敵にだけ向かって飛んでいきます


▶曜灯 通常攻撃

 成功 3ダメージ[追撃]3ダメージ


▶骸 通常攻撃

 成功 2ダメージ[追撃]4ダメージ

 成功 2ダメージ[追撃]5ダメージ

ファンブル[何もなかった]

 失敗


▶星名 キスメ

 24ダメージ


星名「今度は、決める……!届かせる!いっけぇええええ!!」

曜灯「一緒に、いきます!えいっ!」


▶木はしなしなとしなびれていって、元の人型に戻るよ。影はゆっくりと3人の影に近づいていきます。それと同時に少しずつ空間が崩れようとしています。


星名「……俺が、やるべきことは」

清浦「すごい! すごいねーさすがです!」

星名「あ、ありがとうございます。たまたま、だろうけど」

鷹見「終わったか。しっかし、年長者がこれでいいのかね、若者にばっか無理させて……」

骸「……ッ!」


▶骸は自分の不甲斐なさに拳を握りこむように蹲ります


曜灯「えっと、ムクロさん、いつまでもここにいると危ないですよ。帰りましょう……?」

清浦「どうやって戻るんですか……?ムクロさん……」


▶骸はヒカリの声を聞いて体の震えを止め、ゆっくりと立ち上がります


骸「気持ち ただいま 言う」

清浦「気持ち……。ありがとうございます……ムクロさん」

鷹見「俺らも帰るか、帰ろうと思えばいいだけなんて楽なもんだ」

星名「そうですね」

曜灯「あっ、おいてかないでください」

清浦「よし今日は無事に終わりましたね? 戻りましょうか……」


――白雨市 空き地――


灯風「とりあえず周囲に連絡して、後詰めを用意して……」


星名「便利ですねこれ、こういうのがまだ色々あるんでしょうか」

清浦「いろいろに目をつぶればとても楽しいですね!天職って感じがします」

骸「トーカ ただいま」


灯風「戻ってきたか。割と元気そうだな」


鷹見「見た目だけだよ。これでもだいぶ疲れてるんだ」

曜灯「あんまり危ないことをお仕事にしないほうがいいと思います……。皆心配しちゃいます」

星名 「……あの子は、いないのかな」


灯風「そうか。今後定期的に湧いてくるから出勤命令が出ると思う。こっちの指示に従ってもらうとはいえ、今日はこれで自由だ。報酬は25万円と100ベルだ。俺の仕事が終わったら口座に振り込んでおく」


鷹見「命張ってる対価が25万と取るか、これだけの労働時間で25万と考えるか……」

星名「なんにしても、いつ来るか分からないならこっちを優先するしかないですね……。スケジュール見直さないと……」

清浦「急に呼び出されるならたしかに。でも講義中はやめてほしいなぁ。でも楽しいから良いか、今は」

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