本編
S1 白雨事件ファイル:発端 12月8日
――白雨市 路地裏――
▶清浦 瞬発力
失敗
▶あなたは驚いていた。帰宅ラッシュが始まったくらいの18時、ぼんやり路地裏を歩いていたらナイフが髪の毛を掠めたのだ。壁に突き刺さるナイフ。ほんのりと香る金木犀。少しずつ近づいてくる足音……。
清浦「ひっ!?なに……ないふ……!?」
清浦「……え? なに? なに?! 近づいてくる……なに!?」
▶清浦 全力疾走で判定
失敗
▶逃げた。必死で逃げた。後ろから追ってきたと思ったのだが、角を曲がるとナイフを持った中肉中背の人間に先回りされていた。
清浦「はぁっはぁっ……はぁっ……。 はっ!?」
清浦「うわぁ!」
▶清浦 逃走で判定
成功[人間振り直し]20ダメージ
▶逃げ切った……かのように見えた。背中にじんわりとした暖かさを感じる。どうやらナイフが刺さったらしい。痛いが、逃げないと本当に死んでしまう
清浦 「うあああぁ……! なんなのよぉ……!」
――白雨市 城跡公園――
▶18時半頃、街灯に照らされたベンチに腰掛けて、足を揺らしながら俯いています
曜灯「はあ……。今日もお父様帰ってくるの遅いのかしら……」
▶ひらひらと白く輝く蝶が飛んでいくのが見えます。夕方にもかかわらず自分から発光して、ひらひらと東の方へ
曜灯「……?白い蝶……?こんな時間に……?」
▶曜灯 文化知識
失敗
▶見たことも聞いたこともありませんでした。通行人に当たりそうだなって思った次の瞬間、通行人からすり抜けてどんどん東に飛んでいきました
曜灯「あ……、当たって……、ない?なんだろうあの蝶」
▶ベンチから降りて追いかけます
――白雨市 裏路地紅葉――
▶同刻、裏路地紅葉は営業を始めています。
灯風「それで?今日の仕事は何やりゃあいいんだラウラさんよ」
ラウラ「そうですね。とりあえず夜用に看板を変えてもらえますか?」
灯風「ほいほい……ガキどもー出番だぞー」
上ノ瀬 「なんだ、なんかあったのか?」
灯風「ああ。晩用に看板変えてくれ。俺はスマブラに忙しくって」
ウール「ウールちゃん任されました!さぁさぁ森羅くん看板の取り付け頑張るんだ!」
上ノ瀬「任されたって言うならウールがやれよなー、まあいいけど」
ウール「それにしても今日はいい天気だねー♪あんなにお日様が輝いてる!」
灯風「おひさま要素ないけどな」
清浦「た、たすけてください!!」
▶ドアを勢いよく開けて、女性が入ってきます。
灯風「おっとお嬢さん。どうしたんだい?痴漢ならそこのラウラが、癒やしならこっちのロリっこが、ショタなら持って帰ってもいいのがここにいるぜ」
清浦「襲われてるんです! 何かに! さっき! ろじうらで!」
▶女性は膝から倒れ込みます
ウール「ああ……良いやつだったのに……。せめて遺骨は店の裏に撒いてあげよう……ぐすん」
灯風「おっと……ラウラ!入店禁止にしろ!ガキ共!応急薬もってこい!カウンターの裏においてある!」
ラウラ「かしこまりましたご主人様」
上ノ瀬「あいよー、あれここじゃなかったっけ……えーと」
ウール「はい大将!応急薬おまち!」
灯風「背中刺されてる……か。昔こんなの見たな。それで、どこでやられた?」
▶灯風はポロシャツを脱ぎ、布として使って止血します
清浦「すぐちかくのろじうらです……」
灯風「このあたりか……?どうなってんだ……」
清浦 「あ、ありがとうございます……」
上ノ瀬「未開の山でもないのに人の世ってのは物騒だなぁ」
ウール「なんと!?かの無敵で有名なウールちゃんもあの路地裏には近寄らないのに!何でそんな無茶なことを、およよぉ……」
ラウラ「情報を集めます。しばらくお待ちをご主人様」
▶ラウラは路地裏に消えていきました
――白雨市 市街地――
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
▶同刻、閑静な住宅地街に女性の悲鳴が響きます。警察はポツポツと姿を見せ、怪しそうな人に取り敢えず声をかけていきます。
ほぼ同じタイミングで、4人が職務質問されているようですね
警察「すいません。任意同行をお願いできますか?」
中田「またですかぁ、でもね、おまわりさん、さっきの悲鳴は俺関係ないと思うんだよなぁ」
中田「俺もなー暇じゃないんだよなぁ、ここで彼女が帰ってくるのまってたの、わかる?おい」
警察「すいません。任意同行をお願いできますか?」
鷹見「どうせ断っても、なんだかんだ言って連れてくんだろ。はぁ、なんでまたあの時みたいに……」
警察「すいません。任意同行をお願いできますか?」
楠戸「なんだよ。なんかあったのか?――ドミノ、おいで」
▶うさぎを抱きかかえるよ
警察「すいません。任意同行をお願いできますか?」
星名 「それはいいですけど……。あの、今女の人の声が聞こえた気がしたんです。何があったんですか?」
警察「とりあえず署で話を聞きますね」
▶全員違う場所で、一様に白い蝶を目撃します。白い蝶はどうやら、一つの家に向かって飛んでるように見えますね
中田 「んぁ?なんだぁ今の。まぁいいか、早めに頼むよーおまわりさん」
鷹見「蝶……?なんでこんな冬場に……」
ドミノ「……」
楠戸「どうした?――なんだあれ?」
星名「……あ。白い、蝶々……?見間違い、じゃないよな……」
警察「逃げようとしても無駄だぞ!さあ来なさい」
――白雨市 裏路地紅葉――
▶この店のマスターでもある
灯風「うーん要領を得ないな。刺されるような心当たりは?」
清浦「いえ全然……、思い当たらないです。たまたまあそこを歩いていただけですし……」
灯風「そんな美人さんならストーカーとかもいるんじゃないか?まあうちの従業員には叶わないが」
清浦 「え、ええぇ……」
▶この場にいる全員が外にいる、どこかへ飛んでいく光る白い蝶に気づきます
清浦「……?蝶……?」
灯風「あれは……」
ウール「ああ!あの光煌く星こそ私達の追い求めていたもの!森羅くん捕まえて!」
上ノ瀬「いやいやあんなの初めて見たぞ捕まえれるもんなのか」
清浦「か、かわいい……!この子かわいい……!」
ウール「人間やってみないと何ができるかなんてわからないよ!さぁ!ハウスハウス!」
上ノ瀬「ニンゲンじゃないし犬でもねぇわ!」
ラウラ「お姉さま、こちらの紅茶をお飲みください」
清浦 「ありがとうございます……!か、かわいい……ここ可愛い子しかいない……」
▶ラウラは当然のように胸を張っているのを灯風は白い目で見た後、清浦に向き直ります
灯風「体の調子はどうだ?うちのラウラの紅茶は効くだろ?痛みもないはずだ」
清浦「あはい、――すごく効きますね。身も心も温まります」
上ノ瀬「気をつけろよー何が入ってるか俺知らねーから」
清浦「おかげさまですっかり元気になりました。本当に助けてくださってありがとうございます……」
灯風「そりゃあよかった。――ガキ共はともかく、さっきのあれ、本当に見えたのか?」
ウール「いいんですかいラウラのお姉さん!それは貴重なホッチリペッパーとタバスコと唐辛子を混ぜまぜした貴重な応急薬だったはずではっ!?」
ラウラ「黒砂糖と茶葉とシロップですわね。いい子ですね」
清浦「やっぱり可愛い……」
灯風「おーい……。俺のことは見えてねえのかこの嬢ちゃんは……」
清浦「はっ」
清浦「あ、そうですね! 白い蝶が見えましたよ! はい!」
灯風「そうか。じゃあ話しておく必要があるな……」
灯風「ガキ共もちゃんと聞いとけ。あれは、白死蝶って言うんだわ。この街に古くから伝わる伝承の存在だ。有り体に言えばあれは本来存在していいものじゃねえ」
清浦「伝承……!伝承ですか!」
上ノ瀬「おっとこいつ大丈夫か」
ウール「存在を許されない者、つまりギルティ、つまりイレギュラー……殺すべし!」
灯風「ああ。詳しいことは俺も詳しくは知らねえが……岡山のこの辺だけにある伝説らしい。纏わりつかれると死ぬんだと」
清浦「おお……まとわりつかれると……」
ウール「そう、やるかやられるか!まさにwin-winってやつ!」
上ノ瀬「いきなり殺意高すぎね?普通に蝶飛んでたけど」
灯風「だからびっくりしてんだよ。そこの嬢ちゃんが見れるってのも含めてな」
清浦「とうとう私にもそういうのが見えるようなものが……」
ウール「おっとぉ、お姉さん深入りは禁物だぜぇ……。こいつぁちぃとばかり危険なんだ……身を護る術を持っていないならな!」
灯風「はぁ。人材足りてねえしこいつでもいいか……ラウラ。留守番を頼むわ」
ラウラ「かしこまりましたご主人様」
灯風「あれを放っておいたらロクなことになんねえ。ガキ共、実戦のいい機会だ。ついてきな。嬢ちゃんもついてきな、オカルトが見れるだろうさ」
清浦「はい! ついていきます!」
ウール「ウールちゃん武装完了しました!さぁ、いざゆかんあの星の名の下の永遠の木の下に集まるために!」
上ノ瀬「実戦か、それで虫取りとか言わないよな?――よっしゃやるぞ」
――白雨市 警察署――
▶職務質問をされていた4人は、同じ部屋で一様に尋問をされています
六納「担当の六納です。で、本当にコロシはしてないんですか?この胸に誓えますか?」
星名「はい」
中田「お前どこに目ついてるの?俺が人殺しに見えるの?ちょっと眼鏡買ってきたほうがいいんじゃないの?いいから早く帰してくれよね」
鷹見「はいはい、誓います。殺人なんてする理由もありません」
楠戸「ああ。さっき悲鳴が聞こえただけです」
六納「おっかしいなぁ……。あの時外にいたこいつら4人のうちの誰かだと思うんだけどなぁ」
??「六納さん俺がやりますから……。下がっていいですよ」
▶小さめだが眼光の鋭い警察官が入ってきます。
笠岡「笠岡です。すいません。こんなところに閉じ込めまして。――それで、最後に一つ。蝶を見ましたか?できれば白い方を」
鷹見「見たけど……。あんたらに連れて行かれる時だぞ?」
楠戸「白い蝶?あーそういえば見たな……見ましたね。それが?」
星名「事情聴取って、意外と長いんですね。任意って言われたから、てっきりもっと簡単なものかと思ってました。白い蝶なら、そちらに声を掛けられたときにそれらしいものは見かけましたけど……」
中田 「蝶だー?そんなもん追っかけて喜んでた時期は過ぎてるって判らんか?ぁーー……、おたくらに連れて行かれる前に飛んでた気がするなぁ?なんだぁおい、話逸らしてお茶でもしようってのかぁ?」
▶笠岡が信じられないものを見るような目をした後、ため息をつきます
笠岡「……そうですか。聴取は終わりですがあなた達を家に返すことはできなくなりました。――殺人現場に案内します。拒否権は現在のあなた達にはありません。申し訳無いですがご同行願います」
中田「はぁーーー??頭沸いてんのかぁ?忙しいっていってんだろ!――殺人現場かぁ……普段入れないとこだし、いい経験かもな♡しょうがねぇな、今回だけだぞ♡」
星名「――わざわざ現場に連れて行くんですか……?疑ってるならもっとはっきり言えばいいじゃないですか」
鷹見「そういうやり方をするから嫌いなんだよ。5年前から変わっちゃいない……」
楠戸 「なんだと!ふざけんな!なんでわざわざ人殺しされたの見に行かないといけないんだ!」
笠岡「――本当に疑っているわけではないんですがね。こちらもなりふり構ってられないんですよ」
――白雨市 市街地――
▶公園で白い蝶を見た幼女、
曜灯「あっ……あれ?どっちに行ったんだろう……」
灯風「じゃあこっちに飛んでいったんだな?俺はちゃんと見てねえけど」
清浦 「ええ……おそらく……」
灯風「うーん……見逃すとまずいんだが……」
上ノ瀬「あんな目立つのに見逃すもないだろ。違う方いったんじゃね?」
ウール「おそらくって言うのは、大体数学的には90%だったはずだから、こっちに間違いないね!あともうちょっとだ、みんながんばろーっ♪」
灯風「――夜中なのにまあたお嬢ちゃんが歩いてるよ……。おい!そこのちっこいの」
▶灯風は曜灯に声をかけます
曜灯「えっ……?は、はい!」
灯風「白いやつ、見なかったか?」
曜灯「白いやつ?えっと、白い蝶だったらさっきまで」
ウール「え?なに?うさくんは白いって?まぁ一理あるけど、ウールは真っ赤に染まったうさくんも好きだよ!カラーバリエーション大事!」
曜灯 「見失っちゃいましたけど……」
灯風「ちっ……当たりかよ。で、携帯かスマホは持ってるか?親に連絡をしたい」
曜灯「え?え?突然なんですか……?」
清浦「か、かわいい……!」
ウール 「未知に興味津々のお姉さん、残念だけどウールちゃんにはボーイフレンドがもう居るんだぜっ」
灯風「後ろのかわいいしか言えない女と、クソガキ二人と一緒に蝶を探してるんだ。お前もどうだ?って思ったけど、保護者に遅くなるって伝えないといけない」
曜灯「え、えぇ……。誘拐とかじゃなくですか……?」
上ノ瀬「怪しさしかねーな灯風がんばれー」
ウール 「灯風さんとウールゎ、固い絆で結ばれたダチだった気がするから、心配ご無用ですがっ」
灯風「誰がそんなことするか。10年後なら考えなくもないが……、ってそうじゃない。蝶を探すのに案内人が必要でな」
曜灯「知らない人にはついて行っちゃいけないって心湊さんに言われてるので……。それに、蝶なら見失っちゃったので、案内人って言われてもわかりませんよ……?」
ウール 「ああ、こいつ死んだな……ってあなた以外の誰しもが思っているのだけど、本当に来ないのかねお嬢ちゃん(ウインク」
灯風「そうか……。残念だ。もう遅いから早めに帰るんだぞ」
曜灯 「は、はい」
灯風「口説くのに失敗したわ。近頃のやつらはしっかりしてんな。お前らとは大違いだわ」
清浦「そりゃあもう、こういう話になれば私は飛びついちゃいますからね!」
灯風「こいつはこいつで本当に酒飲めんのか……?」
ウール「ウールはそういうのじゃないし!べ、別にあんたの事なんか嫌いじゃないんだからねっ///」
上ノ瀬「知らない人に付いていくのはいけなくて、こんな時間に一人で歩くのはいいのか?不思議なもんだ」
灯風「塾帰りとかだろ。最近のやつは大変だからなぁ」
清浦「――むしろ大丈夫なんでしょうか、私みたいに刺されたりしませんよね……」
灯風「ちっ……、あいつも適性ありだし手駒候補に死なれると困る。――尾けるか」
ウール「ああ、やっぱり……。いつかやると思ってたんです……まさかあんな小さな子に手を出すとは……けどウールはそういう所も好きだよっ★」
灯風「ちげえっての。うまいこと口説く方法がわかんねえんだって……。くっそ」
上ノ瀬 「そもそも俺らくらいの子を相手して口説くっていうのがおかしいだろ……」
ウール「しーっ!森羅くん声が大きいよ!言ってあげちゃかわいそうだよ……めっ」
灯風「こいつら……」
――白雨市 市街地:川上邸――
▶笠岡にかなり無理やり殺人現場の住宅地に連れて来られたよ。女性が背中と首を刺されて倒れています。生々しい赤と暴れたようなコントラストが映えていますね
中田「ちっ……。無理矢理連れてきといて、なんてもん見せんだよ、ガキが……」
楠戸「う……っ!!くっそ……最悪だよ!!」
星名 「うっ……!?こんな、こんなのを見せて何がしたいって言うんですか!?どうしたいんですか、こんな!――こんな……!」
笠岡「被害者はこちらにお住まいだった
鷹見「さらっという。警察がその発言は問題だろ」
笠岡「僕は厳密には警察じゃないので問題ありません。もう少し見ていてくださいね」
楠戸 「なんだとっ!? おまえ!!」
星名「あっ……鷹見、さん?それに、楠戸さんも…?」
中田「ぁー?なにがいいてぇんだぁ?お♡穂ちゃぁん♡来てたんだぁ、偶然だねぇ♡」
鷹見「こんなところで会うなんてお互い災難だね、慧君。おっとみのりちゃん、そんなことしても何も変わらないから大人しくね」
星名「災難……。そう、ですね。お2人も疑われてここに?」
楠戸「蓮のおっちゃん……って星名くんも……うわ汚っさんもいるじゃねーか!?」
中田「ん」
中田「もぉ♡穂ちゃんったら、『中田さん♡』だろぉ」
星名 「――お知り合い、ですか…?」
笠岡「なんだ顔見知りがそれなりにいるんですか。それなら話は早い」
中田「なんだよ、今忙しいんだよ、見てわかんねぇのか」
笠岡「ほら、始まりましたよ」
▶白い蝶が死体の周りをひらひらと包み込むように舞い始めます
楠戸「黙れ汚っさん。いやそうじゃない、おまえ何言って――!?」
鷹見「まだお兄さんだから。――ってこれ」
星名「始まるって何、が……」
▶死体を全身で包み込むように舞ったと思うと、白い蝶は流れるように西に飛んでいきました。死体はそのまま床に残っていますね
楠戸「なんだよ……今の……」
星名 「――白い、蝶……」
中田「死体に集まる虫って言ったら蛆虫だろぉが、成虫になるには早いんじゃねぇのかぁ?」
笠岡「見ましたか?あれが白死蝶です。先に言っておきますが、普通の人間にはあれは見えません」
笠岡「こちらの女性は新婚だったそうですね。調べたところ、結婚してまだ2ヶ月ながら、不倫もしていたようです」
楠戸「――ならおまえも普通の人間じゃないんだな? なんなんだおまえは!」
鷹見「そう熱くなるな。かかわらなきゃいいんだから、おとなしくしてやり過ごせばいいんだよ。」
中田 「若さだね♡」
笠岡「残念ながらそうはいきません。あなた達には戦力になってもらいます。ついてきてください」
星名「なんなんだ、これは……」
楠戸「嫌だね!……私はドミノを探して家に帰る!」
中田「おいおいおい!どこまで連れて行く気なんだよ、忙しいって言ってるだろ!」
笠岡「そうですか。意思よ燃えろ」
▶笠岡 ファイア 楠戸中田
13ダメージ
▶笠岡が何か呟いたかと思うと、床が燃え、体中に熱さを感じ、息苦しさを感じますが、気づけば何事もなかったかのように消えています
笠岡「最初から拒否権はないんですよ。僕の言うことに従っていただきます」
中田「くそっ……、このっ……ガキッ……!」
楠戸「うわ……なんだこれ!?」
星名「なっ!?今のは……。何が見えたんだ、俺は……」
鷹見「実力行使の脅しってわけかい。警察さんより酷いことするじゃないか」
笠岡「なりふり構ってられないからね。今は一人でも戦力がほしい」
楠戸「くっそ……。ついてないな今日は……ドミノ……」
中田 「ちっ……!大人舐めやがって……。いつかわからせてやるからなぁ……」
――白雨市 裏路地――
▶曜灯 観察力
失敗
曜灯「うーん、あの子達そう言えば見たことあったなあ。本当に一緒に蝶を探してただけなのかな……?」
▶東からたくさんの蝶が飛んできて、曜灯の周りをひらひらと舞い始めます
曜灯「えっ……?あれ……?さっきの……?」
▶見とれていると、突然殺虫剤を思いっきり吹きかけられます
1ダメージ
曜灯「わっ!わっ!」
???「ちっ……死骸は出ずか……」
▶振り向くと、黒髪で目つきの鋭いお姉さんが殺虫剤を片手に立っていますね
お姉さん「大丈夫か?あれはいいものじゃないぞ」
曜灯「……ケホッ。ありがとうございます……?でも、急に顔にかけないでほしかったです……」
お姉さん「悪かったわね。じゃあ」
▶お姉さんは立ち去り、代わりに灯風達が近づいてきます
灯風「お、おいおいおい嬢ちゃん大丈夫か!?白死蝶に囲まれてたけど」
曜灯「あっ、さっきの不審者さん。えっと、なんとか?――さっきの蝶は悪いものなんですか……?」
ウール「あれこそ私達の追い求めいたものだ!絶対に捕まえて標本にしてなぶり殺しにしてあげないとねっ♭」
灯風「ああ。いいものじゃない。――どうしてあいつは知ってたんだ?」
曜灯「さっきのお姉さん、知り合いなんですか?悪いものだったなら、ちゃんとお礼がしたいんですけど……」
灯風「知り合いじゃない……。それに、白死蝶も普通は知ることはほぼない代物のはずなんだが……」
清浦 「――私も見えましたし、実はそうじゃないのかもしれませんよ……?」
ウール 「森羅くん、例の標本キットはちゃんと持ってきただろうね?あれがないと捕獲は困難を極めるぞ!」
上ノ瀬「んー?虫取りじゃないんだろ。そんなもの持ってきてないぞ。なあ、それよりいつまで歩き回ればいいんだよ」
ウール 「なんだと!まぁそれはそうとして、ウールももう歩き疲れた!もうお家に帰ってスリープモードに入って明日虫捕りしようよー、朝は虫が取りやすい!」
曜灯「えっと、ありがとうございました。それじゃあ失礼します」
灯風「はぁ……。クソガキ共はほんとまあ。――まあ待て。もう一度蝶が来たときに助けられない。俺の近くに来なくていいから目の届く範囲にいてくれ」
ウール「翻訳するとね、基本的にはどこに居たって灯風さんはあなたを見てるから安心していいよって事だからいってよし!」
清浦「さすがに違うと思うよ……」
曜灯「確かに、さっきの蝶は悪いものなんですよね……?お兄さんだけじゃなくてお姉さんもそう言ってたし……。――わかりました。」
ウール「ウールちゃんの翻訳精度は10^-100の精度を誇るのにっお姉さんのばかっ!しょんぼりー」
曜灯「黄楊曜灯、2年生です。よろしくおねがいします」
清浦「ひかりちゃん、だね。よろしくねー!」
灯風「飛ばしすぎだ。新入りのわんこが困ってるだろ」
上ノ瀬「犬じゃねぇよ!まあそのうち掴めるだろ……」
――白雨市 市街地と路地裏の狭間――
▶ある家の前で、白死蝶がぐるぐるとうずまきを巻いています
笠岡「ありましたね。何をしてるんでしょうね?」
星名 「――そんなの、分かるわけないじゃないですか。あの白い蝶自体、何なのか分かってもいないって言うのに……」
笠岡「まあそりゃそうだ。僕の予想が正しければ……」
鷹見「昆虫観察をしに来たんだったら早く家に帰れせてくれよ」
楠戸「……大丈夫、ごはんは食べて帰るから。うん、ドミノも一緒。心配しないでママ。――」
▶楠戸がスマホの電話を切ったその時、灯風達がやってきます
灯風「この辺だったよな……今度こそ見逃さないぞ……」
清浦「は、早いですよ……。はぁはぁはぁ……」
ウール「私も亜音速までなら何とか追いつけるけど、流石に光の速さまで加速して急ぐことはないでしょ!」
上ノ瀬「早く走れないと勝ち残れないからな!お姉さんが遅い」
清浦「さっきも走ったのよ……。休憩させて」
曜灯「はあ……はあ……。悪いものだーって言う割に追いかけるんですね。――ふぅ」
ウール「人は悪い事をしたり見たりするのが大好き!勿論私も好き!ショートケーキの次くらいにはだけど」
笠岡「なんだ、灯風もきたのか。相も変わらず女ばかり連れてるな」
灯風「たまたまだっての……。ハヤトもそうなんだろ?」
楠戸「あの子……大学の喫茶店で安いコーヒーをいつも頼んでる……。こいつらも知り合いか?」
星名「何なんです、これ……。半ば脅して連れてきて、それで何をさせようってんです。しかもこんな時間に子供まで……」
上ノ瀬「知る人はほとんどいないっていう割にずいぶん人数集まってるんだな」
灯風「たしかにな。ちょっとしたツアーだぞ」
笠岡「僕の悪評が募るのはまあいいでしょう。――タイミングいいみたいですからね」
▶白い蝶がぐるぐると周っていき、青い空間を作り出します
鷹見「タイミングって……なんだよ、あれ」
ウール「あれは!知る蝶ぞ知る蝶達にとっての憩いの場、そして私達にとっての倒すべき目標ぅっ!」
灯風「ガキ共3人組。それにお集まりの不幸な方々、よーく聞いとけ。あれが悪鬼だ。放って置くと面倒なことになる」
ウール「そういう言い方をする地方もあるみたい!我ら保育園とかの明らかに連行途中の者達の力をあわせてさぁいざゆかん!」
清浦 「害をもたらすものですか」
曜灯「あっ……、き?」
上ノ瀬 「面倒、面倒、ってどう面倒なんだよざっくりしすぎじゃないか」
笠岡「面倒なものなら観客になってもらうつもりでしたが……、青ですか。ならいいでしょう」
星名「倒す、って。あんたたちは、いったい何なんだ……?」
楠戸「星名くん、どうせ説明する気なんかないんだから無駄よ。特にこいつは!」
星名「それでも、俺達は聞かなくちゃいけないと思うんです」
中田 「んぁー?なんだぁこりゃぁ、映画かなんかかぁ?」
灯風「――俺たちは世界を救うことができる金持ちだよ。お前らも行きたくないか?好きなことをしても許される世界に」
鷹見「大人にまでなって身勝手してどうするんだ。そんなの、大人になろうとした意味がないじゃないか」
楠戸「おまえもいきなり誰だよ。汚っさんも帰ろうぜ」
笠岡「まあ灯風の言うことも間違っちゃいない。だが、悪鬼を見たからには生きるか死ぬかの2択しかない。ここに入って生きて帰るか、この場で僕に処理されるかのな」
楠戸「おまえ……!!」
清浦「物騒すぎませんかね!」
曜灯「あの人白い蝶より悪そうですね……」
ウール「燃える大人ってかっこよくてキュンと来るよねっ!けどウールは燃えやすいからあんまり近寄れなくてとても残念です……」
中田「で、なんだ、入って生きて帰る?これに入れってのか?中に何があんだよ、それくらい説明しろよ」
星名「――その世界を救う事が何なのか、やっぱりわからないです。でも、それは誰かを助けることが出来ることなんですか?」
鷹見「少なくとも、俺はお前みたいなクソ野郎に殺される気だけはサラサラないよ」
笠岡「いいでしょう。中にあるのはまず間違いなく川上とかいう女の無念でしょう。その無念を祓ってもらいたい」
星名 「川上って、さっきの……」
中田「無念を払うだぁ?俺達が巫女さんかなんかに見えるのかよっ……。ま、拒否権がないっていうなら俺たちが巫女にな……巫女服はあるんだろうなぁ!!!」
灯風「それはお前次第だな」
清浦「妄想を形にできるんですか! 好きなことをしても許されるってことは!!」
ウール「そう、私達は悪霊祓い専門科、株式会社紅葉の派遣社員だったのだ!」
灯風「こいつ食いつきはええな……。――まああっちの素人集団はともかく、ガキ共はあれ持ってきたな?」
上ノ瀬 「実践だついて来いって言ったのはそっちだろ、当然だよ」
ウール 「うさくんに、帽子に、虫捕りアミに、漫画に、刺繍用のワッペンに、裁縫道具に、やりかけのクロスワード。おっけー!」
星名「――分からないことばかりだけど……。それが、その人のためになる事だって言うんなら……俺は、行きます。あんな最期を迎えてもまだ、何か手を差し伸べられるなら……!」
ウール「似た者同士は惹かれる!ウールとうさくんみたいにね!」
中田「あん?よく見りゃ、鷲羽ちゃんじゃん」
灯風「おーおっさん。お前も素質あったんか。まあ妄想力確かだし間違ってはないな、うん」
中田「ぎひひ、ありがとよ!ウールちゃん、森羅君、こんばんは♡」
上ノ瀬「おー、こんばんは。いやここに居ていいのか?灯風がいいって言うならいいのか……?」
ウール「おや、おじさんじゃないか!もしかして量産しておじさん2号3号4号5号を作ったの?」
鷹見「で?どうすりゃいいんだよ。こちとら初心者以下だぞ」
ウール 「ただ前を向いて進めばいいんです、きっと神様はあなたに答えてくれるでしょう」
灯風「あの虚言癖は置いておいてな、その空間には実は入れる。で、どつきまわすための力がほしい!って思う。じゃあ出てくる」
楠戸 「何わけわかんないこと言ってんだ」
灯風「そのとおりだからしゃーねえだろ」
星名 「ど、どつきまわす……?」
曜灯「出てくるって、何がですか……?どつき回すってなにかいるんですか。」
笠岡「時間がない。まず入ってみろ。自ずとわかる」
清浦「実地調査が基本ですものね! 私は行きますよ!!」
中田「ちっ、大人に命令してんじゃねぇぞ、穂ちゃん♡行ってみよっか♡」
▶建物の影から突然うさぎが現れ、楠戸を一瞥して悪鬼と呼ばれる空間に入っていきます
楠戸「おまえが入れ。……!? ドミノ!? なんで!!」
星名「あ、うさぎ?が中に……。本当に入れるのか」
楠戸「くそっ!! ドミノー!!」
ウール「あ!それずるいよっ! うさくん!? なんでぇーい!!」
▶ウールはうさくんを悪鬼に放り投げるよ
鷹見 「――こんなところで死んでたまるか」
星名「はっ、覚悟を決めろっ……」
清浦「よーしいくわよ」
灯風「結局行くんかい……ノリがええやっちゃらだわ。ガキ共3人共こっちこい……」
ウール 「へっへっへ、まんまと入りましたね兄貴……」
曜灯「はい、本当に入れちゃうんですね、青いのに」
灯風「そうだ。お前らはちゃんとこの本をおいていくんだ。使い方は教えてなかったな。お嬢ちゃんにはこれをやろう」
▶灯風は曜灯にライトノベルを1冊渡します
曜灯「わ、ありがとうございます」
上ノ瀬「俺らだけでよかったのかよ」
灯風「生憎だが本は1冊しか持たない主義でな。使い方は、こうやって、おらリス死ねやアリアドネの糸よこせって感じで祈るわけだ」
灯風「おらやってみ?」
上ノ瀬「いやごめんわからん……。これでだめだったらその時でいいわ」
曜灯「え……?えっと、『りすしねやありあどねのいとよこせ』……?」
ウール「本タイプのやつは売り切れだった!便利な世の中だね!」
▶ウールは体の糸を電信柱に結びつけます
灯風「よっしゃ。『心は陰を断つ剣となる。命の輝きこそが強さに変わる』これを忘れずに行ってこい!」
ウール「さぁ、3匹揃って鬼退治の時間だ!」
曜灯「お、おー!」
上ノ瀬「い、犬じゃねえからな?」
ウール「ちょっと!先頭の人何やってるの!後ろつかえてるんですけどー!」
曜灯「えぇ……」
灯風「いったか?」
笠岡「行きましたね」
灯風「よっし、えーと確か、刻満ちたるは暗い影」
灯風「じゃあ見回り頼んだわ」
笠岡「面倒ですね……」
▶灯風 フェイク
▶影に変身して、恐る恐る入ろうとする曜灯の影に潜り込みます
――嘆きの天秤――
▶中に入ると暗いリビングのような部屋で、背中に刃物が刺さったままの女性が呻いています
川上「まだ……生きていたかった……なんで?どうして?」
楠戸「ドミノ! どこだ!」
楠戸「ドミノ……!!」
中田「穂ちゃぁん♡そんなに急いでいかなくてもいいじゃない♡」
星名「ここが……。あの人が言っていた世界、なのか……」
鷹見「生きていたかった……か。そりゃそうだろう、だれだって好き好んで死にたくはないさ」
▶楠戸
ドミノを強く抱きしめた直後、――白うさぎは突然輝き出し眩い光に包まれた楠戸は次の瞬間、巨大な玩具のハンマーを手にし、白いうさぎの耳と尻尾を生やしたバニーガールの姿に変身します
▶鷹見
異空間に侵入した時、既に身にまとう服は変化していました。黒いコートを身にまとい、手足は金属で覆われた、防具のようなものがついています。しかし、武器はどこにも見当たりません
▶星名
胴と関節の外側を覆うように機械の鎧が展開し、手には剣と十字をモチーフにしたような物を盾代わりに持っています
楠戸 「なに……これ?」
星名「!うわっ……光が……」
鷹見「ははっ、倒せと言われてたのに武器も無しか。どうやらダメな大人はここでも役立たずみたいだよ」
楠戸「ドミノを私の中に感じるけど……。もしかして、ドミノと合体した!?」
星名「これが俺の望んだ姿、なのか……?剣に、盾……?こんなの、まるで……」
中田「ほーん、鷲羽ちゃんがなんかごちゃごちゃ言ってたけど、そんな感じかぁ」
▶中田
着地と同時に一瞬で服装が変わります。
煌びやかなデザインのローブ。白を基調とした清潔感のある仕立てで布面積は少ない、肩と胸元を露出した袖と分離した上半身装備、なにやら渦巻く意匠の施された金属の保護具が急所を抑える。背中は大きく腰まで開き、下半身の前後に分かれた二段スカートへ、前方は機動力を損なわないためか開き、ニーソックスとインナーから生成される絶対領域が露わとなっています。高くないヒールは戦闘を想定していながらも高貴さを忘れていません
中田「なんだよこれ、俺がやってるネトゲの自キャラ『かえで☆ミ』ちゃんの装備じゃねぇかぁ」
中田「おや?武器がないぞ?オラッ!出ろよっ!出ろ!」
▶先端が“くの字”に曲がったグリースガンに羽根のような装飾が雑に取り付けられ、延長されたハンドルを杖のようなもの、そして足元に盾が出てきます。銀縁でハートを模った小楯は光に反射して無数のハートが表面に浮かび上がっています
中田「ぉほっ♡こいつは使いやすい、武器は使い慣れた手に馴染むもんじゃないとなぁ。それと?なんだぁこりゃぁ?盾かぁ?」
中田「ギヒヒ、愛に溢れる俺にぴったりだね。役に立つならなんでもいいんだけどね」
楠戸「うえ……汚っさんなんだよその恰好……」
清浦 「うあ、なにあのコスプレ……」
中田「ホヒョヒョ♡可愛いだろうが」
清浦「わあ、青い!すごい……悪鬼ってこういう感じなのね……。重たい雰囲気ね……」
▶清浦
白いブラウスに淡い紫色の軽やかな服で、方方に小さなポケットがあってものの出し入れができるようですね。ボトムスもよくある作業着にある薄いベージュ色をした、登山に適したようなタイトなパンツで、小物用のポケットが両足の膝辺りに左右2箇所ずつあります。帽子も飛ばないようにリボンゴム付きです
清浦「好きなのってこういうことね。なるほどアクティブねぇ……」
星名「――今は考えるな。こんなものでも、俺の力なんだ……」
清浦「あなたは……とてもかっこいいと思います!」
星名「かっこいい、か。そう言ってもらえるのはありがたいです」
中田「そうだろぉ」
楠戸 「汚っさんの事じゃねーよ」
清浦「――かわいいと……おもいます。ええ、すごく」
鷹見 「……あの自己肯定力は見習いたいね」
曜灯「ここが……?ひっ……あの人背中が……」
上ノ瀬「いよいよだな!」
▶上ノ瀬
夜の闇をうつしたような長いローブを纏い、首元にはちょっと長めの赤いスカーフを。最後に背中に太刀を背負って完璧!
上ノ瀬「ってあれ、靴どこいった?まあいっか裸足の方が動きやすそうだ」
ウール「レディースアーンドジェントルメーンアーンドなんかその他諸々の方っ!大変長らくお待たせいたしました!ここまでかように長い道のり、紅葉に拾われてはや10年と3ヶ月と7日と10時間と30分と24秒とコンマ25、ついに私ウール今までの恩に報いてこの悪鬼と呼ばれる謎の空間で仕事をいただ……」
ウール「えーっと?紅葉で働くか弱い乙女は仮の姿!愉快なピエロ、ウールちゃんとそのお供うさすけだよ!最後まで楽しんでいってね!」
▶ウール
自分で出してきた舞台の裏からピエロの格好をしたウールがうさすけの入った赤いバルーンを持ってゆったりと歩いてきて、中央まで行ったところで風船が割れてわぁっ!と驚いてみせます
曜灯「あ、皆さん姿が変わって……。ええっと……『心がつるぎになって、命は強さに変わる』……!」
▶曜灯
セーラー服を基調としたブラウスと、腰の位置に大きなリボンのついたフリフリのスカートのゴシックロリータ。足元はリボン付きのローファーパンプス。右手首のシュシュは同じ色のリボンに変わっている。左手には包丁が握られており、その手首にはアクアマリン、シトリン、グリーンアメジストで作られたブレスレットが色素の薄い腕を彩っています
曜灯「えぇ……、何あの人……。へんたいさんだ……」
▶戦闘前行動 星名 橙
星名「……今は、俺が出来ることを。俺だけじゃなく、全員で!」
▶左手に持った十字から光が奔る。それぞれの影に刺さり影から足へとたどり着いた光が輝きます
清浦 「さあ、やってみるよー!」
鷹見「いい年した大人がこんなんで、子供に戦わせる、か。――情けないったりゃありゃしない」
清浦「なんか変な感じがする……」
▶清浦 妖怪知識で判定 小型ボム
ファンブル[性別変更:男]16ダメージ
▶中田 ローズピンクアミュレット 妖怪知識で判定 ヒール
失敗 9回復
清浦「懐から取り出しますは……おお、すごい。これでもくらえー!」
▶中田が杖のハンドルを握ると先端からほんのりピンク色の液状物質が飛んでいき楠戸の頭にかかり、傷を癒やし消えていきます
中田「戦い方は姫プレイで慣れてるんだ♡そぉら!穂ちゃん!」
楠戸「ちょ……汚っさん何やってんd、あれ痛みが引いて……?」
中田「ぎひひ、俺からの愛だよ♡愛♡」
楠戸「汚っさん……まさかあの時のクソ野郎のやつ治してくれたのか……?」
▶殺戮川上さん サックスブルーアミュレット
一迅裂双(補助動作、物理。3d8)清浦
幻影刃(魔法。3d8)中田鷹見
▶清浦 回避判定
成功 16ダメージ[中田:薄い本]
▶背中に刺さってるナイフを抜く動作だけして、幻のナイフをぶん投げるよ
鷹見「くそ……これじゃあ野垂れ死ぬだけじゃねえか」
中田 「くそっ……このっ……ガキッ……!」
楠戸「蓮のお兄ちゃん! 汚っさん!」
川上「あなた達も痛みを!」
星名「駄目だよ、そんなこと……。けど、もうあの人は……どうする……」
楠戸「なんなんだよあいつ……。で、ピコピコハンマーってこんなもんで殴っても痛くも痒くもないだろ……」
▶タイムカード ローズピンクアミュレット
20ダメージ
▶曜灯 通常攻撃
成功 5ダメージ[追撃]7ダメージ
中田「ギヒヒ、回復職ってのは自分で攻撃しないもんなんだよ基本」
曜灯「ごめんなさい、刺されちゃったんですよね……?でも、わたし達まで刺そうとするのなら……ごめんなさい」
上ノ瀬「死んじまったんだろ?諦めろとは言えないが遠慮はしないぜ!」
楠戸「くっそ!! どうせなら魔法とかそういうのないのか!?」
▶上ノ瀬 妖怪知識で判定 通常攻撃
失敗 失敗
▶楠戸 ファイア
14ダメージ
上ノ瀬「……あったんねぇ、嘘だろ」
中田「大丈夫だよ、また次頑張ろうね♡」
曜灯「えぇ……、格好つけてそれですか……?」
ウール「男子ー、ちゃんと仕事してよ!ウールちゃんは今日はお披露目だけで働きたくないでござるモードなんだよ!」
上ノ瀬「うるせいかっこつけたかったわけじゃないやい」
楠戸「あっつ!? なんだこれ!? 手が!? うああああぁぁっ!!」
▶全力で振り回した腕から炎の球が発射し、川上を燃やします
楠戸 「魔法……出るじゃん……!」
▶タイムカード サックスブルーアミュレット
12ダメージ[星名 絆庇う:鷹見]
▶中田 致命傷判定
成功
▶投げた包丁が凍っていって地面から突き刺す瞬間、鷹見の前に出て代わりに受けます
星名「やら、せるかぁーっ!」
鷹見「慧君!?そんな無茶しちゃ!」
星名「――ごほっ。は、はは……無茶は、元々なんで」
中田「くそっ……このっ……ガキッ……!」
鷹見「若いのに損なしに急ぐようなことするもんじゃないよ。そういう役目は俺みたいなおっさんに任せておいたらいいんだよ……」
星名「――それでも。動かずには、いられないんですよ」
星名「それに、おかげで吹っ切れました。だから、あの人に届かせます」
曜灯「痛い!……けど、なんとか!」
楠戸「おい……、汚っさん……。生きてるか……ゲホッ」
上ノ瀬「いってぇ!あーくっそ……」
曜灯 「あ……、皆ボロボロ……。皆……」
▶星名 キスメ
22ダメージ[雨音]4回復
▶左手の十字を突き刺して力を放つよ
川上「あ……あ……」
星名 「ぐっ、うううぁあああ!いっ、てぇ!?」
楠戸「そうだよ、星名くん……。こんなわけわかんない事に巻き込まれて野たれ死ねるかって……!」
鷹見「あぁ、もっと力が……守れるだけの力があれば、こんな……。くそっ」
清浦「ぼろぼろ……」
曜灯「また傷ついて……。嫌……。守りたい……、守れるように……!あの人を、癒やして!」
星名「はぁ、はぁ……。ありがとう、助かった」
ウール「私……あなたを一目見たときから、何故か他人のように思えなくて」
曜灯「一緒に……、続ける……!」
ウール「なんちゃって!嘘だよ、あなたみたいな人一ミリも知らない!それはもう明確に私はあなたみたいに汚れてないことは確定的に明らかだからあなたが私じゃなくて良かったってほんっとに思ってるし!もうボロボロみたいだからさっさと消えて私の前から消えて!!!!ゆっくりじゃなくていいよ!」
▶ウール 通常攻撃
成功 7ダメージ[追撃]5ダメージ
ウール「やっちゃえうさくん!メガトンパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンチ!!!!!!!!」
▶川上は穏やかな顔で全身から白死蝶をふわりふわりと吹き出して消えていきます
川上「夫は……無事……?」
曜灯「い、一緒……はちょっと嫌かも」
星名「また、白い蝶が……」
清浦「白い蝶……」
楠戸「――なんなんだよ……もう」
鷹見「終わった、のか。……慧君、ありがとうな。助けられたよ」
星名「!……いえ、俺がそうなれたのなら、よかったです」
上ノ瀬「んん~~~要鍛錬だな」
楠戸「汚っさん……おっさん……起きろ、生きてんだろ?」
清浦「皆さん一応無事で良かったわ……」
▶空間が崩れ落ちてきています。遠くにぼんやりと青い空間が見えますね
星名「って、崩れるのか!?ここ!?」
▶清浦 応急手当[ググる]
成功
中田「げっほ!ゲホゲホ!」
▶中田は咳ごみと放屁を同時に繰り出し上体を起こします
清浦「こほっ」
中田「クッソ……あのガキっ……!なんだ?終わったのかぁ?」
楠戸「お、起きたか。なんか帰ってもいいみたいよ」
ウール「お医者様、お仕事は終わりましたかな?」
ウール「では今日はもう診療時間は終わったから逮捕だ!」
中田「そっかぁ、じゃあさっさと帰ろうね、どこが出口かな?」
星名 「……これ、どうやって帰るんです?」
ウール「!君は連行するってさっき決めてしまったから!紅葉署までご同行願うよ!これは任意じゃないから大人しくお縄にかかれ!」
▶自分のほつれ糸を真帆に巻きつけ、二人とも釣り糸を巻き上げられる魚みたいにずるずると悪鬼の外へ引っ張られていきます
清浦「ひゃあああそういう連れ去り方はこわいいい……」
曜灯「わ、わ、崩れてる!えっと、お祈り……。『リスさんアリアドネさんよろしくおねがいします!』。」
上ノ瀬「おっと置いていかれるなとっとかーえろ」
▶曜灯と上ノ瀬も眩しい光が出たかと思うと姿が見えなくなっていました
楠戸「おい……。あいつらさっさと消えたぞ……」
鷹見「はっ、俺たちは捨て駒扱いってことか」
中田「――取り残された俺らはこの崩れて行く空間をあっちに走ればいいのか?冗談きついなぁ」
楠戸 「おっさん、時間はないがさっきの変な液体で治せないのか?」
中田「……時間的に3回だ、一人一回で文句言うなよ」
▶星名 スターサファイア
▶中田 ヒール 鷹見楠戸中田
12回復 11回復 14回復
▶星名 回復薬 牛乳
星名「俺も何か……これだけか!」
鷹見「たすかr、うわっなんで顔に……。しかしすごいな、まるで魔法じゃないか」
楠戸「気色悪いが……治るんだよなこれ……」
星名「……走るしかないのかっ」
鷹見「ふー……こんな訳のわからない場所じゃ死ねないよな。ここで死んじゃ一人にさせちまうもんな。だからよ、意地でも生き残れよ。鷹見蓮!」
楠戸「汚っさん、せっかく治してくれたんだ。ラーメンぐらい奢らせろよ! 自分だけ埋まるんじゃないわよ!」
中田「オヒョヒョ!それは夜のお誘いってことでいいんだね♡ラーメンでも〇ーメンでもいくらでもごちそうしてあげるからね♡」
▶脱出判定
[星名]計20ダメージ
[鷹見]計22ダメージ[ヒーリングバレット]
[楠戸]0ダメージ
[中田]計42ダメージ
▶中田 致命傷判定
失敗
▶中田は崩壊する誰も居ない空間に一人、倒れ伏し、尊厳を失うも、元々なかったことに気づいて終わった
中田「あと……少しだったんだがなぁ」
楠戸「いつもより身体が軽いな……ドミノのおかげか――」
▶楠戸が振り返った先で、中田が取り残されたまま悪鬼が消滅します
楠戸「――おっさーーーーん!!!!!」
――白雨市 市街地と路地裏の狭間――
▶曜灯達が先に戻ってこれました。時間もすっかり陽が落ちていますね
曜灯 「……戻ってきませんね」
清浦「ウールちゃんありがとうね」
ウール「お姉さんはついてるね!何と言っても今日わざわざ追加で買っておいたのは在庫が無かったからで、在庫がなかったのは私が注文リストに0を一つ少なく書いてしまったからで、ああ!蝶はこんなとこにも居るんだね~♪」
清浦「うん、とにかくありがとう……」
星名 「……ふはぁっ。はぁ……、はぁ……、ふー……」
鷹見「なんとか、戻れた、か……」
灯風「はぁ……ふぅ。よう戻ってきたなガキ共。これで夜叉として1人前だ」
星名 「……夜叉?」
上ノ瀬「一つこなしてすぐ一人前はまだ早いだろ。少なくとも俺はまだだ」
曜灯「あれ、さっきのへんたいさんは……?」
楠戸 「……」
▶楠戸はドミノを地面に降ろし、何もなくなった虚空を見つめています
星名「……戻って、来れないんですか」
笠岡「……お疲れ様でした。こちらが報酬の45万円と150ベルになります。こちらのベルで悪鬼の中の装備や自分の本質を高めることができます」
▶笠岡は封筒を手渡していきます
楠戸 「……だよ」
星名「……っ!こんなの!こんなのおかしいですよ!?何も知らない人だったのに、何一つ分かってなかったのに!なんで……!あんたたちはなんなんですか!?」
楠戸「……なんなんだよ!!おまえら!!ふざけんな!!」
▶楠戸は笠岡に殴りかかるが、笠岡はさらりとかわします
笠岡「僕たちは夜叉です。多を救うために個、つまり僕たちが犠牲になるわけですね。ま、蝶が見える時点で強制だったんですが」
楠戸「知らねえよ!何が見えるからだ!関係ないだろ!」
笠岡「見える時点であなたは既に当事者なのです。それでも、というのなら……じゃあ死んでもらわないといけません。――悪鬼を潰せるほどの有能株をなくすのは心痛いですが、これも紅葉の掟なので」
▶笠岡はいつのまにか大きな鎌を構えます
楠戸「てめえらの掟なんか知るか!勝手に巻き込みやがって!おっさんが……クソみたいなおっさんだったが……それでも私を守ってくれたんだ!」
清浦「待ってよ」
清浦「それはひどいでしょ……」
鷹見「そこら辺にしておけよ。確信犯なのは気に食わないが、やり方ってのがあるだろうが」
灯風「わりいな君たち。やり方は関係ないんだ……。どの世界でも秘密組織っていうのはそういうものだ。子供じゃないんだからわかるな?」
星名 「犠牲……。それじゃあ、あの女の人は救われたって言うんですか……?それが、あなたたちは分かるんですか……」
笠岡「あの女に同情して悪鬼を潰さない場合、この辺一帯は自殺者で溢れ返るでしょうね。犯罪も増える、小競合いも増える、喧嘩も増える。未練を解いたくらいで得る成果にしては上等でしょう。1人を犠牲にして500人が救える」
清浦 「そういうトロッコ理論はあんまり好きじゃないです」
鷹見「さぞかしお強い二人ならこんな会話もせずに始末できるでしょーに、わざわざおしゃべりするってことは、どうせまだなにか隠してるんだろ」
灯風「そりゃあ隠してる。こんな死亡率の高い組織、常に人手が足りないんだ。殺さなくていいなら味方にしたいくらいだ」
笠岡「ただ、このことを迂闊に知り合いとかに話されて概念が変わるのはもっと困るんですよ」
星名「……俺にはわからないですよ。それを分かってるなら、それならあなたたち2人がどっちかがいてくれるだけでも、あの人は死なないで済んだかもしれないのに……」
清浦 「でも……私も襲われましたし……。身を守れる方法がさっきのだというのなら……受け入れるしかないとは思います」
灯風「――そもそも、俺たちが助けないといけない時点でそいつは足手まといなんだ。そいつのせいで全滅したらどうする?人手不足なのに拍車をかける訳にはいかない。やーっとガキ共を使える程度まで仕上げたんだ。発言権は俺にも、お前らにもないんだよ」
星名「あなたにも……?」
楠戸「おまえらの妄想なんか知るか!おまえの都合なんか知るか!おまえに巻き込まれる筋合いもねえ!」
笠岡「そのとおりです。偉そうにはしていますが僕も灯風も下っ端でして。――そちらの女は申し訳無いが処理しないといけないみたいですね。あーあ残念ですよ」
清浦「待ってください。そういえば……さっきの女性、背中を刺されていました」
清浦「――あれ、私が襲われた犯人と同じってこと……だったりします?」
灯風「そうか。背中を刺されたのか。同一犯の可能性が高いのか」
曜灯「あの……、今日は一旦皆さん帰りませんか……?喧嘩する気持ちもわかりますけど、このままだと誰も納得しないまま終わらなくなっちゃいます……」
曜灯 「一回落ち着いてからもう一回……」
笠岡「そうですね。みなさんはお帰りください。裏路地紅葉で後日追加で報酬の金額をお渡しします。場所はわかりますね?文句がある場合僕にどうぞ。処理をさせていただきます」
星名「――なら、あなたたちに力を貸すことが、それが俺のやるべきことになるんですね。路地裏紅葉、行かせてもらいます」
上ノ瀬 「ひかり……って言ったっけ?お前も運が悪かったな。まあ、俺も同じく運が無いからよ、なんとかなると思うぜ」
曜灯 「はい……。あ、えっとそう言えばお名前聞いてませんでした。なんて呼べばいいでしょう?」
上ノ瀬「俺か?
曜灯「はい。上ノ瀬さん、よろしくおねがいします」
楠戸「……」
楠戸「ハッ……。もうどうでもいいわ……おっさんはおっさんが選んだ末で死んだんだろ。てめえがてめえの勝手で私を処理?とかするように」
楠戸「だったら今だけ従ってやるよ!てめえより強くなっててめえを私が処理してやる!」
灯風「処理できるくらい強いと俺達も犠牲者増えなくてすむんだけどな。よっしゃガキ共帰るぞ。嬢ちゃんも家まで送ってやる」
曜灯「あ、いえ、大丈夫です。近くなので。今日はありがとうございました」
灯風「そうか……。気をつけてな」
ウール「人間は大変だねっ、線路はどこまでも続くし止まれないのに……ああ!だから皆歌でも歌って長く長くなが~く仕事して止まらなくしちゃったんだね!けどウールは歌なんて歌う必要ない!それってとっても幸せ者って事にならないかな?」
ウール「ならないか~えへへー♡」
灯風「おいまて。夜はあぶねえんだぞ!」
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