鬼ノ説明

菜紬菜の独り言は終わり、眠りに落ちたところだ。

 一郎丸と氷柱は部屋で構え、新助は吉丸と猛蛇を連れて歩いている。

 威吹鬼と健斗は喧嘩が始まりそうな雰囲気で止まっていて、和香は寝ている。無論、郡治や海翔、七奈三郎、トラも寝ていた。


 ここまで、『妖怪ノ鬼』を投稿してきたが、鬼と言う妖怪を理解することができただろうか。

 話が長すぎてよくわからない、という読者はここで『妖怪ノ鬼』を説明しようと思う。そんなのわかってるよ、という読者はこの説明をとばしていただき、次の投稿の内容から見てほしい。なお、本文には、まだ鬼について知らせていないことを書いていくので、僕的には見ておいた方がいいと思う。

よろしくお願いします。


〈説明〉~鬼という名の妖怪~

 鬼は宝を守る役として、古くから存在していた。とは言っても、平安時代からだが。

 鬼が存在した当初の中で、最も強い鬼の四家が四方に散らばり、その宝を守る役を担った。

 玄武の魂を彪禰小路家が、朱雀の魂を七扇家が、青龍の魂を氷堂家が、白虎の魂を蘭家が、それぞれ北、南、東、西に散らばり守った。

 中央の霊獣、麒麟の魂は誰が守ったのか。麒麟はその頃、生きていたという。

 つまり、守る・守られることには至らなかったそうだ。

どういう経緯いきさつかはわからぬが、今は魂と化し影狼組のどこかにあるという。

 話を戻すが先程の四家は今もなお宝を守っている。



 鬼は必ず自分の能力を持っている。

 氷柱の場合『言霊血操術』、菜紬菜の場合『八神思想・天空術』、和香の場合『心・透視術』、一郎丸の場合『神通力』が鬼としての能力だ。

 氷柱と菜紬菜は鬼族四神家の血を受け継いでいるので、鬼としての能力は強い。

 半妖も一応能力は持っているのだが、体力の消費が激しく、暴走してしまう可能性が大きい。

 だから氷柱は半妖なため、その力は半減されている。

 この能力は遺伝されているというが、詳細は不明だ。もしかすると遺伝ではなく、その鬼に合っている能力が体に生まれ持っているのかもしれない。



 能力、いわゆる術を使うには、それなりに体力が必要だ。人間は体力を消費すると喉が渇いたり、お腹が空いたりするだろう。鬼も同じなのだ。水を飲んだりご飯を食べたりする必要がある、これは人間と同じ。

 では、人間と異なる点とは何か。

 鬼は人間の血を主食・主菜とし、人間の食べ物を副菜とする。食事をとらず、術を続けて使うと最悪暴走する。これは半妖に多いことだ。

 人間の血を飲むということは、人間の敵であるということ。影狼組には鬼がいて、人間がいる。人間の敵である鬼が、一緒に隊務を果たすことができるのか。

 これからの影狼組での生活の様子を見ていてほしい。



鬼の術には、まことまぼろしあらわしかくしない、の種類がある。


【真・幻】

真、その術が実体で起きている。

幻、その術は実体で起きているのではなく、幻で起きている。


【現・隠】

現、術が外にあらわされていて、目で見ることができる。

隠、術が外にあらわされておらず、目で見ることができない。


無、術について以上のことがない、またはすべてある。

真⇔幻 現⇔隠


 術が外にあらわされている、あらわされていない、という意味について。これは術を使うときに鬼の容姿になっているか、なっていないかの判断である。無論、鬼の容姿とは角が生えており、牙爪が鋭く、目が血の如く紅く染まっているときのことだ。


言霊血操術は術が実体で起きていて、術は外にあらわされている。

→真現

八神思想・天空術は術が実体で起きていて、術は外にあらわされている。

→真現

心・透視術は実体で起きているわけでもなく、幻でもない。かつ術は外にあらわされていない。

→無隠


 上のように術は分けられるのだ。鬼に限らず、他の妖怪の術でも分けることができる。



 鬼はどちらかというと夜行性である。だが、どちらかというと、なだけなので特にはない。

 ここは人間と同じなのではないだろうか。その人の体質によって朝が好きか嫌いか、昼が好きか嫌いか、夜が好きか嫌いかは全く異なることだ。

 鬼もまた同じ。その中で、鬼は夜を好む者が多いというだけだ。半妖は――それも個人個人なため、詳細は不明だ。



 鬼は人間が生まれた後、平安時代から存在している。鬼は人間が邪気にまみれ、姿を変えた化身と言われており、災いや争いをもたらすと言い伝えられてきた。

 そんな妖怪・鬼がなぜ宝を守る役を担ったのか。鬼は確かに人間共に災いをもたらした。

 だが、争いを起こしているのは人間自身である。世の中が進化し、生活が豊かになっていくにつれ、争いが絶えなくなった。

 鬼は鬼同士で争いを好まない。そして皆が皆、歳を取らない。寿命というものが鬼にはないのだ。だから殺し合っても意味がない――無論、命はあるし、必ずどこかで命は尽きる。命のことは後で話そう。

 先程の話に戻るが、鬼は鬼同士で争いを好まず、かつ皆が永生きなので鬼に宝を守らせた、というわけだ。これを命じたのは天界にいらっしゃるという神様だ。何を司る神かは知らぬが、鬼たちにこう言ったという。

『これらの魂を貴公らに託す。東西南北に散らばり、この宝を守護するのだ』

 神からの命令だ。抗うものはいない――というわけで、鬼が宝を守るようになったのだ。


 先程、鬼は鬼同士で争いを好まないと言ったが、吉丸と氷柱は戦っているじゃないか!鬼同士なのに!、とお思いの方がいるであろう。

 このご時世、時流に抗う者もいる。つまり、通常ならばあり得えないことが、時世の波によってあり得てしまうという現象が起きているのだ。

 今は戊辰の戦の初めごろか。

 その前の京の都では、侍が急増し、我は尊王攘夷だ!我は長州藩士だ!、とか言って辻斬りが絶えなかったという。

 幕府が浪士を集め、結成した新選組だって、元は百姓の近藤勇や土方歳三が束ねたと言うではないか。

 時代が動くとき、世は狂ってしまう。人間の世が狂ってしまうのと同時に、妖怪の世も同じく狂ってしまうのだ。

 健斗や氷柱、新助などが来てしまった時代、一郎丸や菜紬菜、和香などが生きている時代はそんな狂い咲いた花の中にある。次々とあり得ないことが起こっていく時代なのだ。

 予言、想像通りの筋書きになんか世は進まない。進むわけない。



 鬼の命について話そう。

 鬼の心臓部には、1つの珠がある。これは通称『鬼の宝玉』と言われ、これが鬼の魂と言える。

 この宝玉は脆い。とにかく脆い。人間の命のように。これが壊れてしまうと、さすがに鬼だって死ぬ。だから、分厚い肉に囲まれている心臓部にあるのだ。

 純潔の鬼はこの宝玉を心臓から取り出すことができる。無論、この時に壊れてしまえば元も子もないが。

 半妖は取り出すことができない。人間の血が流れているからだ。

 鬼はこの宝玉を壊せば、命も尽きる。半妖は心臓を貫かれれば、大抵死ぬ。心臓から宝玉を取り出すことができないがゆえに、半妖は不利なのだ。

 純潔の鬼は心臓を貫かれたとしても、そこに宝玉がなければ何度突かれたって死にはしない。こちらの方が有利に決まってる。


 鬼の宝玉に色気はあるのか。

 北に分布する鬼は漆黒の宝玉、南に分布する鬼は深紅の宝玉、東に分布する鬼は青緑の宝玉、西に分布する鬼は純白の宝玉。それぞれ、四獣の象徴とする色だ。



 鬼についての話は終わりだ。(たぶん。抜けているところがあるかもしれないので、その時には別の部で話そうと思います)

 鬼という名の妖怪、わかっていただけただろうか。

 ご不明な点等があれば感想のところに書いていただければありがたいです。

〈終〉


〈次回予告!〉


「お休み、健斗」


「何だ、犬」


「九尾弧が死ぬまで、だな」


「二日…酔い?…」


「キっキス、しただろ」


「何が、内緒なの?」


「…どうやって殺すつもりですか」


謎の男、現る。

各自それぞれ夢へと落ち――日が昇った。

新助を起こすために氷柱が――をやったことを知ってしまった菜紬菜。

自分もやって起こしてみる、と和香の部屋に入り――?

朝風呂とへ参る。

次回をお楽しみに!


読んでいただきありがとうございます。

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