えっちなシーンは自分の小説に必要?



 今回はタイトル通り、自分の小説にえっちなシーンは必要か否かという話。

 あくまで私の小説についてなので、一般的に百合作品にそういうシーンはいるのか? という話ではありません。

 そこは書き手、読み手それぞれに好みがありますから。

 このエッセイを読んでくださってる方は私の小説も読んでくださっていると思うので、分かるかと思いますが、私は基本的にえっちなシーンは書きません。

 二人がそういう関係にあることは書いても具体的にそのシーンを描写したりはしません。

 書かない理由の最たる理由はまず初心者だからです。百合小説を書き始めてまだ一年半くらいで、えっちなシーンを書くのはなかなか勇気がいります。いりませんか?

 そもそも百合の前はホラーとか書いてた人間なので、その手のシーンを書いた経験がないのです。

 日常シーンだっていつも、この表現は変じゃないかな? このセリフは自然かな?なんて手探りで書いてますから。

 いきなりえっちなシーンなんて書けるわけがありません。

 性的な内容ってあまりにプライベートすぎて、読み手の大多数の人に不快感なく書くのにはスキルが必要です。しかし初心者の私にそんなスキルなどあるわけなく⋯⋯。下手に手を出すよりぼかしておくのが、失敗しなくていいかなと。

 

 

 2つ目の理由は色んな意味で難しいからです。性的なことって許容範囲が人によって違います。敏感な部分なので、書き方一つで駄目にしてしまいかねないわけです。

 例えばキスシーン一つ取っても、このシチュエーションは好きだけど、あのシチュエーションは何か受け入れがたいなってことだってあります。

 読み手がいれば、その読み手の数だけ、受け入れられるもの、受け入れられないものがあるわけです。

 百合(恋愛)小説は好きだけど、えっちなシーンは求めてないって人も多くいます。

 どこかに合わせれば、それが合わなくて嫌な気持ちにさせてしまうこともある。

 誰もが楽しめるように書くのはすごく難しいです。

 何よりキャラクターのイメージを壊す可能性もあります。

 例えば私の小説で最も長い話「冴子さえこさんと私」。

 この二人がそういう関係を持っていることは描写しているものの、具体的な行為の場面は書いていません。

 登場人物である冴子と奈津なつがお互いにどう触れ合っているかは、作中では謎のままです。

 私の中では、ある程度イメージはありますが、それが果たして読み手にとって、納得できるようなものかは未知です。

 はっきり書くよりは、あえて書かないことで読み手側に好きなように想像してもらえればいいかなと思っています。

 冴子と奈津は好きだけど、えっちなシーン見たくない! という方もいるでしょう。

 そんな方は別に想像なんてしなくていいわけです。でも私が書いてしまったら、そうもいかないですよね。

 そのシーンひとつで、下手すれば今まで楽しんでくれた人が離れる可能性はもあるわけですから、私にとってはかなりリスキーです。

 なのでいわゆる朝チュンぐらいにしておくのが、ベターかなと思うわけです。

 

 

 三つ目の書かない理由は、書く上で性的な触れ合いをそこまで求めてないというのがあります。

 私が個人的に好きなシチュエーションはバックハグです。漫画でも小説でもこれが一番きゅんと来るんです。

 肉体的にがっつり絡んでるより、ハグとかの方がときめくんです。

 あとは二人ともお互いどんだけ好きなんだ、と分かる会話ややり取り。

 そういう方が書いてて楽しいんです。

 あんまり「よし、えっちなシーンを書いてやるぞ!」とはならなくて。

 書いてる本人が楽しみを見出してないものを書けるわけがないわけで。

 私自身が読み手になった時は別にえっちなシーンがあっても気にはなりませんし、許容できる内容なら好きではあるのですが、書くとなるとそこまで自分のキャラクターやストーリーには求めないことがほとんどです。

 私は百合を書く上で二人の関係を見せたくて書いているので、そこに過度に性的なシーンがあると、自分が伝えたいものが薄れる気がしています。

 肉体的な触れ合いも二人の関係の一つではありますが、性的なシーンって目立ちやすいので上手く話に溶け込ませるにも技術やセンスがいります。

 あれこれ書きましたが、以上の理由により私は自分の小説に関してはえっちなシーンはなくてよいと思っています。

 とは言え、登場人物たちに肉体的な関係一切ありませんとするつもりもないです。

 このあたりは話や二人の関係性にもよりますが。

「百合は美しくて綺麗なものだからプラトニック以外は許さない」という人たちが以前はよくいました。今はそんなに見かけなくはなりましたが。

 同性愛がフィクションにしか存在しないなら、別にそういう考え方でもいいですが、そうではないわけで。

 だからやたら百合を神格化したりするのはどうなんだと思うわけです。

 もちろん現実でも非現実でも、当人同士がプラトニックでいたいと思っているなら、それは尊重されるべきことです。

 ですが第三者が百合はプラトニックでなくちゃいけない、と決めつけるのはどうかと思うのです。

 そういうことを自分の作品に求められるのも嫌なので、私はちゃんと肉体関係があるキャラクターに関しては作中で触れることにしています。

 どんなことにしても、自分にとって必要なら書くし、必要ないなら書かない。

 それに尽きますね。

 このお題で書くのはなかなか難しかったです。

 

 

 

 

 

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