名付けは悩ましい

 小説を書いていると名前を付ける作業が発生します。小説のタイトル、登場人物の名前。

 特にタイトルは毎回毎回悩んで決めて、それでも「このタイトルで良かったの?」と思うことがほとんどです。

 正解のタイトルがどんぴしゃで出てくれたらいいのですが、なかなかそうもいきません。

 一番最初に書いた小説「たとえ身代わりでも愛されたい」は当初「Replace《リプレイス》」というタイトルでした。更にその前は「義姉ねえさんと私」。

 それだとちょっと味気ないし後述する「冴子さえこさんと私」と被るので、ない頭をひねって、「入れ替わりたいみたいな話だからそれに因んだ英語にしよう」と思い「Replace」にしました。

 だけど後々、タイトルは分かりやすく日本語にした方が読んでもらえやすくなるかも、と思いまして今のタイトルに変更しました。

「冴子さんと私」は仮でつけたもので、ちゃんとタイトルを考えていたのですが、投稿する際に変え忘れてしまって、ここのままでいいかと変更しなかったため、そのままになりました。

 取り敢えず困ったら「○○と私」にしておく私です。

 3つ目に書いた「好きでいてもいいですか?」は書きながら考えてはいたものの、ピンと来るようなものが浮かばず。

 校正している時に主人公の莉奈りなのセリフがタイトルにできそうと思って、そこから付けました。

「生け贄と鬼」なぜ生贄ではなく生け贄なのか。特にこだわりがあるとかではなく、当時使っていたスマホだと「いけにえ」と打ったら先に「生け贄」と出たから。それだけです。 

 私の場合、基本的にタイトルから考えることはほぼなくて、書いてる時に思いつくか、書き終えてから考えるかのどちらかです。

「ラブレター」だけは例外で、このタイトルで百合を書くなら? が発想の原点だったのでこれだけはタイトルからです。

 自分の中で「よくできた」と思える命名はなくて、小説一覧を見るたびにもっといいタイトルがあったのではと思います。

 なるべく小説の中にある要素を使ってつけていますが、タイトルを決めるのは苦手で難しい作業です。

 ふとタイトルらしきものが浮かぶことはあるので、思いついたらメモをしておいて、いつか使えるようにするのが理想としてあります。

 しかし私はすぐに考えがあちこちに飛んで忘れてしまうので、なかなか実践はできていません。

 

 次にキャラクターの名前ですが、小説を書き始めた頃、私はなるべくルビがなくても読める名前にすることにしていました。

 読みやすい名前の方が読んでくださる方も親しみやすく、覚えやすいというのもあるのですが、当時投稿していた場所はアプリからだとルビがカッコつきになってしまったんです。(今はアプリにもルビが実装されました)

 花子はなことしたいのに花子(はなこ)となっていたわけです。

 私はアプリで確認することが多かったので、どうしてもルビにならないのが嫌で。

 よく分からないこだわりを持ってしまった私は、一発で読める名前を考えていました。

「不良先輩とお嬢様」の登場人物、灯花とうかはどうしても一般的な名前じゃないこともあって、変更も検討しました。

 ですが自分の中で灯花がはまっていたため、作中の冒頭で灯花が自分の名前を説明するシーンを入れました。これならルビなくても伝わるだろうってことで。

 私は譲ればいいものを時には譲らないとう頑固なタイプなので、折衷案としてこうなりました。本当に今思うと無駄なこだわりですね。

 カクヨムはルビ機能あるので、その辺の心配はしなくていいのが楽です。

 

 その他に名付けでのこだわりはなるべく身近にいそうな名前をつけることです。

 百合なので基本メインの登場人物は二人です。片方珍しい名前にしたら、もう片方は馴染みのある名前にすることにしています。

 あとは登場人物の年齢に名前を合わせることも心がけています。

 子供の名前ランキングサイトを見て、主人公が25歳なら2021年時点では平成8年生まれなので、平成8年のランキングから名前を決めたりするわけです。

 同年代の人が読んだ時に、身近によくいる名前だと親近感が出るかなと。

 年の差ものを書くことが多いので、名前で世代感なども出せると分かりやすくなる気がしています。

 よくある名前をつけることで、女同士の話は身近にあるものとして感じてほしいというのもあります。

「初恋の女の子と同じ名前」「片想いしていた先輩と同じ名前」「元カノと同じ名前」とかそういう身近さを出したかった。

 前述のセオリーとは違う、思いついた名前にした、というパターンも多々あります。

 

 投稿作品から名付裏話をいくつか。

『冴子さんと私』

 登場人物は高野たかの冴子と藍田あいだ奈津なつ

 冴子はツンツンしててとっつきにくいキャラクターなので、名前もクールな感じにしたかったんです。それでぴったり来る漢字が冴だったので冴子にしました。

 奈津は最初に書いた時点では名前がなく、書き直している時に必要になったのでその場で考えました。

 書いていた時期が夏だったので、なつでいいか。字は分かりやすく奈津にしよう、みたいな。すごい適当ですね。

 名字は思いついたものをそのまま付けました。

 冴子の姉の薫子はツイッターのアンケートで決めました。4つ候補を出して一番多かったが薫子でした。

『恋する理由』

 登場人物は河合かわい理子りこ高橋たかはし由茉ゆま

 理子は落ち着いた雰囲気を出したくて、最初は璃子も考えたんですけど、39歳なので年齢的には理子の方がしっくり来る気がして、理子になりました。

 由茉は祐茉とか友茉あたりが候補だったのですが、読みにくいかなと思ってシンプルに由茉になりました。

 結果として二人の名前を合わせると「理由」になってタイトルにもかかるので、ちょうど良かった気がします。

 二人ともそこまでありふれた名前ではない気がしたので、名字は日本に多いものの中から選びました。

『好きでいていいですか?』の由佳ゆかと莉奈、『歪な関係』の美咲みさき紗耶夏さやかは前述のランキングの中から名前を選びました。

 紗耶夏はちょっとひねって紗耶香の香を夏にしています。

『蝶は花を愛でるのか』

 登場人物は緒川おがわすみれと立羽たては瑠璃子るりこ

 すみれは最近女の子の名前として人気らしいのと、花の名前からつけたかったのですみれにしました。

 立羽瑠璃子はルリタテハという蝶の名前を文字ったものです。

『先生たちの夜』

 登場人物は江井えい智子ともこ備前びぜん紗世さよ

 この話は私がふと浮かんだネタをツイートしたのが元になっています。

 その時のツイートはこちら。

『校内で数少ない独身の女教師二人

周りの教師から「いっそのことA先生とB先生が結婚すればまとまるのに」などとよく冗談を言われるが

実は本当に付き合ってるA先生とB先生の百合』

 特に名前とかは決まってなかったので仮でA先生とB先生にしていたので、それを名前っぽくして江井先生と備前先生になりました。 

 

 だいたいこんな感じでキャラクターの名前は決めています。

 最近は少し変わった名前にしがちなので原点に戻って、身近にいそうな名前にしたいなと思っています。

 

    

 

 

 

 

    

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