エピローグ
10ヶ月後
虫取り網に虫かご、そしておにぎりを用意してソファーで本をよむ。いつもなら工作室にこもりっきりだが俺のボトルビューは全て売り払ってしまい、工作室ははもぬけの殻だ。
ピーンポーン
インターホンがなる。別荘のくせにインターホンがあるなんて金持ちだなと思いながら俺はドアを開ける
「おじさんこんにちは!」
「こんにちは、」
工作室を覗いて雄也が言った
「あれ?いっぱいあった瓶は?」
「あー あれ全部売っちゃった あはは」
「え?なんで?」
「あれがなくても、思い出は全部ここにあるからさ」
そう言って胸を叩いた。自分ではそれなりにかっこいいことを言ったつもりだが雄也は首を傾げている。
「よし!じゃあ行こうか」
「うん」
7月の前半、俺と雄也は虫取りに出かける。昨日のうちに仕掛けておいたトラップを回ってカブトムシを見つける。
お昼には2人でおにぎりを食べる。もちろん消毒は忘れない。
「このクワガタすごいね」
「これはノコギリクワガタだな、おっ時間だしそろそろ戻るか」
「うん」
虫取りの知識は雄也に片っ端から教えた。まぁ生物のテストはこれで満点だろう。
「いつもありがとうございます」
深々と頭を下げるのは雄也の母だ。一年前のあの日、あの後雄也を家まで送り届けると、そこで晩御飯をご馳走してもらい雄也の家族と仲良くなった。また来年ここに来たら遊ぼうと約束をして今に至る。
「よしそれじゃあ花火行くか!」
今日は岐阜県飛騨市の花火大会の日
「たーまやー」
街の上で輝く花火を見て思う
今年も夏が始まった
あの夏のボトル 加藤 カナエ @nagai_y
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます