第25話 [三人でお出かけ]

 吹雪と月見里さんも無事に目を覚まし、早速出かける準備をしていた。


「日菜、あなたもう大丈夫なの?」

「心配ご無用でございます。先程精神安定剤とレバーを摂取させていただきました」


 月見里さんと白銀さんがそんな話を耳に入ってくる。

 月見里さん……何か病気を持ってるのかな。大丈夫かな。


「七美様……いえ、七美お嬢様。参りましょう」

「うっ……すごい違和感……」


 再び白銀さんの車に乗り、車に揺られること数分、最寄りのショッピングモールに到着した。

 目的の店に向かっているのだけれど、ものすごく視線を感じる。


「ねえあの子見て! 真ん中の銀髪の子! めちゃくちゃ可愛くない!?」

「あれは人間なのか……?」

「天使」

「やばい、鼻血出てきた……あと貧血で倒れそう……」

「我が家に欲しい」


 何やら周りからチラチラと見られ、さらにボソボソと聞こえない程度で話しをしている。


「こ、これバレてない? 大丈夫?」

「安心して! なーくんの変装がすごすぎてみんな見惚れてるだけだから」

「お〜!」


 でもおかしくないならなんでだろう?女装している僕より断然美人な吹雪や白銀さん、月見里さんがいるのに。


「今日は美味しいものを食べたり、いろいろ楽しみましょう」

「ミッションは?」

「え? あ、えーっと……。そ、その変装がバレずに無事家に帰れたらミッションクリアよ」


 そういうことなんだ。僕はバレないように三人の同行者。


 あとなぜか春渼さんと雪がほっと息を吐いていた。なんでだろう?



「それじゃあ最初は甘いものでも食べに行きましょう!」





 ついたのは今有名な喫茶店のようなおしゃれな場所だ。中へ入ると、女性の方が挨拶をしてくれたる。


「いらっしゃいまs――んぐっぁっ!! ……失礼……い、いらっしゃいませぇ〜……」


 なぜかその人は顔を真っ赤にし、こちらをチラチラと見ていた。


「それじゃああそこ座りましょう」

「わかった」


 座ったのはソファがあり、ちょうど四人ぐらい座れるところだった。


「おー! いっぱいあるね!」

「七美ちゃん可愛いネェ。おじさんが奢っちゃうヨ^^」

「吹雪どうしたの?」


 吹雪が変な口調で僕にそう告げてきた。


「ワタクシはこのチョコレートパフェで」


 一番最初に決めたのは白銀さんだった。

 次に吹雪が『プリンアラモードとフルーツてんこ盛り』というおいしそうなものにしていた。

 メニュー表の値段部分を見ながら財布を確認しようとしたのだけれど……。


「僕……財布ズボンに入れたまんまだった……」


 所持金ゼロ円……これじゃにも買えない……。


「全然! 私がおごってあげるわよ!?」

「いいえ、ワタクシのこのブラックカードで何円でも買って差し上げます」

「白銀家から頂いている給料全てを叩いてこのヒナ、何品でも買って差し上げます」


 財布をヒラヒラと見せびらかしていた。


「えっ!? いや流石に大丈夫だよ、でもありがとう!」


 僕は二人に向かって笑って返事をした。


「「「「はうっっ!!!」」」」


 今現在、この喫茶店にいる人物ほぼ全ては今の七美の笑顔にやられたのであった。


「じゃあ買えるこのパンケーキにする!」


 無事に注文を終え、そのまま話をして時間を潰した。





「お待たせしましたー『チョコレートパフェ』と『プリンアラモードとフルーツてんこ盛り』と『蜂蜜たっぷりパンケーキ』でございます! ごゆっくりどうぞ。本当にゆっくりして行っていいですから!!」


 なぜか店員さんは強くゆっくりしていくことを勧めていた。なんでだろう……?


「わぁ! 蜂蜜がいっぱい!! 僕こんなの見たことないよ!!」


 持ってこられた料理は宝石みたいにキラキラと輝いていて、お腹がぐぅーと鳴った。


「ああ……ワタクシ、もうお腹いっぱいかもしれません……」

「同感でございますお嬢様」

「なーくんこっちむいて〜! きゃ〜〜!!」



「え? 三人とも一緒に食べようよ〜」

「「「もちろん!!!」」」


 まだ食べてもいないのになぜかお腹いっぱいなんて……。何か食べてきたのかな?


「いただきまーす。ん!? 美味し〜♡」

「「「「「いただきましたあぁ!!!」」」」」

「うわっ!?」


 突然店中が騒音に包まれたので、ついビクッとなってしまった。


「何!? 今の……」

「いいのよ七美、気にしちゃミッション失敗よ」

「はっ!? そうなんだ……。あ、ねぇ吹雪、これよかったら食べる?」

「「えッ!?」」

「それはーえーと、いわゆる『あーーん』……ってコト!?」


 あーんとは言ってなかったけど……まあいいか。


「じゃあはいっ、吹雪。あーん」

「あ、あーーん!! こ、これ…こんな美味しいパンケーキは食べたことないっ!!!」

「そうでしょお」


 僕はニッと笑って雪に答えた。


「ご馳走さまでしたぁ!!!」


 雪が突然バタッと机に突っ伏してしまった。


「え!? 吹雪!!?」


 雪最近よく倒れる気がする……。本当に大丈夫なのかな……?

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【改訂版】寝ている姿が可愛すぎる男子とそれをバレないように愛でる女子達 〜尚、本人は何も知らない〜 海夏世もみじ @Fut1

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