第23話 [女装をしよう!②]
※月見里日菜が白銀紅蘭を呼ぶとき、「ご主人様」と呼んでいましたが、「お嬢様」呼びに変更しました。
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吹雪と他の二人は最初ピリピリしていたけれど、今ではなんだか仲良しになっている。
でも、なんだろう……。さっきから寒気がするような……。
「さて。それでは早速、七美様の家までお送りしてもらいましょう」
月見里さんが高級そうな車のドアを開け、僕たちが車に乗るのを待っている。
こんなに高級そうな車初めて乗るなぁ……。っていうか、白銀さんってすごいお金持ちだったんだ!
「ささっ、なーくん乗った乗った!」
「わっ、引っ張らないでよ〜」
吹雪に引っ張られ、高級車の中に乗り込んだ。
「白銀さん。それで……策って具体的にはどんなことをするの??」
「えっとね……七美くんには、女装をしてもらおうと思ってるの……」
「…………えっ!?!?」
じょ、女装? 僕が!? そんなのしたことないし恥ずかしいよ!!
「い、嫌だよ女装なんて!!」
「七美くん、これは〝極秘ミッション〟よ。女装は変装ということよっ」
ふふふと笑いながらそう言ってくる白銀さん。
「ご、極秘ミッション……!?」
その単語を聞いた途端、僕の胸が高鳴る感覚がした。
理由は単純。僕はスパイ系の映画が大好きだからだ! 秘密の組織へ潜入や変装してアジトへ侵入などなど……。
そんな面白そうなこと断れるはずがない!
「やろう! やりたい!!.」
――この時、七美はとびきりの笑顔で、サファイア色の目を輝かせながら三人に言った。
もちろん、三人の鼻血は必須であり、鼻を抑えて耐えていた。
「ぐゔぅ……可愛い……」
「耐えるのよワタクシ……」
「お嬢様……ヒナはここまでのようです……」
グデっと椅子に体重を預け、幸せそうな顔で目を閉じている月見里さん。
「や、月見里さん!? なんか急に元気無くなっ……無くなった? ぐったりしてるけど大丈夫なの!?」
「大丈夫よ、七美くん。ただの発作だから」
「そ、それ大丈夫なやつなの……?」
七美が気を取られている間、吹雪と紅蘭はコソコソと話を始める。
「にしてもあなた、上手い具合に誘導できたわね。なーくんが好きなスパイもので釣るだなんて」
「まあ、私はスパイものが好き同士で仲良くなったのでうまく使えました」
「でもなーくん、チョロすぎて心配になるのよねぇ……」
「あー……確かに。そこが可愛いかったりするんですけどねぇ」
七美にデレデレな二人は、七美の可愛いポイントというトークに花を咲かせていた。
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月見里さんの心配をしていると、目的地に到着したらしい。その場所は吹雪の家だった。
「さて、それでは参りましょう」
月見里さんがウキウキしながら先陣を切ってそう言う。とりあえず元気そうで良かった。
「ここで変装するんだね!」
僕も切り替えて、吹雪の家に上がった。その家の中の一室の、鏡が目の前にある椅子に座らせてもらった。
「さて、と。じゃあ始めるよ、なーくん!」
「お、お願いします……!」
早速開始するのかと思ったけれど、三人で集まり、化粧品を見比べながらブツブツと相談をしていた。
やっぱり変装って大変なんだなぁ。
(……ってあれ? なんだか眠いかな……。この椅子座り心地良いし、薄暗くてさらに眠気が……)
そう思った頃には、もう既に夢の中に誘われていた七美であった。
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―吹雪視点―
「う〜ん……」
私は悩んでいた。
元々超可愛いなーくんに化粧をするということに。化粧をしてしまうことで、なーくんの元の可愛さが打ち消されたらどうしようか……。
どの化粧品を使おうか……。
悩んでいるのは私だけではなく。他の二人も悩んでいるようだった。
白銀紅蘭と月見里日菜という女。本当はなーくんと二人っきりで行きたかったが、提案したのはこの白銀という女だ。
我慢するしかない。
「ふむ、とりあえずウィッグをつけてみてはどうでしょうか。そこから化粧品など色々と決め――ンぐはぁっ!!!」
「「!?」」
ウィッグ片手になーくんに近づくと、鼻血で二重螺旋構造を作り出しながら床に倒れこむ月見里。
「ど、もうしたの……って、これは……ッ!!」
そこには、スヤスヤと眠るなーくんの姿があった。
「お、おあお……って危ない!」
もう少しで抱きついて七美成分を補充してしまうところだった。
……しかし、これはチャンス!
「あんたちょっとそれ貸して!」
「ど、どぅぞ……」
倒れこむ月見里の手から、銀色でミディアムのウィッグを奪い取り、なーくんにかぶせてみた。
「な、な……可愛いぃ!!!」
「化粧がいらない可愛さですって……!?」
隣で見ていた白銀も、口に手を当てたニヤニヤした表情を隠している。
私の家の椅子で、絶世の美少女が誕生した瞬間だった。
「こ、これだったらこのパウダーを使えば!」
白銀が手に持っていたパウダーをポンポンとなーくんの顔に当て始める。
その他諸々の化粧を加えると、そこには絶世の美少女なんてものじゃない。この世に存在するとは思えない存在が出来上がってしまったのだ。
「「かっ……かわわわわわ!!」」
私たちは可愛すぎるなーくんを見て、自然と震え出してしまった。
「ぐふっ……ヒナの生涯……一片の悔いなし……です……」
床に倒れこむ月見里は、『かわeすぎ』というダイイングメッセージを残して気絶した。
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今年最後の投稿です!
相変わらず投稿頻度が遅すぎて申し訳ないです……。
まあとりあえず……良いお年を!!
╰(*´︶`*)╯
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