第18話 [超人気アイドル]
華が満足してくれたようなので、僕たちは家に帰ることにした。
ちなみに学校からの帰り際だったからお金を持っていなかったけど、『お願い聞いてくれたからあたしが払うね!』と言って払ってくれた。
んー、果たしてこれは兄としていいのだろうか……。
いや、よくない! 今度からはちゃんとお金持っておこう……。
歩みを進めていると、パーカーを着ている人に出会った。
「あ! また会ったのだ!!」
「んぇ」
よく見たら、スーツを着ている人もすぐ近くにいた。
「さぁさぁ! 早速恩返しさせてもらうのだ……!」
「えっ、え? 何なに!?」
ガシッと僕の片手を両手で掴まれた。
が、華に腕を引っ張られて離された。
「あたしの七美に、何か用ですか」
「え」
僕は華の所有物だった……?
あとお兄ちゃんじゃなくて名前で呼ばれた……。
ごめん、華。頼りない兄で……。
「七美に手を出して変なことをしようものなら、容赦しませんよ……」
「あー。自己紹介がまだだったのだ!」
今にも噛みつきそうなほど警戒した表情をしている華に対して、パーカーの人はケラケラと笑っていた。
そして、フードを被るのをやめて顔が見えた。
髪と目の色は淡いピンク色、まるで桜のようで、顔は小動物みたいに可愛らしい顔をしていた。
「うちの名前は“春海優花”。アイドルをやっているのだ!!」
“春海優花”……? どこかで聞いた気が……。
あ、そうだ。クラスのお友達に今日聞いたんだった!
「は、春海優花!? お兄ちゃんそんな有名人と知り合いになってたの!?」
「え、いや、僕も今初めて知ったよ!」
「お兄ちゃんの浮気者ー!」
?? 華は何を言ってるんだろう?
というか、この人が僕のお友達の言っていた春海さんって人なんだ!
やっぱりすごく可愛い顔してるし、なんだかオーラみたいなのが……ん?
もしかして……。
「もしかしてさっきのって……」
「そうなのだ! あの時はうちのSPもいなかったから焦ったのだ……」
やっぱり!
さっきのパーカーの女の子とおんなじだったんだ!
「あのね、華。この人はさっき僕が助けた人! ……って言いたかったんだけど助けに入ったら僕まで襲われそうになったんだ……」
「助けに入っただけでもすごいよ、お兄ちゃん! あたしが困ってたら助けてくれる!?」
「もちろんだよ! 大事な家族だしね!」
「やったぁ! お兄ちゃん大好き!」
そう言いながら僕の腕に抱きつく華。
「は、華! 人前だし恥ずかしいよ……!」
「へっへへ〜〜!」
(ずぇーーったいこの人はお兄ちゃんを狙ってるはず……。寝顔を見られたらお終い。だからついて来させるわけにはいかない!)
この時、華は七美には見えないようにジトーっと優花を睨んでいた。
「うちがいる前で戯れ合わないで欲しいのだ……」
「ご、ごめんなさい……。それで何か用があったんですか?」
「はっ、そうなのだ! うちが君にお礼をするために探してたのだ〜〜!」
わざわざお礼をするために僕を探してくれていたんだ……。
いい人なんだなぁ。
「いいですよ、悪いですし……」
「いーや、させてもらうのだ。こう見えてもうちは大学生。貸し借りはゼロにしておきたいのだ」
「「えっ!?」」
しょ、正直僕よりも年下だと思ってた……。
ちなみに僕もよく中学生に間違えられるんだよなぁ……。
「二人して驚くとは……。地味〜に傷つくのだ……」
「「ご、ごめんなさい……」」
「まあいいのだ。それで、この後何か困ることとかないか、教えて欲しいのだ」
「え? あ、えーと、今日はお母さんが遅く帰ってくるから僕が作らないといけないですね」
華が『今日こそ美味しいご飯を作る!』って言っていたけれど、その……華の作る料理は独特な味がして……。
僕は昔からお母さんのお手伝いをたくさんしたので料理はお手の物!
「それなのだ! そうと決まれば早速家に向かうのだ——ッ!」
「え……えぇ!?」
僕の腕に抱きついて、明後日の方角に指を指していた。
「そんなのあたしが許さない!!」
「むー……。強情なのだ……。じゃあこんなのはどうなのだ? ちょいとこっちにちこうよれ」
僕から距離を話し、華と春海さんは二人で話し始めた。
「うちはアイドル。男の喜ぶこととかはよ〜く知ってるのだ。それを君に伝授しよう……。これでどうなのだ?」
「何ッ!? 超人気アイドルからの伝授……。それでお兄ちゃんを……よし乗った!」
ガシッと握手をし合い、華はキリッと凛々しい顔をしていた。
七美も大概だが、華も七美のこととなるとちょろくなるのであった。
【後書き】
『お知らせ』
実はこっそりとスランプ期に入っておりまして、書き溜め放出してるからには治るかなーと思っていたのですが治らず……。
ということで、明日から1日1話投稿だったり、投稿できないかもしれません……。
申し訳ございません……。
でもちゃんと続けるので!!m(_ _)m
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