第17話 [クレープとカップル用ジュース]
僕はおとなしく席についた。
このお店ではクレープやパフェ、色々な甘いものを注文できるらしい。
来て良かったと思い始めてしまった。
「華は何頼むの?」
「ふっふっふ……。秘密♡」
「えー? 気になる……」
「店員さーん、あたしはこれでお願いします」
うーん……。僕は何頼もう。
チョコパフェも美味しそうだし、ミニケーキも捨てがたい……。
んー……よし決めた!
「僕はこのクレープでお願いします!」
「了解しました! しばしお待ちを」
クリームたっぷりでイチゴも入っている美味しそうなクレープを頼んだ。
結局華は何を頼んだんだろう?
◇
「こちら、イチゴとクリームたっぷりのクレープになります」
「おおお……美味しそう!」
運ばれて来たクレープはすごく輝いて見える!
あ、よだれが……。
「可愛い……」
「そうだね! このクレープ可愛いね!!」
「違う、お兄ちゃんが……」
「ムゥーー!!」
「なんでもなーい!」
もう……可愛いよりかっこいい方がいいのに……。
悶々とした気持ちを抱えながらも、僕はクレープを一口食べた。
「お、美味しい〜〜!!」
「カーッ! ぐうかわ」
「華どうしたの? もしかして僕のクレープ食べたいの? 一口だったらいーよ!」
僕は一口だけ食べたクレープを向かいにいる華の口元に近づけた。
「はぅっ! い、いただきます! むしゃあ!」
「あーー! 一口が大きい!!」
「ご、ごめんお兄ちゃん。あとであたしの頼んだやつ一緒に飲も!」
「ううう……わかった……」
クレープが一気に三分の一消失した……。
ま、まあ華の分けてくれるなら許してあげてもいいかな〜。
何頼んだんだろう……。
「お待たせしましたー。カップル用ピーチジュースになります。ごゆっくりどーぞ!」
僕たちの席に運ばれてきたのは、二つのストローが特徴的なジュースであった。
「は、華……? これ間違って」
「いいや間違ってないよ! さっ、飲もうお兄ちゃん!」
キラキラとひた瞳で僕を見つめてくるけど……流石にこれは……。
「は、恥ずかしいよ……」
「え〜〜? でもこのジュース、この店ですごく美味しいって評判らしいよ?」
「ぐ……」
「しかもカップル用で特別仕様にもなってるらしいよ!」
「う…………しょ、しょうがないから僕も飲むよ! は、華もその量飲めないでしょ!?」
「ふっ、計画通り……! でもちょろすぎて不安になる」
決して物につられたってわけじゃいからね!
華がどうしても一緒に飲みたいっていうから……僕が飲みたいわけじゃないからね!!
「それじゃー飲も!」
「うん」
一緒に飲み始めたけど、やっぱり恥ずかしい……。
美味しいんだけどなぁ……。
「んんん……」
「んふふふ♡」
華はすごい幸せそうに飲んでいるけど、僕の顔とか耳は赤くなってる気がする……。
この尊い光景に、店員や客が釘付けになっていたことは、七美は知らない。
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