第15話 [人助け]
「七美くん、また明日」
「うん、白銀さんもまた明日〜!」
授業も全て終わったので僕は家に帰ることにした。
華が「付いてきてほしいところあるから早く帰ってきてね!」って言われたから、寄り道せずに帰ることにした。
「——れか……誰か助けて……!」
すぐ近くで誰かが助けを求める声が聞こえてきて、僕は反射的にその方へ向かっていた。
声のしたところへ着くと、二人の大人の男性が、パーカーを着て、フードを被っている女の子の腕を掴んでいた。
僕は急いで間に入って助けようとした。
「あ、あの! 嫌がっているからやめたほうがいいと思います!!」
打たれるか文句を言われると思い覚悟していると……。
「お、君も可愛いね〜。どお? 俺たちと一緒にお出かけとかしない?」
「うぉっ! めちゃくちゃ美少女じゃねぇか! これは逃しちゃあいけないなぁ……」
「「あばばばばばは……!!」」
助けに入ったつもりだけど、僕まで襲われそうになっている……!?
どどどどうしよう……!!
僕と見知らぬ女性は抱き合って怯えていた。
すると見知った顔が颯爽と駆けつけ、僕に触ろうとしていた男の人の手をバシッと叩いた。
「私のなーくんに……何手出そうとしてるんですか……!」
「吹雪!!」
なんと吹雪が駆けつけてきてくれたのだ!
「あ? なんだこいつ」
「いや、よく見ろ。コイツもめちゃくちゃ美人じゃねぇか」
「本当だな……。ここいらの地域は美人と美少女しかいねぇんじゃねぇのか?」
ゲラゲラと二人は笑っていたが、吹雪が凍てつくような視線で睨みながらこう言った。
「うるさいわよ……さっさと何処かへ行ってもらえるかしら。不愉快」
「「ひっ……」」
二人は吹雪に怖気付いたのか、身を縮こませていた。
「て、撤退するぞ!」
「お、おう!!」
ダダダーっと、脱兎のごとく逃げ出した。
よかった……吹雪がいなかったらどうなっていたことか……。
「吹雪、助けてくれてありがとう! 僕すごく怖くって……。本当にありがとっ!!」
「はぅっ! こ、これくらい全然問題ないわ。いつでも呼んでね……って鼻血が、じゃ、じゃあね!! 何かあったらすぐ連絡してねぇぇ……」
雪は走り去ってしまった。
……ん? 地面に赤い液体がある。
もしかしてさっき襲われてた人が怪我したのかもしれない!
「あ、あの大丈夫ですか!? 怪我とか色々……」
「あ、うん……。大丈夫なのだ。助けてくれたありがとなのだ……」
僕と同じぐらいの身長で、顔が全く見えていないけれど、なんだか素敵なオーラを纏っているように感じる……。
それで男の人に言い寄られていたのかもしれない。
「ってそうだ! 僕このあと予定があるんだった! バイバイ、誰か人を呼んだほうがいいと思いよ!」
「あ、ちょっと、お礼を……。行っちゃったのだ……」
フードの女の子はポケットからスマホを取り出し、誰かを呼び出していた。
「もしもしマネージャー? 頼みたいことがあるのだ」
『いや〜、今一番有名のアイドルに頼み事されるなんて嬉しいっすね〜』
「茶化さないでほしいのだ」
『はいはい、それで頼みとは?』
「探してほしい人がいるのだ……』
そう、なんと七美が助けたのは今一番人気のアイドルである“春海優花”だったのだ。
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