第14話 [帰還、そしてとある噂]
どうやら僕が寝ていたのは体育の時間だけらしく、授業に支障は出なさそうだった。
僕は空いている教室で制服に着替えた後、自分の教室に戻った。
「あ、あれ!? 七美もう戻ってきた!」
「くっ……お見舞いに行けなかったのが悔やまれる」
「無事でよかったよぉおおおお!」
「無事なの!? 後遺症とか残ってない!? 大丈夫か!?」
「そんなのあったら泣いてまうど〜!!」
教室に入るや否や、みんなから一斉に質面責めにあった。
「え、えと……とりあえず僕はなんも無かったから大丈夫だよ。心配してくれてありがと!」
みんなから心配してもらえていたから、つい笑みがこぼれてしまった。
「な〜んだ、女神じゃん。ぐはっ……」
「ふーん、可愛いすぎ」
「なんかお前ら冷めてるようでベタ惚れじゃねぇか」
「七美くんが無事ならば、私は幸せです……」
「退院祝いしよーぜ!」
「うぇーい!!」
「バカ男子ども……」
僕は聖徳太子みたいにいい耳を持っていないか、みんなが何言ってるのかよく聞き取れなかった。
でもみんな心配してくれてたんだね!
嬉しい!!
細かいことは気にしない七美であった。
◇
とりあえず僕の気絶事件は終止符を打ち、いつも通りの日常に戻っている。
今は放課中ですることがないため、次の授業の用意をしている。
すると、前の席の男の子から話しかけられた。
「ななっち〜、そういえばあの噂って知ってっかぁ?」
「あの噂? ううん、知らないや。どんな噂なの?」
「んぁ、それがな、実は今人気ナンバーワンアイドルの——“
「へ〜。でも僕アイドルとか疎いからわからないなぁ……」
ぽりぽりと頰を掻きながらそう言った。
「去年デビューしたんだが、爆発的にヒットしてんだよ〜。すんげー美人らしいぜ!」
「はぇー! すごいね! そんなに美人な人なら一回見てみたいね!」
「…………だが七美も同等、いや、アイドル以上に可愛いのでは……?」
「ん? なんか言った?」
「い、いや!? なんでもないぜ!!」
焦った様子で前を向き、そのまま僕と同じように次の授業の用意をし出した。
それにしても人気ナンバーワンアイドルかー。
どんな人なんだろう……。
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