第7話 [委員長と副委員長]
「おい、死んでねぇだろうな。ヤマシナ」
「睡眠薬はほんの少ししか入れていないのでご安心を。あと、ヒナは——“
七美はパタッとソファに倒れて眠っている中、二人はそのまま話し続けていた。
「にしてもなんでこんなことすんだよ。オレはただイキってる野郎をボコしたいからこの委員会に入ったんだが」
「流石、元最強のヤンキーですね。ですがそんなことはこの委員会ではしません。……話を戻しまして、昨日、生徒たちの間で『この生徒が寝てる時可愛すぎる』という噂が流れたのでそれは調査せねばなりません」
イライラとした雰囲気を帯びている委員長こと彩音。
そして相変わらず無表情である日菜。だがほんの少しだけテンションが上がっているように見えた。
そして二人は七美に視線を戻したのだが……。
「「——っ!?」」
二人は絶句していた。
舐めていたのだ、七美の可愛さを。
「すぴー……すぴー……」
彩音は苦しそうに胸を押さえており、日菜はすでに鼻にティッシュを詰めおり、そのティッシュは赤く染まっていた。
「な、なんだこの気持ちは……! 今まで生きた中でこんな気持ちは初めてだ……。おい、月見里! なんだこれは!!」
「それは庇護欲というものかもしれませんね。噂通りこの生徒……いえ、七美様は超絶お可愛いお方なので、『守りたい』という気持ちが溢れ出てるのでしょう」
「守りたい……オレはこいつを守りたいと思ってるのか……?」
日菜は「はぁはぁ」と息を切らしながら説明していた。
この女、可愛いものには目がないのだ!
「ん〜〜……ソファやわあかい……」
「はぅっ!!」
「ぐゔぅぅ!」
日菜は鼻に詰めていたティッシュがロケットのように発射され、鼻血も同時に噴射した。
対して彩音は顔をさらに赤くしながら胸をさらに抑えていた。
「い、いけません……。これ以上はヒナの体が持ちません……。少し休憩をもらいます。その後すぐに戻ってきます……!」
日菜は鼻を片手で摘み、よろよろとしながら教室の外に出て行った。
残された彩音はそわそわとしながら七美を見つめていた。
「んー……すぅ」
「ふっ……くくく……。気に入ったぜ」
立ち上がりながらニヤリと笑い、七美に近づいた。
そして七美の隣に座り、頭をポンポンとしていた。
「こんなに人を気に入ったのは初めてだ。何かあったらオレがなんとかしてやらぁ……!」
「んー……もっとなでなでぇ……」
「ゔっ! だ、だが心臓には悪いぜ……」
髪の色と同じぐらい赤面していた。
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