第5話 [登校&クラスのみんなの様子がおかしい?]
僕たちは三人で登校しているけれど、問題がある。
「……ねぇ、そろそろ離れてくれない……?」
僕の左腕には華が、右腕には吹雪が抱きついているのだ。
「ダメ! お兄ちゃんに少しでもマーキングを……」
「私はなーくんから離れたら死んでしまうの……」
華は最後の方ボソッと言ったので聞こえなかったし、吹雪に関しては平然と嘘をついていた。
「暑いし恥ずかしいよぉ……。あと周りからすごい見られてるよ……」
周りからはまるで豪雨のようにすごい量の視線が送られていた。
でも鋭い視線じゃなくて、みんな微笑ましい笑顔を浮かべながら僕たちを見つめていた。
「あら可愛い三人ねぇ」
「ほんとね、奥さん」
「いや〜〜、てぇてぇ」
「普通の男だったら路地裏に連れ込んでたところだったぜ」
「男の娘じゃしゃあねぇ」
僕はとても恥ずかしい思いをしながら登校した。
◇
その後は華と別れ、吹雪と一緒に登校し、僕の教室の前で別れた。
「みんなおはよー」
みんなに挨拶しながら自分の席へと向かったのだけれど、なぜかチラチラと視線を感じる気がする……。
「白銀さんもおはよう」
「おはようございます、七美くん」
白銀さんは自分の席で姿勢良く座りながら小説を読んでいた。
僕も席に座ると、白銀さんから話しかけられた。
「あ、あの、七美くん」
「ん? どうしたの?」
「昨日も夜更かしとかしたのかしら? 今眠かったりしない?」
小説を見ながらも、チラチラと僕を見ながらそう質問してきた。
「ううん? 別に今は眠くないかな。どうして?」
「えっ、いや、なんでもないわ!」
白銀さんはほんの少し落ち込んでいるように見えた。
周りのみんなもなぜかため息を吐いている人などがいた。
…………なんで?
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