第4話 [氷の女王の幼馴染]
——ぷにぷにと、僕のほっぺたがツンツンされている感触がする。
「う、うーん……?」
ゆっくりと目を開けると、お母さんでも華でもない女の子の顔が目の前にあった。
「あ、なーくんおはよう」
「ん〜〜……おはよう、吹雪」
青目で青髪のショートボブで、前髪に雪だるまのヘアピンをつけているこの女の子。
彼女は僕の幼馴染の——“
とっても美人で勉強も得意、しかも運動神経抜群で自慢の幼馴染だ。
学校では何度も告白されたいけど、全部冷たい返しをしていて、付いたあだ名が“氷の女王”らしい。
でも僕の前だと……。
「なーくん、ぎゅ〜〜♡」
「うわぁ! ちょ、抱きつかないで、暑いよぉ……」
今僕は真正面から抱きつかれて、ふわっと洗剤の匂いがした。
「学校では七美成分が補充できないから今してるの!」
「昔から言ってるけど、七美成分って何?」
吹雪は僕のお腹に顔をぐりぐりと押し当てて匂いをかいだりしている。
昔からこんな調子だけれど、慣れないものは慣れない。恥ずかしいい。
「そろそろ起きて朝ごはん食べなきゃ……」
「むぅ、わかったよ……」
ふぅー、なんとか吹雪に離れてもらうことに成功した。
布団から出てリビングへ向かおうとしたら、吹雪が僕の腕に抱きついてきた。
「え、ちょっと!?」
「こうしたら動けれるでしょ?」
「そうだけど……まぁいっか……」
今度こそリビングに向かおうとすると、次は僕の部屋のドアがガチャリと開き、華がやってきた。
「お兄ちゃーん、朝だよ……って吹雪さん何やってるんですかァァ!!」
ま、まずい……。
華と吹雪は昔から犬猿の仲で、顔を合わせれば口喧嘩が始まってしまうんだ。
「せっかく今日はお母さんにじゃんけんで勝ってあたしが起こすはずだったのにぃ……。っていうか、毎回どうやって入ってるんですか!!」
「ふふふ、それは秘密だよ。明日も来ちゃおっかな〜〜」
「ぐぬぬ……!」
ここは僕が止めないと延々と続いてしまう!
「ほ、ほらもうこんな時間だよ!? 朝ごはん食べよ、ね!」
「ま……今日のところはこれで弾いてあげます。明日は絶対あたしがお兄ちゃんを起こす!」
「ふっふっふ、油断せずにいるんだよ?」
なんとかなった……。早く朝ごはんを食べに行こう。
◇
「「「ご馳走様でした」」」
吹雪は朝ごはんを食べてきていなかったらしいので一緒に食べた。
朝ごはんも食べ終えて、制服にも着替えたから登校することにした。
「「「行ってきます」」」
「行ってらっしゃ〜い」
三人一緒に外へ出た。
「お兄ちゃん、途中まで一緒に行こ!」
「うん、もちろん」
「私だってもちろん一緒にいるよ?」
吹雪はニヤニヤとした笑みを浮かべながら華にそう言っていた。
「チッ! お兄ちゃんとの時間が……」
「??」
「それじゃあ早速レッツゴー!」
吹雪は学校ではもっとクールなのに、なんで僕の前でだけこんなにテンションが高いんだろう?
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