第14話 けつ・ぼう・せん

※誤字脱字、探せていません。

 なにか見つけても、見なかったことにしてください。

 もうしばらくこの見苦しい言い訳が続くと思います。


■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


 レオナルドが神王だろう、というレミヒオの言葉に、頭が疑問符で埋まる。

 レオナルドには何かあるようだと思っていたが、まさか神王だなんて思いもしなかった。


「……って、そんなわけないじゃないですか! レオは両目とも黒ですよ?」


 神王の両目は、神話の時代から同じ蒼だ。

 ただ青い目ならどこにでもいるが、神王の血族が持つ蒼とは少し違う。

 レミヒオと会うことで両方を見比べているので、私にはその違いが判った。

 本当に、色でだけ言えば青も蒼も同じ系統でしかないのだが、神王の血族の持つ蒼はなんとなく性質からして違ったものだ。

 キラキラとした宝石の煌きを秘めているとでもいうのか、本当に格が違う。


 ――たしかに両目とも黒かったけれど……でも彼は神王殿に入ることができて、生きて出てきてもいるからね。彼は神王で間違いないよ。


 神話の時代に神々が神王のために作った神殿は、神王が寛いで過ごせるようにと普通は人間も精霊も入ることができない。

 基本的に神王殿へと入れるのは、神王と次代の神王である『神々の寵児』だけだ。

 故意に侵入しようとすれば、それこそ神々の怒りに触れる。


 生きて神王殿から出られる者がいるとすれば、神王か神王に招かれた者だけらしい。

 この場合の招かれた者というのは、レオナルドが神王殿から出てきた時に一緒にいた私のことだ。

 レオナルドから話を聞いた時には「いつのまにか眠っていて、のんきなものだった」と呆れられていたが、なんということはない。

 普通の人間が入れない場所を経由して神王領クエビアに入ったため、意識を失わされていただけだ。

 のん気に眠っていたわけではない。


 ――カミールという転生者が神王の遺骸を切り刻んで利用していた、という話を聞いて思い浮かぶことがあるんだ。


 自覚のある・なしは別として、レオナルドは神王の遺骸を手に入れ、無意識に使っているのではないか、とレミヒオは言う。

 神王の遺骸を持っているからこそ、神王殿には神王と認識され、神殿に入ることができたのではないか、と。


「無意識に利用って……神王様の遺骸は、そのように使うことができるのですか?」


 ――普通はできないし、利用されないようこれまでは隠されていた。けれど、今は神王の意思で遺骸を破壊することになっているからね。


 見つけられないことには破壊もできない、とこれまで隠されていた『精霊の座』が姿を現すようになっている。

 意図して探すようになってから『精霊の座』が次々に見つかるのは、偶然が重なったわけでもなんでもない。

 見つかるべき時が来たのだ、と『精霊の座』の方から人を呼び寄せていただけだと考える方がレミヒオにとっては自然なことのようだ。


 ――悪意を持って神王の遺骸を利用しようとすれは、精霊が黙ってはいない。けれど、レオナルド殿は体にひとつの欠けもなく、今も生きている。


 無意識であるからこそ遺骸の力は最小限に使われ、精霊も制裁に動いていないのだろう。

 神王の力は、それこそ大陸の半分を海に沈めるほどに強力なものだ。

 そんな力を普通の人間が手にして歪まず、正しく生物としていられるはずがない、と。


「……もしかして、レオナルド様の異常な怪力も、神王の力の一端なのでしょうか?」


 常々おかしいとは感じていたが、近頃のレオナルドの怪力は本当に異常だ。

 以前春華祭でまだ子どもだった私を一日中抱き運べた腕力も異常だが、鉄の盾を豆腐か何かのように難なく切っている。

 闘技大会でアルフの腕が切れなかったのは、レオナルドが予想外に切れた剣に驚き、途中で剣を振り下ろすのを止めたからだ。

 もう少し反応が遅れていれば、今頃アルフは片腕を失っていたはずである。


 ……まさかの容疑者レオナルドさん!?


 レオナルドが神王というのは横へ置いておくとしても、レオナルドの異常な怪力が神王由来の力だと思えば妙に納得できてしまう。

 それほどまでに、レオナルドの腕力は非常識すぎた。


「……一度レオナルド様から話を聞いた方が良い気がしてきました」


 また風の精霊に声を届けてくれるよう頼もうか、と声に出すと、レミヒオの不思議そうな声が響く。

 風の精霊に頼むよりも、直接会いに行った方が早い、と。


「メール城砦まで馬車で何日かかると思っているのですか」


 ――居る場所が判っているのなら、土の精霊が運んでくれるよ。


 土はどこにでもあるため、本当にどこにでも精霊はいる。

 その精霊に頼めば、土のある場所へならどこへでも行くことができるらしい。


 ――神王様とその一族って、ほとんど魔法使いだね!


 この場合は、精霊を使っているので精霊使いかもしれないが。

 精霊に頼めば声を運ぶことができ、精霊の種類によっては電話のように遠隔地にいる人間と会話もできる。

 土の精霊に頼めば、土のあるところへはどこへでも行けるというのだから、夢のテレポートも出来ているようなものだ。


 ……アルフレッド様! 確保するなら私じゃなくて、神王の一族だよっ!


 私にできることは、神王の一族ならば問題なく再現できるだろう。

 もしかしなくとも、元からそれなりの知識や技術が残っているだけ私以上のことができるはずだ。


 ……カルロッタ様のお孫さんも精霊の声が聞けるようだし、よく探せばイヴィジア王国にもまだ精霊の声聞こえる人いるんじゃないかな。


 可能性が出てくると、私がアルフレッドに確保される理由はなくなりそうである。

 あったとしても、聞こえる人間が充分な数確認されるまでの、短い期間だろう。


「そういえば、我が家の子守妖精が同じようなことをできるのですが?」


 ――子守妖精?


 私を遠く離れた場所へと運ぶといえば、子守妖精だ。

 せっかく精霊の専門家と話ができるのだから、と子守妖精についてを相談してみることにした。


 カミールから貰った球根を育てると、花の中に小さな女の子が入っていた。

 その女の子は私の子守女中ナースメイドの性質を受け継いでいるようで、子守としてレオナルドの不在時に私を移動させることがある、と。


 ――エノメナの花の精霊かな? 花は土に根を張る植物だから、土のあるところへならどこへでも行けるはずだけど。


「え? どこへでも行けるのですか? レオナルド様の家や、わたくしの部屋がある離宮へしか移動したことはないのですが……」


 ――それはたぶん、周囲が『子守』と役割を限定して認識していることと、鉢で育てていることが原因かな。


 本体であるエノメナの花を地植えにすれば、土の精霊と同じようにどこへでも行けるはずだ、と続いた言葉に目から鱗が落ちる。

 確かに、鉢植えのエノメナは地に根を張ってはいるが、その地はどこまでも続いてはいない。

 鉢の中へしか根を伸ばせないので、移動できる範囲に制限があったとしても不思議はないだろう。

 私やレオナルドの家にだけ行けるというのは、鉢植えにドールハウスを飾ったからかもしれない。

 周囲の認識が妖精に影響を与えるというのなら、ドールハウスを飾らなかった場合はもっと移動できる場所が少なかったのだろう。


「あれ? でも、それだと……カリーサはどうして鉢植えを用意して王都まで付いてきてくれたんでしょう?」


 地植えにすればどこへでもいけるというのなら、グルノールの館の花壇へと植え替えておけば、馬車にゆられながら王都まで付いてくる必要などなかったはずだ。

 地面のあるところ何処へでも顔を出せるのだから、新たな鉢植えを用意する必要すらなかった。


 ――それはたぶん、花の精霊だからじゃないかな。


 外へ植えると、冬はどうしても休眠してしまうらしい。

 冬に咲く花ならばともかくとして、エノメナは春に咲く花だ。

 少しでも自分の周囲を温かく保ち、休眠しなくてもいいように、と子守妖精は室内へと本体を置くことを選んだのだろう、ということだった。


 そうなの? とレミヒオの言葉を確認するように肩の子守妖精を見下ろすと、子守妖精はとぼけた顔をしてそっぽを向く。

 どうやらレミヒオが言っていることは当たっていたらしい。

 子守妖精は自分の活動範囲を広げることよりも、一年中私の側にいることを選んだのだ。


 ……いのう、愛いのう。


 どうやら照れているらしい子守妖精が可愛らしくて、つい指で頭を撫でる。

 以前は私からは触れることができなかったのだが、精霊が世界に溢れるようになってからというもの、私からも触れられるようになっていた。

 これは良い変化だと思う。







 レミヒオとの精霊を使ったやり取りは、周囲にいたレベッカたちへと口止めをして終了した。

 レオナルドと神王になんらかの繋がりがあるらしいだなんて話を馬鹿正直にアルフレッドへと報告すれば、そろそろ本気でアルフレッドの胃に穴が開きそうな気がしたので、フェリシアへも口止めをしておく。

 こうしておけば、全部を黙っていてくれるとは思わないが、アルフレッドの胃に優しい言葉を選んでフェリシアが伝えてくれることだろう。


 ……たぶんね。


 まずは、とレミヒオに教わったやり方を試してみることにする。

 株分けをした植物の精霊はお互いに繋がっているということだったので、グルノールの館へと戻ってエノメナの鉢をもう一つ作り、レオナルドのところへと届けるつもりだ。

 この方法が成功すれば、手紙より簡単にメール城砦のレオナルドとやり取りができる。

 もっと言うのなら、届けに行く際にレオナルドの顔が見れる算段だ。


 グルノールの街まで連れて行ってくれ、と頼むと、子守妖精はちらりとサリーサの顔を見る。

 今回は向かう先がグルノールの館なので、サリーサも駄目だとは言わなかった。

 難色を示したのは、精霊と会話ができるサリーサは一応離宮に残ってくれ、とフェリシアが言った時ぐらいだろう。

 私から一時護衛が離れることになるということで、サリーサは子守妖精に決して私から目を離さないように、と釘を刺していた。


「本当に、あっと言う間ですね」


 パッと周囲の光景が変わり、グルノールにある私の部屋に立っていた。

 見慣れた部屋の様子に一度窓辺のエノメナの鉢を確認すると、今度は小さな鉢を用意すべくバルトの姿を探す。

 階段を下りた先でミルシェが廊下の掃除をしていて、私の顔を見て驚いていた。

 姿が見えなくなることは時々あったが、いないはずの私が突然帰宅した、というのはやはり驚くものらしい。


 簡単に経緯を説明してバルトの居場所を聞くと、グルノールの街で起こった異変についてを聞かせてくれる。

 グルノールでもやはり精霊が溢れ出しているようで、館の人間は全員精霊が見えているらしい。

 残念ながら声が聞こえている人間は館にはいないようなのだが、砦でも街の異変は調査しているはずなので、そちらでもう少し話が聞けるかもしれないとのことだった。


 マンデーズの街へと行く時のように、小さなエノメナの鉢を作って準備が完了する。

 あとはこの鉢をレオナルドへと届ければ、レミヒオが教えてくれた方法で精霊の力を借りて話ができるはずだ。


「せっかくグルノールまで来たのですから」


 準備が終わって、出来た心の余裕でジゼルが使っている客間へと顔を出す。

 ジゼルの産んだ子どもを見ることが目的だが、赤ん坊が寝ていたら起こすのも忍びないので、ノックは気持ち小さめに。


「うわあ……手がぷくぷくの、まんまるですね。指小さい。人形の指みたい。こんなの本当に動くの? いや、本当に動くはずなんだけど……」


 ジゼルの赤ん坊を見て真っ先に浮かんだ感想がこれだ。

 判っていても、小さ過ぎて不安になってくる。

 私もかつては赤ん坊であったはずだし、赤ん坊だけなら王都でも見る機会があったのだが、ここしばらく見た赤ん坊の中でジゼルの子が一番小さい。

 ジゼルは抱いてみますか、と気軽に赤ん坊を差し出してくれたのだが、落としてしまうのが怖くて受け取ることはできなかった。

 赤ん坊を少し抱っこすぐるぐらいの腕力はあると思うが、もし万が一なんてことがあっては困る。


 ……あと、なんでか目つきの悪い精霊にめっちゃ睨まれてるし。


 精霊に溢れた世界は、グルノールの館も例外ではない。

 何故か客間の、それも赤ん坊のゆりかごの縁に普通の鳥ではないと判りやすい鳥がいて、ジゼルが赤ん坊をゆりかごに寝かせると甲斐甲斐しい仕草で布団をかけていた。


 ……えっと、これもある意味子守妖精なのかな?


 精霊が見えるようになってはじめて、ジゼルはこの精霊がいることに気が付いたらしい。

 最初はやはり驚いたが、言葉は通じなくとも相手の伝えたいことはなんとなく判る。

 赤ん坊がミルクをほしがったり、おしめを変えてほしい時など、この鳥がすぐに教えてくれるようになり、少しだけ赤ん坊の世話が楽になったのだとか。


 ……ジャン=ジャックに自慢しかえしておこ。


 マンデーズにいる間は気を使ってジャン=ジャックにグルノールへと顔を出させたりもしたのだが、その後が若干どころではなく鬱陶しかった。

 主に、俺の娘世界一可愛い自慢が。

 近頃は娘情報が更新されないおかげで少し大人しくなっているので、元気付ける意味合いででも、今日のことを話して聞かせてやろうと思う。

 耳にタコが出来そうなほど娘自慢をされた仕返しではない。


 ……さて、ジゼルの赤ちゃんも見たことだし?


 グルノールへとやって来た目的の大半はこれで片付いた。

 あとはレミヒオから教わった精霊を使った電話のようなやりとりが本当にできるか、という実験をするぐらいであろう。

 むしろ、この実験と鉢植えを増やすためだけにグルノールへと来たようなものだ。

 ジゼルの赤ん坊は、ほんのついでである。

 間違ってもジャン=ジャックへの嫌がらせではない。


 ……少しはしゃぎすぎた自覚はあるけどね。


 自室に戻って作ったばかりの鉢植えを机の上に置き、試しに前回同様子守妖精の不思議な踊りのあとすぐに生えてきた芽へと話しかけてみることにする。

 とはいえ、まずなんと話しかけるべきかと考えて、結局そのままあたりさわりのないことを言う。

 私には、こういった時にアドリブの利くセンスというものがない。


「あー、あー、テス、テス。ただいまマイクのテスト中。……こちらグルノールより、クリスティーナです。サリーサ、聞こえていますか?」


 ――聞こえています、クリスティーナ様。『てす』と『まいく』とはなんでしょう?


「……それはお約束のようなものですので、気にしないでください」


 意味は判らないはずなのだが、私のボケにツッコミを返してくれるサリーサはさすがである。

 真面目に意味を聞き返されても説明に困るので、私には『お約束だ』としか返せなかった。


 レミヒオから教わったとはいえ、こうして本当に電話のようなに会話ができる状態になってくれると、感慨深いものがある。

 これまでは手紙を使って何週間もかかり、先日からは風の精霊の協力を得て数時間かかっていた遠方とのやりとりが、即時でできるようになっていた。

 画期的過ぎて、少し怖くもある。

 この利便性を、一度覚えてしまうと手放せる気がしないのだ。


「鉢植えの準備ができたので、このままメール城砦に届けてこようと思います」


 ――クリスティーナ様でしたら、そう言い出すだろうと思っていました。


「土の精霊に協力してもらうと、移動に制限はないそうです」


 そうレミヒオが言っていた、と言うと、サリーサの声で「存じております」と返ってくる。

 サリーサもレミヒオとやり取りをした場には当然いたので、話の内容は把握されているのだ。


 ――グルノールへ行かれるのでしたら止めませんが、安全かどうか判らない、現時点で不測の事態が起こっていると判明しているメール城砦へとクリスティーナ様が行かれるのは反対です。


 護衛を連れに戻ってくるように、といつになく強く言われ、首を傾げながらも一度離宮へと戻ることにする。

 日ごろ心配をかけている相手という自覚はあるので、サリーサが安心するというのなら護衛を連れに戻るのもいいだろう。


「……わかりました。今からそちらへ戻ります」







「ただいま戻り――」


「おかえり、クリスティーナ」


「……うわぁ」


 鉢植えを抱えて離宮の離れに戻ると、目の前には仁王立ちのアルフレッドと、その背後に控えるサリーサの姿があった。

 思わず扉を閉めたくなったが、そんなことをしても意味は無い。

 子守妖精は扉を開けて境界を越えるタイミングで私を運んでいるようなのだが、扉を開いてしまえばそこはもう移動先だ。

 扉を閉じたとしても、私の背後にあるのはグルノールの私室ではなく、離宮にある離れの廊下でしかない。

 戻った先にお怒りモードと判るアルフレッドがいたとしても、撤退することはできないのだ。


「えっと、アルフレッド様は何をそんなにお怒りなのでしょうか……?」


「私は、おまえに、情報を集める程度にしておけ、と言ったはずだよな?」


「言われました。……その、フェリシア様から報告は行っていると思いますが……」


 より早く、より多く情報を集めるための下準備である、と一応の言い訳を並べてみる。

 サリーサはグルノールへ行くぐらいなら、と見逃してくれたが、アルフレッド的には離宮から出ること自体が駄目だったようだ。


「……一つひとつ、行動に移る前にまず連絡を!」


「はいっ! 『ほうれんそう』ですね!」


「なんだそれは?」


「前世の格言? みたいなものです」


 報告、連絡、相談の単語から頭を取って繋げた物だ、と説明をしたら額を指で小突かれた。

 報告、連絡、相談の三つが重要だと理解しているのなら、それを怠るな、と。


「……わかりました。では、報告です。レオナルド様との連絡を密にするため、エノメナの鉢を届けに行って来ます」


「それは『ほうれんそう』ではなく、『結論』とこれからする『暴走』への『宣言』というのだ、クリスティーナ」


「つまり、『けつ・ぼう・せん』ですね。ちょっと語感が悪くて意味がわかりませんが……あうちっ!」


 今度は少しだけ強く額を指で弾かれる。

 頬が摘みにくくなってきたためか、これからはでこピンがお仕置きに名を連ねるようになるのだろう。


 ……でこピンは地味に痛いよ。


 これ以上小突かれてなるものか、と両手で額を隠していると、アルフレッドは深いため息を吐く。

 頭が痛い、とこめかみを揉み解し始めたのだが、今現実に頭が痛いのは私である。

 けれど、それを指摘したところでもう一度でこピンをいただきそうな気がするだけなので、アルフレッドを労ってみることにした。


「えっと、ご心労お察しいたします」


「……その心労の元が何を言うか」


「いひゃいれすよ!」


 成長過程にある私の頬からは摘みやすさはなくなったが、まったく摘めないということではない。

 苛立ち紛れに多少強引に摘まれた頬は、するりとアルフレッドの指から逃げた。

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