ジゼル視点 白き役立たず 2

「ティナ!? 何があった!?」


 倉庫内をザッと見渡して、ジャスパーが壁際で倒れているクリスティーナに気が付いた。

 そのままジャスパーが血溜まりを無視して真っ直ぐに壁際へと移動すると、その背中を追ってカリーサが叫ぶ。

 おまえがお嬢様を『ティナ』と呼ぶな、と。

 クリスティーナが『ティナ』と呼ばれているのは、愛称だ。

 クリスティーナを裏切った者に、カリーサはクリスティーナの愛称など呼ばせたくはないのだろう。


 ジャスパーがクリスティーナを裏切ったのだ、と自然に浮かんだ考えに、私の中でようやく腑に落ちる。

 私はともかくとして、カリーサを出し抜いてクリスティーナをセドヴァラ教会から連れ出せているということが、まずおかしい。

 ジャスパーがなんらかの薬品を使って私たちの意識を奪い、セドヴァラ教会からクリスティーナを運び出したのだろう。


 ……あの時の小瓶?


 花の香りをつけた薬品だ、とジャスパーは言っていた。

 あれを落とした際に、白い布を渡されたはずだ。

 私たちに配る白い布へは、ジャスパーが何かを噴きつけていた。

 ジャスパーが同じ布を使っていたので、疑いもせずに布で鼻と口を押さえたのだが、よくよく思い返してみれば、ジャスパーは自分の布にも何かを噴きつけていただろうか。

 床へと落ちる小瓶に気を取られ、顔をあげた時にはすでにジャスパーが布で自分の鼻と口を押さえていた記憶しかない。


「ティナ、クリスティーナ!」


 クリスティーナの側に膝を付き、ジャスパーが倒れたままのクリスティーナを覗きこむ。

 壁に叩きつけられてからのクリスティーナは、ピクリとも動いていない。

 人間は打ち所が悪ければあっけなく死んでしまう脆い生き物だ。

 クリスティーナ自身に用がある場合、その扱いは慎重すぎるぐらいで丁度良い。

 今回のように強引な手段をとるのなら、なおさらのことだ。

 それを男たちは怠り、あろうことかクリスティーナを殴り飛ばすような蛮行に出ていた。

 受身すら知らないクリスティーナが壁に叩きつけられて死んでしまったとしても、なんら不思議はない。


「……これは、いったいどうなっている? ニホン語が読める者を用意したと聞いたはずだが」


「そのガキが生意気だったから、ちィーっとばかり教育を……」


「馬鹿が。少しばかり生意気だろうと、死んだら意味がない。掃いて捨てる程いるおまえたちのようなゴミ虫とは違うのだ。黄金よりも価値のある人間だぞ」


 おそらくは貴族であろう身なりの男が周囲を見渡し、壁際のクリスティーナの姿に眉を顰める。

 血の流れる太ももを押さえながらことの次第を語る男に、貴族の男は吐き捨てるように言った。

 クリスティーナの命には黄金以上の価値があり、対する男たちはゴミ虫である、と。

 

 ゴミや虫と呼ばれて怒らない人間はいないだろう。

 

 もう一度言ってみろ、と男は血に濡れた拳を振り上げ、最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。

 貴族の男が袖口から出したナイフに喉を切られ、その勢いで背後へと倒れる。

 あとはその場で手足を振り回して暴れ、やがて力尽きた。


「テ、テメェ! よくも……っ!」


 体重を使ってカリーサを押さえつけていた禿頭とくとうの男は、貴族の男に掴みかかろうとして蹴り飛ばされる。

 こちらはクリスティーナとは違い咄嗟に受身を取ろうとしていたようなのだが、手を失っているおかげで上手く受身を取れなかったようだ。

 地面へと盛大に転び、立ち上がるのに苦労しているところへと貴族の男の追撃が加わる。

 先の男の血で汚れたナイフを優雅な仕草で拭きながら、禿頭の男の重心を蹴り、立ち上がることを許さないでいた。


「……娘の様子はどうだ?」


「頭を強く打っているようです。動かさない方がいいでしょう」


「動かさぬわけにはいかんぞ」


 連れ去るために攫ってきたのだから、動かせないというのは困る。

 手段と方法を棚に上げれば、至極真っ当な不満を洩らす貴族の男に睨まれ、それでもジャスパーは診断を変えなかった。

 頭を打っている人間は、容易に動かしてはいけない、と。

 身柄が欲しいだけなら生きてさえいればいいのだが、ニホン語の読める転生者を求める人間にとっては、クリスティーナは生きているだけではだめだ。

 用があるのはクリスティーナの身柄ではなく、ニホン語が読めるというその知識にあった。

 動かしてはいけない時に無理をさせた結果、クリスティーナの頭が使い物にならないものになってしまっては、苦労してまで攫った意味がなくなってしまう。


「ゴミが、実に余計なことをしてくれたな……っ!」


 クリスティーナの様子を確認するジャスパーを一瞥し、貴族の男が禿頭の男を蹴る音が強くなる。

 腹は立つが、薬師であるジャスパーに八つ当たりはできない。

 頭を打って動かせないクリスティーナももちろんだ。

 そして、貴族の男の足元には、立ち上がることすらできない禿頭の男がいる。

 そもそもが、クリスティーナを殴り飛ばしたのは彼らなので、貴族の男の怒りが向くのは当然のことだ。


 貴族の男が禿頭の男を蹴り続ける音が響く倉庫を、ジャスパーが一度飛び出してまた戻ってくる。

 一抱えもある鞄を持ってクリスティーナの横に膝をつき、ランタンの明かりを頼りに怪我の有無を確認し始めた。

 頭を強く揺すらないよう慎重にクリスティーナの姿勢を変え、頭へと添えられていた手が髪から抜き出された時には赤く染まっている。

 頭部の怪我にしては血が少ない方に思えるが、どうやらどこかを切っているらしい。

 ジャスパーは鞄からはさみを取り出すと、躊躇いもなくクリスティーナの髪を切り、怪我の手当てを始めた。


「御者をお借りしても?」


「かまわん。使えるものはなんでも使え」


 クリスティーナへの治療がひとまず終わったのか、ジャスパーが貴族の男へと確認を取る。

 禿頭の男を蹴り殺した貴族の男は、なんでも使えと言いながら、自分は手伝う気がないようだ。

 男が貴族と考えれば、珍しい行動ではない。

 一刻も早く現場を離れたいはずの誘拐犯としては、どうかと思う。


「……おまえも手伝え」


「え?」


 担架代わりの板と御者を連れてきたジャスパーは、そのまま私のところへもやって来た。

 クリスティーナを運ぶ手伝いをしろ、と言われてしまえば、さすがに戸惑う。

 私はクリスティーナの護衛だ。

 役に立たない騎士であろうとも、護衛対象を誘拐する手伝いなどできるはずがない。


「なに、を……馬鹿な。そのようなことが……」


「下手に動かすと死ぬが、おまえはそれでいいんだな?」


「それは……っ」


 下手に動かせばクリスティーナは死ぬ。

 裏を返せば動かしても、動かさなくとも、クリスティーナの容態は思わしくないということだろう。

 そして、誘拐犯たちはセドヴァラ教会からクリスティーナを連れ出すところまでは成功している。

 ここでクリスティーナを放置して一度引き、次の機会を窺うということは考え難いはずだ。

 

 今回、クリスティーナはセドヴァラ教会から誘拐され、こんなところまで連れ出されている。

 同じことが二度と起きないよう警戒されて、クリスティーナは館から出なくなる可能性の方が高い。

 となれば、多少の危険があろうとも、今日この場でクリスティーナを連れ去ることを選ぶだろう。


「わ、私はクリスティーナお嬢様の護衛だ。役立たずな白騎士とはいえ、誘拐の手伝いなど……! しかし、私にクリスティーナ様を連れてここから逃げることは不可能だろう。だったら……」


 まずは、クリスティーナの命を優先するべきだと思う。

 攫われたのなら、追いかければいい。

 生きていれば、いつか取り返すこともできるかもしれない。

 けれど、ここで死んでしまったら、それまでだ。

 二度とクリスティーナを取り戻すことはできなくなる。


「……運ぶのは手伝うが、絶対にクリスティーナお嬢様をお助けしろ」


 間に合いませんでした、なんて言い訳は許さない、と言い捨てて木箱の陰から出る。

 縛られていた手足の縄を解かれていると、様子を見守っていた貴族の男と目が合った。


「まだ奥に人がいたのか」


「貴族の娘です。あの者たちが身代金を要求する腹積もりで連れてきて、ここに隠していたようです」


「つくづくゴミはゴミだな。余計な荷物などいらぬだろうに」


 この女もそうだ、と言いながら貴族の男は地面に伏したままのカリーサの腹を蹴る。

 待ち合わせの時間までの暇つぶしにしても、人を攫うというのに、余計な人間を二人も連れてくる馬鹿がいるか、と。

 クリスティーナだけなら子ども一人運ぶだけで済むものを、男たちは大人の女を二人も運び出すという、無駄で逃走の足も鈍る愚行を犯している。

 うち一人は、攫った女に首を刎ねられてもいた。


「……一応、止めはしましたが」


「手駒選びの時点で失敗しているのだろう。だから私の配下を送ってやると言ったのだ」


「お言葉ですが、貴方様の配下のようないかにも玄人と判る者では、砦が越えられません」


 誘拐犯一味の御者と協力というのも妙な話だったが、クリスティーナの姿勢をあまり変えないよう慎重に担架代わりの板へと載せる。

 砦が越えられないということは、貴族は国境を越えてきた人間なのだろう。

 サエナード王国の貴族か、ズーガリー帝国の貴族か、とジャスパーたちの会話に聞き耳を立てる。

 クリスティーナの命を優先し、治療のために誘拐を見逃すのはもうどうしようもないとしても、なんとかレオナルドたちへと手がかりを残さなければならない。

 何か情報はないか、何か方法はないかと、慎重にクリスティーナを運ぶ振りをして周囲の様子を盗み見ていると、かすかに視界に違和感があった。


 ……何が?


 違和感があるぞ、と異変を感じたあたりへと注意を向ける。

 そこには、頭を貴族の男に踏み押さえられたカリーサがいた。

 踏んでいるために貴族の男からは死角になっているのだろう。

 カリーサは小さく唇を動かして、何かを伝えようとしていた。


 ――そのまま、おじょうさま、ついて、まもれ。


 声は聞こえないのだが、そう言われているのだと判る。

 クリスティーナからの罵倒は私の願望だったが、これはカリーサの願いだ。

 そして、彼女がまだ諦めてはいないという意思でもある。







 用意された馬車へクリスティーナを運ぶと、すでに準備はされていた。

 二重床の仕掛けが施された馬車に、誘拐犯がズーガリー帝国の者であろうことが判る。

 この二重仕掛けの馬車は、歴史を学べば必ず出てくるものだ。

 他国で攫ってきた人間を馬車へと仕掛けた二重底の床へ隠し、自国へと運び込む。

 攫われた人間に待っている運命は、奴隷としての過酷な労働だ。


 ……奴隷はとにかく数を連れて行くために、詰められるだけ積めたそうだけど。


 歴史の一部として学んだ話でしかないのだが、馬車の床に積めて運んだ奴隷たちは、とにかく数を揃えたかったらしい。

 そのため、積めるだけ積めた狭い空間に、奴隷市場へと着く前に奴隷が衰弱死することも珍しくはなかったそうだ。


 当時の攫われた人間の扱いは酷かったようなのだが、クリスティーナに同じ真似はできない。

 大人でも衰弱死するような運搬方法に、子どもであるクリスティーナが耐えられるわけがなかった。

 ジャスパーも、それは想定していたのだろう。

 クリスティーナのためとわかる毛布が、馬車の二重底の空間には用意されていた。


 ……少し、希望が見えてきた。ズーガリー帝国の馬車が二重底だなんて、白騎士でも知っている。国境を守る黒騎士が、帝国に向う馬車の中を調べないなんてはずはない。


 私が一人でクリスティーナを連れて逃げることは不可能だったが、国境を越える際の検問で必ず黒騎士が私たちを見つけてくれるはずだ。

 黒騎士ならば、クリスティーナを助けることができる。


 毛布を床下に敷き、その上に体へと毛布をぐるぐるに巻いたクリスティーナを慎重に横たえた。

 体を冷やして風邪など引かせないようにと、体を拘束する目的もあるのだと思う。


 さて、なんと言ってクリスティーナに同行しようか、と考えていると、倉庫の中から男の悲鳴が聞こえてきた。

 御者とジャスパーの意識がそちらへと向くと、倉庫からは貴族の男が罵声を吐きながら飛び出してくる。

 奇妙な姿勢だ、と右手を庇うように歩く貴族の男に気がついた。

 よくよく見てみると、貴族の男の右手からは血が溢れ出ている。


 ……カリーサ?


 倉庫の中で、貴族の男になにかできる人間がいるとすれば、それはカリーサだけだ。

 他の三人の男たちは、すでに死んでいる。

 カリーサはいったい何をしたのだろう、と手当てのため貴族の男の元へと駆け寄るジャスパーの向こうの倉庫の奥へと視線をむけた。

 距離と闇に包まれた倉庫の中で、辛うじて仰向けに倒れていると判るカリーサの足が見える。

 私が倉庫から出る前と姿勢が変わっているので、やはりカリーサが貴族の男に一矢報いたのだろう。


 あらかじめ火を放つ手筈になっていたようで、ジャスパーが貴族の男の手当てをしている間に倉庫から火の手が上がる。

 倉庫の壁を舐めるように広がる炎に気を取られていると、不機嫌と判る貴族の男の声が聞こえてきた。


「……もう用済みだな」


 自分への呼びかけと判る言葉に、燃える倉庫から視線を貴族の男へと移す。

 不機嫌どころかありありとした怒りを滲ませる顔に、何かよい手はないかと思考する。

 頭を打っているクリスティーナをできるだけ動かさないよう、姿勢を変えないように、と運ぶために縄を解いて使った人間だが、本来なんの役にも立たない、そもそも必要のない人間だと思いだしたのだろう。

 もしかしなくとも、カリーサからの反撃に対する腹いせに使いたいのだ。

 貴族の男は先ほどクリスティーナを殴り飛ばした男を蹴り殺している。

 己の苛立ちを他者へいみんをいたぶることで発散することに、なんの躊躇いもないのだろう。

 実に、帝国貴族らしい行動だ。

 我が国の貴族とは、まるで違う。


 ……なんとか付いて行って、クリスティーナお嬢様をお守りしないと。


 そうは思うのだが、なんと交渉を持ちかければ良いのかが判らない。

 騎士としてどころか、貴族としても半端な華爵の三代目の私には、クリスティーナのようなひらめきも、カリーサのような度胸もなかった。


 ……それでも、今クリスティーナお嬢様から目を離すわけにはいかない。


 どう言えば貴族の男を宥め、クリスティーナと一緒に運ばれることができるだろうか。

 いくら考えても名案は思い浮かばず、助け舟は意外なところからやって来た。


「その娘も連れて行く。クリスティーナに対する人質予定の女中メイドを殺しただろう。その代わりだ」


「人質などいなくとも、言うことを聞かない子どもなど躾ければいいだけだ」


「躾けでクリスティーナに死なれてしまってもいいのな……」


 ジャスパーが最後まで言う前に、その頬を貴族の男が殴る。

 自分の手当てをしている薬師を殴るなんて、とは思うが、帝国の貴族などこんなものだ。

 帝国では貴族と平民の区別ははっきりと付けられ、薬師の地位もイヴィジア王国ほど敬われるものではない。

 とにかく貴族が絶対的な上位におり、薬師は薬術の知識を持っただけの平民扱いだ。

 当然、そんな国で薬師をしたい者などおらず、セドヴァラ教会で薬師になった者が最初の数年必ず行かされる修行と称した『他国のセドヴァラ教会への派遣』というのは、帝国領が主な派遣先だったりもする。

 そのような扱いを受けるとわかっている帝国領で働かずともいいのではないか、とは思うのだが、これは『薬術は薬術の神セドヴァラの奇跡であり、薬術を必要とするすべての命へと手を差し伸べられるように』というセドヴァラ教会の教義によって阻まれる。

 聖人ユウタ・ヒラガも似たような言葉を残していた。


「……載れ」


 殴られた頬をそのままに、ジャスパーにクリスティーナの横を顎で示される。

 貴族の男がこれ以上なにかを言う様子はなかったので、クリスティーナへの人質として私を連れ帰ることはひとつの手であると、一応の納得をしたのだろう。

 男の気が変わらないうちに、とクリスティーナの横へと乗り込むと、頭から毛布をかけられた。


 ……護衛の騎士が、護衛対象に対しての人質に使われるとか、笑い話にもならない。


 馬車の床板が――私の視点としては天井が――釘で打ち付けられる。

 釘で床を止めてしまえば、その下に人が隠せる空間があるとはなかなか気づくことができないらしい。

 そう歴史を学んだ時に読んだ。


 ……まさか、自分が奴隷のように運ばれる日が来るとは思わなかった。


 思わなかったが、物事は前向きに考えたい。

 後ろ向きになってしまえば、次々に悪い想像しかできないからだ。


 ……無事、とは言えないけど、クリスティーナ様と離されないでよかった。


 カリーサのようにクリスティーナを守るために戦うことはできなかったが。

 カリーサの代わりに、クリスティーナの回復を見守ることができる。

 クリスティーナが完全に回復し、動けるようになったら脱出することもできるかもしれない。

 今はおとなしく連れ攫われることしかできないが、私たちは生きているのだ。

 生きてさえいれば、なんだってできる。


 ……守りたい。今度こそ、本当に守りたい。


 騎士を名乗るくせに、足が震えて敵の前に飛び出すこともできないだなんて、格好悪すぎだ。

 役に立たない騎士の代わりに本来は女中であるはずのカリーサが奮闘し、誘拐犯を一人殺し、もう一人の腕を切り落とし、別の男の太ももへと鉈を食い込ませ、貴族の男の指を噛み切ってもいる。


 ……カリーサのように、強くなりたい。


 主を守れるように、強く。

 現状では、まるで主を守れていない。

 それどころか、主に対する人質として使われている始末だ。

 本当に、白騎士というものは、ただのお飾りの騎士でしかない。


 ……アーロンは、異変に気づいているだろうか。


 この期に及んで、まだ他者ひとを頼るのか、と自嘲する。

 アーロンはお飾りの白騎士とは違う、白銀の騎士だ。

 きっと扉の向こうの異変に気づき、今頃はクリスティーナの行方不明に対して動き始めていることだろう。

 セドヴァラ教会へは黒柴コクまろも連れてきていた。

 犬の鼻を使えば、知らぬ間に連れ出された自分たちを追うこともできる可能性がある。


 ……今度は番犬いぬ頼り、か。


 本当に私は役に立たない、と反芻し、目の前にあるクリスティーナの顔をみつめた。

 今の私にできる唯一のことは、カリーサに従ってクリスティーナを見守ることだけだった。

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