第19話 クリスとクリスと犬猫の攻防
「……さて、なにから話そうか」
距離を計りつつも祭壇の前へと移動してきた私に、クリストフは顎に手を当てて考えるような仕草をみせる。
祭壇横のかがり火に照らされる場所へと出てきたため、先ほどよりもクリストフの顔がよく見えた。
祭祀中のように無表情を作っていれば厳しい貫禄ある王様なのだが、口を開くとアルフレッドの父親というだけあって、やはり気さくな性分のようだ。
恐々と見つめていると、目が合った途端に変顔をして見せてきた。
……や、『いない、いない、ばぁ』で笑うような赤ちゃんじゃないですよ!?
反応に困って半歩下がると、クリストフの顔に焦りが浮かぶ。
自分の行いが女の子に引かれるような行動であったと、ようやく気がついたのだろう。
……わかった。お互いに距離を計りかねてるんだ、今。
私が転生者である、と話したあとのレオナルドも少し戸惑っていた。
今生の私は体格が小さく、実年齢よりも幼く見える。
そして実年齢は十一歳ととにかく微妙な年齢で、精神年齢はともかくとして人生経験は見たとおりの年数ではない。
それらすべての事情を知った上で私と対面するというのは、どうしても戸惑うのかもしれなかった。
「……お菓子は好きかな? お菓子が嫌いな子どもはいないと思うのだが……ああ、子ども扱いで大丈夫なのだろうか。それとも御酒がお好みかな?」
近くへおいで、お菓子をあげよう、と言いながら、クリストフは『精霊の座』の裏へと回って、あろうことか『精霊の座』上へと菓子を並べる。
精霊の寵児の待機用のワゴンには水しか置かれていなかったのだが、『精霊の座』の裏にはさまざまなお菓子が隠されていたようだ。
「……あれ?」
どうにも気になって私も『精霊の座』の裏へと回ってみたのだが、菓子はどこにも置かれていない。
いくつも並べられた菓子が『精霊の座』の上にあるというのに、裏には何もなかった。
「お菓子はどこから出てくるのですか?」
冷静に考えたら、国王相手になんという気の抜けた言葉だ、とヘルミーネに怒られそうだったが、するりと出てきた言葉がこれだったのだから仕方がない。
むしろ、初対面の相手と二人だけという状況で、こんなにも早く言葉が出てくる方が私としては珍しかった。
「気になるかい? じゃあ、特別に教えてあげよう」
そう言って、クリストフは『精霊の座』が乗せられた台座部分へと指を滑らせる。
私からは飾りの溝にしか見えなかったのだが、どうやらそこに引っかかりがあるようだ。
僅かに力を込める気配がしたかと思ったら、台座の一部が横へとずれる。
「……隠し扉、ですか?」
「追想祭は一日ここに拘束されるからね。本来は飲まず食わずで祭祀を行うのだが、それだとお腹が空いて祝詞を唱えるのも辛くなる」
そのため、事前に菓子や御酒といった飲食できるものを仕込んでおくのだ、とクリストフは悪戯っ子の笑みを浮かべた。
自分もこの隠し扉を見つけた時は驚いた、と茶目っ気たっぷりにウインクをしつつ、だ。
「チーズケーキが気に入ったようだと、アルフレッドから聞いたよ。同じ店のものを用意させた。ノラカムもあるよ」
次々と並べられるケーキやノラカムに、これは本気で長居する準備なのだ、と少しだけ呆れる。
日付が変わる頃まで祭祀だと聞いていたのだが、サボる準備が万端すぎた。
「まずは自己紹介から始めよう。私はクリストフ・エセルバート・アンゲラ・マルガレータ・イヴィジアという。長いだろう? 長いと思ったら、親しみを込めて『クリス』と呼ぶとよい」
「わたくしは、クリスティーナ・ドゥプレ……? になるのでしょうか? あれ?」
茶目っ気たっぷりながらも正式に自己紹介をしてくれたクリストフに、こちらも挨拶をと思ったのだが、ふと躓く。
これまでは『ティナ』と思っていたからティナと名乗っていたが、『クリスティーナ』が本名だと言われれば、初対面の人物にはそう名乗るべきだろう。
そうは思うのだが、その後がわからない。
私はただの『ティナ』だった。
家名のようなものが存在しているのかどうかは謎だ。
……一応、貴族としての名前はあるらしいんだけどね?
貴族になる気はないので、そちらの名前を名乗るのは少々具合がよろしくない。
ではどう答えるべきなのかと首を捻っていると、クリストフの方から『ドゥプレ』は間違いである、と指摘されてしまった。
「『ドゥプレ』はレオナルドのいた孤児院の名前だ。レオナルドの庇護下にあるとはいえ、ドゥプレを姓として名乗るのは正しくない」
レオナルドが報告書などの書類に書いていた名前は『クリスティーナ・メイユ』である、とクリストフが教えてくれる。
メイユ村出身ということで、クリスティーナ・メイユだ。
……初めて知りました。
「では、改めまして。わたくしはレオナルドの妹で、クリスティーナ・メイユと申します。わたくしも愛称は『クリス』になりますので、長いとお思いになられましたら親しみを込めて『クリス』とお呼びください」
王様相手になんという不遜な物言いだろうか。
そうは思うのだが、悪戯心がムクムクと頭を上げてきたので、つい口を滑らせてしまう。
冷静に考えなくとも、国王相手に「愛称で呼ぶがいい」とは、おまえは何様のつもりだすぎた。
「そうか。では、クリス」
「……ごめんなさい。冗談です。『ティナ』がいいです」
冗談に真顔で返されて、即座に降参する。
まさか本気で『クリス』だなどと、国王から愛称で呼ばれるなんて思わなかった。
……愛称っていったら、クリストフ様も同じ『クリス』のはずなんだけどね?
自分で自分の愛称で他人を呼ぶようなものなのだが、クリストフに違和感はないのだろうか。
私としては、冗談でクリストフに合わせただけの愛称なので、本当に『クリス』と呼ばれては困ってしまう。
主に、耳慣れない愛称のせいで、自分の名前だと即座に認識できない、という意味で。
「ところでクリストフ様、毎年お菓子を隠して祭祀をしていらっしゃるのですか?」
滑った冗談を引っ張られないよう、早めに話題を逸らしていく。
「いや、これだけの菓子を用意したのはクリスティーナ嬢が十一歳の女の子だったからだ」
「では、いつもはお菓子など持ち込まずに真面目に祭祀を……いえ、わかりました。お菓子なのは今年だけで、普段は違うものを持ち込んでおられるのですね」
言葉の途中で目を逸らされたのでわかる。
お菓子は私のために用意されたのだろうが、普段からあの隠し扉は小腹を満たせるようにと使われているのだろう。
目を逸らしたことを思えば、御酒でも入れていたのかもしれない。
……そういえば、さっきは御酒の方が好きか、とか聞かれたしね。
ジッと胡散臭いものを見る目でクリストフを見上げると、視線に耐えかねたのかクリストフは勝手に弁明を始めてくれた。
自分だけが隠し扉を利用しているのではない、と。
代々の王が非常食を蓄えておくために隠し扉を作り、利用してきたのだ、と。
「私も王位についた数年は真面目に祭祀をしておったのだ」
ただし、日付が変わる頃まで真面目に祭祀をしていたのは、その数年だけだ。
ある時この隠し扉に気がついて仕掛けを開けてみたところ、中には差し入れと
ご丁寧に、エセルバートの記名入りの激励と一緒に。
あとの行いは、歴代の王と同じである、と力説が続く。
日付が変わる頃までは祭祀を行っているということで、この地下神殿までは誰も入ってこない。
多少薄暗くはあるのだが、国王という立場にいる者には貴重な、ひと目を気にせず寛ぎの時間を堪能できる、年に一度の休暇と思って祭祀に臨んでいるのだとか。
「祭祀が見事なまでに形骸化していますね」
先ほど朗々と詠んでいた祝詞は、神王へと帰還を呼びかける切なる願いであったのだが。
実体を知ってみれば、年に一度の誰の目も気にしなくていい休暇扱いである。
……そりゃ、神王様に祈りなんて届くわけないよ。
ここまで見事に形骸化した祭祀だとは思わなかった。
「そういえば、クリスティーナ嬢は昨年の追想祭で神王と言葉を交わされたと聞いたのだが、かのお方はどのようなご様子だった?」
「神王様ですか? えっと……」
不真面目が露見したことへの話題逸らしだとはわかっていたが、これについては突っ込まないでおくことにする。
王様だって人間だ。
気を抜きたい時ぐらいあるだろう。
……神王様も、人間なんだよね?
クリストフへと昨年遭遇した神王についてを当たり障りなく答えながら、ふとこんなことを考えた。
字だけをみると『神の王』と誤解してしまいそうなのだが、神王は『神が選んだ人間の王』だ。
あくまで人の世を治める、人間の王である。
神話の時代から誰かを探して彷徨っているようなのだが、寂しかったり、疲れたりしないのだろうか。
浮世離れした印象の男性ではあったが、同じ人間でもある。
……ころころと印象の変わる人だよね。
神と精霊と人間に愛される魅力を持った人物だったらしい。
神話から察する人柄は、優しくてお人好しで、勤勉な努力家だ。
慙愧祭の神話になると、妬まれて一方的に殺意を抱かれる被害者となる。
今日聞いたばかりの祝詞によれば、絶対に怒らせてはいけない人物で、彼が怒ると世界が終わる。
その怒りの一端が、世界に刻まれた傷跡であり、ヴィループ砂漠なのだとか。
……メンヒシュミ教会の劇だと、ヴィループ砂漠を作ったのって、神王に挑んだ若者の方なんだよね。
追想祭については、聞けば聞くだけわからなくなる。
さまざまな説や微妙に変わる結末が多く、同じ出来事が元になっているはずなのだが、なかなか一つに纏まってくれない。
……お茶目な人だった気がする。あと、話し相手に餓えているのかも?
能面のように無表情だった神王の蒼い瞳を思いだす。
それがしばらく話しているうちに、少しだけ表情が戻り、蒼い瞳を寂しそうに揺らしていたのだが、去り際には悪戯まで残していった。
どのぐらいの時間彷徨っているのかは知りようもないが、彼の心は疲弊しきっているのだろう。
……帰ってくればいいのに。
神話によると、神王は自分の意思で世界から姿を消している。
つまり逆に考えれば、自分の意思で戻ってくることもできるはずなのだ。
けれど、神王は
今のこの世界は、神王から見捨てられているのだ。
「……さて、本当にニホン人の記憶があるのか、
少し奇妙な世間話をしつつ、チーズケーキを美味しくいただく。
そんな中、ほんの少し会話が途切れたと思ったら、クリストフは姿勢を正して咳払いをした。
ようやく本題に入るらしい、というのが正直な感想だ。
「試験、ですか?」
はて、どんな内容だろう、と首を傾げる。
そもそも日本語も読めないらしいというのに、何をどうやって私の中の日本人として生きた記憶が嘘か真かと調べるのだろうか。
「ニホン人の転生者は本物であれば大助かりだからな。扱いも良いので、毎年何人か我こそはという偽者が来る」
「……わかりました。お勉強は得意だった気がしませんが、ドーンと来てください」
日本人かどうか確かめるというぐらいなのだから、日本人であれば解けて当然の問題なのだろう。
少しだけ不安はあったが、ジッとクリストフの目を見つめて出題を待った。
「三ベン、笑ッテ、にゃんト、鳴ケ!」
「へ?」
クリストフの口から出てきた微妙におかしな発音の日本語に瞬く。
まさか突然日本語を聞かされるとも思わなかったが、聞こえた言葉の意味を考えるとますます意味がわからない。
「……それを言うのなら、普通は『三回マワッテわんト鳴ケ』ではありませんか?」
これは言葉遊びの一種だ。
上位に立った人間が、下位の人間を卑しめる時に使うのを、前世のドラマかなにかで見た。
人によっては『犬として扱われた』とプライドが傷つく行為なのかもしれない。
そういう意図で使われてもいたのだろう。
「わん?」
「にゃん?」
問題がおかしいぞ、と反射的に突っ込みを入れた私に、クリストフは「わん?」と首を傾げ、私は「にゃん?」と逆方向へと首を捻る。
しばしそのまま見詰め合ったあと、気を取り直したらしいクリストフは「ここは『ニャン』と答えるのが正解だ」と言い始めた。
「いえ、『にゃん』は『ニャン』ですけど、クリストフ様の仰るとおりにするのなら、『三回笑ってニャンと鳴く』になりますよ」
鳴き方でいえば確かに『ニャン』が正解になるが、文章全体から考えるのなら、先に三回笑うべきである。
ワンと鳴けが一般的である、と主張しながら、クリストフの日本語を解体していく。
『三』は数字で、『べん』は回数を示し、『笑って』は笑顔である、と。
ニャンと鳴くのは後半部分だけの要求だ。
この場合は『ニャン』と鳴いただけでは不正解である。
「ですから、クリストフ様の仰られたとおりにするのなら、三段階活用でまず笑う必要があります」
「さんだんかいかつようの笑いとは?」
「え? えっとですね……? くっくっくっ、ははは、あーははははははっ! ……ですか?」
このあとに『ニャン』とつけたら、出題どおりの回答である、と段々なぜこんな馬鹿馬鹿しいことを力説しているのだろうか、と冷静になってきて声が小さくなる。
よく考えたら、私が日本人かどうかだなんて、やはり偽者だったと判断された方が後々の面倒は少ないはずだ。
……わざと間違える。その発想はなかったっ!!
全部言い切ってスッキリしてから、その可能性に気がついた。
我ながら間抜けすぎる話だ。
「……これまでの選別方法は、改めた方が良いかもしれぬな」
「逆に引っ掛け問題としては優秀な気がしてきました」
優秀な引っ掛け問題すぎて、これではもう誤魔化しようがない。
クリストフがどこかから持って来た怪しい日本語が誤りである、と訂正できるぐらいには私は日本語に通じている、と証明してしまった。
「そなたは本当に、ニホン人の転生者、あるいはニホン語を理解できるのだな」
少しの沈黙のあと、クリストフの表情が引き締まる。
茶目っ気たっぷりだった雰囲気は消え、近づきがたい国王の顔になった。
「クリスティーナ嬢、改めて問う。そなたはこれからどう暮らしたい?」
真剣な眼差しで問われ、無意識に背筋が伸びる。
ここからは、いつもの天邪鬼を出してはいけない。
聞かれたことには真摯に答えなければいけない。
それが肌でわかった。
「わたくしは、レオナルドお兄様の元で、妹としてのんびりと暮らしたいです」
貴族になりたいだとか、王族の嫁になりたいだなんて思わない。
情けないことに、まだ将来どんな仕事に就きたいという展望さえないが、今の私の望みは本当にこれだけだ。
まだ家族から引き離されたくはない。
「ニホン語が読めるということを、活かしてはくれぬのか?」
「聖人ユウタ・ヒラガの研究資料が読めれば、いくつかの秘術が復活できるかもしれない、ということは理解しています。ですから、資料を読むこと自体は……望まれるのでしたら読みますけど、読む場所はレオナルドお兄様の家がいいです」
これは本当に子どもの我儘である、と念を押す。
突き詰めれば本当の子どもではないので、家族から引き離されても我慢はできると思うのだが、嫌なものは嫌だ。
今生の私は甘え下手の、そのくせドロドロの甘えん坊である。
そんなことをすれば、寂しさで死ねる気さえする。
「どうしても王都で日本語を読めと仰るのなら、わたくしが二十歳になるまで待ってください」
「二十歳、というのは?」
「日本人の成人年齢です」
成人したらさすがに諦めて自立をするから、王都へと出てくる気にもなるかもしれない。
だから無理矢理に王都へと留めることはやめてほしい、と言い募る。
子どものうちは子どもとして、保護者の側にいたいのだ、と。
「今すぐ資料を読ませたければグルノールへ、九年後にニホン人としての成人を迎えれば王都へ来てもよい、と捉えればよいのか? しかし、家族ならば王都にも二人いるだろう。そなたのことは調べが終わっているぞ」
「ベルトラン様のことでしたら、わたくしは家族とは思っておりません」
今際の際にすら父から名前がでなかった祖父である。
グルノールの街では孫に対する放置も見ているし、ジャン=ジャックに対して拷問が行なわれたのであろう物的証拠も見た。
そんな人物を、自分の身内だとは思いたくない。
「そう嫌ってやるな。あれは不器用な男ではあるが、悪い男ではないぞ」
「クリストフ様は、ベルトラン様をご存知なのですか?」
「若い頃は従者として散々振り回してやった。それに、あれの嫁は私の
「……クリストフ様の又従姉妹、ですか?」
王族の又従姉妹が自分の祖母である、と告げられて思考が停止する。
すぐには理解できなくて、頭の中が疑問符でいっぱいになった。
……たしか、王様の孫までが『王族』に数えられるってヘルミーネ先生が教えてくれたから、又従姉妹って……うん?
金貨五千枚をシヴルに直した時と同じようなことが頭の中で起こっている。
理解したくない事実をポンっと投げて寄越されて、私の頭が理解することを拒否していた。
「ベルトラン様のお嫁さんっていうと、当時のベルトラン様は
「我が国は隣のサエナード王国とは違い、実力重視の国だからな。早急に国の中へと取り込みたいと思えば、そういうこともある」
レオナルドにも王女との縁談を用意していた時期がある、と続けられた言葉に、ポカンっと口を開いて驚く。
貴族の姫君との間に縁談があったとは聞いたが、王女様との縁談話まで持ち上がっていたとは知らなかった。
「あれは類稀なる馬鹿正直者だ。ついでに人から好かれる。王族には必要な才だ。取り入れたいと思っても不思議はなかろう」
しかし、そうだな、とクリストフの言葉が一度区切られる。
少しだけ考え込むような仕草に、なんとなく不安を感じて開けたままの口を閉じた。
「レオナルドにとってはそなたが、そなたにとってはレオナルドが枷になるようだな」
枷という単語に、サッと血の気が失せる。
ラガレットの街でも、レオナルドに対する人質として誘拐されたことがあった。
あの時はレオナルドが敵の要求など聞けないと拒否していたが、私を押えているのがレオナルドが騎士として仕える国であれば条件は変わってくるだろう。
レオナルドが要求を拒否する必要がないのだ。
そして、逆も考えられる。
私は
ということは、私に対してはレオナルドが人質になるのだ。
「……わたくしが、オレリアさんへと研究資料の内容を洩らそうとしたことは、不問になったと聞きましたが」
「ああ、不問とした」
情報を流すという意味では達成されていないし、オレリアは死んでしまったが、谷に引き籠っていたオレリアを谷から出る気にさせたという功績がある、と。
その説明は、私もアルフレッドから聞いている。
私の犯した罪はなかったことにした方が、いろいろな人間が助かるのだ、と。
「……レオナルドお兄様の罪は、どうなっているのですか?」
私が情報漏えいを罪だと自覚した時、レオナルドもまた一緒に牢へと入った。
妹の犯した罪は、兄である自分の罪でもある、と。
そのレオナルドに対する裁決を、私はまだ聞いていなかった。
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