第79話 スキル集め②

『【中級特殊魔法】スキルを奪いました。』



【起死回生】スキルをミラに与えたため空きがでたスキル枠に、【中級特殊魔法】が収まった。



「ギ!?」



スキルを奪われたキングリザードがロックに気づき、他の敵も臨戦態勢に。


ロックは厄介な剣持ちと槍持ちから狙うとこにした。


まずは近くにいた剣持ちから。



「ギヤァ!」



素早さで勝るロックは一撃を入れ、そのまま距離をとる。


身構える剣持ち。


槍持ちが腰を据えて槍を構えた。


[武技]での範囲攻撃だろう。


ロックは杖持ちが槍攻撃の動線上に来るように位置取る。


スキルを奪われて動揺している杖持ちは反応が悪く、移動できない。



ズバッ!



もたついている間に、杖持ちにロックが攻撃。


杖で応戦するが、技術でもスピードでも大きく差のある相手に当てることができない。


B級3匹相手でも余裕を持って戦えるようになってきたロックであった。


もっとも、特殊魔法でバフ・デバフや状態異常を使われていたら展開は違っていただろう。


剣・槍持ちは[武技]をスタンバイ、杖持ちは後ろに下がった。



ドッ!



ロックに気を取られていたキングリザードたち。


そこへ杖持ちの背後に矢が突き刺さる。


ティナの狙いすました一撃だ。


完全にロックに気を取られていた3匹は、突然の攻撃に陣形が崩れ、[武技]の構えも解ける。


A級モンスターに比べると、とても戦いやすい。



「ギィャァ…!!」



一瞬の隙をついてロックが剣持ちに攻撃。


剣持ちは倒れたが、近くにいた槍持ちがリーチを活かしてロックへと槍を振るう。



「くっ!」



槍持ちはかなり素早い。



(素早さをあげるスキルか?)



おまけに[武技]により、時より強烈な一撃が飛んでくる。


スキルや[武技]による強化を含めても、まだロックが優勢ではあるが、その差は大きなものではない。



杖持ちは矢を警戒しながらティナの方へ接近を試みていた。


しかし、【全能力50%UP】によりティナとキングリザードのステータス差はほぼない。


すでに大きなダメージを負っている杖持ちは近づく前にティナの矢により倒れた。



それと同時に、槍持ちもロックが倒した。


だが、ロックもHPを4分の1ほど削られてしまった。


S級冒険者上位並みのロックとB級モンスターであるキングリザードがまともに戦えるという事実は、スキルの重要さを物語っている。


ロックはスキル5つ持ちだが、現在戦闘に直接関わるのは【スキルスナッチ】くらい。


それも前衛1人の現状では戦闘中に使うことはなかなか難しい。




『レベルが上がりました。』



ロックのレベルが上がった!




************


名前:ロック

パーティ:ラフリンクス

Lv:46→48

HP:8903→9284

MP:880→922

体力:870→913

力:877→913

素早さ:890→932

器用さ:883→921

魔力:869→910

スキル:

【中級特殊魔法 ★★★】

【成長促進(パッシブ) ★★★★★】

【隠密 ★★★】

【スキルギフト ★★★★★】

【スキルスナッチ ★★★★★ 】


************




とうとうステータスが900台に。


純粋なステータスでロックに敵う生物はほとんどいないだろう。



「よし!

 早速スキルを奪えたから、渡すね。」


「うん。

 でもさっきの敵から受けた傷は大丈夫??」


「ちょっと痛むけど大丈夫だよ。

 ティナのスキルのおかげで一緒にいたら回復してくるしね。」


「さっきのレベルアップでロックのHPは9000を超えたし、【慈愛の祈り】では回復力不足よね。」


「遠征の時は重宝するんだけどな。

 移動中や野営の時に、受けたダメージはMPなしでほとんど回復するし。

 今後それよりもティナが気に入るスキルが手に入ったら、その時は入れ替えもできるよ。」


「その時はお願いね。

 今回の【中級特殊魔法】はミラがよさそうね。

 今のままだと経験値を稼げないから。」


「いいの?」


「それがいいね。

 じゃあミラに渡すよ。


 <スキルギフト>!」




『どのスキルを誰に与えますか?』



「【中級特殊魔法】をミラに。」



『【中級特殊魔法】スキルをミラに与えます。』




「きたきたー!」




『【中級特殊魔法】スキルを受け取りました。』




「ありがとう!!」


ミラはステータス画面から【中級特殊魔法】で使える魔法を確認している。


特殊魔法使用時の経験値は、バフ・デバフによるダメージの増減分が経験値となる。


状態異常は与えられたダメージに応じて一定の割合で経験値となる。


自身が戦えなくても経験値を入手しやすいスキルである。



「よーし!!

 ガンガン行こー!!」


「行くのはロックだけどね…。」


「はは…。」


「それにしても、Bランクでも中級のスキルだったわね。」


「そうだね。

 上級を手に入れようと思ったら、A級か…。

 おそらく群れでいるだろうし、今のままじゃ厳しいね。」


「まずはこの辺りで中級やそのほかのスキルを集めて、行けそうだったらAランクエリアに進みましょうか。」


「そうしよう。」


「うんうん。

 さっきは勢いでガンガン行こう!って言っちゃったけど…、命大事に!」

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