第78話 スキル集め①
「アイテムを不自然にたくさん持ってるモンスターって知りませんか?」
「アイテムを…?
うーん…。」
考え込むレイカ。
「アイテムをたくさん持ってるかはわからないですが…。」
「心当たりありますか!?」
「装備やアイテムを奪われる、というのは聞いたことありますね。
奪われたアイテムは消えて、どこにいったかわからなくなるそうです。」
「そのモンスターはどこにいますか?!」
「メインシャの洞窟です。
ただ、そのモンスターは素材にもならないし、あんまり遭遇しないみたいですよ。」
「ここから北西のモンスター生息域ですね!
そんなに遠くない!
どんなモンスターですか?」
「宝箱みたいな見た目で、ミミックっていうモンスターです。
A級モンスターです。」
「A級!?
ロック、さすがにA級は無理じゃない!?」
Lv25のミラからしたら、危険すぎて立ち入れない領域だ。
ロックにしてもA級のミスリルゴーレムとは死闘を繰り広げたのは記憶に新しく、倒すのは簡単ではないだろう。
「いきなり行くつもりはないよ。
まずはエシアドの崖に行って、準備できたら向かおうか。」
「レイカさん、ありがとうございました。」
「お気をつけてくださいね。」
そのあと、ミラは一旦自宅へ戻った。
家族へ冒険に出ると話をしに行ったのだ。
ミラの両親へは軍から説明があったらしい。
訓練中にトラブルがありギルドの医務室で治療中と、内容はぼかして伝えられたようだ。
冒険に出ることに関しては、すんなり許可が降りたらしい。
「軍の将軍に会った。
期待されてるから強くなってくれって。」
訓練中の話の際、将軍の名前が出てきていたため、疑いもしなかったようだ。
まあ、少し脚色してるが、ミラが話したのは大体は本当のことである。
「さて、これで心置きなく旅に出れるわね!」
「それじゃあ、買い出しに行きましょう。」
軍資金は十分にある。
3人はエシアドの崖に向かうための買い出しに向かった。
エシアドの崖である程度いいスキルが手に入ったら、メインシャの洞窟へ行く予定だ。
ちなみに、エシアドの崖はバルキア帝国側である崖の上と、ミステレス王国側の崖の下、2つの入り口がある。
B級モンスターが現れ始める奥地に行くと崖の高低差がなくなり合流するのだが、それまでは別々の進路となる。
崖の上は森林で、獣系のモンスターが多い。
複数の系統が生息するエリアは世界でも珍しい。
今回は崖の上から行くこととなる。
とはいえ、B級モンスターのエリアまでは極力戦闘はしないつもりなので、結局崖の下の爬虫類系のモンスターと戦うこととなる。
狙うはリザードマンの上位種。
上級剣術や魔法のスキルが欲しい。
買い出しをした翌日、ロックたちは街を出発した。
馬車で入り口まで行き、Bランクエリアまでかかったのが1日半。
スキル集めと、レベル上げを開始した。
最初に遭遇したのはキングリザード。
リザードマンの上位種でB級モンスターだ。
幸先のいいスタート。
ただ、相手は3匹。
ティナとミラにとっては強敵のため、慎重を期す。
「まずは僕が【隠密】で近づいて攻撃するね。
ティナは援護をお願い。
ミラはスキルを手に入れるまでは安全なところに離れてて。」
そう打ち合わせして、ロックは敵に近づく。
キングリザードの構成は、剣と槍、杖。
剣が欲しいところだが、どうせスキルの入れ替えでなくなってしまう。
まずは、杖を持ったキングリザードのスキルを奪う。
(<スキルスナッチ>。)
『どのスキルを奪いますか?』
『【中級特殊魔法】スキル
【魔力30%UP】スキル
【杖使い】スキル』
(お、特殊魔法か。
【中級特殊魔法】。」
『【中級特殊魔法】スキルを奪いました。』
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