第77話 戦力UPの可能性

「ふうっ。

 うまくいった。」


「ほ、ほんとにスキルがなくなってるーー!!」


自分のスキルを確認して驚くミラ。


「ミラ、あなたその前に3つなくなってるのよ。」


冷静なツッコミを入れるティナ。


「だって!

 人のスキル取れちゃったら、最強じゃない!!」


「そうよね。

 ユニークスキルを持ってる人以外はロックの敵じゃないわ。」


「ちょ、ちょっとティナ?

 それは言い過ぎだよ。」


「言い過ぎじゃないわ。

 おじいさんも言ってたでしょ?

 あなたはその気になればこの世界を支配できるって。

 ステータスももうS級冒険者上位じゃない。」


「そうなの!?

 ロック、ヤバいわね!」


女子2人の勢いにすぐに飲まれてしまうロック。


「話を戻そうよ!

 これで、僕はスキルを奪い、そして与えることができるようになった。

 つまり、ティナとミラ、君たちにも新しいスキルをあげられるということだよ!」


「おーーー!

 そういうことか!!」


「ミラ、今気付いたの?」


「深く考えてなかった!!」


「ま、まあそこがミラのいいところ、かな?

 ミラは今スキルが1つもない状態だから、まず1つスキルを渡したいと思う。」


「よろしく!」



「<スキルギフト>!」



『どのスキルを誰に与えますか?』



「【起死回生】をミラに。」



『【起死回生】スキルをミラに与えます。』



ロックがスキルを与えると、ミラが反応した。



「あ、頭の中で声がする!」




『【起死回生】スキルを受け取りました。』



「受け取ったって!

 どれどれ…。」


ステータスからスキルを確認するミラ。




************


名前:ミラ

パーティ:ラフリンクス

Lv:25

HP:2365

MP:254

体力:228

力:194

素早さ:216

器用さ:177

魔力:261

スキル:

【起死回生 ★★★★】

【   】

【   】

【   】


************




「おー!!

 あったーー!!

 しかも★4じゃん!

 ロック、太っ腹〜!」


「それも奪ったスキルだからね。

 ミラは杖術で戦うんでしょ?

 敵と接近することになるから、そのスキルを渡しとくね。」


「ありがとーーー!!

 ロック大好き!!」


ミラが抱きついてくる。


「あ、ちょっと!

 ミラ!」


(ティナの前で…。

 あ、いい匂い…。

 女の子ってなんでこんないい匂いするんだろう…。

 柔らかいし…。)


「…。」


それを冷めた目で見つめるティナ。


「…羨ましい。」


ボソッとつぶやいたその言葉は、ロックには届かなかった。


「え?

 ティナ、なんか言った?

 ねえ、ミラなんとかしてよ〜。」


「そんなこと言ってるけど、相変わらず顔はニヤけてるわよ。」


「違うよ!

 よし、ミラ、真面目な話しよう!!」


ロックを堪能して、スッと離れるミラ。


「うん!

 なになに?」


「これからレベル上げと、僕らのスキル集めをしよう。」


「「スキル集め?」」


「そう。

 自分たちの戦闘スタイルを決めて、それに合わせたスキルをモンスターから奪うんだ。」


「モンスターから?」


「さすがに人からは奪えないからね。

 それに、モンスターには彼ら固有のスキルがある。」


「固有のスキル?」


「うん。

 例えば【噛み砕き】っていうスキル。

 これはレア度が低いから持ってる人がいても良さそうだけど、今まで聞いたことないスキル。

 もしかしたら【隠密】や【起死回生】もモンスター固有のスキルかもしれない。」


「モンスター固有で、有用なスキルが他にも見つかったら、戦力をあげられるわね。」


「期待できるよね。

 その前に自分たちの戦闘スタイルの分析が必要なんだ。

 僕は今のところ、


 【スキルスナッチ】

 【スキルギフト】

 【成長促進】


 この3つのユニークスキルは外せない。

 5つのうち1つは入れ替えに使うから固定できない。

 

 実はあんまりスキルを新しく入れる余裕はないんだ。

 【隠密】はなかなか再入手できないし、取っておきたいけど、剣術のスキルがあったら欲しいところだね。」


「私は完全に魔力特化ね。

 弓も持ちつつ、攻撃魔法を使えるようになりたいわ。」


「わたしは回復しながら杖で戦うスタイルだったんだけど、スキルが手に入るならまた同じ系統のがいいわ。

 魔力もあるけど、体力と素早さもある程度あるから。」


「そうなると、エシアドの崖…、かな?」


「リザードマンを狙うのが確実そうね。

 どうせなら上級魔法が欲しいけど、かなり強いランクの敵を倒さないと手に入らなさそうよね。」


「ミラのレベル上げも必要だし、腰を据えてエリア攻略したいな〜。」


「3人になると、必要な物資も増えるわよね。

 今までのテントじゃ狭いし…。

 イシュメルさんのような【アイテムボックス】があったら便利なんだけどね…。」


「そのスキル持ってるモンスター、いないかなー?」


「どうかな〜。

 不自然にたくさんのアイテムを持ってる敵、とか?」


「レイカさんなら何か知ってるかもしれないわね。」



3人は医務室から出て、仕事に戻っていたレイカの所へ手がかりを聞きに行った。



「レイカさん。」


「あら皆さん。

 今後の予定は決まりましたか?」


「そのことで相談なんですが…。

 あ、その前に、ミラと一緒に運び込んだ女性は大丈夫でしたか?」


「ええ。

 ミラさんよりも軽症だったから、すっかり元気になリましたよ。

 また改めてお礼をしたいと言ってました。」


「お礼はいらないですけど、なんともなくてよかったです。」


「それで、相談ってなんですか?」


「ちょっと変な質問なんですけど、アイテムを不自然にたくさん持ってるモンスターって知りませんか?」

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