第75話 3人目のパーティメンバー

将軍たちと別れた後、ロックとティナ、レイカは医務室へ向かった。



ミラはまだ目を覚ましていなかった。


「ミラ…。」


ミラの手を握り名前を呼びかけるロック。


ロックの呼びかけにミラが応じないまま、ミラ救出の1日は終わりを迎えた。




翌朝。


ロックはミラの手を握ったまま、ベッドの脇で眠っていた。


ティナは別室で眠っている。



「…う…ん…。」



かすかに聞こえたミラの声に、バッと目覚めて起きるロック。



「ミラ!?

 気が付いた?!」


「うー…ん。」


うっすらとミラの目が開く。


開いたミラの目には、ぼんやりと誰かの顔が映る。


次第にはっきりしてきたその顔の正体は、ずっと会いたかった幼馴染。



「…ロッ…ク?」


「そうだよ!

 僕だよ!

 ミラ、大丈夫!?」


「ロック?

 本当にロックなの!?」


ロックの顔をペタペタと触るミラ。


「ロック!

 ロックが生きてる!!

 夢じゃないよね!?」


「夢じゃないよ!

 生きて帰ってきたんだよ!」


「ロック…。

 …生ぎででよがっだ…!」


ロックに縋り付くように抱きつき、大粒の涙をポロポロ流すミラ。


「死んだっで聞いでで…。

 もう会えないど思っでだ…。」


ミラを抱きしめ、頭を優しく撫でるロック。


しばらくして、ミラの嗚咽もおさまってきた。


「ロック、本当に生きてたんだね。」


「うん。

 1度ミラに会いにきたんだけど、知り合いに見つかって騒ぎになっちゃってさ。

 会えなかったんだ。」


「あ〜…、ロックのことバカにする嫌な奴らね。

 しょうもない奴らよね!

 

 でも、また会えて本当によかった…。」


「僕もだよ…。

 ミラ、身体は大丈夫?」


「からだ?

 っていうかわたしなんでこんなところで寝てるの?」


何かを思い出したように、突然顔が青ざめるミラ。


「うっ…。」


「大丈夫!?」


「なんか頭が…。

 教官に過酷な訓練をさせられて…、スキルを全部覚えた…。

 それから…。

 

 それから…?

 

 思い出せない。

 …でも、とっても辛かったのだけは覚えてる。

 終わりのない地獄にずっといるような…。


 もしかして、ロックが助けてくれたの?」



バタン。



そこにティナがやってきた。


「目が覚めたの!?」


「ティナ!

 うん、さっき目を覚ましたよ。


 ミラ、この人は僕のパーティメンバーのティナだよ。

 2人でミラを助けたんだ。」


「私は結局なんにもできなかったけどね…。」


「そんなことないよ!」



そんなやりとりを、ミラがジト目で見ている。


「なんだかずいぶん仲良いようね…。」


ジト目の視線がティナの顔から足まで下がり、そして胸まで上がって…、止まる。


「ふ〜ん…。」


なにか不穏な空気を感じ取ったロック。


「ど、どうしたのミラ?

 まだ病み上がりだからかな?

 回復術師さんに一応見てもらおう。」


そう言って部屋を出て行った。


「ティナ、さん?

 私のこと助けてくれたそうね。

 ありがとう。」


「いえ。

 私は本当に何もできなかったから。」


「…ところで、ロックとはどこまで進んでるの?」


「え?

 なにが?」


「しらっばくれないでよ!

 男女2人で旅してたんでしょ?

 いかがわしいことしてたんじゃないの!?

 そんなでっかいおっぱいして!」


「してないわよ。

 手も繋いでないわ。」


(手は…握ったことはあったかしら。)


「本当に…?」


「本当よ。

 ロックって、女の人に興味津々の割に、奥手でなにもできないのよね。

 そういうところもいいところだけど。」


「そうね!

 あいつはむっつりスケベよ!

 ていうかなんであなたロックと旅してるのよ!?」


ティナはロックにあったこと、自分にあったこと、そして出会ったこと。


そして、それからの旅のことをミラに話した。



「う…、うぇ〜ん!」


また泣き出すミラ。


「ど、どうしたの?」


「なんでロックもあなたもそんな酷い目にあわなきゃいけないの!?

 かわいそう!」


泣きじゃくるミラをあやすように話すティナ。


「ミラ、あなたも大変だったのよ。

 体調はなんともない?」


ティナはミラに起こったことも話した。


「わたし、そんなことになってたんだ…。

 助けてくれて…、ありがとね。

 失礼なこと言って、ごめんなさい…。」


「いいのよ。

 ロックにとって大事な人は、私にとっても大切だから。」


「な、なんかそれは引っかかる言い方…。

 あなたがいい人なのはわかったけど、ロックは渡さないんだからね!」


「それはなんとも言えないわ。

 ロックはとても大切な人だもの。」


「き〜!

 そんなこと言って!

 そんなS級おっぱいで誘惑されたら、わたし勝てないじゃない!!」


「そんなことないわよ。

 ロック、ずっとミラの話してたわよ。

 唯一自分を支えてくれた、大切な人だって。」


「た、大切だなんて…。

 照れちゃう…。


 でも、あいつ肝心なところで鈍感だったりするのよね!

 むっつりだけど!」


「確かに、むっつりよね。」


「わかる!?

 反応見てると面白いよね〜!」


「ずっと見てても飽きないわ。」


「たしかに〜!」



扉の外ではむっつり呼ばわりにショックを受け、とてもじゃないが入れなくなったロックが立っていた。


話がひと段落した時に、回復術師さんと何食わぬ顔で部屋に戻ったのであった。



「でも、ミラがなんともなくてよかったよ。」


「少し頭がぼーっとするけどね!

 でも大丈夫!

 2人ともありがとう!」


「どういたしまして。」


「それでそれで?

 これからどうするの?」


「まだ決めてないな。」


「どこ行こうか!?」


「ミラ、君も来るの?」


「当たり前じゃない!!

 わたしはロックとパーティ組むって決まってるの!」


「そ、そうだったんだ。」


「何よ?

 わたしがいると都合悪いわけ?

 ティナのおっぱいに悪いことしようとしてない!?」


「な、なに言ってんだよ!!

 そんなこと考えたこともないよ!」


「いやいや。

 あのおっぱい見て何も思わないわけないじゃない。

 わたしが男だったら、もう…。」


「もういいから!

 ミラがパーティメンバーになること、僕はもちろん異論ないよ!

 ティナはどう?」


「私もないわよ。

 楽しくなりそうね。

 よろしく、ミラ。」


「よろしく〜、ティナ!!」



こうして、3人目のパーティメンバーが加わった。





〜第二章 完〜

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