第72話 軍の大物登場
じっと聞いていたロックだったが、怒りで自分がどうにかなりそうだった。
ボゴッ!
スレッグ大佐が話し終えたのをみて、我慢しきれなくなり、スレッグ大佐に殴りかかる。
S級冒険者並のステータスを誇るロックに殴られて、1発で気を失うスレッグ大佐。
腕にはブロンズに輝くブレスレット。
スレッグ大佐はBランクだったようだ。
「ロック。」
まだまだ気が済まず、スレッグ大佐に詰め寄ろうとするロックをティナが制する。
「ここで殺してしまったら、ロックが犯罪者になってしまうわ。」
人を殺すと、ブレスレットの色が黒くなる。
盗賊討伐の時などは解除してもらえるが、帝国軍の大佐を殺してしまったとなれば、大罪人となってしまうだろう。
「ギルドに連れて行きましょう。
レイカさんもいるし、自白する状態で差し出せばなんとかなると思う。」
「…うん。」
頭ではわかっていても、心の整理がつかないロック。
それでも、怒りを押し殺して拳を収める。
「できれば【中級回復魔法】を奪ってミラを回復したいんだけど…。
【マインドコントロール】がなければ自白させられない。
…回復はギルドでお願いしよう…。」
ツカツカとスレッグ大佐に近づくロック。
パンッ!
「起きろ。」
頬を張って目を覚まさせる。
「う…ぐ…。」
「起きろ。
起きてギルドまで歩くんだ。
ティナ、すまないけど、そちらの女性を抱えてギルドまで行けるかい?」
「もちろんよ。
行きましょう。」
ロックはミラを大事に抱え、スレッグ大佐を先頭に家を出た。
洗脳しているものの、何かあって逃げられては困るので、スレッグ大佐に縄を用意させ身体を拘束した。
ざわざわ…。
顔を腫らして縄で拘束された軍の大佐と女性を抱き抱えて歩く2人。
しかも、そのうちの1人はひどい傷を負っている。
あまりに異様な光景だが、軍の偉い人がいること、異様すぎることで、誰も近づけない。
そのまま、何事もなくギルドへ到着。
ロックはレイカを探し、声をかけた。
「すみません、レイカさん!
すぐに傷の手当てをお願いできませんか?!_」
「ロックさん…!
これは一体…。
少々お待ちください!」
あまりの状況に混乱するレイカだったが、事前情報があったことと、少女の状態が悪いことから、すぐに回復術師を連れてきてくれた。
「…これで傷は大丈夫です。
ギルドの医務室に寝かせておきますね。」
意識のない女性2人をギルド職員が医務室へと運んでくれた。
ミラの傷がキレイに治り、ホッとするロック。
そこでレイカが口を開いた。
「それで、状況を説明していただけますか?」
ロックが説明しようとした、その瞬間。
バタン!!
ギルドの扉が勢いよく開いた。
「その件、私も事情を聞かせてもらおう。」
軍関係者と思われる数人の男たちがギルドにズカズカと入ってきた。
「しょ、将軍…!」
「将軍!?」
レイカの発した言葉を思わず繰り返してしまったロック。
将軍は、軍の最高責任者。
その将軍がなぜここにいるのか、誰も理解できない。
「街中を軍の幹部が縄で拘束されギルドの方へ歩いて行った、という話を聞いてね。
すぐに飛んできたんだ。」
その空気を察してか、将軍が経緯を自ら語った。
「それで、一体どういうことなんだ!?
スレッグ大佐!!」
スレッグ大佐には、聞かれたことに対しては相手が誰だろうと正直に答えるよう洗脳してある。
「…はい。
ミラという少女がユニークスキルを覚醒し、そのスキルで私を強化するため、自宅の地下室に監禁しておりました。
そこにこのお2人が少女を助けに来て、捕まりました。」
「な、なに…!?
よくそんなことを恥ずかしげもなく…!」
本来なら取り繕って嘘を並べるような状況の中、淡々と自分のした罪を自白するスレッグ大佐。
将軍たちも驚き、そして怒りを隠せないようだ。
「軍の顔に泥を塗るような真似を…!
…まあお前の処分は後だ。
少女を助けたというのは、君たちかね?」
将軍はロックとティナに話しかけた。
「はい。
そうです。」
「ん…?
君は…、スキル5つ持ちのロックくんかね?」
「そ、そうですが…。
僕をご存知で?」
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