第38話 謎のカエル

ティナの膝枕の破壊力に昇天してしまったロック。


なんとか現実に戻って、終わりかけた冒険を再開した。



いつまでも堪能していたかったが、HPが1割ちょっと回復したところで出発。


それでも1時間以上ロスしてしまった。


回復魔法の使い手がいないのは辛い…。



しばらく進むと、見たことのないカエルのモンスターを発見。


いつも通り【隠密】で近づく。



…動かない。


厳密にいうと、ゆっくり動いているが、気づいていないようだ。



(<麻酔針>!)



【麻酔針】を発動する。




身動きできなくなるロック。


ゆっくり動いていたカエルが、ロックの方を見て止まる。



(…え!?)



カエルの手が淡く光る。



(魔法!?【隠密】が効いてたはずなのに!?

 

 やばい!!


 <スキルスナッチ>! )


【麻酔針】の影響で動けない時も別のスキルを使えることは確認済み。


急いでカエルのモンスターのスキルを奪う。



『どのスキルを奪いますか?』


『【起死回生】スキル

 【中級攻撃魔法】スキル

 【ナマケモノ】スキル』



「【中級攻撃魔法】!」



『【中級攻撃魔法】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』



「【武闘家】!」



『【武闘家】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』



「うん!」



『【武闘家】スキルと【中級攻撃魔法】スキルを入れ替えました。』




ドスッ!


その瞬間、カエルの首に矢が突き刺さった。


様子がおかしいと感じたティナの攻撃だ。



しかし、カエルの魔法は発動済みだった。



ロックの周りに氷の刃が現れる。


ロックはまだ動けない。



「うわぁ!!」



氷の中級魔法をまともにくらってしまった。


ティナのおかげで回復したHPが削れてしまい、半分以下に。



「ぐっ…。」



そこで【麻痺針】が発動。


カエルもロックもその場から動いていなかったので、針はちゃんと命中した。

 



「<スキルスナッチ>!」



『どのスキルを奪いますか?』


『【起死回生】スキル

 【ナマケモノ】スキル』



「【起死回生】!」



『【起死回生】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』



「【中級攻撃魔法】!」



『【中級攻撃魔法】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』



「うん!」



『【中級攻撃魔法】スキルと【起死回生】スキルを入れ替えました。』





(よし。

 …【ナマケモノ】はなんか匂うから、やめとこう。)


もう1つスキルを奪ったところで、再びティナの急所攻撃。



「ぐえ…っ!」



カエルもロックもまだ動けない。


三度ティナの攻撃。



息も絶え絶えだが、なんとか生きている。


動けるようになったロックがトドメ。




『レベルが上がりました。』




************


名前:ロック

パーティ:ラフリンクス

Lv:31→34

HP:5930→6529

MP:591→647

体力:571→631

力:579→639

素早さ:600→657

器用さ:584→646

魔力:572→633

スキル:

【起死回生 ★★★★】

【成長促進(パッシブ) ★★★★★】

【隠密 ★★★】

【麻痺針 ★★】

【スキルスナッチ ★★★★★ 】


************


************


名前:ティナ

パーティ:ラフリンクス

Lv:27→32

HP:2039→2387

MP:308→361

体力:207→244

力:189→226

素早さ:203→240

器用さ:243→288

魔力:320→374

スキル:

【   】

【慈愛の祈り ★★★】

【全能力50%UP ★★★★】


************




「「え!?」」


レベルアップしたステータスを確認した2人はびっくりして大声が出てしまった。



なぜなら、すごいレベルアップしてたから。



「あのモンスター、そんなに強かったのかしら?」


「いや、耐久力もそんなになかったし、素早さなんか普通の人以下だったよね?」


「カイルとディランを倒した時より上がってるわ…。」


「奪ったスキル見てみよう…。」




++++++++++++


【起死回生 ★★★★】・・HPが0になる攻撃を受けた時、HPが1残り、攻撃力・魔攻力を倍増、MP消費がなくなる。その状態で1分間生き残れば、完全回復した状態に戻る。


++++++++++++




「★4!!」


「この能力…、反則ね…。」


「これに中級攻撃魔法があったら、倒すの難しいね…。」



もしこの能力を奪わずに、HPを1の状態にしていたら、ロックは死んでいただろう。


「このスキルは万が一のためにあったらかなり心強いね。

 ただ、次スキルを奪った時に、どれといれかえるかが難しいな…。」


「【麻痺針】はどう?」


「うーん。

 でも、【隠密】と【麻痺針】のコンボはかなり強力だからな…。」


「そうなんだけど、複数でいる敵には使えないし、ランクが上がってくると耐性がある敵も出てくると思う。

 【下級回復魔術】でも麻痺は治すことができるし。

 それにこの戦術に頼りすぎちゃうと、戦いの勘が鈍っちゃう。


 …なにより、動けなくなるリスクが高いわ。

 今回のようなことがまたあって、ロックが動けないまま危険に晒されるのは耐えられない。」


「ティナ…。」


「お願い。」


「…ありがとう。


 わかったよ。

 次にスキルを奪ったら、【麻痺針】と入れ替えるね。」


「うん。

 ところであのカエル、スキルスナッチでスキルを奪えば安定して倒せるから、お金稼ぎによさそうね!」


「確かに!」


「今日はロックがダメージ受けてるから、今日は戻って、明日に備えましょう!」


「そうしよう!」



ワニゲーターマン2匹とカエル1匹を仕留め、3日目の狩りが終わった。

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