第37話 むっつりスケベの冒険、…完?

2日目の狩りを終えて、3日目の朝。


馬車で獲物を回収しに来てくれた。


「おはようございます!

 昨日の報奨金は、

  将軍ガエル×3匹:115,600×3=346,800ゴル

  ディラン×2匹(歯のみ):85,750×2=171,500ゴル

  合計:518,300ゴル

 でした!


 ディランは歯だけでしたが、依頼が出ててちょっと高く買い取ってもらえました!」


「お〜!そんなに!

 本当に助かります!

 ありがとうございます!


 これ、今回の分です!」


ディランの歯を3体分、コブラキングを3体渡した。


「これまた…、すごいですね。

 というかロックさん、Dランクになってますね…。

 どうやったらそんなスピードで強くなれるんすか…。」


御者は衝撃のあまり言葉を失って帰っていった。


「1日目で10分の1は稼げたわね。」


「この調子なら1週間以内には貯まりそうだね!」


(早くしないと僕の別なものもたまってしまって辛い…。)




3日目最初の敵はワニ頭の人型モンスター2体。


ワニゲーターマンというモンスターだ。


Dランクモンスターがいる一帯に向かう前に遭遇してしまい、【隠密】を使う前に戦闘になった。


「[飛光閃]!」


「【全能力50%UP】。」



ロックは【剣士】スキルを得て生みだした武技を発動。


剣による範囲攻撃だ。


威力は落ちるが複数の敵への攻撃ができ、射程が伸びる。



ティナはスキルを発動。


敵の1匹へ矢を放った。



2人に向かってアリゲーターマンが走ってくる。


素早さはティナと同じくらい。


レベルの割にはスピードは遅く、遠距離攻撃もない様子。



「見たまんまだけど、パワー型みたいだね。」


(スキルを奪うかどうか…。入れ替えるなら【剣士】だけど、なくなるのは痛いな…。)



と、その時、ワニゲータマンの1匹が止まり、腰を深く落とした。


「ティナ、下がって!」


とっさにティナを庇うロック。


離れたところから回し蹴りを放つワニゲーターマン。



(拳術のスキルか…!)


先ほどロックが放った武技の拳術版だ。


ロックがまともに攻撃を受ける。


ティナは無事だったようだ。


ティナは攻撃を終えた1匹へ矢を射る。



「ギャァああ!!」


近づいてきていたもう1匹がロックへと攻撃を加える。



「ぐっ…!」


剣で受け、ダメージを軽減する…、が、かなりのダメージ。


この1撃も武技を発動しているようだ。



(迷ってる場合じゃない!)


「<スキルスナッチ>!」


近くにいた1匹に向かってスキルを発動する。



『【武闘家】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』



「【剣士】!」



『【剣士】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』



「いいよ!」



『【剣士】スキルと【武闘家】スキルを入れ替えました。』



【武闘家】スキルは、中級拳術スキル。


ロックの体捌きが格段に上がった。


しかし、武技は使えない。


拳術が得意でないロックは、拳術技術はスキルで上昇するものの、武技をイメージして作り上げるには時間が必要だ。



だが、アリゲーターマンの動きが止まった。


「ギャッ!?!」


ポカンと開けた口の中にティナの矢が突き刺さる。


続けてロックが剣で攻撃。


拳術スキルがあるとはいえ、武技がないので慣れている剣を選ぶ。


「ギャァ…。」


1匹目を倒したが、2匹目が武技を発動していた。



武技は威力の高い単体攻撃と、先ほどロックも使った範囲攻撃ができる。


ワニゲーターマンは完全に使い分けているようだ。


ランクが上がるほど知能も高くなっていく。



「うあっ…!」


ロックはかなりのダメージを受けている。


「す、<スキルスナッチ>…!」



『【武闘家】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』



「【武闘家】…。」



『【武闘家】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』



「うん…。」



『【武闘家】スキルと【武闘家】スキルを入れ替えました。』



2匹目のアリゲーターマンも何が起きたかわからない様子で、動きが止まっている。


ティナの矢が再び急所に突き刺さった。


「ギィャ!!」



ロックが力を振り絞って繰り出した1撃で、2匹目も倒れた。



『レベルが上がりました。 』



2人ともレベルが1ずつ上がった。



だが、先ほどの戦闘でロックのHPが半分ほどに減ってしまった。


「ロック大丈夫!?

 守ってくれてありがとう…。」


「大丈夫だよ!


 …っ痛!

 あたた、ちょっと痛むから休憩してもいい?」


「もちろんよ。

 …いつも守らせちゃってごめんなさい…。」


「謝らないで。

 僕はティナを守れることができて、嬉しいんだから。」


「…ありがと。」



ティナが突然、地面に座っていたロックの体を引き倒した。







次の瞬間、ロックは死んでしまった。







死んで、天国へ登ってしまったのだ。





頭に当たるこの世のものとは思えない、寝心地の良すぎる感触。


そして…、いい匂い…!


(ああ、僕は死んでしまったんだ。天国に行けてよかった…。)



思わずつぶっていた瞳を開くと、目の前には立派な山脈。


それが何か理解したことで、天国からさらにどこかへ昇ってしまいそうになったロック。



放心状態のロックへティナが話しかける。


「ダメージ回復するまで、こうしててね。」


(ダメージ、いつまでも回復しませんように…。)





こうして、ロックは本当の幸せを手に入れた。





むっつりスケベの冒険〜ダメージを受けて、極上の膝枕を手に入れる〜


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る