第2話 初めてのゾンビ狩り。そして・・・

 自分はアパートの2階に住んでいた。階段へと続く廊下の様なスペースのところどころが血に染まり、人体の破片が散らばっていた。


「う、うぷっ」

 吐き気がこみ上げてきたけど、瞬時に消え失せた。

「とっとと歩け。獲物が多い方に行くぞ」

「あ、ああ」

 

 マイキーの光る鞭に後頭部を叩かれながら、階段を降り、通りへと出た。燃え尽きた車。折れた電柱。そしてうごめく死体の群と、彼らに貪られる犠牲者の遺体。

 彼らは俺の姿を認めたのだが、お仲間だと認識したのか、すぐに興味を無くして次の獲物を探して方々へと歩み去って行った。


「ほれ、始めろ」

「あ、ああ。だけどさ、始めたらいきなり連中が襲いかかってくるとか、ないのか?」

「連中に仲間意識など無い。この町にいるゾンビを狩り尽くすくらいしてようやく、目立つかどうかというところだ」

「そうか、それなら」

「目立ち始めてようやく、本当に美味しい獲物が寄ってきてくれるさ」

「だめじゃんそれ!」

「いいや、レベルを上げていくのだろう?夢を叶えるのだろう?なら、弱い相手だけを狩っていても頭打ちになる事くらいは理解できるだろうに」

「そりゃそうだろうけどさ」

「案ずるな。お前に与えられた武器は相当に強い。可能な限りSPを溜め込め。それがお前の盾となり矛ともなる」

「わかった。それじゃ、始めるよ」


 目につくところをうろついてるのは十体くらいのゾンビだった。一番無難そうな体格のを選び、背後に立つ。ちらりと後ろを振り返ったものの、またすぐ前も向いて進み始めた。


 これなら、と光の刃を50cmくらい伸ばして、背後から頭部を貫き、一瞬で消した。頭部に穴を空けられたゾンビは、うめき声を上げ、光の粒子となって消え去った。その粒子のきらめきの一部は光剣に吸い込まれていった。


「あれ、死体、残らないの?」

「普通の武器を使って倒せば残る。だが、それは神の手を借りて作り出された神造兵器とも言える傑作品。SPによる攻撃はそのまま相手のSPを奪う。SPを消失した相手は消滅するのみ」

「こ、怖っ!」


 辺りを慌てて見回してみると、俺がゾンビを消滅させた事に気付いたそぶりを見せるゾンビはいなかった。

 俺は一安心してステータス画面を確かめてみた。

 SPがおおよそ1増えていた。EXPは3増えていた。


「刃を出したのが0.1秒。長さは半分の50cm。0.1のさらに半分なら0.05を消費した感じなのかな」

「そんなところだ。それぞれのゾンビは生前の魂リソースの量などばらばらだ。得られるSPも変わってくるから、数をこなしていけ。レベルを上げ、SPは貯めていけ」

「了解!」


 それから俺は、一体、また一体とびびりながらも倒し、五体目を倒したところで、EXPが15となり、子供の頃遊んだ某有名RPGのレベルアップ時のファンファーレそっくりの音が脳内に響いた。


 スタータス画面を見ると、レベルが2になり、その横に(+1)という表示が出ていた。


「この(+1)てのは何?」

「好きなステータスに振れる。体力や筋力、素早さを上げたければ振れ。だが今はとりあえず貯めておくんだな」

「どうして?」

「ゾンビ相手に苦戦してるか、お前?」

「・・・いいえ」

「そういう事だ。苦戦する相手が出てきてから、倒す為に必要な要素を上げろ」

「わかった。ありがとう、マイキー」

「ふん、礼はいらんから、もっとがんがんと狩っていけ」


 それからは町の中心部へと向かいながら、だんだんと大胆に狩っていった。ゾンビを直線上に置いて、伸ばした刃で串刺しにしたり、縦に両断したり、遮蔽物の向こう側から倒してみたり。たまにジ○ダイの騎士めいた動作を取り混ぜてみたものの、フォ○スが使える訳も無く、ただマイキーの冷たい視線を浴びて終わった。

 さらに十体を倒したところでレベル3へ。およそ二十体を倒してレベル4に。追加で三十体ほどを倒してレベル5に。

 SPが200とちょっとを越えたところで、マイキーが声をかけてきた。


「よし。そろそろ雑魚狩りにも慣れてきたな。次のステップだ」

「はいっ、マイキー教官!次のステップは何をすればよろしいのでしょうか?」


 マイキーは鷹揚にうなずいてから説明してくれた。ノリは悪くない天使なのかも知れない。口に出しては言わないけど。


「ステータス画面を開け。そこにオプション出撃という項目が増えているから、選択しろ。口で唱えても念じてもいい」


 俺はステータス画面を開き、そこから選択してみた。すると、そこには、なんと・・・


「お、俺の魂を込めた作品達がっ!」

「そうだ。その中から、お前が最も信頼する一体を選べ。そいつにSPを注ぎ込んで戦わせるんだ」

「な、なにその胸熱仕様!?」

「言っておくが、武装を持たない人形とか車の類とかは選ぶなよ?遠近での攻撃手段と防御手段を持ち、飛び回れるのにしろ。そういうの何百とあるだろ」


 えーと、つまり、シューティングゲームのオプションみたいに、自分の周りを飛び回って勝手に敵を倒してくれると。


「あれ、でも、出しっぱなしにすると、SP消費も激しくありませんか?」

「確かにそうだが、オプションによる攻撃は本体ほどにはSPを消耗しない。最初に100ほどぶち込んでおけば、後は稼ぐ分で十分賄える。出し入れも自由だから、大量の敵を相手にする時に出すのを基本にすればいい」


 となると、近接攻撃よか、間接攻撃主体の機体のが良さそうだな。先ずはどれくらいの攻撃力とSP消費がかかるのか、バランスを見て確かめるとすると・・・。

 1/144の中では大きめサイズで、盾とビームライフル持ち。盾の裏側にはビームサ○ベルも複数仕込まれてる。様子見するにはこれくらいが適切と、ステータス画面からメ○サーを選択した。


 注ぎ込むSPと、一度の攻撃に消費するSP量を設定して下さい、と画面に表示されて、マイキーのアドバイスに従って、総量を100、一度の攻撃に消費するSP量を1に設定した。


 "設定が完了しました。召還しますか?"とメッセージが表示され、YesとNoの選択肢は、もちろんYesを選ぶと、目の前の空間に、見覚えのある、しかしはっきりと命が宿ったと分かる、メッサ○の機体が現れた。


「で、こっからどうすれば?」

「どうして欲しいか念じればいい。目に付くゾンビ達を攻撃しろ、頭部を狙え、自分の視界内、最大でも10m以内に留まれ。とりあえずはそんな事をセットで命じればいい」

「なるほど!じゃあ早速!」


 自分の視界、およそ30m先くらいにいたゾンビの群を標的に、マイキーの助言に従った指示を下して念じてみた。

 自分に向き合っていたメッ○ーは、ゆるりといったん着地すると、命じられた方角へとジャンプしつつ前進。横倒しになっていたバスの上に乗って射界を得ると、さらに20mは先にいるゾンビ達の頭部を撃ち抜き始めた。


「マ、マジもんのビームライフルだぁぁぁっ!」


 いや光剣でも感動したし、いずれはフルサイズのを自分で操縦はしたいよ?でもさ、プラモサイズでも、それがアニメで見たのと同様に動いて戦ってるのを見るだけで、俺は心の涙を流した。ゾンビって泣けない事を今更ながらに学んだ。

 メッサ○は、バスの上をこまめに移動しつつ、およそ50m先までくらいのゾンビを掃討し尽くすと、次の指示を待つようにそこで哨戒し始めた。


「ほれ、お前もさぼるな。奴に援護させながらなら、もっと強い相手とも戦える」

「もっと強い相手って?」

「ここら辺を仕切ってる中ボス未満の下士官といったところだな。異世界からの尖兵、スケルトン達を統べるスケルトン・ナイトが、町の中心部のデパートの中にすくっている」

「危なく、ないですか?」

「お前はもう死んでるんだし、SPが尽きない限り消滅しない」

「えっと、でも、敵の攻撃受けたらHP減ってまた死ぬんじゃないんですか?アンデッドだからその場で復活?」

「おおよそ、その通りだ。スケルトン・ナイトなら物理攻撃のみだ。安心して殺されろ」

「嫌です!それに、作品だって壊されたくないし!」

「視野に収めてればいつでも出し入れ可能だ。ゾンビが持つSPが1から3だとしたら、スケルトンはもう少し高い。3から5くらいだな。スケルトン・ナイトならもっと多い」

「でも・・・」


 まだ弱気に後込みしようとした自分を見て、マイキーは罵ってくるかと思ったけど、もっと効果的に背中を押してきた。


「もっとEXPとSPを稼げば、もっとたくさんお前の作品を同時召還出来るのにな。見たくないのか?お前さんの作品達が空と地を満たして、敵の軍勢を圧倒する姿を!」

「見たい!絶対に、見たいです!」

「よし、ならデパート周辺のゾンビは狩り尽くしてからデパートに乗り込むぞ。普段はこちらを無視してるゾンビ達も、地域の指揮官の命令を受ければ動きも変わってくるからな」

「ううう、怖い。怖いけど、でも、もっと召還したい!もっと自分の作品の勇姿を見てみたい!だから、創司、行きますっ!」


 デパート周辺の商業施設の中や外にいたゾンビを根絶やしにした頃には、レベルは10に上がり、○ッサーを出したままでも、SPは300を越えていた。ゾンビを倒した数は少なくとも数百体単位で、自分とメッ○ーとで半々くらいだった。


 いよいよデパートへと向かうと、入り口にいたスケルトン達は武装していた。


「あの、武器とか持ってるんですけど?」

「問題無い。お前や作品の武器の障害にはならん」

「そうですか。ちなみに、ゾンビは頭を潰せばって感じでしたが、スケルトンの弱点は?」

「人間でいう心臓の位置に、コア・クリスタルがある。それを砕けば崩壊する」

「メ○サーに狙わせられますか?」

「試させてみろ。いちいち私に聞くな。試行錯誤していかないと、いずれ行き詰まるぞ?」


 マイキー、正論過ぎ。

 反論出来なかった俺は、スケルトン達のおよそ30m手前の遮蔽物に隠れながら、○ッサーにスケルトンのコアを狙うよう命じてみた。

 メッ○ーは、器用にうつ伏せ状態になって、最初のスケルトンのコアを一撃で撃ち抜いた。

 ばらばらの骨になって消滅していったスケルトンと、狙撃したメッサ○の存在に気付いたスケルトン達はこちらに向かってきた。走ってきてるせいか、内包してるSPが多いせいか、2発や3発撃ち込まないと倒せない事もあった。


 五体中三体をメ○サーが倒した後、俺は遮蔽物から飛び出して光剣を構え、○ッサーに次の指示を出してみた。


「ビームライフルじゃなくて、ビームサーベルを使って、相手の間接を攻撃するんだ。肩や肘、膝や足首を狙ってみろ!」


 メッサ○は武器をライフルからサーベルへと持ち替え、俺の持つ光剣のミニチュアサイズ、太さ2mmくらい、長さは10cmくらいなんだけど、バーニアを吹かして地表すれすれを飛び抜けたメ○サーは、俺の振り回す光剣を警戒して近寄れずにいたスケルトンの足首を見事に切断!体勢を崩して倒れ込んだスケルトンは両手両足を失い、俺は余裕をもってそいつの胸を光剣で貫いてトドメを刺した。

 二対一となったスケルトンは、○ッサーの方が危険だと判断して、地表を高速で飛び回る機体を狙おうとしたが、空振りを繰り返し、背後から俺にコアを壊されて消滅していった。


「おしっ!ナイスコンビネーションじゃないか!」


 ハイタッチ、しようとして、そんな事プラモが出来る訳ないかと落ち込みそうになったところで、メ○サーは俺の目よりも高い位置に飛び上がって、俺の左手と彼の左手を打ち合わせてくれた。

 全俺が感動で泣いた。いや涙は流せないんだけどさ。


「悪くない。が、消費SPは確認しておけ」

「は、はい!」


 スケルトン五体を倒して、SPの平均値が4だとして、期待値が20。メッサ○のビームライフルが一発1消費したとして、三体倒すのに確か七発撃ってたから7は使ってる。自分が短めの刃を一瞬だけ出して二体倒したけど、2どころか0.4も使ってない。○ッサーのビームサーベルのSP消費は出しっぱなしでも微々たるものらしく、11とちょっと増えてた。


「数が増えると完封もむずかしくなってくる。頭を使い、消費を抑えながら戦うんだな」

「んー、それなら、いい手があるかもです」

「ほう。お手並み拝見させてもらおうか」


 オプション出撃を増やす事も可能になってたけど、敵の小ボスがどんな相手か、どんな攻撃をしてくるのかも分からなかったので、まだ控えておく事にした。

 代わりに、メ○サーをデパート入り口から進入させ偵察と誘い出しプルに送り出した。

 なるべく多くのスケルトンを見つけ、引きつけてからまた戻ってくるようにと。

 メッサ○はまた地表すれすれを滑るように飛行しながら、デパートに侵入。5分ほど心配しながら待っていると、かたかたと骨を鳴らすスケルトン五十体の集団がメッ○ーの後を追って外に出てきた。



 俺はその正面の地面に膝をついて光剣を構えると、○ッサーに命じた。


「高く飛べ!」


 メ○サーは3mくらいの高さにまで飛んだ。俺は、目の前の空間を埋め尽くすスケルトンの集団の膝の高さに向けて、デパートの入り口まで30mの長さの光剣の刃を伸ばし、振り抜いた。

 重みなんてものは感じないのだけど、言わずにはいられなかった。


「手応え、あり!」


 目前まで迫ってきていたスケルトンの集団は膝から下で骨を切断され、残らず地を這う状態になっていた。


「メッサ○、肩の関節を外していけ。武器持ちは武器持ってる方からな。俺がトドメを刺していく」


 メッ○ーは、赤いモノアイを輝かせると、手前のスケルトンから肩を一撃で外していった。俺は抵抗力を奪われたスケルトン達にトドメを刺していった。

 レベルが上がった証のファンファーレが鳴ってたし、SP消費と獲得量を確認したかったんだけど、


「見事なり。そなた、何者だ?」


 いつの間にか、デパートの入り口に、ひときわ大きなスケルトンが立っていた。装飾の入った立派で頑丈そうな鎧を纏い、雰囲気のある剣と盾を装備していた。


「えーと、単なる、ゾンビ、ですけど?」

「かはは。嘘もそこまで明らかだと清々しいな。さて、準備は良いか?参るぞ?」


 ちゃき、と盾を押し出し、その奥で剣を引いたスケルトン・ナイトの姿には隙が無かった。


「○ッサー、ビームライフルを撃ってみろ。出力は、3、いや5で」


 メ○サーは指示に従い、これまでより威力を高めたビームを撃ったが、盾の表面で弾かれてしまった。


 俺は光剣の出力を10に上げ、突進してきていたスケルトン・ナイトに向けて全力で振るった。

 スケルトン・ナイトは盾ではなく剣で光刃を受け止め、突進してきた勢いはそのまま俺を体当たりで弾き飛ばした。

 俺は道路を10mは転がりながら、腕や足や首の骨なんかをへし折られ、雀の涙ほどしかないHPはもちろん全損。


"あなたは死亡しました。復活処理を行います。処理が終わるまであと57秒です"

 とシステムメッセージが脳内に聞こえた。


 スケルトン・ナイトは油断せずゆっくりと俺に近づいてきて、動かない俺を見て言った。


「ふむ、やはりまだ終わってないか。退屈しのぎにはちょうど良さそうな相手だが、魂リソースを奪っていく相手を放置もしておけぬ」


 黒い瘴気を纏った剣をスケルトン・ナイトは振りかぶり、俺は終わりを覚悟した。が、メッサ○は間に割り込んで盾で剣を受け止めてくれた!


「助かった!でも」


 一撃で盾はひび割れ、受けられてもあと一撃で、盾は壊れそうだった。


「時間を稼いでくれ!頼む!」

 メ○サーは心持ちうなずいてくれた。

 スケルトン・ナイトの鋭い次撃を盾で受け流すと、その陰で構えていたビームサーベルから刃を伸ばし、剣を持つ親指に切りつけ、第一関節から先を切り落としてくれた!


「いいぞ、その調子で鎧の隙間から関節を狙っていくんだ!」

 俺の声は聞こえてないにしろ、スケルトン・ナイトは驚きながらも○ッサーを賞賛。

「やるな。だが、どこまで粘れるかな?」

 すばやく振られる腕と盾の隙間を縫うようにメッサ○は空間を舞い、スケルトン・ナイトの注意を俺からそらしてくれた。


 無駄に出来る時間は無い。

 復活までは残り30秒を切っていた。

 俺はステータス画面のオプション出撃可能な作品から、この状況を託せる一品を選択。SPは150を注ぎ、一撃に込める数値は10を設定。

 復活処理完了と同時に、スケルトン・ナイトの首元の空間に召還した。


 その時には、○ッサーは何度目かの直撃を受け、SPは10にまで減少。次の一撃で破壊は免れない状況だったが、顔の周りをまるで蠅のように飛び回りいやがらせを続けてくれていた。


「俺たちの、勝ちだ!」

 俺は、むくりと起き上がりながら、宣言した。

 一瞬にしろ、スケルトン・ナイトの注意がこちらに向いた。


「気が早いのではないか?」

 そう言ったスケルトン・ナイトの襟首、鎧と骨の隙間から、俺が召還した和竜のプラモデルというか木製模型、1/100で長さ30cmの細い体はするりと鎧の内側へと潜り込み、驚きの表情を浮かべたスケルトン・ナイトのコアを噛み砕いてくれた。


 レベルアップ音がまた何度も鳴り、安堵感でその場にへたり込みそうになったけど、マイキーが叫んだ。


「よくやったとほめてやるのは後回しだ、撤退するぞ!すぐにだ!」

「へっ?」

 俺はマイキーが指さした方角、デパートの入り口を見ると、ついさっき苦労して倒したスケルトン・ナイトが三体、五体と立て続けに姿を現していた。さっき倒したのと違って鎧を纏ってないのは救いだったけど、今相手するのは無理なことは明白だった。


 俺は壊れかけのメ○サーを手に、和竜に背後を任せて振り返り、全力で駆けだした。

 だが、突進してきたスケルトン・ナイト達の方がずっと素早かった。

 和竜が一体の足に絡みついて転ばせ、もう一体の首に巻き付いてその骨を折ったのまでは伝わってきたけど、残り三体の剣は俺の体にまで届きそうだった。


「ちぃっ、仕方ないか!借りるぞ!」


 マイキーがそう言うと姿が消えた代わりに、手にしていた○ッサーが黄金に光り輝いて飛び出し、背中に迫っていた剣を次々に弾いてくれた。


「長くは保たん!家に逃げ帰れ!」

「でも、置いてけないよ!」

「和竜に私を手伝わせろ!後で合流する、必ずな」


 マイキーは一体の肘をビームサーベルで切り飛ばしたけど、その素早さや剣の威力はマイキーが宿るまでの数倍以上に見えた。だから、任せることにした。


「分かった。和竜、マイキーを手伝え!絶対に両方無事に帰ってくることを最優先しろ!」


 くぉるるるといったような鳴き声が聞こえた気がした。自分がまた走り出した時には、マイキーが残り一体を縦に両断し、和竜がさらに一体の膝を砕いてたけど、デパートの入り口からはまだ増援が姿を現してたし、もっとやばい気配が近づいて来てる感じさえした。


 俺はマイキーinメッサ○と和竜の無事を祈りながら、安全地帯になってる筈の自宅近辺にまでたどり着いた。その途中で、貯めてたレベルアップのステータスポイントは素早さに全部たたき込んだお陰か、生きてた頃の何倍もの早さで自宅にまでたどり着いた。

 ゾンビという体のせいか疲れは感じなかった。

 はらはらしながら待っていると、十分と経たずに○ッサーと和竜が戻ってきた。メ○サーの片腕片足は失われ、和竜もあちこち傷を負っていて、残りSPはそれぞれ2と37だった。

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