第1話 反撃の為の準備。スキル説明
神様は言った。
「さて、では魂リソースを回収してもらう為に、お主にはいくつかのスキルを用意した。ぜひ使いこなして、任務を果たして欲しい」
「おおっ!いわゆるチートスキルって奴ですね!?」
「うむ。なんせお主には、この世界だけで数十億のゾンビ達を狩り尽くしてもらわないといけないしの」
「えーと、ゾンビだけなら、何とかなるんじゃないかと思いますけど、敵って、ゾンビだけじゃないんですよね?非物理系なのもいるって」
「心配せんでよい。そなたの核となるユニークスキルは、3Dプリンター、いや、神の手も加わるGDプリンターじゃな」
「なんか、あまり強そうじゃないんですけど」
「お主の記憶している、あるいは想像する何かを、好きなように創造可能なプリンターじゃぞ?」
「てことは、あのアニメやラノベやマンガなんかに出てきたあれもこれも?!」
「うむ。だがしかし、いくつかの制約はかかる。まずはステータスと唱えるか念じてみよ」
「ステータス!」
視野に、RPGなどで表示されるステータス画面が出てきて、テンションは爆上がり、したのだが、
「え、ステータス、低すぎません?」
それは、こんな感じだった。
名前:三田創司
種族:人間(アルファ世界)
状態:ゾンビ
レベル:1
体力:1
筋力:1
素早さ:1
集中力:100
器用さ:100
HP:3
SP:1000
EXP:0
ユニークスキル1:GDプリンター
スキルレベル:1
スキル経験値:0
ユニークスキル2:???
ユニークスキル3:???
「ゾンビはおおよそ生前の能力を引き継ぐものだからの。文句を言うなら死ぬ前の自分に言え」
「はあ。集中力とか器用さが高いのであまり文句は言えませんが。それで、SPっていうのは?」
「魂の力。ソウルパワーじゃな。敵を倒せば内包されていた魂リソースがSPとして還元される。そのSPを元に、様々な物を創作し、そこに魂を込めたり奇跡を行えるようになるのじゃ」
いろいろ聞きたい事はあったにしろ、とりあえずGDプリンターなるメニューに指で触れてみると、半透明な3Dプリンターが目の前に出現した。
「おおっ!?これで、何でも作れるんですか?」
「おおよそ、な。初回のみ、お主の想像上の何かをそのまま仕上げられるようサービスするが、本来は材料か、無ければSPで代替される」
「えーと、いきなりモビルス○ツとかは?」
「お主の作っておるプラモデル並のサイズならともかく、設定上の大きさの物はまだ無理じゃな」
「しかしそれもいずれは可能になると!?」
「可能性としてはな。じゃが、まずは手頃なサイズの武器を作るが良い。身を守り、SPを稼ぐのにも必須となる」
「武器、ねぇ」
神様、見た目は灰白いローブをまとったじいさんなんだが、俺を期待するような目で見つめてきた。
GDプリンターとやらの大きさは、およそ20cmx20cmx20cm。作れる物は、15立方cmまでの大きさと伝わってきた。
片手に持てる武器でその大きさだと、包丁でも長さは収まらない。だいたい包丁ならまだキッチンにあるし。
想像上の何かを作れる、という事で、閃いた物があり、神様の顔色を伺ってみると、頷かれたので、いけるのであろう。
そう。ゾンビ映画を見る度に思っていた、あのSF映画の武器があれば誰でも無双出来るなじゃないかなーと想像していたその姿を脳裏に描くと、GDプリンターのチャンバー内に想像そのままの外観が線描され、線は光に包まれながら実体化していき、ものの1分もかからずに、ライトセ○バーが完成。GDプリンターは姿を消し、ラ○トセイバー、光剣と呼ぼう、が手の中に残った。
念じると、1mほどの光の刃が伸びた。非力な自分にも自由自在に振り回せた。
「気に入ったようで何よりじゃ。盛り上がってるとこすまんが、ステータスをチェックしてみぃ」
「え?今いいとこなんですけど」
「死んでも、というか消滅しても良ければ止めんが」
「えぇっ!?そういうのは先に言って下さいよ!」
ぶつぶつ文句を言いつつステータス画面を確認してみると、1000もあったSPが100未満に減り、スキル経験値が50に増えていた。
「お主は既に死んでおる故にな、SPが枯渇せん限りは消滅せん。時間をかけて復活する」
「どうやって補給するんですか、ってゾンビを狩るんですね」
「ああ。当面はそれで良い」
「当面っていうのは?」
「当然だが、敵はゾンビだけではないし、亡霊系には、直接SPを吸収してくるタイプの敵も多い。油断しない事だ」
「で、でも、この武器なら」
「ああ。倒せる。だが、SPをもう一度確認してみい」
「って、ええっ!?SPがじわじわとだけで減り続けてるのはなぜっ!?」
「その武器はSPを消費して聖なる光の刃を発生させておる。今の1mの長さを1秒発生させるだけでSPを消費する。使わない時は消しておく事だ」
「だから、そういう事は先に」
「それと、SPを追加消費する事で刃の長さを伸ばす事も出来る!」
「な、なんですかその素敵仕様!」
「褒めてくれるのはいいが、さっさと今は消しておかんか」
そう言われ、念じると、光の刃は、すっと消えた。
また念じればすぐに出て消せたし、1cmや10cmといった長さの変化でも、出す時間でも、消費SPは比例して抑えられた。
「えーと、それで、ゾンビを1体倒すごとに、どれくらいSPをもらえるんですか?」
「個体によって若干ばらつきはあるが、およそ1から3じゃな。まれに5から10のものもいるが、そういうのはより強い魂の力を持った特殊個体だ。その剣を扱えれば負ける事は無いだろうが、油断はしない事だ」
「ふむふむ。この後、外に出て狩りを始める事になると思うんですが、そしたらいきなり敵の中ボスとかに絡まれて消滅になんてならないですよね?」
「まあな。お主は失われては困る存在になっておるし、レベル5まではこの周辺エリアに敵の監視が届かんようにしてあるし、介添えもつけよう」
「おお!もしかして天使様とか?」
「それに近い。出てまいれ」
「御言葉のままに、主よ」
じいさんと自分の間の空間に現れたのは、ミニチュアサイズ、1/5くらいのサイズにデフォルメされた天使さんだった。二、いや三頭身くらいか。
「名は、そうじゃな、ミ、いや、マイキーとでも呼ぶが良い」
「マイキーさんですか、よろしくお願いします!」
頭も下げてみたが、マイキーさんは、とても汚らわしいものを見る冷たい目で、自分から距離を取った。
「マイキー」
「は、申し訳ありません、主。不浄な存在だとどうしても生理的な拒絶反応が」
「外してやろうか?」
「いえ、お手間をかけるほどではありません。努力しますので」
とはいったものの、視線の冷たさは変わらなかった。
神様は、そんなマイキーと俺の姿を眺めて肩をすくめて言った。
「仲良くせいよ?もしこの者が消滅したり、その活動に支障が生じた場合、マイキー、お前を降格するからな」
「そ、そんなっ!?」
「嫌ならせめて協力はせい。狩りの間は補助と監視、警護に務め、可能な限り手出しせず、創司にSPを稼がせろ。消滅の危険が無いようにな」
「はっ!この命をかけて任務を果たします」
「ではな。任せたぞ、二人とも」
そうして神様が姿を消すと、眦をきりりとつりあげた
「何をぼさっとしている?とっとと狩りに出るぞ!」
「は、はいっ!」
まだいくつも聞きたい事や確認したい事はあったけれど、もらった武器を使い、EXPやSPを稼いでみたかったしね。
そうして、血に染まった玄関を越えて、外に出て、狩りは始まったのだけど、俺、どうしてこんな激変気にせずにいられたんだ?というほど、外の世は地獄と化していた。
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