2. 実際の失踪事件

だが、話はここで終わらなかった。

当該作品の投稿から約半年が経った2021年7月、投稿者本人が失踪したのだ。

1ヶ月後の8月19日、投稿者の親族と名乗るツイートがあり、失踪の事実が明らかになった。


「ナツメの親族です。

7月18日からナツメと連絡が取れておりません。自宅にもおらず、会社も欠勤しています。ツイッターで仲良くしている方がいると本人から聞いておりましたが、何かご存知の方はいらっしゃいませんでしょうか?

些細なことでも構いませんのでご連絡いただきたいです」

https://twitter.com/frogfrogfrosch/status/1428153665261432833?s=20


投稿者のツイートは失踪当日の7月18日より途絶えていた。それ以前は普段どおりに投稿していたため、このツイートがなされた当初は単に行方不明事件として、フォロワーから本人や親族を心配する声がかけられた。


数時間後、投稿者のアカウントから再度ツイートがある。


「ナツメがこのようなツイートをしていたという情報をいただきました

今はこのツイートは消えているようなのですが、何か聞いている方はいらっしゃいませんか?」

https://twitter.com/frogfrogfrosch/status/1428221918419640320?s=20


ツイートには4枚の画像が添付されている。いずれも投稿者の過去ツイートのスクリーンショットで、内容は以下の通り。


「引っ越してから夜に周囲の生活音って気にならなかったんですけど、今初めてめちゃくちゃ話し声とか足音するんですけどこれ霊障ですか???」

2021年7月1日 午前3:10


「足音ひどくなってるんだけどまさか大島てる案件か?(調べたけどなかった)」

2021年7月4日 午前1:05


「この時間までずっと声して寝れない

洒落にならん」

2021年7月11日 午前5:29


「なんで今更


あんなことするんじゃなかった」

2021年7月18日 午前6:01


投稿の本文にあるように、これらのツイートは現在は削除されていて確認できない。スクリーンショットはフォロワーが保存していたもので、なにか関連があるのではないかと親族のもとに送られたのだという。

一連のスクリーンショット公開を受け、「これはフィクションです」のことを思い出す者が現れ始めた。


当該作品公開当時、作品内容と関連付けて「投稿者が失踪する」といった内容のツイートがいくつか散見された。


「で、ナツメさんが失踪して完成なのか」

https://twitter.com/gushnine/status/1339478003030507523?s=20


「ナツメさん失踪しないの!? なんで……」

https://twitter.com/otakobouya/status/1339926666055798785?s=20


(「フィクションと偽った怪文書を残しナツメ氏自身が失踪、後、ナツメ氏を探している者による怪文書が投稿されネット民が娯楽として考察を交わす傍ら、その人物さえも失踪してしま…」という匿名メッセージに対する投稿者のツイート)

「おれの失踪を期待する流れやめろ!!!」

https://twitter.com/frogfrogfrosch/status/1339957230473367552?s=20


むろんこれらはジョークであり、投稿者本人もそれを楽しんでいる様子だった。

しかし、実際の失踪事件に発展した今、これらのツイートが現実になってしまったのでは、と考える者は少なくなかった。


そして投稿者のフォロワーから親族に、「これはフィクションです」の存在が知らさられる。

すると、しばらくして以下のツイートがあった。


「皆さんありがとうございました。ナツメのことについてはもう大丈夫です。皆さんもあまり調べたりはしないでください。また、くれぐれもあの動画は聞いたり、口にしたりは絶対にしないでください。消し方がわからないのですがもう見ないでください。

ナツメと仲良くしてくださりありがとうございました」

https://twitter.com/frogfrogfrosch/status/1428273010931159041?s=20


このツイートを最後に、投稿者のアカウントは更新されていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る