強運
「ねぇ聞いて~!ガラポンって本当に当たるのね!」
興奮気味に話すママの横で、大量の買い物袋と一緒にパパがドンッと机に置いたのは…?
「温泉のペアチケット!?」
「…と、メロン2つ!?」
「そう!私ね、ガラポンのチケットを3枚持ってたのよ。ガラガラ~ってしたら、まずメロン!カランカラーンってベル鳴らされちゃって!」
笑いながら話すママを優しく見つめるパパ。本当にこの2人、我が両親ながら憧れる。
「どうせいいやつが出るなら最後に出た方が面白かったのにぃなんて思いながら2回目回したら、またメロン!もう、笑いが止まらなくなっちゃって!」
「あーおっかしい!」と言いながら、大爆笑しているママ。実際にガラポンをしているときもきっとこんなふうに大騒ぎだったんだろうな。
そしてどうやら、その笑った勢いのまま回したら、今度は温泉のペアチケットが当たったらしい。
「もうベル鳴りっぱなしよ~。後ろに並んでた人達にも拍手されちゃって!」
「やぁだもう涙出できちゃった」なんて言いながら思い出し笑いするママに、私はある疑問が浮かんだ。
「ん?ていうかママ、チケット3枚って言った?前、必死にお買い物して20枚集めたって言ってなかったっけ?」
「あー、それ。そうなの。あとの17枚?無くしちゃって。でも、残った3枚でこんなに良いのが貰えるなら結果オーライよね!」
ニコニコしながらどこか誇らしげなパパと、ママの強運に若干引き気味な裕飛。実の親子なのにここまで反応の違いがあるとは。恋って盲目なのね。
「あー、それでね!ちょうど写真撮りに行きたかった場所だったから、温泉は2人で行ってきたいんだけど、いいかしら?それで、お詫びと言ったらなんだけど、その代わりにメロン2つどーぞ!」
「いやいや、温泉行くのは全然いいけど、メロン2つもいらないから!私と裕飛で1個ずつとかいいから!」
「そうそう!普通に父ちゃん達が楽しんでくればいいから!」
「えーそう?なんて良い子なのー。ママ泣いちゃう。」
とか言うママだけど、私は知っている。ママはメロンが大好き。だから最初から、2つとも私たちに渡す気なんてさらさらないことを。その証拠にほら。そそくさと冷蔵庫で冷やしているし、一緒に食べるであろう生ハムも準備万端だ。
てかてかてか!ママとパパがふたりで旅行に行くということは!
裕飛とふたりっきりじゃーん!さっそく兄妹の特権キター!!!
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