第6話:地理と組織:『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜』

<<地理と組織>>







【地理】 2

<<エレーウォン大陸>> 2

<<ダヴァノハウ大陸>> 2

<<メスリエール>> 2

<<ベッリャ半島>> 2

<<アルヴン山脈>> 2

<<碧中海>> 3

<<ワイルド火山島>> 3

<<アールヴ大森林>> 3

<<メヘルガル亜大陸>> 4

<<ソモニ高原>> 4

【組織】 4

<<ゲロマリス魔界>> 4

<<神聖ブジュミンド帝国>> 6

<<冒険者パーティー“荒鷲団”>> 8

<<瓦礫街リュッダ>> 9

・街 9

・周辺 10

・破壊された市壁 10

・勇者 11

・冒険者ギルド 12

・問題 12

<<ベッリャ王国>> 12

<<イスマン=オルジアン帝国>> 13

<<ヒューム帝国>> 13

<<アプタル=オルジアン帝国>> 13

<<ソモニ王国>> 14

<<ヴェズ=オルジアン帝国>> 15

<<ポイニクス連合>> 15

<<妖精郷“エルファム”>> 16

<<偉大なるプガギューの国>> 16





【地理】

<<エレーウォン大陸>>

 惑星ヴォイデ最大の大陸で北半球の多くを占める。



<<ダヴァノハウ大陸>>

 エレーウォン大陸の南西にある大陸で海流の関係もあり、多くが砂漠、熱帯、亜熱帯域である。



<<メスリエール>>

 ダヴァノハウ大陸の東に浮かぶ、巨大な島である。

 南にある緑の藻が繁茂する緑瘴湖に緑龍テアルが棲んでいるので近づく人間は少ない。



<<ベッリャ半島>>

  広大なエレーウォン大陸は南東、内海“ベッリャ海”に突き出す半島である。

 東端に瓦礫街リュッダがある。



<<アルヴン山脈>>

 ベッリャ半島と大陸の間にそびえる、広大な山脈である。

 中央はとても険しく、山頂は雪に覆われている。

 歴史上、アルヴン山脈を越えて進撃した軍隊は1例しかない。



<<碧中海>>

読みは「へきちゅうかい」。

エレーウォン大陸の西部に広がる巨大な内海である。

中央にベッリャ半島、北西に偉大なるプガギューの国、北東にヴェズ=オルジアン帝国、南にポイニクス連合がある。



<<ワイルド火山島>>

 活火山を擁する孤島である。

 人口は東ワイルド村が1万人、西ワイルド村が1万人と計2万人ほど。

 度重なる噴火に苦しめられているものの、ワイルド火山を山神として崇めている。

 天龍アストライアーが降りてワイルド火山の噴火が収まったことをありがたく思うとともに山神が殺されたと騒いでいる。

 第二の“神殺し”の報せは周辺諸国にさらなる衝撃をもたらした。

 実際、両教団から「ワイルド火山の山神と連絡が取れない。あの女帝に殺されたに違いない」とのお告げが下り、エリート層が息を呑んだ。



<<アールヴ大森林>>

 エレーウォン大陸西部に広がる大きな森林で、エルファムでも開拓しきれなかった未開の地であった。

 キマイラやドラゴンなど強力な幻獣に支配され、オーガやキュークロプス、ヘルハウンドが跋扈する危険な場所であったが、“暁光帝のマラソン”で中央部が吹き飛ばされ開通した。



<<メヘルガル亜大陸>>

 フキャーエ竜帝国の南東にある広大な平地で山脈と海で他の地域から切り離されている。

 最初のヒト族文明が生まれた。



<<ソモニ高原>>

 フキャーエ竜帝国の東にある高原。

 平均標高5000mと高く、いくつかの山脈に連なる。








【組織】

<<ゲロマリス魔界>>

 暗黒神ゲローマーの暗黒教団が興した国家である。ヒト族を中心に成長したがヒト族を優遇したわけではないので民族国家ではない。

 暗黒教団の教義は「…より優れよ」である。

徹底した競争を求め、信者同士、仲間同士であっても競う、争う。

個人主義を奨励し、「一人ひとりが頑張れば勝てる」という考えだ。

平和や協調を惰弱であると切り捨て、常に上下関係を見て物を言う。

逆三角の魔印を掲げ、安定を拒み、個人の優越を誇示する。祈りの際に指で逆三角形を切る仕草をする。

暗黒神ゲローマーからつかわされた悪魔が壇上で説教する。悪魔自身は大規模な布教にたずさわることを禁じられているが、個人に対する“説得”は認められており、しばしば他教の有力者に接触する。

布教は暗黒宣教師と魔族の仕事である。

暗黒宣教師は暗黒教団ゲロマリスでも比較的上の地位にある、指導敵役割を果たす信者である。

魔族はエリート信者であり、暗黒教団の幹部である。

選考基準は「何人に布教したか」「どれだけ強力なモンスターを討ったか」「どのくらい教団の仕事を担ったか」である。

モンスター討伐のみで選ばれたエリート信者は武闘派の魔族になるが、「脳ミソまで筋肉でできている」と揶揄されるほどに武力だけの人間である。

魔族として抜擢されると暗黒神ゲローマーの加護を得て、強力な魔法が使えるようになる。

魔族に抜擢されると最大で2倍の魔気容量の増加が見込めるのだ。

上級、中級、下級に分かれ、それぞれがモンスターの三番手、四番手、五番手に匹敵する戦力であるとされている。

もっとも「されている」だけで“脳ミソまで筋肉でできている”こと脳筋魔族だけがそれに該当し、布教や事務を頑張って選抜された魔族はせいぜい六番手、五番手ていどにしか該当しない。

暗黒神ゲローマーは多民族、多種族で構成される、もともと競争の激しい国家や町で信仰される。

神魔大戦の前は光明教団と激しく対立して信者の獲得競争を繰り広げていた。その際、他宗教に対して暴力による棄教や改宗を迫ったり、他国を武力で脅して協力させたり、さんざん過激な活動に及び、ついには幻獣までも手に掛けるようになってしまい。

その結果、“神殺しの怪物”を招く原因になった。

現在、教団は幻獣、とりわけ、上位のモンスターに手を出すことを厳しく禁じている。

人間の国家に対する態度は変わっていないが、手痛い反撃を食らうようになったので控えている。

“神殺しの怪物”こと孤高の八龍については教義で否定も肯定もしていない。単に「決して関わるな」と戒めているだけである。崇拝する暗黒神ゲローマーを滅ぼした仇ではあるが、同時に対立する光明神ブジュッミを抹殺してくれた恩人でもあるからだ。

当時、悪魔も暗黒教団も散々にメンツを潰されて、暗黒神の復活にも多大な労力を費やされたが、それは光明神の側も同じ。その後の復活劇による盛り上がりや如何に神界リゼルザインドが愚昧であるかを知らしめた効果を考えれば十分に益があったと判断されている。

暗黒神ゲローマー本人はいまだに殺されたことのトラウマがきつく、天龍を含めた孤高の八龍については語られることすら嫌がっている。

暗黒教団のトップは「魔王」である。

前の魔王が死ぬと上級魔族の中から選出され、暗黒神から特別の加護を受ける。例外もあるが、非常に強大な魔力を誇る実力者であることが多い。



<<神聖ブジュミンド帝国>>

 光明神ブジュッミの光明教団が興した国家である。ヒト族を中心に成長したがヒト族を優遇したわけではないので民族国家ではない。

 教義は「みんないっしょに仲良しこよし」である。

 競争を廃して、誰もが平等に仲良く協力して調和を尊び暮らす…という徹底した集団主義である。

 個人プレイを忌避して数を頼みとする集団の力を信奉するのだ。

 その結果、個人の努力を認めずに「自分勝手」と切り捨て「一人の力なぞ何するものぞ」と馬鹿にする。多少無能であっても集団の一員として頑張れば十分力になりうるという考えだ。建前ではあるが、平等を掲げているので組織に上下を着けない。競争しない、みんな仲良く手を繋いでゴールインである。

 とにかく数がほしいので「産めよ、殖やせよ、地に満てよ」を地で行く。同性愛を禁じて多産を賞賛している。また「男は種付けのためにいる」という考えがあるので一夫多妻制を咎めない。堕胎も禁じている。

 しかし、幹部には許しており、「昇進したら美少年を」と期待する男性信者も多い。聖女の女性同性愛はもはや黙認を通り越して密かに奨励されている。

 正三角の聖印を掲げ、個人の優越を拒み、安定を誇示する。祈りの際に指で三角形を切る仕草をする。

光明神ブジュッミからつかわされた天使が壇上で説教する。天使自身は大規模な布教にたずさわることを禁じられているが、個人に対する“説得”は認められており、しばしば他教の有力者に接触する。

 布教は光明宣教師と聖女の仕事である。

 光明宣教師は光明教団ブジュミンドでも比較的上の地位にある、指導的役割を果たす信者である。

 聖女は事実上、特別扱いされるエリート信者であるが、信者の平等を謳う光明教団は建前上、大勢の信者の一人であるとの立場を取る。事実上、光明教団の幹部である。

 選考基準は「何人に奇蹟を見せたか」「どれだけ強力なモンスターを退けたか」である。

 つまり、基本的に魔気容量の多寡と積極性のみが考慮されることになる。だから、暗黒教団の魔族と比較しても「脳ミソまで筋肉でできている」系統の女性が多い。

 聖女に抜擢されれば魔気容量が最大で2倍の増加が見込めるのだ。

 そう、聖女になれるのは女性だけである。

 これは単純に人気取りのためであり、「聖女になれるのは優しくて控えめな元気の良い女性のみ」と謳っている。実際はがさつで力強い女性が多い…が、着飾らせておとなしく神輿に乗せていればそれっぽい雰囲気が出せるし、それで信者も喜ぶからそうしている。

 過去に幾度か男を選ぶ試みが為されたが「聖男」の語感が悪いことと教会が喜ぶ「優しくて控えめな男」を選んだら男色に走らされてしまい、同性愛を厭う教団にとって嬉しくない結果をもたらした。

 聖女として抜擢されると光明神ブジュッミの加護を得て、強力な魔法が使えるようになる。

 平等を謳う光明教団だから聖女に階級を着けないが。

 事実上の階級として「松」「竹」「梅」に分かれ、それぞれがモンスターの三番手、四番手、五番手に匹敵する戦力であるとされている。

聖女は例外なく全員が“脳ミソまで筋肉でできている”こと脳筋女なので全員が実力者である。

 魔族と違い、「どれだけモンスターを討ったか」ではなく「どれだけモンスターを退けたか」が基準なので防御に重きを置く戦術である。魔族はたとえ上級であっても梅の聖女ですら殺せない。聖女を倒したければ該当する階級の魔族3人が必要になる。

 更に「勇者」という者がいる。

 聖女が光明教団の「盾」ならば勇者は「剣」である。

 選考基準はシンプルで「教団のために命を捨てられるか」である。

 そもそも数を頼みとする光明教団では兵士は消耗品であり、兵士の犠牲を前提とする作戦すら建てられる始末だ。個人技に優れる暗黒教団の信者や強力な魔族を倒す、それは数であり兵士の犠牲なくしては実現し得ない。

 そこで命知らずの狂信者を「勇者」として認定し、その数で攻めるのだ。「勇敢に戦って死んだら天国へ行ける」と囁かれた勇者は文字通り命を捨てて戦い、死ぬ。たまに勝つ。死ぬほどの戦いの末にたまたま勝ってたまたま生き残った幸運な者を「英雄」と称する。

 「勇者」は、「英雄」は、割に合うのか、合わないのか、聖女達は黙して語らない。

 光明神ブジュッミは単一民族、単一種族で構成される、穏やかで安定した国家や町で信仰される。

 神魔大戦の前は暗黒教団と激しく対立して信者の獲得競争を繰り広げていた。その際、他宗教に対して暴力による棄教や改宗を迫ったり、他国を武力で脅して協力させたり、さんざん過激な活動に及び、ついには幻獣までも手に掛けるようになってしまい。

 その結果、“神殺しの怪物”を招く原因になった。

 現在、教団は幻獣、とりわけ、上位のモンスターに手を出すことを厳しく禁じている。

 人間の国家に対する態度は変わっていないが、手痛い反撃を食らうようになったので控えている。

“神殺しの怪物”こと孤高の八龍については教義で否定も肯定もしていない。単に「決して関わるな」と戒めているだけである。崇拝する光明神ブジュッミを滅ぼした仇ではあるが、同時に対立する暗黒神ゲローマーを抹殺してくれた恩人でもあるからだ。

 当時、天使も光明教団も散々にメンツを潰されて、光明神の復活にも多大な労力を費やされたが、それは暗黒神の側も同じ。その後の復活劇による盛り上がりや如何に魔界が愚昧であるかを知らしめた効果を考えれば十分に益があったと判断されている。

 光明神ブジュッミ本人はいまだに殺されたことのトラウマがきつく、天龍を含めた孤高の八龍については語られることすら嫌がっている。

 帝国として皇帝を戴くが、光明教団そのものののトップは「教皇」もしくは「大聖女」である。これはブジュミンド皇帝よりも地位は高い。

 基本的には「教皇」であり、例外的に「大聖女」がいる時はその人物がトップになる。

 大聖女は光明神から特別の加護を受ける。例外もあるが、非常に強大な魔力を誇る実力者であることが多い。



<<冒険者パーティー“荒鷲団”>>

 冒険者ギルドからも信頼される、実績のあるパーティーである。

 全員が異なる種族でありながら、結束は固い。要はリーダーのホビット♀“キャロル”、性別や種族を越えて信頼される人格者である。

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…以上で構成される中級パーティー。キャロルが紅一点に見えるが、男女のバランスはしっかり取れている。

  斥候も交渉も事務もこなせる人格者のキャロルがリーダーを務めている。

  攻撃の要は集団で唱える上級の火魔法でゴブリン♀のピ・グーヒが唱える。これを2回撃てることが自慢。

 種族は違うが結束は固い。

 空を飛べるグェリギィ、水中行動と光魔法による遠視で活躍するボルゼ、いざとなれば回復魔法も使える便利屋ハンスとパーティー自体が器用だ。



<<瓦礫街リュッダ>>

 海岸沿いにある、竜に縁が深い港湾都市。

 ベッリャ半島の東端、美しい内海に臨み、交易の要衝である。また、水の豊富な広大な平地に囲まれており、ベッリャ王国最大の耕作地を営む。

 ヒト族が多く住んでいるが過半数を割っている。獣人やダークエルフ、ドワーフ、オークらも多く人種は雑多である。

 海沿いであるから水棲人マーフォーク族が多く活動している。彼らは海中に国家を築いて瓦礫街に赴いており、住んでいるわけではない。

 交流が盛んなので共通語が堪能であると出世できる。


・街

 市壁は三重。

 一番内側の第一市壁は王城を頂き、貴族と神官の住居を守る。上級地区である。

 第二市壁は市民と市民の奴隷を守る。商業地区である。冒険者ギルドも商業ギルドもここにある。

 第三市壁は市民以外の平民“自由民”を守る。南西に貧民窟が広がる。ダイナミックなエリアで兵士の数が足りていない。治安も悪い。

 第三市壁の外には三方に街道が伸びてそれぞれが耕作地を抱える。

 中央に「ドレイク城」という、妻と領主ジャクソンが働く城がある。かつてアイスドレイクが一頭、当時の領主とともに棲んでいたことが名前の由来。

 北西から南東に向けてカシャフ運河が通る。この運河はもともと天然の河川の支流で南西の山から森林を抜けて海に入っていた。

 運河には地下水道が繋がる。地下水道は街を縦横無尽に走り、汚水処理や雨水の貯水池になっている。

 街の北東部は港になっている。

 南西は破壊された第三市壁が痛々しい、瓦礫だらけの貧民窟である。

 北西は王都ベーリに続く街道が延びる。

 南東は豊かな耕作地帯へ繋がる。ミュルミドーン族の商人が訪れる。


・周辺

 北西には海、南西は森林とその先に高山、南東は草原、北東も同じく森林とその先に高い山脈がある。北東の山脈を抜ける街道は王都ベーリに繋がる。

 北西の海にはワイルド島という火山島があり、温泉が多い。毎日、噴煙が止まらず、ひどい噴火になると耕作地に被害が出る。

 南東の草原にはミュルミドーン族が入り込んでおり、耕作地の多くを押さえている。地下王国を築いているので地上で活動する者は限られているが、地下生活者を含めれば瓦礫街で活動する人族よりも多いことが確実視されている。

 北東の森林ではマタンゴ族が集落を形作っており、すでに国家としての規模だと言われている。こちらも瓦礫街と比較できる規模のようだ。

 南西の街道をオークの盗賊団が徘徊し、被害が出ている。どうも周辺諸国から送り込まれた威力偵察の部隊らしい。


・破壊された市壁

 かつて、幾度となくキュークロプス“ポリュペーモス”の襲撃を受けていた。

 ある日、ついには南西の第三市壁が砕かれ、モンスターの群れに荒らされてしまった。街は大きな被害に遭い、人口が流出して1/3が失われた。

 しかし、数年前からドラゴンが加勢してくれるようになり、在野の冒険者らの活躍もあってポリュペーモスらを撃退できるようになった。

 現在はドラゴンに焼かれたポリュペーモスらがあまり近づかなくなり、ペリュトンやフォモールの襲撃が散見される。

 南西の市街は砕けた市壁の巨大な破片が散乱しており、「瓦礫街」の名前の由来にもなっている

 市壁の崩壊箇所はいまだに修復が終わっておらず、オーク族の盗賊団が侵入することしばしば。


・勇者

 更に空からペリュトン、海からフォモールが襲撃してくる。これらは厄介で住民は気の抜けない日々を過ごしている。

 前の領主はポリュペーモスの攻撃で傷を負い、引退してしまった。領主が殺されるような事態に陥らなかっただけ幸運である。

 領主の子も重傷を負い。

 次の領主に任命された伯爵は派遣される途中で魔物に襲われて重傷を負ってしまい。

 その次の次の領主に任命された子爵も同じく重傷を負い。

 その次の次の次の領主に任命された男爵は襲われて怪我こそしなかったもののおびえて逃げ出してしまい。

 その後、『領地は欲しいけれど命が惜しい』と手を挙げる貴族そのものがいなくなってしまった。

 名のある騎士やら裕福な商人、果ては野盗の頭領までが挑んだがポリュペーモスの包囲は厳しく瓦礫街が滅びるかに思えた。

 そんな中、光明教団の「勇者」が手を挙げ、国王との協議の末、赴いたのである。

 それは光明教団の勢力拡大計画のひとつだった。

 消耗品である勇者がその仲間達と共に何度も送られ。

 ポリュペーモス率いるオーガやトロールと戦って多くの勇者が果てた。

 やがて兵力増強のために聖女“お色気”マリリンが送り込まれ。

 そして47人の勇者が墓碑銘を刻んだ頃、48人目の勇者ジャクソンがキュークロプスに襲いかかり、これをさんざんに打ち負かした。すでにポリュペーモスは過労だったのだ。負傷して逃げてゆくキュークロプス達を尻目に聖女と勇者ジャクソンはようようと瓦礫街に入り、新たな領主の着任を告げた。

 そしてジャクソンは英雄になった。

 吟遊詩人はジャクソンと聖女“お色気”マリリンのロマンスと冒険を歌い。

 人々は大いに楽しんだ。

 やがてジャクソンは恋をして。

 前の領主のはとこマリー・クリックと結婚し、ジャクソン・クリックとなった。

 英雄ジャクソンは「勇気があれば怖くない」などの頭悪い家訓を掲げて領主になったが、剣を振るしか能のない命知らずに政治ができるわけがなく、すぐに領主としての実権は妻のマリーに譲り渡された。

 光明教団の尖兵でもあるジャクソンは市壁の補修を差し置いて教会の改修に努め、大いに住民のひんしゅくを買っている。

 碧中海を囲む大国や小国の干渉が激しく、これも領主を悩ますたねである。


・冒険者ギルド

商業区の北西にある。

木造2階建ての安普請で、建物自体は大きい。


・問題

ポリュペーモス率いる魔物の群れが襲撃してくる。

空からペリュトン、海からフォモールが襲撃してくる。

ワイルド火山島の噴火が農業に被害をもたらしている。

南東の草原をミュルミドーン族に取られつつある。

北西の森林をマタンゴ族(スヴェトラーナ株)に伺われているか、すでに取られてしまっているようだ。

外国の干渉が激しく、軍事的な挑発がかまびすしい。

異民族の急激な流入により、領内が混乱している。

南西の街道をオークの盗賊団が襲い、交易に障害が出ている。これは「盗賊団」ではなく外国の威力偵察との噂もある。

破壊された南西の第三市壁の復旧が遅れている。

南西の第三市壁に開いた穴からオーク族の盗賊団が侵入してくる。

…以上である。



<<ベッリャ王国>>

 ベッリャ半島を支配し、美しい内海に覇を唱える地域の大国である。

 王都は港湾都市ベーリ。

 現在はオヌベコム王朝が君臨している。

 ベッリャ海の覇権を争っていくつもの国が争った歴史がある。

 光明教団が強い勢力を持っているが、光明神信仰が国教というわけはない。信仰は緩やかで、光明教団による信者の囲い込みは上手く行っていない。



<<イスマン=オルジアン帝国>>

 神殺しの後にできたヒト族の民族国家である。

 滅亡した。



<<ヒューム帝国>>

 イスマン=オルジアン帝国滅亡後に勃興したヒト族の民族国家である。

 金龍オーラムに挑んだヒト族のアレクサンドラが勝負に勝って巻き上げた神器“偽りの光”はとてつもなく強力な武器だった。この威力によりアレクサンドラはまたたく間に帝国を築く。

 滅亡した。



<<アプタル=オルジアン帝国>>

 エレーウォン大陸の中央を支配する、強大な竜帝国と対立していた。

 召喚魔法に傾倒し、国策として推し進めていた。技術力と軍事力で優位にある竜帝国を押し返すための切り札として期待していたのだ。

 その結果、天下の愚行として知られる“暁光帝の召喚”を試みる。

 これは不幸にも成功してしまい、本物の天龍アストライアーが帝都にやってきてしまった。

 その結果、皇帝アプタル8世は宮殿とともに踏み潰されてしまった。

 そしてアストライアーとしては呼ばれてきたものの、誰もいない。

 そこへ奸臣の讒言で退けられていた宰相が進み出た。

暁光帝:「呼んだ?」

宰相:「はっ、陛下のかんばせを拝んで恐縮至極でございます。陛下を呼んだ愚か者はお御足の下で果ててございます」(五体投地で顔だけ上げながら)

暁光帝:「あ、そぉ…」(困惑顔)

暁光帝:「次に呼ぶ時はもう少し離れて待っていてね」

宰相:「ははっ! なんとお優しい…すべて観心のままになすことを、アプタル=オルジアン帝国宰相であるこの私がお約束いたします」

暁光帝:「うん。じゃっ!」(六翼を広げる)

宰相:「おぶぅっ! おっ、お待ちくだ…ここで飛ばれては……」(突風で吹き飛ばされながら)

ドーン!!

暁光帝:「あっ、うん…」(自分の鱗を投げる)

宰相:「おっ、おぉぅっ!」(一枚の龍鱗が地面に突き刺さり、風を防ぐ)

暁光帝:「気をつけてねー」(飛び立つ)

ドドーン!!

途方もない大風が発生し、城跡と城下町が吹き飛ぶ。

ここにアプタル=オルジアン帝国、滅亡\(^o^)/

 後にこの宰相が復興させた新たな国がヴェズ=オルジアン帝国である。

 宰相は「あの女帝に出会って生き延びた稀有な人物」と賞賛され、その肖像画は災難のお守りとして人気が出た。

 その言葉は記録されて「あの女帝とは会話できる!」という貴重な資料となった。

 アプタル=オルジアン皇帝アプタル8世の名は愚か者の代名詞となり、「アプはち」の蔑称を生んだ。



<<ソモニ王国>>

 ソモニ高原に生まれた遊牧民の王国である。

 優れた族長に率いられた騎馬軍団が強力で、周辺諸国を圧迫しながら一大で築かれた。

 遊牧民らしく王朝も移動する。豪勢なテントを運ぶ、“移動宮殿”が特徴。ヒト族ソモニ人はリザードマン語が使えないので配下の民族を官僚として雇い入れていた。

 膨張を続け、一時は東部ヒト族諸侯連合を統一するかに思われたが、ある夜、空から天龍アストライアーが舞い降りてタップダンスを踊り始めた。

 3日3晩、踊り続けたので移動宮殿も騎馬軍団も潰滅\(^o^)/

 ソモニ王国は滅亡した。



<<ヴェズ=オルジアン帝国>>

国名は「ヴェズ王朝のオルジア人の帝国」である。

かつて竜帝国と対立して天龍アストライアーの召喚を試みた、アプタル=オルジアン帝国の後継者である。

オルジア人が中心だが、多民族国家でエレーウォン大陸の中西部に広大な領土を持つ。

碧中海の制海権を巡ってベッリャ王国やポイニクス連合とやりあっている。

「暁光帝、降りる」の一報に皇帝が震え上がった。

即座に間者を差し向けるも「絶対に刺激してはならない」の制約を課している。

情報は隠されており、国内の主だった者しか知り得ない。

かつて滅びたアプタル=オルジアン帝国が用いた召喚術がまたしても利用されたのかと戦々恐々である。貴族らは暁光帝を呪うも関わりたがってはいない。復讐を唱える者は皆無。

アプタル=オルジアンの宰相が暁光帝より賜った龍鱗は国宝として大切に保管されている。

暁光帝はアプタル=オルジアン帝国を滅ぼした仇であるが、同時に現在のヴェズ=オルジアン帝国の始まりでもあるからだ。

皇帝は国を揺るがす問題が起きると女帝の龍鱗(全長4.5m)を前に思考を重ねる。

「暁光帝、降りる」の一報にパーティーの酔いも覚めて「これはピンチであるとともにチャンスでもある」と見抜いた。

豊穣神マァルトを祀っており、国教に指定している。



<<ポイニクス連合>>

碧中海の南にあり、制海権を巡ってベッリャ王国やヴェズ=オルジアン帝国と争っている。

かつて、アプタル=オルジアン帝国の海軍に敗北し、亡国の危機に陥っていた。旧帝国の滅亡で国難を免れており、暁光帝に感謝している。

碧中海の情勢に目を光らせていて、今回の「暁光帝、降りる」の一報をいち早く公開した。

国内は暁光帝を歓迎する一派と警戒する一派に分かれている。

博打の神ズバッドは商売の神でもあり、ポイニクス連合でも人気がある。



<<妖精郷“エルファム”>>

エルファムはもっとも古いエルフの里である。

人類で初めてハルピュイア女王国から魔法を下賜された。



<<偉大なるプガギューの国>>

碧中海の北西に陣取るオーク族の集団。

統一国家には至らず、多くの部族の連合体である。

好戦的でしばしば同族同士で争っている。暗黒教団の影響下にあるが、統一されてない。光明教団の影響下にある部族も多い。豊穣神マァルトや享楽神オヨシノイドの信仰も人気である。

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