第4話
リアが泊まった翌日、パウルが迎えに来て、二人仲良く帰って行きました。
久しぶりにパウルと話したけれど、あんなに乗せられやすい性格をしていたかしら……?離れてみると客観的に見えるものなのでしょうね。
パウルに少し同情したら、愚痴が止まらなかったのは面白かったけれど、ああいう人達の話すのは疲れますね。リアもパウルも自分のことばかりで、全く相手を見ていないですからね。本当に似たもの同士です。
あまりあの二人に関わると、面倒なことになりそうです。少し離れたところから見ていたいわ。……そうね、私もこの家を出るのが良いかもしれません。
「お父様、お母様、私もそろそろ結婚したいと思います。リアもパウルと落ち着いたようですし。頻繁にあの二人を見ているのはちょっと……」
少し落ち込んでいるように話すと、お父様もお母様も哀れみの眼差しを向けてきました。リアに婚約者を渡したことに対して、少しは申し訳なく思っているようですね。
「確かに、シーラにも相手が必要だな。だが今うちに来ている縁談はクラーク子爵家くらいだからな……。伯爵家以上の良い家が見つかるまで待ってくれないか?」
お父様が申し訳なさそうにそう言いました。クラーク子爵家ですか……。確か、ご子息は私より少し年上でしたね。政治的なことよりも悠々自適な生活を好む家柄ですから、案外気楽に暮らせるかもしれません。
「お父様、そのクラーク子爵家との縁談を受けたいと思います。リアが伯爵家に嫁いだのですから、私が子爵家に入っても問題ないかと」
「それはそうだが……本当に良いのか?」
「はい!是非お願いします」
こうして私はクラーク子爵子息のトリスタンと婚約することになったのです。
トリスタンはとても穏やかな方で、すぐに打ち解けることが出来ました。
「シーラ、本当に僕と婚約して良いのですか?伯爵家のあなたでは、僕との生活は物足りないかもしれません」
「あら、私は贅沢な暮らしに興味はありませんわ。トリスタンとこうして音楽を聴きながらお話しするのが楽しいのですから」
ゆったりと音楽を聴きながらお茶をしたり、各々本を読んだり、一緒に過ごす時間がとても心地良いのです。パウルとは大違いですね。
「良かった。僕もシーラと過ごす時間が好きです。これからもよろしくお願いしますね」
あぁ、なんて平和なのでしょう!パウルと結婚していたら、こんな生活を味わうことは出来なかったのですよね。リアには感謝しなくてはいけません。私に幸運を運んでくれたのですから。
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