第5話 ※リア視点

実家に泊まった翌日、お姉様が部屋に来て、パウル様が迎えに来たことを教えてくれました。


「リア、パウルが迎えに来ているわよ。パウルも少しは反省したのではないかしら。今日のところは許してあげたら?」


私を束縛したことを反省したのかしら?まあ迎えに来てくださったのですから、少しは心を入れ替えてくれたのかもしれませんね。仕方がありません、今日のところは許してあげましょう。


「分かりました。準備をしたら、すぐに向かいますわ」




迎えに来たパウル様は少し機嫌が良いようでした。帰ったら、お詫びのしるしにドレスでも買ってもらいましょう。そう言えばパウル様も私に話があると言っていましたね……何かしら?


家に着くなり、パウル様は私を呼び出しました。


「何か御用ですか?」


「お前の口からまだ反省の弁を聞いていなかったからな。一応聞くだけ聞いてやる」


反省ですって?私が?


「なんのことですの?反省すべきはパウル様のはずでしょう?私を束縛しすぎたことを謝罪するなら今ですわよ」


「俺が謝罪するわけないだろう?……やはりシーラの言う通り、もっと厳しく教え込まないとダメなのか。リア、お前は今日から一ヶ月、自室から出ることを禁じる。そのわがままな態度を反省しなさい。おい、連れて行け」


パウル様に命令された使用人たちが私を捕らえて、自室に押し込みました。


「もう……何なんですか?!」


抗議をしようにも、パウル様はどこかに出かけてしまったようです。あまりの横暴さに腹が立ったので、仕返しをすることにしました。


「これと、これと……あのこの辺り全部ね。支払いはパウル様名義にしておいて」


「奥様、本当によろしいのですか?」


「当たり前でしょ?!この家の財産は私のものでもあるの!こんな部屋に閉じ込められているんだから、このくらい良いに決まってるわ」


パウル様に買ってもらおうと思っていたドレスに加えて、装飾品やバッグを買うことにしました。最新のカタログから、気に入ったものを手当たり次第に選んで、使用人に買ってきてもらったのです。


使用人には、パウル様が私を軟禁しているということを、店の方々に伝えるように言っておきました。そんな噂が流れれば、私のことを自由にするはずだわ。




二週間もすると、買ったものがチェストに入らなくなってきました。まあ使う機会もないのですけれど。長い間、お茶会やパーティーに出席出来ていないわ。退屈ね。


もうパウル様にはうんざりです。一日一回、寝る前に訪ねてきては、反省したかと聞くばかり。本当に酷い方だわ。ここからこっそり抜け出そうかしら?


そう思っていると、パウル様が怒鳴り声をあげて部屋に入ってきました。


「リア!一体どういう事だ?この数週間でどれ程金を使ったのだ?!我が家は破産だ!それに妙な噂まで流しやがって……」


「破産?嫌だわ……そんなに使ったかしら?ではもう買い物出来ないのですか?」


「買い物だと?この期に及んで何を言っているんだ!お前には実家に戻ってもらう。ここにある物を全て売り払っても足りない分は、お前の両親に請求するからな!」

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