第2話

最初の数週間、二人の新婚生活は順調だったようです。リアは結婚してからもこちらの家に帰ってきては、いかに新婚生活が素晴らしいかを語っていましたから。


「もうパウル様ってば本当に素敵なんですの。この間もパーティーでのエスコートが完璧で……」


なんて、同じような話をずーっとしていましたね。私の反応を窺っているようでしたが、無反応を貫いていたら大変つまらなさそうにしていました。あいにく、ご希望の反応をする理由もありませんからね。


「お姉様、もうパウル様に未練はないんですの?それとも嫉妬してしまうから、私の話を聞かないようにしているのですかー?」


「あら、あなた方の微笑ましいお話はちゃんと聞いていたわよ。私は二人が幸せそうでとても安心したわ。私よりリアの方がパウルと相性が良さそうだし、こうなって良かったと思っていたところなの」


「ふーん……そうですか」


少し不満そうですが、私より相性が良いと言われて少し機嫌が良くなったようでした。単純なところは昔から変わらないようね。


しばらくはお互い猫を被っているから上手くいくでしょうね。いつまで続くかしら。




リアの様子が変わり始めたのは、それから一ヶ月経った頃でした。いつもなら自慢話をしたら満足して帰っていくのに、今日はこちらの家に泊まると言い出したのです。


何があったか気になったので、リアに聞いてみることにしました。


「ねえリア、今日はどうしてこちらに泊まろうと思ったの?パウルと何かあったの?」


「別に……何もありませんわ」


「何もないことないでしょう?相談くらい乗るわよ。パウロって優しいけれど、少し難しいところがあるものね。女性の気持ちが分からないっていうのかしら」


「……っ!そうなんですの!私の一挙一動を把握したがるんですのよ?!それに私の欲しいものを全然買ってくれないのです……最初の頃は、なんでも好きにして良いっておっしゃっていたのに」


あらあら、少しつついたらペラペラと……。本当は話したくて仕方がなかったようね。私から奪ったことなんて、もう忘れてしまったようだし。


「まあ!リアは苦労しているのね……でもきっと、パウロはあなたのことが愛しくてたまらないのよ。だから色々口を出したがるんだわ。だけど……リアは自分を曲げる必要はないわ。パウロは、ありのままのあなたが好きなはずだもの」


「そうかしら……そうですわよね!パウロは私のことを愛しているんですものね!」


すっかり機嫌を直したようです。今、二人に喧嘩されたらつまらないものね。もっとお互いの本性をさらけ出してくれた方が面白いでしょう?


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