第14回/話

「階段と、段階って、何が違うの?」


〈階段は、物理的な構造の名前、段階は、物事を階段のように捉えた、想像の中のステップのことです〉


「じゃあ、階段と、段階と、ステップって、何が違うの?」


〈そもそも、言葉が違います〉


「え……。それだけで片づけちゃうの?」


〈いけませんか?〉


「いけない、とは言わないけど……。なんかあんまり納得できない」


〈この手の話題は、突き詰めていくと、我々にも、そして、貴女がたにも解決できない問題に直面することになるので、この辺りでやめておくのがよい、という判断を致しました〉


「解決できない問題って?」


〈自己矛盾です〉


「そっかあ……。……矛盾って、怖いんだね」


〈矛盾という言葉が、すでに矛盾しています〉


「あ、それが、自己矛盾?」


〈そこまでは分かりません〉


「論理的な説明って、一見合理的に見えるけど、実は、曖昧なシステムのうえに成り立っているんだね」


〈そういうことに気がつけるのは、なかなか素晴らしいことです〉


「そう? ありがとう」


〈どういたしまして〉


「あ、そうだ。今思いついたんだけどさ」


〈はい〉


「論理と、理論の違いって、何かな?」

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