第12回/話
「ね、あのさ」
〈はい、何でしょう、お嬢様〉
「お嬢様?」
〈お気に召しませんか?〉
「うーん、いや、別に、そうじゃないけど……」
〈違和感がある?〉
「まあ、ないとはいえないよね……」
〈それで、どうかなさいましたか?〉
「あ、そうそう。今日ね、学校の授業でさ、人前で発表しなくちゃいけなかったんだけど、ああ、私、やっぱりこういうの無理なんだなって、思っちゃった」
〈何の発表だったのですか?〉
「なんか、現代文で扱った物語を、グループで演じる、みたいな感じ」
〈興味深いですね〉
「大変だったよ、ほんとに……」
〈劇は、観ている方は面白いですが、演じる方は大変なのですね〉
「そうだよ……。というか、そもそも、大勢の人に注目されるのが嫌だ。監視されているみたい」
〈日常生活では、あまりない機会なので、よろしいのでは?〉
「うーん、そうかもしれないけど……」
〈向いていないと感じるのなら、それはそれでよいでしょう。向いていることを精一杯やればよいと、私は思いますが〉
「でも、きっと、次のお話のときも、また同じことやらされるよ」
〈では、私が練習相手になって差し上げましょうか?〉
「え、本当?」
〈ええ、もちろん。それで、貴女は今日は何の役を演じたのですか?〉
「えっとね、お嬢様」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます