第11回/話

〈シロップ様〉


「何? あ、あと、様なんて付けなくていいよ」


〈饂飩〉


「饂飩が、どうしたの?」


〈饂飩が、どんどん、鵜に飲まれてしまいまして、困った踊ったやっちまったの大惨事になった、というわけであります〉


「えっと……、上手く話が飲み込めないんだけど……。もう少し、具体的に話してもらってもいい?」


〈饂飩という細長い食べ物がありまして、生姜や葱などとともに汁につけて、啜って食べるのですが、それが、鵜という、首の長い鳥類に次々と飲まれてしまい、困った踊ったやっちまったの大惨事に発展した、ということです〉


「うーん……」


〈お分かりですか?〉


「お分かり……、ではないなあ。……それで? 何か困っているのなら、助けるよ」


〈何も助けて頂くことはありません〉


「あ、そうなの? 本当に大丈夫?」


〈おそらく〉


「おそらくって……。やってほしいことがあるなら、遠慮なく言うんだよ」


〈お気遣い、感謝します〉


「   」


〈   〉


「饂飩を作るのって、難しいのかなあ……」


〈シロップ様〉


「ん? なあに?」


〈饂飩が、どんどん、鵜に飲まれてしまいまして、困った踊ったやっちまったの大惨事になった、というわけであります〉

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