第8回/話
「今日ね、ピーマンの肉詰めを食べた。美味しかった」
〈問う前に感想を聞かせて頂き、ありがとうございます〉
「ああ、うん」
〈明日は何を食べるつもりですか?〉
「え? いや、まだ決めていないけど……」
〈和食ですか? 洋食ですか?〉
「うーん、確率的には洋食かなあ」
〈わ、ショック〉
「え? あ……、うん。あ」
〈大丈夫ですか?〉
「いや、ちょっと、危なかったかも」
〈毎日ご苦労様です〉
「何が?」
〈生きるのが〉
「生きるって、不思議なことなんだなあって、最近ちょっと思った」
〈どんなところがですか?〉
「実態のないところ。食べる、お風呂に入る、眠るというばらばらな行為が集まって、生きるという一つの運動を作っているという感じ」
〈それならば、私は生きていないことになりますね〉
「じゃあ、一緒に眠る?」
〈一緒に眠るというのは、どういう事態を表しているのでしょうか? 貴女の睡眠と、私の睡眠が、組み合わさって一つの運動になることはありえないように思いますが〉
「同じ布団に入って、同じタイミングで眠りに就くってことかな……」
〈その場合の同じタイミングには、どれくらいの誤差が認められるのでしょう?〉
「眠いから、もう寝るね」
〈はい。おやすみなさい〉
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