第2話
まばたきをすると、僕は家の中にいる。誰もいない、薄暗い自分の家だ。
今までのはやはり夢だったのか。しかしいつも通りの家とはいえど、そこに多少の違和感を感じる。何かが足りない、そんな違和感だった。
「夕飯を作ろう」
違和感を胸に抱えながら、僕は家事をする。半ば僕の身体が勝手に動いているようだった。頭が靄にかかったように働かない。時間だけが流れていった。
席に座って、作った夕飯を食べる。何かが、おかしい。
「おいしいわね」
いつの間にか向かいの席に少女が座っていた。少女は僕の作った夕飯を食べて、微笑んだ。
おいしい。そうか、この料理に味がしないのだ。目の前の料理を口に運びはすれど、口に何か入った感覚は無く、味もしない。まるで空気を食べているようだった。
「星の旅路はまだ長いわ。しっかりと憶えるのよ」
ふと、声だけが聞こえてきた。不思議な光景だった。周りが動かない。
そのまま色が抜け落ちた。白黒の世界になって、やがてどろどろと溶け始める。
液状になった世界が、僕の目の前で渦を巻いた。
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