-渋谷Ø切断-④「切断」


 T都で最も夜が賑やかな、新宿の街。

 八ツ裂き公事件の影響で、外出を控える人が増えているらしいけど、この街には無縁な話のようで、大勢の人で賑わっている。


 色んな店が連なる通りを歩いているだけで、浅黒い肌の男が話しかけてきたり、軽薄そうな金髪の男にナンパされたり、如何にも裏社会の住人って感じの白いスーツのグラサン男が夜の店にスカウトしてきたりした。


 そんな鬱陶しい誘いをすべてやんわりと受け流して、ウチは喧騒から少し外れた場所にある、雑居ビルへたどり着く。


 ビルの向かいの、建物と建物の間に身を潜め、入り口を見張り始めた。


 そのまま、スマホもイジらずにじっと待つこと、数十分。

 目当ての男が入り口から歩いてきた。


 金色の坊主頭に、円形のサングラス。濃いヒゲ。

 派手な赤黒いスーツ。


 見間違えるはずもない、その特徴的な容姿を見ると、ウチは素早く行動に出た。


!!」


 男――ウチの父親、リカルド=カルミナティはウチが呼びかけるより少し早く、コチラを向いた。


 ウワサ通りの警戒心の強さ。

 不意打ちを狙おうとしても、きっと見抜かれていただろう。


 だからウチは、敢えて正面から堂々といくことにしたんだ。


「ウチだよ、犬美。覚えてない?」


「……ああ、あの恩知らずの娘か。なぜ、俺の会社を知っている?」


 少し迷ってからリカルドは言った。

 ウチのことは忘れていたようだし、オカンのことを恩知らず呼ばわりするなんて。


 分かってはいたけど、クズの中のクズだ。

 それでも、ウチは警戒心を持たれぬよう、朗らかに笑ってみせる。


「急に来てごめんね。実は、ウチの友達がパパに仕事を紹介してもらっててさ、相手がパパだって知って、ラッキーって思って場所を教えてもらったの。ちょっち金欠だからさ、ウチにも仕事紹介してくんない?」


「……その友達の名前は?」


「愛沢美幸ちゃんっていうんだけど。知らない?」


「愛沢美幸……少し待て、確認を取る」


 そう言って、リカルドが懐に手を入れ、意識がそれた瞬間――後ろ手に隠していた警棒型のスタンガンで、リカルドの喉を突いた。


 フゴッとブザマな声をあげ、アスファルトの上に崩れ落ちるリカルド。

 その姿を見下ろしながら、語りかける。


「自分が食い物にした女の子くらい、名前覚えとけっつーの」


 リカルドは口をパクパクと動かすけど、声は出ない。

 改造した高圧のスタンガンをモロに喰らったんだから、まぁ当然だね。


 まだ意識があるのが気に食わなかったので、もう一度喉にスタンガンの先を当てて、更に意識を混濁させる。


「紫崎沙夜って殺し屋が全部ゲロったよ。紫崎の連中から依頼を受けて、アンタの組織が違法薬物の製造や流通を担当してるってこと。報いを受けてもらうから……覚悟してよね」


 完全にチカラが抜けたリカルドの身体を、前日に置いておいた台車の上に乗せると、カモフラージュに段ボールをかぶせて、移動を始めた。


 目的地は、ウチの情報源ダチの親が所有する空き店舗。

 ただでさえ人通りの少ないこの場所で、建物の中に入れば、多少大きな音が出たところでバレやしない。


 思う存分――復讐コミュニケーションの時間がとれる。


「親子水入らずで話そうよ……ねぇ、パパ?」


 否が応でも高揚していくテンションを、ウチはもう抑えることができなかった。


 『探偵撲滅』前日譚-渋谷切断-④

 「切断」


    ◆


 ――新宿での出来事の数日前

 ウチは路地裏でスーツ姿の女性――紫崎沙夜とのコミュニケーションを楽しんでいた。


 仰向けで倒れた女性のお腹の上に座って、催涙剤のボトルの射出口を紫崎に向けた状態で問い掛ける。紫崎がそれに答える。このやり取りの繰り返しだ。とてもシンプル。


 初めは回答を渋る様子を見せたので、何度か目にかけてあげたら、大人しく答えるようになった。

 何事も躾けが大事、ってことだね。


 スマホの録音機能をオンにしつつ、紫崎への尋問を続ける。


「話をまとめると、アンタたち紫崎一門は例の精神科医から依頼を受けて、違法薬物の提供を行った、ってことで合ってる?」


「合ってるわ……あの男、四崎医師は書類の改ざんなどお手の物。自身の患者を施設に縛りつけたい四崎と、新薬の実験をローリスクで行いたい私たちの思惑が合致したから、私の立場を利用して、取引を始めたの」


「表向きは六星薬品工業からの正当な依頼として処理し、関係をカモフラージュする。そうそう疑われないし、資金洗浄も不要で、一石二鳥ってことね」


 実際、ウチらが調べるまで疑う者などいなかった。


 まぁ実績豊富な精神科医と『七星』の関連企業の取引なのだから、それも当然か。


「四崎医師は、紫崎一門を抜けた身だけど、人一倍弑逆心が強い人だった……趣味と金儲けを兼ねていたんでしょうね」


「紫崎って、マジでろくでもない連中ばっかりだなぁ……例えばさ、アンタをここで殺しちゃえば、紫崎は潰せんの? アンタがトップなんでしょ?」


「…………」


「例え話だってば。本気にしないでよ」


 わざと脅しを口にしてみたら、身体をビクリとさせて黙り込んだ。


 いい感じ。

 しっかりと調教コミュニケーションの時間をとったおかげで、ウチに逆らえない状態になっている。


「で、実際のところはどうなの? アンタが死んだら紫崎は終わり?」


「いえ、終わらないわ……私はあくまで、第71世代の“紫崎沙夜”。毎年、一族の同世代から選ばれた一人が紫崎沙夜を名乗って、異なる地域、仕事を務めるのが、戦後から代々続く伝統なの」


「ハァ? つまり、アンタ以外にもいっぱいいるってこと?」


「ええ……少なくとも、十人は現役らしいわ。私たちの間でも情報共有なんてされないから、詳細は知らないけどね」


 要領を得ない説明。

 ただ冷静に考えていくと、情報が頭の中で符合する。


「組織内でも情報共有はないし、みんな揃って偽名を名乗ってバラけて行動するから、実態をぼやかせられる……ってことね。なーんか、聞き覚えがある話だなぁ」


 紫崎一門の実態は『探偵同盟』によく似ているんだ。

 ウチらの実態が世に出回らないのも、理由は同じかもしれない。


 まったく情報が出ないよりも、不確かな情報を錯綜させる方が神秘性を高められるのは、イルミナティやフリーメイソンだとかの有名な秘密結社が証明済み。


 完全犯罪を遂げた犯罪者より、自己顕示欲の強い変態ジャック・ザ・リッパーが人気なように、分かりそうで分からない存在の方が、人々の興味を惹くってことだろう。


「まぁ紫崎うんちゃらはどうでもいいわ。重要なのは、アンタらがウチの親友の家族を殺した犯人かどうかってこと。紫崎一門は、八ツ裂き公とどういう関係があるの?」


「え……? し、知らない」


「まだ躾けが足りなかったかな~」


「本当に! 本当に知らないの、信じて!!」


 紫崎が悲痛な声で叫んだ。


 ウソをついているんじゃないかと思って、催涙剤の射出口を目に近づけてみる。

 まぶたを懸命につぶって、その隙間から涙を滲ませる紫崎。


 その様子を見たら流石に罪悪感が湧くかと思ったけど、そんなことはまるでなかった。


「アンタさ……さっき広報ちゃんに向かって、迷わずナイフを振り抜いてたよね? ウチらのことを平気で殺す気だったよね? なのに、自分は催涙剤にビビって泣くとか、何の冗談?」


「それは、私も、仕事で……」


「へぇ? じゃあ今からウチが、探偵の仕事としてアンタに拷問をしても、恨みはないってワケ?」


「ち、ち、ちが! 違う! それ、は……!」


「違わない。アンタは今、仕事だから殺すのも仕方ないって言ったんだ」


 スーツの胸ぐらを掴み上げて、鼻と鼻が触れ合いそうなほど顔を近づけて、怒りのままに叫ぶ。


「アンタに……! アンタたちに殺された人たちは、仕方なく死んでいったって言うの!? ざっけんなよ! あの子は……ミユキは! 精いっぱい生きてたんだよ! 誰だって、みんな必死に生きてんの! 仕方ないとか! 悪意はないとか誤魔化して! 自分の罪から目を背けんな!」


 胸ぐらを掴み上げたまま乱れた呼吸を整える。

 紫崎は決して、ウチと目を合わせようとしなかった。


「……あなたの憎む四崎医師についての情報なら出せるわ。彼に卸していた薬の製造は、紫崎一門ではなく、下部組織の『蛇尾へびお組』の担当。より詳しい話を聞きたいなら、探ってみるといい」


「狙うならソッチ、ってこと? いい根性してるね」


「蛇尾組は半グレ集団も取り込み、大々的に薬物を展開しているの。表社会で目立ちたくない私たち紫崎一門としては……本音を言うと、目障りな存在だわ」


「なるほど。アンタらにノセられているみたいで嫌だけど、事情は理解した」


 それから、蛇尾組について根掘り葉掘り聞いたあと、紫崎が隠し持っていた警棒型のスタンガンを拝借。


 どうせ紫崎は拘束を解けないので、治療を終えて戻ってくるという広報探偵にあとはまかせて、その場を去ることにした。


「待って、佐奈さん」


 去ろうとした間際、紫崎がウチに呼びかけた。

 何かの罠かと思って警戒して振り返ったものの、特に何かを企むような様子はなく、ウチに同情するような目を向けている。


「私が言えたことではないけど……真っ当に生きられるなら、真っ当に生きるべきよ。あなたは、まだ引き返せる。まだ誰かを殺していないなら、戻ってあげて」


「はは、引き返せるって、何を根拠に言ってんの? アンタが死ぬほど浴びた催涙剤を作るのに、誰かを実験台にしてるとか思わないワケ?」


「思わない。あなたならきっと、自分を実験台にするもの」


 ズバリ言い当てられて顔に出かけた。


 まさか、顔に痕が残ってた?

 顔色と一緒に、ヤバげなところはメイクで誤魔化したはずなのに。


「驚くことじゃないわ。殺しの経験がある人間とそうでない人間くらい、私たちは見抜けるものなの。あなたは極めて優秀だけど……その点はよくよく気を付けてね」


「……へいへい、アドバイスてんきゅー。アンタの方こそ、こんなところで放置されて、誰かに襲われちゃわないようにねー」


 それ以上話を聞きたくなくて、ウチは早足で紫崎の前から去っていった。


 のちの報告によると、広報探偵が到着した際には、既に誰もいなかったらしい。

 もしかして、ウチに手ひどくヤラれていたのは演技で、拘束から逃れようとすれば簡単に逃れられていたのかな?


 有名な殺し屋にしては抜けた部分が多い印象を受けたけど、最後まで、真意の掴めない女だった。


    ◆


 自宅に帰ると、部屋の畳の上に連絡用のスマホを何台も並べて、作業を開始した。


 ウチの隣では、今年中学生になったばかりの弟、犬心けんしんが寝転がって携帯ゲーム機で遊んでいる。


 ウチと同じでオカン似な上に、肩まで髪を伸ばしているせいで、タンクトップにショーパンじゃなかったら、きっと女の子にしか見えない。

 せっかくだから今度メイクも教えてあげようかな。


「姉ちゃんさー、何でそんなスマホ持つわけ? お金もったいなくね?」


「スマホの数だけ身元を偽れる時代なの。機能を最低限にしたらお金の負担も少ないしね、また今度教えたげるよ」


「お、楽しみ! 学校の勉強はつまんねぇけど、姉ちゃんの話は面白ぇんだよなぁ……不思議」


「オカンの前でそういうこと言わないでよ? また、どやされちゃうからさ」


 そんな雑談をしつつ、スマホで『蛇尾組』についての情報収集を開始。

 スマホごとに異なる界隈のグループに、募集する情報と報酬を提示。


 過去にハマった様々なSNSやオンラインゲームのグループや、モデル時代に作った芸能系のグループ、前に潜入した裏バイト関係のグループ、バイト先で作ったグループ、果てには気まぐれに飛び込んだ興味のない界隈のグループなどなど……ウチを信頼するヒトたちで構成されたグループで情報を募っていく。


 すると、雑談レベルの話からかなりブッ込んだ情報まで、幅広い情報が雑多に集まり始めた。


 ここで重要なのは、とあるグループで得られた情報を、別のグループでも共有し、情報の信憑性を確かめること。


 もし情報に聞き覚えがあるヒトがいれば、グッと信憑性が高まるし、聞き覚えがなくても、その情報をきっかけに別の角度からの情報が出てくるかもしれない。


 まずはとにかく、情報がたくさん出てくるよう、ウチがみんなを誘導してあげることが大切なんだ。


 ただ当然、情報の量を重視すれば、その分精密性は薄まってしまうワケで。

 情報の中心にいるウチは、惑わされず、正しい情報を拾い上げて、できる限り解像度の高い真実を作り上げなければならない。


 その過程が、まるでジグソーパズルをどんどんハメていくようで。

 ミユキと二人で確立させたこの『コミュニケーション推理』が、ウチは大好きだった。


「ふふ! ねぇ見てよ、ミユキ! こんなくだらない話が――」


 隣を見ると、寝転がったままの犬心がキョトンとした顔でこちらを見ていた。


 犬心に苦笑してみせて、誤魔化そうとしたけれど、この子は意外と鋭いから通じなかった。


「姉ちゃん、無理すんなよな。姉ちゃんがミユキ姉のことを引きずってんのは、オレたちだってわかってんだからさ」


「……うん、ごめんね。大丈夫だよ。ウチは、全然大丈夫。心配しなくて、いいからね」


 犬心は何か言いたげな表情を浮かべたけれど、再びゲーム画面へと視線を落とした。

 きっと何を言っても通じないことを察してるんだろう。


 うん、ご明察。

 ウチは誰になんと言われたって、無理はする。

 どんなにヤバい組織が相手だって、引く気はない。


 ウチの大切な親友が死んだ元凶をこの世から消し去るまで、止まるワケにはいかないんだ。


 ポロンと通知が鳴ったことに気付き、スマホのひとつを確認した。

 裏バイト関係のグループに、新たな情報提供があったようだ。


 今回の事件では、一番適正が高いグループからの情報なので、期待が高まる。でも、届いた情報を確認すると同時に、胸の奥が冷たくなるのを感じた。


 ――蛇尾組で薬物ムラサキを取り扱っているのは、リカルド=カルミナティ。

 イタリア系のハーフで、過去に逮捕歴もある危険な男。


 ウチはその名前に聞き覚えがあった。

 何故なら、ウチに消えないトラウマを植え付けた、実の父親の名前だったからだ。


 ミユキとママさんの死には、精神科医が関わってて、その精神科医にはウチの父親が関わっている。


 つまり、ミユキの死の原因のひとつは――ウチの身内、ってこと?


「はは、は……」


 乾いた笑いすら、すぐに途絶えた。

 涙は出てこない。冷や汗はおろか、溜め息すら出ない。


 本当に絶望した時は、完全に無になるのだということを、ウチは理解した。


    ◆


 ――そして現在。

 ウチは空っぽの棚と、何も身に着けていないマネキンが数体並んだ、真っ暗な空間にいる。


 光源はスマホのライトだけ。

 防音設備がしっかりしているらしく、外の喧騒などまったく聞こえず、無音。


 そんな外界と隔絶されたみたいな怪しい場所の隅で、手足を手錠で拘束された金髪のオッサン――ウチの実父、リカルド=カルミナティを見下ろす。


「そろそろ起きろよ」


 ウチが頬を張ると、リカルドは目を開いた。

 それから、ゆっくりと周囲を見渡し、手足が拘束されていることを確認すると、ウチに敵意ある目を向けた。


「急に顔を見せたと思ったら、この仕打ちか。本当に恩知らずな家族だな」


「アンタから恩を受けた覚えはないっつーの、このロリコンペド野郎。言葉は慎んだ方がいいよ? ウチ特製の催涙剤は、めちゃくちゃ痛いから」


 そう言って懐から催涙スプレーのボトルを取り出して、噴射口を眼前に突きつける。

 ところがリカルドは、腹立たしいくらいに平然としていた。


「痛みを脅しにするとは、素人め。言っておくが俺には通じんぞ」


「あっそ、じゃあ苦しめば?」


 躊躇わずに催涙剤を噴射した。

 手を拘束されたリカルドは、催涙剤をモロに顔面で受けてしまう。

 目をつぶったみたいだけど、その程度じゃ防げない。

 すぐに痛みで泣き叫んでしまうはずだ。


「くくく」


 その、はずだった――


「くはははは! 確かに痛いが、後遺症が残る痛みじゃない! これで脅そうとは、如何にもガキの発想だなァ!」


 愕然とした。

 確かに、後遺症は残らない成分にした。

 でも、その分痛みは強烈でかつ、長時間持続するように作ったはずだ。


 自分で試した時には、一晩中ろくに眠れず、悪夢まで見た。

 あの殺し屋、紫崎だって無力化することができたんだ。


 そんな劇物が目に入って笑っていられるなんて、ありえない。

 絶対に、ありえない。


「おいおい、これではどちらが脅しているか分からんなァ? ヒトがやってこないうちに、逃げた方がいいんじゃないか?」


「ヒトなんて来ないよ。この建物はウチの知り合いの持ち物だからね。アンタを徹底的に痛めつけるまで、帰すつもりはない」


「帰すつもりはあるのか。本当に優しいなァ? 娘の優しさに涙が出そうだぞ」


 いちいちコチラを苛立たせる発言を繰り返すリカルド。


 慌てるな、渋谷探偵。

 言葉の応酬は、お前の得意技だろ。

 まずは、コチラのペースに引き込むんだ。


「帰してあげるに決まってるっしょ? アンタにはこの先、ずっと牢屋の中で悔やみ続けてもらわないといけないんだからさー」


「先ほど口にしていた、愛沢美幸というガキの件か。一体どの件だ? 心当たりがありすぎて、どれかわからない」


「……マジで最低だな」


「お前はその最低な男のガキだよ」


 今すぐに自分の血を全部抜いて交換したくなった。

 考えれば考えるほど、虚しくなる。全身の血が冷えていく。


 どうせ、どれだけ真実を暴いたところで、ウチがミユキの死の原因になった男の子どもだっていうのは変わらないんだから。


「アンタの組で作ってる違法薬物を、四崎って精神科医に卸してたことは分かってんだよ。ちゃんと証言もとれてる。警察に突き出されたくなかったら、ウチの質問に答えて」


「くくく……別に警察など怖くないが、その無謀な勇気に免じて答えてやるよ」


「……アンタたちとツルんでた精神科医、四崎はどうして殺されたワケ? アンタなら、その理由にも検討がついてんじゃないの?」


「ああ、あのイカレた医者には随分と儲けさせてもらったよ……死ぬには惜しい男だった」


「早く答えろ!」


 必死なウチの顔を見てニタニタと笑いつつ、リカルドは続ける。


「ヤツは用心深い男でな、患者を自分に惚れされてから、徐々に薬物シャブ浸けにするのを好んでいた。色恋と薬物依存、二重に保険をかけることで、犯行がバレないようにしていたんだな」


「まさか、痴情のもつれで殺されたっていうの? お粗末過ぎない?」


薬物シャブには服用後に様々な症状が起きるが、特に不安症状に陥りやすい。それが色恋と掛け合わさってみろ? どういう結末が待ち受けているかは、想像に難くないだろう」


 ただでさえ精神的に不安定な状態で、薬物の不安症状。

 そこに、恋愛関係のもつれが生じたとしたら、殺人事件に発展しても不思議じゃない。


「精神科医を殺したのはミユキのママさん……だとしたら、ミユキは……」


 頭の中に嫌な想像がよぎった。

 それは、ミユキをよく知っているが故に、ハッキリと浮かぶ光景。


 ミユキはママさんを心から愛していた。

 同時に、自分も精神科医を目指すほど、四崎を尊敬していた。

 もしママさんが薬物の影響で精神科医を殺害し、その結果、真実を知ってしまったら――


「いくらあの子でも……耐え切れない」


 そんな矢先に、ミユキはママさんと同時に、八ツ裂き公に殺された。


 あまりにもタイミングが良すぎる。

 まるで、死にたがっているミユキの心の声を、八ツ裂き公が聞きつけてきたみたいじゃないか。


 一体どういうこと? 全然分からない。

 真相に近づいたはずなのに、まるで理解できない。

 八ツ裂き公は、どういう経緯で、ミユキたちを殺そうとしたの?


 考えるのが怖くなってきた。

 分かりそうで、でも分からなくて。

 開けたら取り返しのつかないパンドラの箱が目の前に置かれたような感覚を、ウチは味わっていた。


「なぁ、犬美……もう十分だろう?」


 急に優しい声音で、リカルドが話しかけてきた。

 見ると、それまでの挑発的な表情から一転し、穏やかな微笑みをたたえて、ウチに語りかける。


「俺が知っている情報は正直にすべて話した。俺を許せないというなら、警察へ突き出してくれて構わない。だから、組の他の連中に見つかる前に、早く家に帰るんだ」


「その手は喰わないっつーの。蛇尾組は、構成員同士の交流がほとんどないから、アンタ一人いなくなったところで数日はバレないはず」


「そういう信頼関係が希薄な組だからこそ、スマホのGPSで互いの位置は監視し合っているんだ。事務所近くで動かない状態が続いていたら、何かあったと思ってやってくるかもしれない」


 ――ハッタリか?

 ありえない話じゃないだけに、判断に迷う。

 こんなことをわざわざ正直に話すメリットがないから、九割方ハッタリだろう。


 ただ、万が一本当だった場合にリスクがあるのは間違いない。

 さっさと立ち去るべきか、まだ尋問を続けるべきか。

 必死に思考を巡らせる。


「まったく、時間がないというのに……ならば、お前が望む証拠もくれてやろう」


 見かねたようにリカルドが言った。


「俺のスーツのポケットに、薬物ムラサキ入りのケースがある。もちろん俺の指紋付きだ。それを証拠品として持っていけ。そのケースがあれば、俺も、俺の所属する組織も、好きに料理できるだろう」


「何、それ。そんなことを今正直に話して、アンタに何のメリットがあるの?」


「俺だって人の子だ。娘の友人の死を招いてしまったことに、責任くらい感じる」


 心底申し訳なさそうな声で言ったあと、感慨深そうにリカルドは続けた。


「普段の癖で粗暴な態度をとってしまったが、久しぶりに娘と会えて、しかも立派に成長したことが分かったんだ。多少は上機嫌になるだろう?」


 ――信頼などできるはずもない。

 だけど、この男にも多少なりとも良心が残っていることを、信じたくなった。


 そして警戒しつつ、リカルドの言葉通りにスーツのポケットに手を入れると、出てきたのは金色のピルケース。


 ケースを開くと、中には紫色の錠剤が数錠入っていた。

 これさえあれば、蛇尾組を潰すことも――


「――バカがッ!」


 急にリカルドが飛び掛かってきた。

 ウチの手からピルケースと、その中の錠剤が弾け飛ぶ、

 リカルドはその錠剤へと飛びつき、数錠を口に含んでしまう。


 ――やられた!

 そう思った時には、手遅れ。


 リカルドの肌に汗が浮き、膨張した血管が浮かび上がる。

 そして肉がえぐれるのも気にせず、手錠から手足を強引に引き抜いた。


 見ている方が痛くなりそうな光景だけど、リカルドは苦しむどころか、心地よさそうな顔をしている。


「くくく、流石はムラサキだ。全然痛くねぇ……むしろ気持ちいいィ! さて、犬美ィ……次はお前が痛みを楽しむ番だぞォ?」


 血を垂れ流しながら、熊の威嚇みたいに、大きく両手を上げるリカルド。


 対してウチは、すぐに警棒型のスタンガンと、催涙剤のボトルを構えた。

 とは言っても、催涙剤はリカルドには通じない。

 何とか、スタンガンで無力化しないと――


「遅いなァ!」


 突然リカルドが殴りかかってきた、

 何とか後ろに引いて避けられたものの、身体能力が違いすぎる。


 普通に戦っていたら、勝ち目なんてない。

 対峙しているだけで、どんどん冷や汗が流れていく。


 ウチを捕まえようと動き回りながら、ハイな状態のリカルドは愉しげに叫び続ける。


「この匂い、よほど冷や汗をかいでいるみたいだなァ……!? いいぞ、ゆっくりといたぶってやる……! 自分の娘を思い切り躾けるなんて久しぶりだから、興奮するぞォォォ!」


 発言のすべてが気持ち悪くて、聞いているだけで卒倒してしまいそうだ。

 汗の匂いまで嗅ぎ取れるなんて、もはや人間じゃない。

 こんなの怪物じゃん。


「催涙剤を目にかけても効かないし、どうすりゃいいワケ……?」


 一応、痛みは感じるようだし、薬で誤魔化せなくなるくらいまで、ちまちま攻撃していくしかないのか。


 そう考えた時、違和感に気付いた。

 ――痛みを感じるなら、どうして催涙剤は効かない?


 手足の痛みは薬で誤魔化そうとしたのに、目だけ痛みを覚えないのはおかしい。さっき催涙剤が効かなかったのには、何かトリックがあるはずだ。


 ウチだって探偵。

 この腐った男は、渋谷探偵の名にかけて、必ず打ち破ってやる。


「くははははは! 友人が一人殺された程度で慌てふためき! 殺す覚悟もなくノコノコと元凶の前に現れて! 何もできずに返り討ちに遭う! 哀れだなァ!? 哀れだなァ~~~!? ええェ!?」


「哀れなのはアンタでしょうが」


 一人で狂ったように笑い続けるリカルドの前に立って、懐からボトルを取り出した。


「アンタは今から、誰にも助けてもらえずに、小娘に痛めつけられるんだよ。これまでの最低な人生のツケ、まとめて払わせたげる」


 話しつつリカルドの様子を観察し、頭の中で推理を展開。

 目の前の男を出し抜く作戦を考えていく。


 ――目だけ痛みを感じないトリックの正体は、きっと“アレ”だ。そう考えれば、ウチが声をかける前に気付いたことにも、催涙剤が効かなかったことにも合点が行く。


 ただ問題は、どうすれば出し抜けるか。

 相手は薬物の効果で、痛みじゃ止められないし、そもそも動きが化け物じみている。


 付け入るには、どうすればいいだろう。


「おい、どうしたァ!? どうした、どうした、どうしたァ!? くははは! 今さらになってビビったかァ!?」


 やたらと挑発的なリカルド。

 声がうるさくて、ウンザリする。

 でも、その様子を見て、アイディアを思いついた。


「バーーーカ……ビビってんのはアンタでしょ? ウチさぁ、分かっちゃったんだよね。さっきアンタに催涙剤が効かなかった理由」


「ほォ~? だとしたら、どうする? どうする? どうする? どうする? どうやって俺に対抗する気だァ~!?」


「もう一回、アンタにぶっかけてやる。それでアンタはお終い」


「……ハァ?」


 呆気に取られた様子で目を見開き、リカルドが手で顔を覆って、笑い声を漏らす。


「ここまで、バカだったとはなァ……! いいぞ、やってみろ! ほら、俺は逃げない! ほら、ほら、ほらァ! そんなにご自慢の催涙剤をかけたいなら、もう一度かけてみろォ!」


 そう言ってリカルドは足を止め、自らウチに近づいてきた。

 ウチはボトルのフタに触れつつ、口角をつり上げる。


「マジでいいの? アンタ、終わるよ」


「そう上手くいくかなァ……? くくく、くくくくく!」


 両手を大きく広げて、顔を無防備に晒すリカルド。

 完全にウチをナメている。

 作戦通りだ。


 フタを開けて、ボトルの中身をリカルドの全身へ思いっ切りぶっかけた。


「くははははは! 効かないなァ~! 俺には小娘の作った催涙剤、など……」


 ようやく耳障りな笑い声が止まる。

 今さら、リカルドはウチがかけた液体が、催涙剤ではないと気付いたらしい。


「さっきかけたのは、香水……? なぜ、こんなものを……」


「さーて……何故で、しょうねッ!」


 呆気にとられた様子のリカルドの肩口へ、思い切り警棒を振り抜く。

 反応が遅れたリカルドは避け切れずに、警棒をモロに受けた。


 手に伝わるシビレと振動。

 これが、ヒトの肉を全力で殴った感触か。

 思っていたよりも生々しいけど、思っていたより大したことない。


「どったの~? 反応ニブいよ? だいじょぶ?」


「ぐっ……お前、まさか……」


「うん、気付いたんだよ。アンタが実は、盲目だってことにね」


 今見えているリカルドの目は、恐らく義眼。

 だから、催涙剤を浴びても、痛い素振りを見せなかったんだ。


「盲目になると、その分、耳と鼻がよくなるってマジだったんだね~? 目が見えているのと変わらない振る舞いだし、全然気付かなかったわ」


「だから、ニオイのキツい香水を全身に浴びせて、俺の鼻を潰したワケか」


「そゆこと。ウチをナメきったアンタなら、挑発にノッてくれると思ってたよ。ウチの思惑通りに動いてくれてありがとね、おとーたま♪」


 ようやくリカルドの顔から余裕が消えた。

 目元にシワが寄って、こめかみに青筋が浮かび、獣みたいに歯を剥き出しとする。


「ブチ殺してやるぞ、クソガキ……! 大人をナメたことを後悔させてやる!」


「やっと本性を表したね。そっちの方がアンタにお似合いだよ」


 ウチの声に反応してか、リカルドがウチに向かって真っ直ぐ突っ込んできた。


 近くにあったマネキンを身代わりにして、横へ飛び退く。

 その足音に反応したのか、すぐさまリカルドは身を翻して、ウチを追ってくる。


 まるで野獣みたいな俊敏さだ。

 ウチが紙一重で飛び退いて、リカルドが足音を追い回す攻防を、何度か繰り返した。


 息が乱れ始めるウチに対して、リカルドに疲れた様子は見られない。

 このままでは、こっちがジリ貧になる。


 でも、焦る必要など、まったくなかった。


「バーーーカ」


 ウチの声に反応し、すぐさま飛びかかるリカルド。

 でも、その先で待っているのはウチじゃなくて――壁だ。


 グチュッと鈍い音がした。

 顔面から壁に衝突したことで、怪物じみた身体能力が災いし、顔面の骨が砕けたらしい。


 流石にこらえ切れるレベルじゃなかったのか、リカルドは顔を血まみれにして、床を転げ回った。


 血の付着した壁の隅に置かれたスマホを拾い上げて、画面に触れて操作する。


 次の瞬間、スマホから「バーーーカ」というウチの録音音声が再生された。


「鼻を潰されたら、耳に頼るに決まってるよねぇ。ご愁傷さま~」


 しばらく転げ回った末に、仰向けの状態で動かなくなったリカルド。


 その無防備な腹に乗っかって、警棒型スタンガンを首に突きつけて、話しかける。


「まだ持ってんでしょ? 薬物ムラサキ。救急車を呼んで欲しかったら、素直に出してよ」


「くく、く……この期に及んでも、まだ、覚悟がない、か……」


 リカルドは血で真っ赤な歯をこぼして、語り出した。


「お前、まだヒトを殺しちゃ、いないだろ……? 命を奪う、痛みも知らない、処女に、いくら脅され、ても……怖くない、んだよ……」


「……んじゃ、アンタで卒業してあげるわ。ウチは殺す覚悟を固めて、ここに来たんだからね」


「やって、みろ……」


「チッ――上等、だっつーの!」


 挑発的な言葉に苛立って、リカルドの太い首を両手で掴んだ。


 どくん、どくんと、脈動が手に伝わる。

 その脈動を断つように、手にチカラを込める。込める。込める。


「く、は、は……全然、チカラが、入ってないぞ……?」


「ハァ――ハァ――どう、して……?」


 ウチはここに覚悟して来た。

 目の前の男に躊躇する理由なんてない。

 ミユキを失った今、ウチにあるのは復讐心だけ。


 今までに得られた手札カードを全部切って。退路を断って。

 これまでウチが捨て切れずにいた日常を――切断さよならするつもりで来たんだ。


 その、はずなのに――


「この、バカがァ……!」


「あ」

 リカルドに襟を掴まれて引き倒されて、態勢の上下を入れ替えられた。


 つまり、自分より体格の優れた男に、マウントをとられた状態。

 一気に血の気が引く。


 抵抗する間もなく、血まみれの拳が振り下ろされた。


「犬美ィ……! お前は、所詮、俺の犬、だァ……! だから、犬と名付けた……! 俺の前では、屈服する、運命、なんだよォ……! くくく、くははァ……!」


「ぐッ……! くぅ……!」


 何とか両腕を上げて、拳を防ぎ続ける。

 相手は満身創痍のはずなのに、未だに一撃一撃が重くて、受け止める度に骨が軋んだ。


 悔しい。

 自分の無力さが――結局ミユキのために何もしてあげられないことが、悔しくてたまらない。


 それに、ミユキはもしかしたら、死を望んでいたかもしれないんだ。


 だとしたら、ウチが犯人を恨むこと自体が筋違い。

 もはや、ウチには生きる理由すらないということになる。


 死に体を動かしてくれていた『復讐心』という名の糸が、プツリプツリと、切れていくのを感じる。


 それに従って、リカルドの拳を防ぎ続ける腕が、徐々に下がっていった――。


 不意に扉の開く音がした。

 この店舗を訪れるヒトなどいないはず。


 どういうことかと理解が追いつかずにいると、ウチの腹の上に座るリカルドが愉快そうに笑った。


「俺の仲間が来てくれたようだなァ……さっき言ったのは脅しじゃなくて、本当だったんだよ」


 ――詰み、か。

 より一層、絶望的な情報を聞いて、完全にチカラが抜ける。

 どう足掻いたとしても、もはや現状からの逆転の目はない。


 すべてを諦めて目をつぶった。


「一人で暴走し過ぎだ、減点10」


 ありえない声を耳にして、目を開く。

 ウチらの横に立った人影が、リカルドをウチの腹の上から蹴り飛ばし、ウチへ手を差し出した。


 それは間違いなく、黒いコートに身を包んだ白髪の老人――ウチの師匠でもある老師探偵の姿。


 暗がりの中でも目立つその白い髭を見て、冷え切っていた身体に、熱が戻った。


「だが、小娘の身でここまで耐えたことは称賛に値しよう。

 よく頑張ったな、渋谷探偵」


「じっちゃぁん……」


 すぐさま、そのしわくちゃの手を取った。

 もう諦めていたはずなのに、スゴくホッとして、目から涙があふれる。


 こんな状況になってようやく、自分が死ぬことを恐れていたことに気がついた。


「どうして、じっちゃんがこの場所を?」


「探偵デバイスの現在地の共有機能は知っているだろう? 広報探偵が前回の調査中にはぐれたというから、探していたんだ」


「……ごめん。コイツは、ウチの父親で、どうしてもウチの手でケジメをつけたかったから」


「まぁ話はあとだ。まずは、コイツを片付ける」


 老師探偵はウチに下がるよう言って、リカルドへと歩み寄った。


 リカルドはフラつきながらも飛び掛かろうとしたが、老師探偵に触れた途端、勢いよく床へ転がされてしまう。


 そして間髪入れず、靴のかかとで顔面に一撃。

 リカルドの意識は途絶え、呻き声すら漏らさなくなった。


「いや……強すぎっしょ」


「この男が弱すぎるんだ。薬物でろくに技も使えなくなった男など、相手にならん」


 自慢の髭を弄りつつ、涼しい顔で語る老師探偵。

 このお爺ちゃんは本当に底が知れないと、改めて痛感する。


「危ないところだったね、渋谷探偵さん。助けに来られてよかったよ」


 そこで今更、老師探偵の後ろにもう一人、人影が佇んでいることに気が付いた。


 普段と違って、長髪を下ろし、学生服のようなブレザー姿ではあるけれど、その顔には見覚えがある。


 ウチと同じくらいの歳で、探偵同盟の上位に食い込む天才。

 探偵ネームは、確か――


「あなたは、被虐探偵さん……? どうして、ここに?」


「ちょうど老師さんと一緒に捜査をしていてね。渋谷探偵さんがピンチかもしれないっていうから、付いてきたんだ」


 身体中に痛々しい傷跡や治療痕を残した痩せ型の青年、被虐探偵が穏やかに微笑む。


 その優しい微笑を見ると、張り詰めていた糸がほどけるみたいに、胸がすく心地になる。


 中性的な容姿も相まって、何だか魔性の魅力を持った青年だと感じた。


「大変だったみたいだね……よかったら、何があったのか話してくれないかな? 僕も、キミのチカラになりたいから」


 そしてウチは、誘われるようにして、これまでの経緯を包み隠さず話し出した――。


 ⇒渋谷Ø切断⑤

「愛沢美幸と八ツ裂き公」へ続く。


    ◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る